大怪獣・ドゴラの破壊が始まる。
対抗手段を見いだせないまま、
ドゴラは、憑依能力と破壊能力を駆使して、
人類を追い詰めていくー
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都心部にドゴラが侵入したー。
「春菜(はるな)!!!!」
男の叫び声が響き渡る。
まだ、12歳の娘と一緒に逃げていた父親ー。
娘が逃げる途中で転んでしまい、
必死に転んだ娘の方に駆け寄っていた。
ツインテールが似合う可愛らしい娘は
目に涙を浮かべながら呟いた。
「お父さんだけでも、逃げて…」
娘の言葉に、父は首を振った。
「そんなことできるわけ、ないだろう!」
父の言葉に、娘の春菜も、今一度生きる希望を
見出して、父の誘いに応じて、
父に背負ってもらうカタチで、移動し始めた。
「---まさか、こんなに大きくなって
お父さんにおんぶしてもらうなんて…」
笑いながら言う春菜。
「--はは、俺はお前のためならなんだって…」
「ひうっ!?」
背負っている娘が、変な声を出した。
「---春菜…?」
父が不思議そうに聞き返すが返事はなかった。
そしてー、
「---うぐっ!」
娘の春菜が父親の首を絞めはじめた。
「--くくく、愚かな人間よ…
この身体を、使わせてもらうぞ」
春菜が低い声でそう言う。
「か…な、、なに…を?」
苦しむ父親。
春菜は「くくくくくく…」と笑い声をあげながら
父親が動かなくなるまで首を絞めつけた。
そしてー
目に涙を浮かべたままの春菜が
笑ながら、空中に浮かびあがったー
その先にはー大怪獣・ドゴラが居た。
「--さぁ、人間どもよ…
我の怒りを味わうがいい!」
ツインテールを風でなびかせながら
春菜は大声で叫んだ。
破棄された女子高生・深美の身体の代わりに、
ドゴラが自分の魂を春菜に憑依させたのだった。
ミニスカート姿の春菜は、
気温の低い上空で、寒そうに身体を震わせていたが、
今の春菜にそんなことは関係なかった。
「破壊だ」
そう叫ぶと、ドゴラは、首都圏の中心部に向かって歩き出した。
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「吾輩は、臆病である。政治家としての実績はまだない」
夏目外務大臣がそう呟きながら避難用のヘリに乗り込む。
新渡戸大臣や武田官房長官もヘリに順番に乗り込む中、
桐戸防衛大臣はヘリに乗るのを拒んだ。
「俺はここに残る」
桐戸防衛大臣の言葉に、
郷田大臣が「正気か?桐戸のくせに生意気だぞ」と呟く。
他の大臣たちがヘリコプターに乗り終えて、
ヘリは離陸準備を進めていたー。
遠くに、ドゴラの姿が見える
「ここは危険だぞ!」
黒船総理が言うが、桐戸防衛大臣は動かなかった。
「--俺はここで、国民を守る」
そう叫ぶと、桐戸大臣は、一人官邸へと戻って行った。
黒船総理はため息をつきながらも、ヘリを離陸させるように指示をしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
官邸に戻った桐戸大臣は思う。
この国は、法律に縛られていて、
有事の際の対応が出来ない。
今も、ドゴラに1発も攻撃を浴びせることが出来ない状態だー。
だったら自分がここに残りー
独断でドゴラに戦闘を挑むー。
責任は、全て自分が取る。
それにー
桐戸防衛大臣には自信があった。
我が国の戦力をもってすれば、ドゴラなど1分で灰にできるー、と。
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ドゴラの周囲に、戦闘機やヘリコプター、
そして戦車の隊列、
銃を持った自衛隊員が現れた。
「--我にはむかうか?」
可愛らしい少女の春菜が微笑む。
反対側の肩に乗る女子大生は、スマホを持ったまま
不気味に微笑んでいるー。
「--大臣!ドゴラの肩に2名の女性が!」
戦車部隊の隊長が叫ぶ。
”構わん!全責任は俺が取る!殺れ!”
桐戸防衛大臣の声に、
隊長は叫んだ。
”一斉掃射だ!”
隊員たちが、銃をドゴラに向かって放つ。
戦車が大量の弾丸をドゴラに浴びせ、
戦闘機からも、激しい銃声が響き渡ったー。
ドゴラは弾幕の嵐を前に、触手で肩の周りを守るかのように
ガードの姿勢を取った。
その様子をモニターで見ている桐戸大臣は呟いた。
「なるほど…操って肩に乗せている人間を守っているのだな」
ドゴラは、頑丈でも、憑依された人間たちは生身の人間。
それゆえ、ドゴラは弾丸からそれをかばうかのように、
触手で、頭部周辺を守っていた。
お構いなしに続く攻撃。
攻撃は全弾ドゴラに命中したー
これだけの攻撃、耐えられるはずがない。
「--はははははは!
これが、人間の力だ!」
官邸からモニター越しに
戦闘を見守っていた桐戸防衛大臣が
ドヤ顔で叫ぶ。
しかしー
「あはは…あっは…」
「馬鹿な…やつらだー」
ドゴラの肩に乗っていた
女子大生と、ツインテールの少女、春菜が
血を流しながら笑う。
そのまま、二人はゾンビのような状態で
笑い続けた。
ドゴラはーー無傷だったー。
「--な、なんだと!」
モニター越しにその様子を見ていた
桐戸大臣が叫ぶ。
そしてー
ドゴラは、背中から生えている触手のようなものを
戦車やヘリコプターに向けたー
そこからー
大量の銃弾のようなものが放たれた。
あり得ない量の光の玉ー。
「うわあああああああああっ!」
展開していた部隊は一瞬にして全滅した。
さらにーー
ゴオオオオオオオオオ!!
ドゴラは口から電撃のようなものを
放ち、周囲のビルや建物をあっという間に破壊してみせた。
「----あ、、、あは…」
自衛隊の攻撃でボロボロになっていた女性二人は、
もうドゴラにとって用済みだった。
ドゴラの目が赤く光ると、
ツインテールの少女・春菜の目も赤く光った。
不気味な笑みを浮かべながら春菜は、
ドゴラの肩から浮かび上がり、
そのまま物凄いスピードでどこかへと飛んで行った。
まるで、ミサイルのようにーー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
飛びだったヘリコプターの内部では、
黒船総理大臣たちが、動揺した様子で話し合っていた。
「--関西に臨時本部を設置する」
郷田大臣が言う。
「---全く、大変なことになりましたな」
新渡戸国土交通大臣が、5000円札を不安そうに
握りしめながら呟く。
「--だが、戦わねばなるまい
その昔、幕府は黒船と共に来航したペリー相手に
屈することなく戦った」
黒船総理大臣が言うと、
武田官房長官が「幕府は、ペリーと戦っていないがな」と
辛辣なツッコミを入れた。
沈黙するヘリコプター機内。
その時だった。
「何だあれは?」
夏目大臣が、ヘリの窓から外を見て呟く。
そこにはーー
空飛ぶツインテール少女が居たー。
「---!?」
黒船総理大臣が驚きに目を見開くー。
それはー
ドゴラの肩に乗っていた少女、春菜だった。
ドゴラが発した謎の光に包まれたまま
「あはははははははは」と笑いながら
目を赤く光らせてヘリコプターに向かってくる少女はー
まさに”悪魔”のように見えたー。
ドゴラの魂の一部に憑依されたまま、
ドゴラのエネルギーで空中浮遊していた春菜はー
そのままヘリコプターに激突しー
大爆発を起こしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「くそっ!」
東京の官邸に残っていた桐戸大臣が
怒りの声を上げる。
しかし、もう現地に展開していた自衛隊員たちは
全滅してしまった。
こうなったらー。
桐戸大臣は外に飛び出した。
そしてー
ドゴラの前に、走って行く。
ドゴラは、そんな桐戸大臣を相手にすることはなかった。
逃げ遅れたOLと、
地下アイドルに、自らの魂の一部を憑依させ、
再び、2人の女性を両肩に乗せると、
ドゴラは歩き出したー。
「--人間たちに、我を止めることはできない」
OLが異常な大声で言い放つ。
桐戸大臣は笑みを浮かべたー。
官邸から持ち出した日本刀を手に笑う。
「--この俺の、秘剣には、
邪悪を切り裂く力があるー」
桐戸大臣は、勝利を確信した。
この日本刀で、ドゴラを切り捨て、
国民栄誉賞を受賞するー
桐戸大臣は、ドゴラの足元に向かって走った。
「怪物よ、俺の剣をー」
ブチっ!と言う音と共に、
周囲は静かになったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
目呂須(めろす)文部科学大臣は激怒したー
必ず、かの 邪智暴虐 ( じゃちぼうぎゃく ) のドゴラを除かなければならぬと決意した。
たまたま、別件で、官邸に居なかった大臣たちは
関西に臨時本部を設置した。
黒船内閣総理大臣ー
武田官房長官
新渡戸国土交通大臣
桐戸防衛大臣
郷田農林水産大臣
夏目外務大臣
薄影厚生労働大臣
それぞれが
ドゴラによって命を落とした。
国家の緊急事態だ。
「なんとか、ドゴラを倒す方法はないのか!」
目呂須文部科学大臣が叫ぶが、
周囲は首を振るばかり。
動画サイトでは、
地下アイドルだった少女が笑いながら人類に宣戦布告をしている。
「罪を受け入れろ…人類!」
少女は、唇を震わせながら、笑うー。
「くそっ!」
臨時本部内に困惑の声があがる。
そんな中ー、
自衛隊による第2回総攻撃が
行われようとしていた。
「--まもなく、東京にいるドゴラへの攻撃が始まります!」
一人が叫ぶと、
スクリーンに映し出された映像を
目呂須大臣以下、閣僚たちが見詰め始めたー
「-ドゴラよ、木端微塵にしてやるぞ!」
幕僚長・夜神が叫ぶ。
先の、桐戸大臣が指揮をしていた時よりも
大規模な部隊で、
正に自衛隊の威信をかけた戦いが始まろうとしていた。
「--愚かな人間たちよ!」
OLが両手を広げて、大声で叫ぶ。
戦車、戦闘機、ヘリコプター、陸上部隊。
それらが一斉にドゴラに攻撃を仕掛けた。
鳴りやまぬ発砲音。
さらには、新型の生態破壊レーザーまで導入され、
レーザーがヘリコプターから照射されたー。
ドゴラは触手で、二人の憑依された女性を守るかのように
頭部周辺をガードしている。
激しい音が響き渡る東京都内ー。
しかしー
カッ!と
激しい光に包まれると、
ドゴラから、赤い光線のようなものが大量に放たれたー
そしてー
周囲に展開していた部隊は、5秒も経たぬうちに、
全滅したー
ドゴラのの肩に乗っていたOLと地下アイドルが、
部隊の攻撃により、ボロボロになって、
そのままドゴラの肩から落下するー。
ドゴラはまた、謎の球体を放ち、
”新しい拡声器”を見つけー、
今度は、泣きじゃくる子供をあやしていた母親と、
ドゴラを興味本位で撮影しにきていた女子高生に憑依させたー
二人はドゴラの肩に乗るー。
「--ふふふ…」
笑う女子高生ー
ドゴラは、再び歩き出した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
スクリーンで東京の戦いを見ていた閣僚たちは唖然としていた。
「馬鹿なー・・・」
そう呟きながらも、
目呂須大臣は、何度も何度も、先ほどの戦いの映像を
見返しながら”あること”に気付いたー。
③へ続く
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コメント
ドゴラを倒すことはできるのでしょうか!
次回が最終回です!
コメント
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肉体を容赦なく使い捨てにしていくスタイルは憑依物として良いですね。ツインテミサイルには不覚にも笑ってしまいました…w
閣僚ネタはもう突っ込んだ方が負けな気すらします…w
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これ逆に倒せたら凄いと思うけど無理だろうなあ。今更環境保全prしても無理っぽいし
あと申し訳無いが・・・目呂須の元ネタって何ですかね?これだけが分かりません。
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> 肉体を容赦なく使い捨てにしていくスタイルは憑依物として良いですね。ツインテミサイルには不覚にも笑ってしまいました…w
> 閣僚ネタはもう突っ込んだ方が負けな気すらします…w
ありがとうございます~!
怪獣なので、倫理観とかそういうのは無く、容赦なしで!みたいな感じですネ!
閣僚は…もう、やりたい放題デス☆
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> これ逆に倒せたら凄いと思うけど無理だろうなあ。今更環境保全prしても無理っぽいし
>
> あと申し訳無いが・・・目呂須の元ネタって何ですかね?これだけが分かりません。
倒す方法は…!明日のお楽しみデス!
目呂須は「走れメロス」が元ネタですネ!