息子ともう一度会いたい。
ただ、それだけの思いで、父は道を踏み外した。
幼馴染の少女を完全に乗っ取った息子。
乗っ取られた少女の運命、
そして、禁断の領域に手を染めた父親の運命は・・・?
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「--持木くん」
和夫は、自分の部屋に、Dr持木を呼び出していた。
「教授、ちょうどよかった。
私もお話があります」
持木はそう言うと、レントゲン写真を取り出した。
和佳奈のレントゲン写真だ。
脳が2つ、混在していて、
そのうちの1つが、異様に縮小を始めている。
「--これは、どういうことです?」
Dr持木が問い詰めるような口調で言う。
「-きみは、わたしを問い詰めるのか?」
和夫は、そう言いながら立ち上がった。
「あまりにも非人道的です!
教授!この和佳奈という子は、
あなたの我儘のために、人生を奪われるんですよ!」
Dr持木には分かっていたー
縮小しているのが、元々の和佳奈の脳。
そして、肥大化しているのがーー
「---そんな子の人生、どうでも良いじゃないか」
和夫が、信じられないことを口にした。
「--息子とその子は仲が良かった。
その仲の良かった充に、自分の身体を提供するんだ。
本望だろうさ」
和夫が自分勝手な持論を展開する。
持木はなおも食い下がる。
「--教授、失望しました。
わたしは、これを公表する。
そしてー、あの子を助ける!」
持木は、そう言って、レントゲン写真を持ったまま、
部屋から立ち去ろうとした。
和夫は叫ぶ。
「待て!持木くん、君の将来には期待している。
何だったら、わたしが口をきいて
淳教授にしてやる。
将来も安泰だ。
だから、そのレントゲンをこちらに渡せ」
和夫には自信があった。
人間とは、愚かな生き物ー。
人の心は、金で、買えるー。
「お断りします」
Dr持木から、予想外の言葉が返ってきた。
「なんだと?」
和夫は、慌てた。
馬鹿な?地位と名声をとらないだと? と。
和夫は咄嗟に、机の中にしまっていた
劇薬入りの注射を持って、Dr持木に突進した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふふふふふ・・・♡」
夜ー
和佳奈は自分の部屋で派手な洋服を着ては
鏡の前でポーズを決めて、喜んでいた。
「--うふふ♡
こんな表情もできるんだっ!」
和佳奈は相手を睨みつけるような表情で
鏡を見つめて笑う。
散乱した和佳奈の部屋。
和佳奈はファッションショーを一人楽しんでいる。
チャイナドレスを着て、
用意した台に足を乗っけて太ももを露わにさせた。
「ふふふ・・・わたしは和佳奈・・・
これからは和佳奈になるの・・・!
昼間は真面目な優等生・・・
夜は自分の身体で興奮する変態女・・・!
くふふふふ♡」
和佳奈は次々と洋服を着替えては
不気味にほほ笑んでいた。
ズキッと突然頭痛が走る。
「--や・・・め・・・て!」
和佳奈が頭を押さえながら叫ぶ。
「わ・・・たしから、出ていって!」
和佳奈本来の意識が必死に叫ぶ。
しかし、苦しそうな表情の和佳奈は
すぐに笑みを浮かべた。
「ふふふ・・・出ていくのはそっちだよ!
ボクは、和佳奈ちゃんになるんだ!」
和佳奈に移植された脳の持ち主、
充が言う。
激しい頭痛。
和佳奈は制服姿のまま、
先ほど買ってきた”大人のおもちゃ”を
手に取った。
「や・・・め・・・て」
手が言うことを聞かない。
和佳奈本来の脳は、あり得ないほどに
”収縮”してしまっていた。
「---ふふふ・・・
わたし、こういうの大好きっ!」
和佳奈は叫びながら、
バイブを挿入した。
「んぁああああああああっ♡
あぁああああああああああ~~♡」
生まれて初めて味わう快感に、
和佳奈は激しく喘いだ。
部屋の外にまでーー
いや、家の外にまで聞こえているかもしれない。
でも、そんなこと、どうでもいい
「んっ♡ あぁっ♡ んぎっ♡
はぁ・・・♡ はぁ♡ あぁぁ♡
あぁああっ♡ うふふ、、ふふふふふ、
ふぁああああああああ~♡」
身体をガクガクと震わせながら
大声で叫ぶ和佳奈。
イヤらしい液体があふれ出さんばかりに
流れ出ている。
「や・・・め・・・ あっ♡ あっ♡ あぁ♡
んっ♡ あぁああああああああっ♡」
和佳奈本来の意識も快感に支配される。
「ひあぁあああああっ♡
ダメ♡ あぁっ♡ ダメ♡ だめぇぇ~~♡」
和佳奈は、激しく叫びながら
顔を真っ赤にして快感を味わっている。
その姿はもはや、心優しい和佳奈のものなどではなく、
快感に溺れる獣そのものだった。
「はぁ・・・はぁ・・・♡」
和佳奈はそのまま放心状態で、床に横たわった。
制服も、自分の髪も、何もかも、滅茶苦茶だ。
「--あ・・・」
和佳奈の本来の意識も、放心状態だった。
”消えちゃえ”
和佳奈の中に、悪魔のような声が響いた。
「------」
あまりの快感に、何も考えられなくなっていた
和佳奈の意識は、そこで途絶えた・・・。
「--ふふふ♡ 支配完了~」
和佳奈が嬉しそうに起き上がる。
「---?」
スマホに着信が入った
”父”の和夫からだった。
和夫は言う。
”悪いー。
父さん・・・人を・・・殺してしまった”
父の声は、明らかに動揺していたー。
「--え?待ってて!お父さん!」
そう言って、少し話をしたあとに、
和佳奈は電話を切った。
そして、不気味にほほ笑んだ。
病院に駆け付けると、
遺体が運びだされていた。
先日、和佳奈のMRIを撮影した若手の外科医、持木だった。
和夫は、和佳奈に息子の脳を移植したことを
口封じしようと脅している最中に、もみあいになり、
Dr持木を刺してしまったのだった。
「---」
連行される父・和夫が和佳奈の方を見て言った。
「--お前の秘密は、誰も知らない」
ふと、周囲を見ると、遺体は一つではないことに気付いた。
3、4人の遺体が運ばれている。
Dr持木を刺してしまった和夫は、自分が捕まることを覚悟した。
そしてー
どうせ捕まるのであれば、と、
あの日、和佳奈のオペを最初に行っていたものたちー、
Dr持木の助手たちも全てその手にかけたのだった。
これでー
和佳奈に充の脳を移植したことを知る人間は自分と和佳奈だけ。
「---お父さん・・・ありがとう」
小声で和佳奈はそうお礼を言った。
父・和夫は満足そうに連行されていった。
父がパトカーに乗せられて、その姿が見えなくなる。
そしてーー
和佳奈は笑った。
「くくくく・・・あはははははははははははっ!」
誰も居なくなった現場で、
制服姿の女子高生が一人笑っている。
「--これでアイツ、死刑だよ!
良くて無期懲役だ!」
和佳奈は顔をグシャグシャにしながら笑った。
「これでもう、”わたし”が乗っ取られたことを
知る人間はいないー」
和佳奈を完全に支配した充は、歪んだ笑みを浮かべた・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1週間後。
今日は放課後に空き教室で、クラスの不良生徒と
エッチをする約束をしている。。
お金も貰えるし、何より女として快感を味わうのはたまらない。
そしてー
この身体で誘惑をすれば、
あんなやつ、何でも言いなりにできる。
”表”では真面目な女子高生、和佳奈として。
”裏”では乱れた悪い女としてー
これからの人生もー。
「---?」
和佳奈は自分が熱を出していることに気付いた。
「あれ・・・変だなぁ・・・」
そう言えば、一昨日ぐらいから喉が痛かった。
風邪を引いているのかもしれない。
和佳奈はそう思っていた。
2時間目の授業が終った頃、
和佳奈は激しい悪寒と頭痛、高熱に襲われていた。
「---だいじょうぶ?」
クラスメイトが不安そうに和佳奈に告げる。
「だ・・・だい…」
そして、そのまま和佳奈は倒れてしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
病院で目を覚ました和佳奈。
和佳奈の母が、心配そうに和佳奈を見つめている。
「--おか・・・---」
そう、声を出そうとした。
しかし、声が出ないことに気付く。
「----!!」
和佳奈は訳も分からず、恐怖した。
急速に、頭が混乱している。
割れそうなぐらいに痛い。
そもそもーーー
自分は何故、ここにいるのか。
和佳奈を乗っ取って、そのまま
楽しく女子高生ライフを送るはずだったのにー
それからも・・・
和佳奈の体調は悪くなり続けた。
1週間後には、
すっかり衰弱して、はとんど反応も示さない
状態になってしまった和佳奈。
和佳奈本人は、
何も考えられない状態で、ただ虚空を見つめていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
和佳奈の担当医が戸惑っている。
和佳奈の脳の中で、異変が起きていた。
脳がこの子には2つあるー。
しかも、一つは異常なほどに縮小し、もはや機能していないと思われる。
そして、もう一つの脳はーーー
和佳奈の身体の中の”異常”な働きによって、
”排除”されようとしていたー。
まるで、風邪を引く際に、外部から侵入した
ウイルスを、体の抵抗力が排除するかのようにー
”外”から侵入した、充の脳を、
和佳奈の身体は、自分のものとして、
受け入れることはできなかったー。
ウイルスのようにー
”外から入ってきた異物”としてー
和佳奈の体内組織は、充の脳を排除しようと、
動いていたー
「---この子はもうーー」
その3日後、
和佳奈はーー眠るようにして動かなくなった。
和佳奈の中にいた充は、
最後に何を思ったのか。
それは、誰にも分からないー。
おわり
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コメント
初めての脳移植TSFでした!
充の脳は体外から侵入したウイルスのように、
体内の働きによって駆逐されてしまったようです・・・!
でも、現実で、TSFが実現するとしたら、
やっぱり脳移植なのかもしれませんネ!
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