<脳移植>禁断の領域②~お前は私の娘~

死んでしまった息子の脳を、
たまたま病院に運ばれてきた、息子の幼馴染の少女に移植した。

息子と再び会いたい一心で。
禁断の領域に手を染めた父。

他人の脳を移植された、少女の運命は・・・?

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和佳奈は、次第に恐怖を感じていた。

日に日に、自分が自分で無くなっていくような感覚ー。

次第にー
”誰か”が流れ込んでくるような感覚ー

時々、ふと我にかえることがある。

自分は、今、何をしていたのかと。

昨日もそうだった。
昨日は、学校から帰ってきて、友達と遊ぶ約束をしていたのに、
何故だか、自分の身体がとても愛おしくなってしまって、
一人、部屋でえっちした。

今までにないぐらい興奮したし、
今までにないぐらい大きな声で叫んだ。

でもーーー
分からない。

どうして、自分がそんなことをしてしまったのか。
ふと、愛液まみれになった部屋の真ん中で、
笑いながら寝転んでいた際に、和佳奈は
我を取り戻した。

自分のしていたことが恐ろしくなった。

何でー
あんなエッチなことをー

どうして、友達との約束をすっぽかしてまで・・・

「---」
和佳奈は頭を抱えた。

そしてー
おもむろに自分の洋服を見つめる和佳奈。

「---これじゃあ・・・足りないよ」
和佳奈は呟いた。

「もっと、ゾクゾクするような洋服が欲しいな・・・ふふ・・・」
和佳奈は笑みを浮かべて、
財布を手に、外へと出かけて行った。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日。

登校した和佳奈は異変を覚えていた。

「---」
周囲の女子生徒を見ては、
イヤらしい目で、それを見てしまうことに
気づいたのだ。

自分では、無意識のうちに。
しかも、なんだか体が火照っている。

「--はぁ…はぁ…」
興奮が抑えきれない。
自分の体にも、他の女子の身体にも…。

昼休みー
和佳奈はたまらず人があまり来ない
お手洗いに駆け込んだ。

そして…
我慢していたものが爆発したかのように
狂った勢いで制服をその場で脱ぎ、
自分の身体をいじくり始めた。

「んふぅ…♡」
たまらない快感。

和佳奈の表情が、だらしなく歪むー。

自分の唇のうるおいが、愛おしく思える。

もう、我慢なんてできないー。

和佳奈はトイレの鏡に唇を押し付けて
鏡に映る自分とキスをした。

興奮が頂点に達した和佳奈は、舌を出して
そのままクチュクチュと鏡の自分と
熱い時間を過ごす。

普段の自分なら、こんな汚いこと、ゼッタイにしないのに…

和佳奈の興奮が収まり始めたころ、
和佳奈は我にかえる。

「---わ、わたし…」
顔を真っ赤にしながら制服を着て、
慌ててうがいをし、すぐに教室に戻るのだった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからも、症状は悪化を続けた。

自宅で勉強している和佳奈ー。

しかし、
何故だか、死んだクラスメイト、充のことばかり
頭の中に浮かんでくる。

”ボクハミツル”
呪文のように、そんな言葉が聞こえてくる。

和佳奈は、机のものをイラついた様子で
壁に投げつけた。

「うるさい!わたしは、わたしは和佳奈よ!」

なんなのもう!と叫んで
その場に突っ伏してしまう和佳奈ー。

脳の異常は、着々と、進んでいた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後。

父の和夫は、一人、病院内で執務を
行いながら、考えていた。

あの和佳奈とか言う子の
式場での豹変。

あれはー
確かに息子の充だった。

充は、彼女の中で、生きている。

その時だった。

スマホに着信が入る。
見たことのない番号。

和夫は意を決して、スマホを手にした。

”あの・・・”
可愛らしい少女の声が聞こえた。

”あの・・・父さん・・・?”
少女は確かにそう言った。

「--充か?」
和夫はそう尋ねた。

”うんー”
電話口の少女はそう言った。

「--話がしたい」
和夫から、そう切り出した。

1時間後、病院近くの人気のない場所を指定し、
和夫は、和佳奈と会う約束をこぎつけた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1時間後。
約束通り、和佳奈はやってきた。

ショートパンツ姿で、
生足を強調するような格好をしている。

「---父さん・・・」
和佳奈は、ニヤリとほほ笑んだ。

「---充、なのか?」
和夫が言うと、和佳奈はうなずいた。

「信じてもらえないかもしれないけど、
 僕・・・気づいたら、和佳奈の中に居たんだ・・・

 あの日、事故に遭って、僕は何もない世界に
 飛ばされたー
 たぶん、死んだんだ。

 でも、気づいたら、和佳奈の中に居た。
 最初は、何もできなかったけど、
 だんだん、僕が和佳奈として行動できる日が
 増えて来たんだ」

和佳奈は淡々と語った。

「ほら、見てよ!今では僕が和佳奈だ!
 和佳奈、大人しい子だったけど、
 今じゃ、こんな格好をするのも自由なんだ!」

和佳奈が自分の太ももを触りながら笑う。

「父さん、僕の言うこと、信じてくれるかい?」
和佳奈は言った。

明らかに、目の前の少女は、和佳奈という子ではない。
充だ。

充は、部屋にエロ本を隠していたー。
だから、女の身体になれば、こういう反応は当然だろう。

「--ふふ、信じるさ。充、よく聞くんだ」
和夫は、和佳奈の肩をつかんで
今までの経緯を説明した。

たまたま病院に搬送されてきた和佳奈の脳に、
充の脳を移植したことを。

「はは・・・なんだ、父さんのおかげだったんだ!」
和佳奈が笑う。

「---これしか、お前を救う方法は無かったんだ」
和夫が言うと、和佳奈は笑った。

「ううん!最高だよ父さん!
 だって僕、和佳奈になれたんだ!
 ほら、胸だって揉み放題!くふっ・・・ふふふふっ♡」

和佳奈が嬉しそうに人前で胸を揉んでいる。

「--充。よく聞け。
 必ずお前のことを迎えに行く。
 だから、しばらくは和佳奈・・・、その子として生きろ。
 周囲に悟られると色々厄介だからな」

和夫が言うと、
和佳奈はうなずいた。

「うん。わかった。
 わたし、和佳奈だもん♪」

和佳奈は嬉しそうに飛び跳ねながら言った。

「--記憶もぜ~んぶ、わたしのもの!
 うふふふふふ♡」

和夫は、充ともう一度会えたことを喜んだ。
そしてー
”自分に娘”が出来たことをー。

和夫は、女の子が欲しかったー。
そして今、
”息子を生きながらえさせること”
”娘を手に入れること”

その2つの、夢が、叶ったのだ。

「--和佳奈・・・」
和夫は、目の前の少女の名前を呼んだ。

「おまえは、俺の娘だ」

「---うん」
和佳奈は、嬉しそうに”父”の顔を見つめた。

「--あっ…」
和佳奈が頭を突然抑え始めた。

「わ・・・わたし・・・どうして・・・
 え・・・ここ・・」

和佳奈がおびえた表情で周囲を見つめる。

「--ど、どうして・・・わ、、、わたしなんで・・・
 い…いやっ…」

怯える和佳奈を和夫はつかんだ。

「--おい!充!気をしっかり持て!」
和夫は叫んだ。

和佳奈が混乱した様子で
和夫の方を見る。

「・・・み、充くんのお父さん・・・?」
和佳奈が言う。

和夫は突然、和佳奈の頬を叩いた。

「私は、お前のお父さんだ!」
和夫が何度も、何度も和佳奈の頬を叩いていく。

「や、、やめて・・・やめてください!
 な、、何が起きてるんですか…!」

和佳奈が泣きながら言う。
和佳奈にとっては、わけがわからない。

「--お前は充だ!
 充の邪魔をするな!お前は、引っ込んでろ!」

息子を蘇えらせたい一心で、
和夫は、和佳奈を何度も何度もたたいた。

「酷い・・・ひどい…!
 わ、たしは・・・、あ・・・あぁあああああああ!」

和佳奈が球を抱えて悲鳴をあげる。

そして、その場に蹲る。

「わたしは和佳奈・・・!
 やめて・・・お願い!わたしから出ていって・・・!」

和佳奈が苦しそうに叫びだす。

そしてー

「・・・・・・わたしは・・・そう、和佳奈だよ♡」

和佳奈が甘い声を出しながら笑った。
そんな、和佳奈の様子を見て、和夫も笑う。

「---ま、まだ、完全に支配できたわけじゃないから」
和佳奈が言うと、
和夫は「そうか」と答える。

そして、和夫は時計を見た。

「--そろそろ会議があるから、俺は病院に戻るよ」
和夫がそう言うと、和佳奈は「わかった」とうなずいた。

去りゆく父親の姿を見ながら、
和佳奈は意味深にほほ笑んだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自分の部屋に戻ると、
そこに、外科医の若手のエース・Dr持木がやってきた。

「教授・・・」
持木は、神妙な面持ちをしている。

「どうしたんだね?」
和夫は、教授として答えた。

しかし、持木の次の言葉は予想外のものだった。

「--さっきの・・・さっきの、女の子とのお話し・・・
 聞いてしまいました」

持木が言う。

和夫は青ざめた。

「--教授!あの子に何をしたんです!?
 さっきの様子は普通じゃなかった!」

Dr持木が叫びながら、和夫のデスクに手を置いた。

「--まさか教授・・・あの子に・・・あの時持っていた脳を・・・!」

”核心”に触れようとするDr持木。
和夫は言った。

「きみは、教授であるわたしの、邪魔をしようというのか?」
和夫は、威圧する目つきで、Dr持木を睨んだ。

「う・・・そ、それは…」

和夫はさらに、立ち上がり、Dr持木の肩を
叩きながら言う。

「--きみの将来にはわたしも期待している。
 ”余計な事を”詮索するな。
 いいか?忘れるんだ。
 詮索すれば、きみの将来は無いと思え」

和夫は、それだけ伝えると、Dr持木を一人残して
そのままその部屋を後にした。

Dr持木は、そんな和夫の姿を見て、
あの少女を救わなければ、と
そう思った。

持木が、病院の外に出ると、
和佳奈が病院の敷地から出ようとしていた。

「--きみ!」
Dr持木が呼びかけると、和佳奈は振り返った。

「はい…?」
優しそうに微笑む和佳奈。

「あぁ、きみはこの前退院した子だよね?
 私は君の手術を担当した・・・持木だ」

持木が言うと、和佳奈は
「お世話になりました」とほほ笑んだ。

「--言いにくいんだが…
 キミの脳に、とある異常が残っているかもしれないんだ

 急ですまないが検査、させてもらえないかな?」

持木は必死だった。
和夫が、もしも、あの時オペ室に入ってきたときに持っていた
脳のようなものを、この子に移植したならー
そして、あの脳がもしも・・・

「--いいですよ」
和佳奈は微笑んだ。

「--良かった。じゃあ、すぐに検査しよう」

持木は、ただちに和佳奈のMRI検査を行った。

その結果ー
恐るべきことが分かった。

脳がーー2つあった。
押し込められるようにして…。
特殊な技術で、オペ中に脳の一時的に縮小させ、2つの脳を
一人の人間に混在させた。

しかもーー
脳のうち一つが、もう一つの脳に押されるかたちと
なって、さらに縮小している。

「これは・・・」
Dr持木は唖然とした。
和夫は、死んだ息子の脳をこの子に移植したのだと気づいた。

「---きみ、何ともないか?」
持木が言うと、
和佳奈は「え…?あ、はい…」と戸惑いながら答える。

「---そうか。
 済まない・・・また明日、追加で検査をしたいのだが・・・」

持木が言うと、
和佳奈は「わかりました」と返事をした。

検査室から出ていく和佳奈。
持木は不安そうにその後ろ姿を見つめた。

検査室から出た和佳奈は微笑む。

「---面倒くさい医者・・・」と。

そして、父に電話を入れた。

「もしもし、お父さん・・・?」
和佳奈は、”父”ある和夫に、
Dr持木から検査を受けたことを話した。

そして、
”わたしのために、あの医者をどうにかして”と。

教授である和夫は、
すぐに、Dr持木を呼び出した・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

自宅に帰った和佳奈は、
ベットの上で泣き叫んでいた。

「出ていってよぉ・・・!わたしは和佳奈!
 ねぇ…もうやめて!」
頭を抱えながら泣きわめいている和佳奈。

”ちがうよ、わたしが和佳奈だよ”

脳から声が響く。

「---やめて・・・!誰なの・・・!
 わたしを・・・消さないで・・・!」

”うっさいなぁ!僕はもう和佳奈なんだよ”

声が響く。

「---も・・・もしかして・・・」

和佳奈は薄々気づいていた。
脳に響く声―。
これは、死んだ充のものじゃないかと。

”そう、ぼくだよ!充だよ!
 父さんがさ、和佳奈ちゃんの中に僕の脳を
 移植してくれたんだ”

「--え?」
和佳奈は意味が分からず、困惑する。

”最高だよ!
 好きだった和佳奈ちゃんの身体に、 
 ボクが移植されたんだ!”

充が言う。
充は、こんな子だっただろうか。
女子の身体を手に入れられそうになって、本性を現したのか。
それともー?

「お願い!やめて充くん!これはわたしの・・・」

”うるせぇよ”
充が言う。

”お前はもう、和佳奈じゃない”

”わたしが、和佳奈よ”

「ん・・・ぐ・・・あぁああああああっ!」
激しい頭痛がして、和佳奈は頭を抱えて、
うずくまる・・・。

「--あぁ・・・あ・・・あぁああああっ!」

悲鳴をあげる和佳奈・・・

「あぁ・・・あ・・・ふ・・・ふふふふふ・・・
 ふふふふふふふふふふっ♡」

和佳奈は突然笑い出した。

「和佳奈~
 完全に生まれ変わっちゃった!うふっ!」

嬉しそうに言うと、
先ほどまでの苦しい表情は嘘かのように消えうせ、
不気味な笑みを浮かべていた・・・。

③へ続く

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次回が最終回です!
脳移植TSFの結末をお楽しみください!

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脳移植<禁断の領域>

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