死んでしまった息子の脳を、
たまたま病院に運ばれてきた、息子の幼馴染の少女に移植した。
息子と再び会いたい一心で。
禁断の領域に手を染めた父。
他人の脳を移植された、少女の運命は・・・?
--------------------------
和佳奈は、次第に恐怖を感じていた。
日に日に、自分が自分で無くなっていくような感覚ー。
次第にー
”誰か”が流れ込んでくるような感覚ー
時々、ふと我にかえることがある。
自分は、今、何をしていたのかと。
昨日もそうだった。
昨日は、学校から帰ってきて、友達と遊ぶ約束をしていたのに、
何故だか、自分の身体がとても愛おしくなってしまって、
一人、部屋でえっちした。
今までにないぐらい興奮したし、
今までにないぐらい大きな声で叫んだ。
でもーーー
分からない。
どうして、自分がそんなことをしてしまったのか。
ふと、愛液まみれになった部屋の真ん中で、
笑いながら寝転んでいた際に、和佳奈は
我を取り戻した。
自分のしていたことが恐ろしくなった。
何でー
あんなエッチなことをー
どうして、友達との約束をすっぽかしてまで・・・
「---」
和佳奈は頭を抱えた。
そしてー
おもむろに自分の洋服を見つめる和佳奈。
「---これじゃあ・・・足りないよ」
和佳奈は呟いた。
「もっと、ゾクゾクするような洋服が欲しいな・・・ふふ・・・」
和佳奈は笑みを浮かべて、
財布を手に、外へと出かけて行った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後日。
登校した和佳奈は異変を覚えていた。
「---」
周囲の女子生徒を見ては、
イヤらしい目で、それを見てしまうことに
気づいたのだ。
自分では、無意識のうちに。
しかも、なんだか体が火照っている。
「--はぁ…はぁ…」
興奮が抑えきれない。
自分の体にも、他の女子の身体にも…。
昼休みー
和佳奈はたまらず人があまり来ない
お手洗いに駆け込んだ。
そして…
我慢していたものが爆発したかのように
狂った勢いで制服をその場で脱ぎ、
自分の身体をいじくり始めた。
「んふぅ…♡」
たまらない快感。
和佳奈の表情が、だらしなく歪むー。
自分の唇のうるおいが、愛おしく思える。
もう、我慢なんてできないー。
和佳奈はトイレの鏡に唇を押し付けて
鏡に映る自分とキスをした。
興奮が頂点に達した和佳奈は、舌を出して
そのままクチュクチュと鏡の自分と
熱い時間を過ごす。
普段の自分なら、こんな汚いこと、ゼッタイにしないのに…
和佳奈の興奮が収まり始めたころ、
和佳奈は我にかえる。
「---わ、わたし…」
顔を真っ赤にしながら制服を着て、
慌ててうがいをし、すぐに教室に戻るのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それからも、症状は悪化を続けた。
自宅で勉強している和佳奈ー。
しかし、
何故だか、死んだクラスメイト、充のことばかり
頭の中に浮かんでくる。
”ボクハミツル”
呪文のように、そんな言葉が聞こえてくる。
和佳奈は、机のものをイラついた様子で
壁に投げつけた。
「うるさい!わたしは、わたしは和佳奈よ!」
なんなのもう!と叫んで
その場に突っ伏してしまう和佳奈ー。
脳の異常は、着々と、進んでいた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後。
父の和夫は、一人、病院内で執務を
行いながら、考えていた。
あの和佳奈とか言う子の
式場での豹変。
あれはー
確かに息子の充だった。
充は、彼女の中で、生きている。
その時だった。
スマホに着信が入る。
見たことのない番号。
和夫は意を決して、スマホを手にした。
”あの・・・”
可愛らしい少女の声が聞こえた。
”あの・・・父さん・・・?”
少女は確かにそう言った。
「--充か?」
和夫はそう尋ねた。
”うんー”
電話口の少女はそう言った。
「--話がしたい」
和夫から、そう切り出した。
1時間後、病院近くの人気のない場所を指定し、
和夫は、和佳奈と会う約束をこぎつけた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1時間後。
約束通り、和佳奈はやってきた。
ショートパンツ姿で、
生足を強調するような格好をしている。
「---父さん・・・」
和佳奈は、ニヤリとほほ笑んだ。
「---充、なのか?」
和夫が言うと、和佳奈はうなずいた。
「信じてもらえないかもしれないけど、
僕・・・気づいたら、和佳奈の中に居たんだ・・・
あの日、事故に遭って、僕は何もない世界に
飛ばされたー
たぶん、死んだんだ。
でも、気づいたら、和佳奈の中に居た。
最初は、何もできなかったけど、
だんだん、僕が和佳奈として行動できる日が
増えて来たんだ」
和佳奈は淡々と語った。
「ほら、見てよ!今では僕が和佳奈だ!
和佳奈、大人しい子だったけど、
今じゃ、こんな格好をするのも自由なんだ!」
和佳奈が自分の太ももを触りながら笑う。
「父さん、僕の言うこと、信じてくれるかい?」
和佳奈は言った。
明らかに、目の前の少女は、和佳奈という子ではない。
充だ。
充は、部屋にエロ本を隠していたー。
だから、女の身体になれば、こういう反応は当然だろう。
「--ふふ、信じるさ。充、よく聞くんだ」
和夫は、和佳奈の肩をつかんで
今までの経緯を説明した。
たまたま病院に搬送されてきた和佳奈の脳に、
充の脳を移植したことを。
「はは・・・なんだ、父さんのおかげだったんだ!」
和佳奈が笑う。
「---これしか、お前を救う方法は無かったんだ」
和夫が言うと、和佳奈は笑った。
「ううん!最高だよ父さん!
だって僕、和佳奈になれたんだ!
ほら、胸だって揉み放題!くふっ・・・ふふふふっ♡」
和佳奈が嬉しそうに人前で胸を揉んでいる。
「--充。よく聞け。
必ずお前のことを迎えに行く。
だから、しばらくは和佳奈・・・、その子として生きろ。
周囲に悟られると色々厄介だからな」
和夫が言うと、
和佳奈はうなずいた。
「うん。わかった。
わたし、和佳奈だもん♪」
和佳奈は嬉しそうに飛び跳ねながら言った。
「--記憶もぜ~んぶ、わたしのもの!
うふふふふふ♡」
和夫は、充ともう一度会えたことを喜んだ。
そしてー
”自分に娘”が出来たことをー。
和夫は、女の子が欲しかったー。
そして今、
”息子を生きながらえさせること”
”娘を手に入れること”
その2つの、夢が、叶ったのだ。
「--和佳奈・・・」
和夫は、目の前の少女の名前を呼んだ。
「おまえは、俺の娘だ」
「---うん」
和佳奈は、嬉しそうに”父”の顔を見つめた。
「--あっ…」
和佳奈が頭を突然抑え始めた。
「わ・・・わたし・・・どうして・・・
え・・・ここ・・」
和佳奈がおびえた表情で周囲を見つめる。
「--ど、どうして・・・わ、、、わたしなんで・・・
い…いやっ…」
怯える和佳奈を和夫はつかんだ。
「--おい!充!気をしっかり持て!」
和夫は叫んだ。
和佳奈が混乱した様子で
和夫の方を見る。
「・・・み、充くんのお父さん・・・?」
和佳奈が言う。
和夫は突然、和佳奈の頬を叩いた。
「私は、お前のお父さんだ!」
和夫が何度も、何度も和佳奈の頬を叩いていく。
「や、、やめて・・・やめてください!
な、、何が起きてるんですか…!」
和佳奈が泣きながら言う。
和佳奈にとっては、わけがわからない。
「--お前は充だ!
充の邪魔をするな!お前は、引っ込んでろ!」
息子を蘇えらせたい一心で、
和夫は、和佳奈を何度も何度もたたいた。
「酷い・・・ひどい…!
わ、たしは・・・、あ・・・あぁあああああああ!」
和佳奈が球を抱えて悲鳴をあげる。
そして、その場に蹲る。
「わたしは和佳奈・・・!
やめて・・・お願い!わたしから出ていって・・・!」
和佳奈が苦しそうに叫びだす。
そしてー
「・・・・・・わたしは・・・そう、和佳奈だよ♡」
和佳奈が甘い声を出しながら笑った。
そんな、和佳奈の様子を見て、和夫も笑う。
「---ま、まだ、完全に支配できたわけじゃないから」
和佳奈が言うと、
和夫は「そうか」と答える。
そして、和夫は時計を見た。
「--そろそろ会議があるから、俺は病院に戻るよ」
和夫がそう言うと、和佳奈は「わかった」とうなずいた。
去りゆく父親の姿を見ながら、
和佳奈は意味深にほほ笑んだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自分の部屋に戻ると、
そこに、外科医の若手のエース・Dr持木がやってきた。
「教授・・・」
持木は、神妙な面持ちをしている。
「どうしたんだね?」
和夫は、教授として答えた。
しかし、持木の次の言葉は予想外のものだった。
「--さっきの・・・さっきの、女の子とのお話し・・・
聞いてしまいました」
持木が言う。
和夫は青ざめた。
「--教授!あの子に何をしたんです!?
さっきの様子は普通じゃなかった!」
Dr持木が叫びながら、和夫のデスクに手を置いた。
「--まさか教授・・・あの子に・・・あの時持っていた脳を・・・!」
”核心”に触れようとするDr持木。
和夫は言った。
「きみは、教授であるわたしの、邪魔をしようというのか?」
和夫は、威圧する目つきで、Dr持木を睨んだ。
「う・・・そ、それは…」
和夫はさらに、立ち上がり、Dr持木の肩を
叩きながら言う。
「--きみの将来にはわたしも期待している。
”余計な事を”詮索するな。
いいか?忘れるんだ。
詮索すれば、きみの将来は無いと思え」
和夫は、それだけ伝えると、Dr持木を一人残して
そのままその部屋を後にした。
Dr持木は、そんな和夫の姿を見て、
あの少女を救わなければ、と
そう思った。
持木が、病院の外に出ると、
和佳奈が病院の敷地から出ようとしていた。
「--きみ!」
Dr持木が呼びかけると、和佳奈は振り返った。
「はい…?」
優しそうに微笑む和佳奈。
「あぁ、きみはこの前退院した子だよね?
私は君の手術を担当した・・・持木だ」
持木が言うと、和佳奈は
「お世話になりました」とほほ笑んだ。
「--言いにくいんだが…
キミの脳に、とある異常が残っているかもしれないんだ
急ですまないが検査、させてもらえないかな?」
持木は必死だった。
和夫が、もしも、あの時オペ室に入ってきたときに持っていた
脳のようなものを、この子に移植したならー
そして、あの脳がもしも・・・
「--いいですよ」
和佳奈は微笑んだ。
「--良かった。じゃあ、すぐに検査しよう」
持木は、ただちに和佳奈のMRI検査を行った。
その結果ー
恐るべきことが分かった。
脳がーー2つあった。
押し込められるようにして…。
特殊な技術で、オペ中に脳の一時的に縮小させ、2つの脳を
一人の人間に混在させた。
しかもーー
脳のうち一つが、もう一つの脳に押されるかたちと
なって、さらに縮小している。
「これは・・・」
Dr持木は唖然とした。
和夫は、死んだ息子の脳をこの子に移植したのだと気づいた。
「---きみ、何ともないか?」
持木が言うと、
和佳奈は「え…?あ、はい…」と戸惑いながら答える。
「---そうか。
済まない・・・また明日、追加で検査をしたいのだが・・・」
持木が言うと、
和佳奈は「わかりました」と返事をした。
検査室から出ていく和佳奈。
持木は不安そうにその後ろ姿を見つめた。
検査室から出た和佳奈は微笑む。
「---面倒くさい医者・・・」と。
そして、父に電話を入れた。
「もしもし、お父さん・・・?」
和佳奈は、”父”ある和夫に、
Dr持木から検査を受けたことを話した。
そして、
”わたしのために、あの医者をどうにかして”と。
教授である和夫は、
すぐに、Dr持木を呼び出した・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自宅に帰った和佳奈は、
ベットの上で泣き叫んでいた。
「出ていってよぉ・・・!わたしは和佳奈!
ねぇ…もうやめて!」
頭を抱えながら泣きわめいている和佳奈。
”ちがうよ、わたしが和佳奈だよ”
脳から声が響く。
「---やめて・・・!誰なの・・・!
わたしを・・・消さないで・・・!」
”うっさいなぁ!僕はもう和佳奈なんだよ”
声が響く。
「---も・・・もしかして・・・」
和佳奈は薄々気づいていた。
脳に響く声―。
これは、死んだ充のものじゃないかと。
”そう、ぼくだよ!充だよ!
父さんがさ、和佳奈ちゃんの中に僕の脳を
移植してくれたんだ”
「--え?」
和佳奈は意味が分からず、困惑する。
”最高だよ!
好きだった和佳奈ちゃんの身体に、
ボクが移植されたんだ!”
充が言う。
充は、こんな子だっただろうか。
女子の身体を手に入れられそうになって、本性を現したのか。
それともー?
「お願い!やめて充くん!これはわたしの・・・」
”うるせぇよ”
充が言う。
”お前はもう、和佳奈じゃない”
”わたしが、和佳奈よ”
「ん・・・ぐ・・・あぁああああああっ!」
激しい頭痛がして、和佳奈は頭を抱えて、
うずくまる・・・。
「--あぁ・・・あ・・・あぁああああっ!」
悲鳴をあげる和佳奈・・・
「あぁ・・・あ・・・ふ・・・ふふふふふ・・・
ふふふふふふふふふふっ♡」
和佳奈は突然笑い出した。
「和佳奈~
完全に生まれ変わっちゃった!うふっ!」
嬉しそうに言うと、
先ほどまでの苦しい表情は嘘かのように消えうせ、
不気味な笑みを浮かべていた・・・。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
次回が最終回です!
脳移植TSFの結末をお楽しみください!
コメント