心優しい母親は、男に憑依されて
実の娘に手をあげたー。
そして、会社に行っていた夫が帰ってきた。
さらなる悲劇が今、始まる…。
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家に帰宅した夫の正芳は異変に気付く。
「---」
いつもならすぐに、茉穂と娘の由夢が出迎えてくれるのだが
それが無い。
別に、強要はしていないし、
出迎えがなくても正芳は気にしない。
けれど、なんだか嫌な予感がした。
「---ただい…!?」
”ただいま”そう言いながらリビングに
入ろうとした正芳が驚きで目を見開く。
そこにはーー
SM衣装を身に着け、
自分の体を大胆に露出した妻、茉穂が立っていた。
「--ま、、茉穂…
どうしたんだ?その格好は…?」
唖然として正芳が言うと、
茉穂は振り返った。
「あら、お帰りなさい」
鞭で音を立てながら微笑む茉穂。
「--・・・な、、何をしてるんだ…」
正芳が困惑した様子で尋ねる。
「うふふ・・・♡
わたしだって女なのよ?
最近は、母親として、色気もそっけもない
格好をしてたけど、
やっぱ、わたしはこうじゃなくちゃ!」
茉穂が歩み寄ってくる。
あまりにもエロい衣装に、
正芳は思わず目を逸らしてしまう。
「--どう?」
茉穂が挑発的に言う。
「ど…どうって…」
正芳が困惑した様子で返事をすると、
茉穂が叫んだ。
「どうって聞いてるのよ?
わたしの体、魅力的でしょ?」
わざと体を密着させて言う茉穂。
「・・・・・」
正芳が戸惑っていると、
泣き声が聞こえてきた。
娘の由夢だー。
「--由夢!?
おまえ、何をやってるんだ!」
夫の正芳が叫んで、
由夢の声がした寝室の方にかけこむ。
そこにはテープで壁に縛り付けられた由夢の姿があった。
「ゆっ・・・由夢!由夢!」
慌てて正芳はそれを剥がそうとする。
「あっははははは♡」
背後から茉穂の声がする。
鞭を意味もなく振るっている。
「--ゆ…由夢…こ、、これは…!」
正芳は、由夢の体に打撲があることに気付く。
「---茉穂!まさかお前、その鞭で由夢を!?」
正芳が怒りを露わにする。
だが、茉穂は悪びれることなく答えた。
「うふふ・・・
わたしは”母親”である前に”女”なのよ」
色っぽい声で言う。
どうしたことか。
茉穂の表情は”母”の顔ではなく”女”の顔になっていた。
「お、、お前・・・」
正芳が動揺した様子で呟く。
「--わたしは”妻”としてではなく
”女”として生きたいの。
だってほら、見て!
こ~んなに綺麗なんだよわたし!
母親なんかやってられないわよ!」
母を放棄する宣言する茉穂。
正芳の怒りがついに爆発した。
「---ふざけるな!
お前は母親だろう!
いいからバカなことはやめーー」
「わたしは”女”よ!」
茉穂が正芳を睨みつけながら叫んだ。
「茉穂…」
正芳は困り果ててしまう。
「----わ…分かった…
分かったよ…
夜の営みが足りてなかったのは認める。
だからもうやめてくれ…」
正芳が言うと、茉穂は突然笑い出した。
「ぷっ…くくく…ははははははははは!
あっはははははははは~♡」
「ま…茉穂…?」
正芳が、恐怖すら目に浮かべてその名を呼ぶ。
茉穂は、一体どうしてしまったのだろうか。
「相変わらずバカだな!
自分の妻が憑依されていても気づかないなんて!
あっはははははは・・・」
汚らしく笑い続ける茉穂。
「---憑依、だと?」
正芳が訳が分からない、という様子で呟く。
「子供を愛してる母親が
こんな恥ずかしい格好して、娘を鞭でたたくか?
叩かねぇよなぁ!」
胸を乱暴に触りながら言う。
SM嬢のような格好をして、
乱暴な口調で叫ぶ妻ーー
もはや、別人のようにすら思えた。
「--俺だよ、水木だよ」
妻は言ったー。
”水木”
正芳も妻の茉穂と同じ大学の出身。
そういえば、茉穂と付き合い始めの頃、
「水木」という男とトラブルになった記憶がある。
水木の側が一方的に「俺の茉穂を!」とか言いながら
嫌がらせしてきただけだったが・・・。
「---お前…」
事態を理解した正芳は茉穂を睨んだ。
「---お前・・・自分が何をしてるか分かってるのか!?
茉穂にそんなことさせて恥ずかしくないのか!」
正芳が怒りを露わにして叫ぶと、
茉穂は体をくねらせながら言った。
「うふふ~♡ 恥ずかしいのはわ・た・し!
水木さんは恥ずかしくないわ!」
一人二役をしながら正芳をおちょくる茉穂。
「-貴様…!今すぐ茉穂から出て行け!」
そう言うと、茉穂はさらに続けた。
「いやよ…♡
わたし、水木さんに”体を永遠にあげます”って
約束したのー」
そして、茉穂が笑いながら続けた。
「あはは…
だからよぉ…正芳!
この女の体は俺のものだぜぇ!
許可もとった!
何をしようが俺の勝手だ!あっはははははは~♡」
正芳は握り拳を作り、茉穂を睨む。
「--お前が、言わせているだけだろうが!」
その言葉に茉穂は返事をせず、
鞭で娘を叩き始めた。
「うふふ♡
あはははははははっ!」
手加減も無しに全力で由夢を叩く茉穂。
「--お、おい!やめろ!」
「おがぁさん!うあああああああん」
泣き出す由夢。
正芳が止めに入るが、
茉穂が「邪魔だ!どけ!」と叫んで正芳を突き飛ばした。
そして、狂気の笑みを浮かべながら娘を叩き続ける。
「くははははは♡
お前の子なんていらねぇ!!
わたしは、、水木さんの子供を産むの!
あははははははっ!あはははははははは~~」
正芳が必死に止めようとするが、
茉穂は止まらない!
「あぁん♡
からだがゾクゾクする!
茉穂の意思が、拒絶反応を起こしてる!
でも、それを抑え込んで暴力を続けるわたしに
ゾクゾクする♡
はっ、、あぁっ、、、あぁぁん!
虐待する親の気持ちってこんななのかしら!」
茉穂に叩かれ続けた由夢は、
次第に衰弱して、動かなくなった。
「---…うおおおおお!」
正芳が怒りにまかせて叫び、
スマホを取り出した。
「通報してやる!」
だが、茉穂は笑った。
「いいけど…逮捕されるのはわたしよ?」
茉穂の言葉に正芳が手を止める。
「---き…さまぁ…」
「---あんたの子なんて要らないの。
わたしは水木さんの子供を産むのよ!うふふふふ♡」
茉穂が笑う。
「---どうして、、どうしてこんなことを…!」
正芳の言葉に茉穂は笑う。
「俺さ、コイツが好きだったんだよ。
茉穂も学食で、俺を見て微笑んでくれた。
だから俺たちは将来を約束した!
それなのに正芳!お前が茉穂を奪った!
お前が、奪ったんだ!
だから復讐だよ!」
あまりにも自分勝手な理由に、
正芳は憤慨する。
だがーー
体が茉穂のものである以上…
「---さ、由夢を殺したのは
あなたよ…。
警察に自首しなさい」
茉穂の言葉に正芳が茉穂を睨む
「ふざけるな…」
「・・・ふふ、いいの?
あなたが自首しないなら、わたし、この恥ずかしい格好のまま
外に飛び出してエッチしまくっちゃうよ!?
茉穂の人生、壊れちゃうよ!?」
嬉しそうに言う茉穂。
茉穂を傷つけることは、、、できない。。
「---わ、、、、、分かった」
歯を食いしばり、そう答えるのが限界だった。
「まぁ、出てこれたら解放してやるよ!
そのころにはわたしも20後半だろうし、
ババアに用はねぇからな」
笑う茉穂を睨みながら、
正芳はーーー
茉穂を救うため、
”娘殺し”の汚名を被った…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数年後。
服役を終えた正芳は、
家に戻ってきた。
本当だったらー
娘の由夢と、妻の茉穂が待つはずの家。
だが、もう由夢は居ないー。
「---ただいま」
正芳が家に入ると、
そこには、少し年を重ねた茉穂が居た。
「あら…くくく、何年ぶりかしら?」
茉穂が挑発的に笑う。
「---お前・・・約束は果たしたぞ!
茉穂を解放しろ!」
正芳は叫ぶ。
あの時と同じように。
「---いいわよ。
でも…、わたし、あれからいろんな男とヤリまくっちゃったし、
AV女優の仕事を初めて、AV撮りまくっちゃったし・・・
もう、身も心もボロボロよ…?」
茉穂が言う。
「---ふ………ふざけるなよ…」
正芳が目から涙を流す
「お前に何の資格があって、茉穂をそんな目に…
あんまりだ…
あんまりだ!!」
正芳がその場に泣き崩れる。
20代後半になった茉穂は、
女子高生の制服を着ながら微笑む。
「---ババアのくせに、JK時代の制服着てるわたし…
うっふふふふ♡
ばっかみたい!最後の最後まで笑わせてくれるよね!
俺が好きだったのは20代前半までの茉穂。
もう今の茉穂は、老いたガラクタだよ!」
茉穂が狂ったように笑う。
正芳は絶望して、何も答えない。
「---茉穂、からだ、返さなくてもいいよね?」
茉穂が言う。
そしてー茉穂が答えた
「うん♡ 水木くんにぜ~んぶあげる♡」
もちろんー
茉穂の意思ではない。
一人二役だ。
「--茉穂、夫と一緒に死にたいか?」
茉穂が言う。
そして、また茉穂が答えた。
「うん♡ もうこのからだ、いらないもんね!
そうする♡」
そう言うと、茉穂は部屋に”火”をつけた。
「------!!」
正芳が目を見開く。
そういえば、ガソリンのニオイがーーー
茉穂は夫の出所の日を知り、
予め細工していたのだった。
「じゃあな正芳!
そして茉穂!
もうこの体いらねぇから返品するわ!
あはははははははっ!は~はははははは!」
そう言うと、茉穂はふっと意識を失ってその場に倒れた。
「----茉穂!」
正芳が叫ぶ。
火の手がもの凄い勢いで広がる。
「----あれ…」
茉穂がうつろな目で目を覚ます。
数年ぶりの目覚め…。
「---茉穂!」
正芳は目に涙を浮かべた。
「---あ、、、わ、、、わたし・・・
あの人に・・・・
そ、、、、そうだ・・・由夢は…?
由夢は…無事???」
茉穂の時計は
”あの日”で止まったままだった。
娘の由夢を守るために、男に体を差し出した。
だからーーー
由夢の安否が気になって仕方がなかった。
「---あぁ、、、大丈夫。由夢なら無事だよ!
今すぐ会えるさ!」
正芳は叫んだ。
そして、茉穂を温かく包み込んだ。
「---よかったーーー」
茉穂が嬉しそうにほほ笑んだ。
そしてーー
家は全焼した。
焼け跡からは二人の焼死体が見つかった。
二人は手を握り合ったまま、息絶えていた。
茉穂と正芳は、あの世で、娘と再会できたのだろうか…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「-------------!?」
自分の体に戻ろうとしていた水木は目を見開く。
「-----バ…バカな!」
”自分の体”はとうの昔に死んでしまっていたー。
当たり前だー。
ほったらかしにしていたのだからー。
自分が住んでいたアパートは、既に
別の女子大生が住んでいた。
「----く…くそっ…俺は」
帰るべき体を失った水木は戸惑う。
しかしー
すぐに笑みを浮かべた。
「----可愛いじゃねぇか」
自分の住んでいたアパートの部屋に
新しく入居していた女子大生を見つめて、
霊体の状態の水木は不気味にほほ笑んだー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
母親憑依リクエスト作品、以上で完結です!
ありがとうございました!!
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