<皮>彼女の危険なコレクション③~真意~(完)

②にもどる!

行方不明事件の原因は”彼女”だったー。

人々を皮にしてコレクションしている彼女を前に、
彼氏は何とか”説得”を試みるもー…?

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「ーーーせっかく手に入れた”力”を捨てろって言うの?」
俊樹の親友・海斗のバイト先の先輩、香奈枝の皮を着た状態で、
彼女の美彩が不満そうにそう言葉を口にするー。

「ーー確かに、法律には”人を皮にしちゃいけない”なんて
 ないかもしれないー。
 でも、美彩ー、考えてみてくれー。
 もし”皮”にされたのが美彩だったらー?
 美彩だってやりたいこと、たくさんあるだろうし、
 自分の身体を好き勝手使われるなんて嫌だろー?

 それに、美彩が誰かに”皮”にされてー
 そうー、世間的に行方不明のような状態になったりしたら
 俺だって悲しいし、美彩の周りの友達とか、
 美彩の両親とかー、みんな心配すると思うんだー」

俊樹は、何とか彼女の美彩に”分かって欲しい”と、
そう思いながら言葉を続けるー。

ボイスレコーダーで”美彩との会話”を録音しながら
”もしも”美彩が分かってくれなかった時には、
これを手に警察に駆け込むつもりだー。

”あ…あれは、先輩ー…?”
そんな二人の会話を、先日の俊樹の不審な態度に
疑問を持った俊樹の親友・海斗が物陰から
見つめながらそう言葉を口にしたー。

俊樹と会っているのはー…
行方不明事件で行方不明になっている人物の一人ー、
海斗のバイト先の先輩・香奈枝に見えるー。

髪型や服装、眼鏡などなどイメージは大分違うものの、
間違いなく”先輩”に見えるー。

海斗は物陰に身を潜めたまま
”一体、どういうことだー?”と表情を歪めるー。

それと同時に
”まさか守屋の奴、行方不明の事件と関係してるんじゃー…?”と、
不安そうな表情を浮かべるー。

がー、親友として俊樹のことを信じてもいる海斗は、
”何か理由があるはず”と、身を潜めて
海斗のバイト先の先輩・香奈枝と会話をしている様子を
もう少し近くで観察しようと、少し二人のいる場所に
接近していくー。

そんな”海斗”の存在に気付かないまま
香奈枝を乗っ取っている美彩と、俊樹は会話を続けていたー。

「ーー俊樹も、わたしと一緒に楽しめばいいのにー。
 なんでそんなこと言うの?」
香奈枝の身体で、美彩はそう言葉を口にするー。

その言葉に、俊樹は
「誰にも迷惑をかけないことなら、俺だって一緒に美彩と楽しみたいよ!
 けどー!」と、
こんな人の身体を勝手に使うようなことはダメだ!と、そう言葉を口にするー。

「ーどうしてもー?
 わたしがこんなに嬉しそうにしているのにー?」
香奈枝の身体で、美彩は心底不満そうに言うー。

「ー彼女が幸せそうにしてるのに、それを邪魔するの?」
とー。

美彩の心底不満そうな様子に、
彼氏である俊樹も戸惑うも、
「頼むよ美彩ー。みんなを元に戻してやってくれーお願いだ」と、
何とか美彩に分かって欲しいと、
必死にそう言葉を口にしたー。

「ーーーーー」
香奈枝の皮を着たまま、美彩は”ふ~ん”と頷くとー、
しばらく間を置いてから「わかったー」と、
そう言葉を続けるー。

その様子を見ていた海斗は
”な、なんで先輩のことを、守屋は”美彩”って呼んでるんだー?”と、
戸惑いの表情を浮かべるー。

海斗のバイト先の先輩の名前は”香奈枝”だー。

そして”美彩”は、俊樹の彼女の名前ー。
どうして俊樹が、香奈枝のことを”美彩”と呼んでいるのか、
海斗には全く理解することが出来ず、
混乱することしかできなかったー。

そんなことを考えているうちに、
少し離れた場所にいる俊樹は美彩の方を見て、
「ーーーー良かったー」と、静かに頷くー。

美彩は”わかった”と言葉を口にした上で、
「ーじゃあ、”皮”を元に戻すから、
 一緒に家に来てくれる?」とそう言葉を口にしたのだー。

俊樹は、何とか美彩に”危険なコレクション”をやめるように
説得できたと安堵の息を吐き出しながら、
香奈枝を乗っ取っている美彩に背を向けるー。

がー、その時だったー。
香奈枝の身体で、美彩は邪悪な笑みを浮かべるー。

隠し持っていた”人を皮にする注射器”を手に、
美彩は前を歩く彼氏の俊樹を”皮”にしようとしたー。

これ以上話し合いをしても無駄ー。
”楽しいわたしの時間”が奪われてしまうー、
そう思ったのだろうかー。

香奈枝の身体で、美彩は俊樹の首筋めがけて
人を皮にする注射器を打ち込もうとしたー。

がー

「ーーあぶねぇ!」
物陰でその様子を見ていた海斗が、
咄嗟に俊樹を庇おうと、俊樹を突き飛ばすー。

「ー!?」
美彩に”分かって貰えた”と思い、
完全に油断していた俊樹は驚いて振り返るー。

「ーーっ!邪魔しないで!」
香奈枝を着ている美彩は、そう言葉を口にすると、
怒りの形相で人を皮にする注射器を海斗に向かって振るうー。

「せ、先輩!い、一体どういうことなんですか!?」
海斗は目の前にいるのが”香奈枝”だと思い、そう言葉を口にするー。

それでも、注射器を向けて来る香奈枝を、
何とか一旦抑え込むと、
「どういうことなんですか!?先輩が他の行方不明者と関係してるんですか?!」と
バイト先の先輩である香奈枝に向かってそう叫ぶー。

しかし、海斗に助けられた俊樹はすぐに
「ー諏訪部!!それはお前の先輩じゃない!」と、そう叫ぶと、
海斗は困惑した表情を浮かべながら
「じ、じゃあ、この人はいったいー?」と、
見た目は海斗のバイト先の先輩にしか見えない”香奈枝を着た美彩”を見つめるー

「ーそれは、美彩だー」
俊樹が心底悲しそうにそう言葉を口にすると、
海斗は「なんだって?」とそう言葉を口にするー

そして、取り押さえた状態のまま
「い、一体どういうことなんだー?」と、
香奈枝の姿をしている美彩に確認するー。

がー、次の瞬間ー、
美彩が”香奈枝の皮”を脱ぐ方法で、
海斗に取り押さえられている状態から脱出すると、
「ーー邪魔しないで!」と、そう言葉を発してから
人を皮にする注射器を海斗に打ち込んだー

「ーーーぁ…」
海斗の身体から急激に”空気”が抜けていくかのように
ペラペラになっていくー。

「す、諏訪部!!」
俊樹がそう叫ぶと、海斗は
「な…なんだよ…これ…」と、
苦しそうに言葉を振り絞りながら、
そのままその場に”しぼんで”行くー。

俊樹は、完全に”皮”になってしまった海斗を見つめると
「美彩…!なんてことを!」と、そう言葉を口にするー。

しかし、美彩は「邪魔するから悪いの!」と、
そう叫ぶと、そのまま逃げ出そうとするー。

俊樹は咄嗟に、美彩を逃がしてはいけない、
と、そう思いながらすぐさま美彩に飛び掛かると、
そのまま美彩をうつぶせに倒して
取り押さえたー。

がーーー
俊樹は信じられないものを目にしたー。

彼女である”美彩”の後頭部にチャックのようなものが見えたのだー。

「ーな、なんだこれはー!?」
俊樹がそう叫ぶと、
美彩は「くそっ」と、声を上げてから、
「ーーせっかく、穏便に楽しもうと思ってたのに、邪魔しやがって!」と、
美彩らしからぬ様子で声を荒げたー。

「ーーー…こ、このチャック…まさか!」
俊樹がそう言葉を口にしながら、美彩の方を見つめると、
美彩は「うるせぇんだよ!」と、声を荒げて
俊樹の急所を蹴り飛ばして来たー。

「ぐあっ!?」
俊樹はあまりの痛みに悶絶しながら
苦しみの表情を浮かべるー。

すると、そんな俊樹を見つめながら
美彩は笑みを浮かべたー。

「ー”人を皮にする力”を手に入れたからって
 お前の彼女、人を次々と皮にしてコレクションするような女じゃないだろ?」
とー。

「ーーぐ…」
俊樹は表情を歪めながら”美彩”を睨みつけるー。

そうー、”美彩”も、身体を乗っ取られていて、
美彩を乗っ取った男は、美彩のフリをしながら
さらに、別の人たちを皮にしてコレクションしていたのだー。

「ーーーくくくくく…この女の身体は特に気に入ったからなー
 こうして”メインの皮”として使っていたんだよー」
美彩は笑みを浮かべながら、自分の胸を片手で触ると、
ニヤニヤと笑うー。

”男”は美彩の皮を着た状態で、別の人間を皮にして、
その上から”重ね着”をしていたのだー。

「ーーぐ…い、いつからだー?」
俊樹は悔しそうにそう言葉を口にするー。

「ー最初に行方不明者が出る数日前だよー。
 お前は自分の彼女が俺に乗っ取られたことも知らずに
 今まで通り付き合い続けてたって訳だー」

美彩は心底嬉しそうにそう言うと、
「なんでこんなことをするー…!?」と、苦しそうに叫ぶー。

すると、美彩は笑みを浮かべながら言ったー。

「ーメリットはいくつもあるー。
 まず、この女の身体を乗っ取ったまま過ごしてた方が
 毎日楽しいし、その方が興奮するだろ?
 何よりも、エロいー」

美彩の口から、美彩が絶対に言わないような言葉が
次々と吐き出されて、俊樹は怒りの形相を浮かべるー。

「ーそれにー…
 俺の家より、この女の家の方が快適に暮らせるしー、
 女子大生ライフも最高だー」

美彩は嬉しそうに”この身体を乗っ取ったまま”
生活しているメリットを次々と語っていくー。

「そしてー
 いざという時も役に立つー」
美彩はそう言葉を口にすると、
「お前みたいにー、”犯人”にたどり着いた場合でも
 ”俺”は正体を知られないー。
 行方不明者が多発している事件はー
 ”この女”がやってたってことになるのさーへへへへ」
と、ニヤニヤしながらそう言葉を口にするー。

「ぐ…」
俊樹は、心底悔しそうな表情を浮かべるー。

彼女の美彩をこんな風に奪われてしまっているという現実を前にしてー、
そして、彼女の美彩が男に身体を乗っ取られているのにも関わらず、
それに気づくことが出来ず、
美彩が人を皮にする注射器を使って、その力に魅入られていると
思ってしまっていたことに対して、
自分自身に対しても、激しい怒りを感じずにはいられないー。

美彩は確かに以前、”他の人になってみたい”みたいな発言を
していたことはあったー。
ただ、だからと言って、美彩が人を皮にして
身体を乗っ取るなんてことをするような子ではないということに
もっと早く気付くべきだったと、俊樹は自分に対して怒りを燃やすー。

”ーーまだ…今なら間に合うー。”
俊樹はチラッと、”美彩と話をつける”ために隠し持っていた
ボイスレコーダーを見つめるー。

今、美彩を乗っ取っている男が、美彩の身体で”自白”したことも
ちゃんとボイスレコーダーに記録されているー。
これがあればー…

”それに、後頭部のチャックー…”
俊樹は、乗っ取られている美彩の後頭部に”チャック”が
あったことを思い出すと、
その部分のチャックを引っ張れば、美彩を救出できるかもしれない、と
考えるー。

”皮にされた人間を元に戻す方法は分からないー…
 でもー…
 中身の男を何とか引っ張り出して、警察の力を借りればー”

俊樹は心の中でそう呟く。

美彩を乗っ取っている男は、確かに
”元に戻す方法はある”というようなことを言っていたー。

「ーー美彩を返せ!!!!」
俊樹は、美彩の後頭部ー
髪の中に隠れているチャックを掴もうと、美彩に向かって走り出すー。

そして、美彩の頭を何とか掴んで
チャックを引き剥がそうとしたその時だったー

「俊樹ーー…い、痛いよー…
 ーーわ、わたし、どうしてこんな場所にー?」
と、美彩がそう言葉を口にしたー。

「ーみ、美彩!? 美彩なのかー?」
俊樹が慌ててそう言葉を口にすると、
美彩はニヤッと笑みを浮かべたー。

そして、手を止めてしまった俊樹の腕に
”人を皮にする注射器”が打ち込まれたー。

「え……?」
困惑の表情を浮かべる俊樹ー。

その身体から、力が抜けていくー。

「ーーーくくくくくーー
 演技をするだけで、簡単に騙せるなんてー
 チョロいやつだなお前は」

美彩はニヤニヤと笑うと、
崩れ落ちていく俊樹を見下しながら
言葉を続けたー。

「ーお前の彼女の身体はこれからも
 俺が有意義に使ってやるから安心しな」

とー。

俊樹はそんな美彩に向かって力を振り絞って
手を伸ばそうとするも、
美彩は既にペラペラになりかけている俊樹を蹴り飛ばすと、
静かに囁いたー

「おやすみ、俊樹ー」

その言葉が、俊樹が”皮”になって意識を失う直前に、
最後に耳にした言葉になってしまったー。

おわり

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コメント

彼女も乗っ取られていて…
そんな結末でした~!!

もっと早く気付いていれば、別の対策が
取れたかもしれませんネ…!

お読み下さり、ありがとうございました☆~!!

「彼女の危険なコレクション」目次

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