近頃多発している”行方不明”事件ー。
身近な人間にもその魔の手は及びー、
彼は、自分の彼女にも気を付けるようにと注意を促すー。
しかし、そんなある日ー、彼女の家に遊びに行っていた彼氏は、
その家の中でとんでもないものを発見してしまうー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「すごいでしょー?」
彼女の美彩は乗っ取った身体ー…
俊樹にとって親友の海斗のバイト先の先輩・香奈枝の皮を着て
その身体を乗っ取り、嬉しそうに自慢するような仕草をしていたー。
「い、いやいやいや…か、皮にしたって、どういうことだよー…?」
俊樹は心底不安そうな表情を浮かべながら
香奈枝の身体を乗っ取った美彩の方を見つめるー。
すると、美彩は香奈枝の身体のまま笑みを浮かべたー
「ー”人を皮にする注射器”ー」
香奈枝の身体で、美彩はそう言葉を口にすると、
ゆっくりと歩きながら、机の引き出しにしまってあった、
”人を皮にする注射器”なるものを取り出して見せたー。
そして、それを面白そうに弄り回すと、
「これを注射すると、その人を”皮”にすることができるの」と、
ニヤニヤしながら、香奈枝の身体でそう言葉を口にしたー。
それと同時に、後頭部に手を触れて”香奈枝の皮”を脱いだ美彩は、
「ーこれさえあれば、”どんな人”にだってなることができるー」と、
嬉しそうにしながら今度は”イケメン風の男”の皮を手にしてみせるー。
「ーどんなに可愛い子にもー、
どんなにカッコいい人にもー、
この力があれば、好きなようになることができるのー」
美彩はそう言葉を口にすると、
今度はイケメン風の男の皮を身に着けて
不敵な笑みを浮かべたー。
「ーね?ほら、男の人にもなれちゃうー」
美彩は、イケメンの男の皮を身に着けたまま
嬉しそうに微笑んで見せるー。
この”男”も、確か最近行方不明になった人物の一人だー。
俊樹はそう思いながら、
「ーそ、その人たちは、い、生きてるのかー?」と
不安そうにそう言葉を口にするー。
親友・海斗のバイト先の先輩・香奈枝もそうだし、
他の”皮”にされた人たちもそうー。
果たして、この人たちは無事なのかどうか、
強い不安を抱きながら、俊樹はイケメン男の皮を着ている
美彩の方を見つめると、
美彩は男の皮を脱ぎ捨ててから「大丈夫ー生きてるよ」と、
そう言葉を返して来たー。
「ーだって、死んでたら身体、腐っちゃうでしょ
だから、この”人を皮にする注射器”ってやつは、
ちゃんと人間を”生きた”状態で皮にするのー」
そう説明を続ける美彩ー。
美彩によれば”皮にされた人間”は、
生命活動は意地しているものの、
休眠状態にあり、その意識は完全に眠らされている
状態なのだと言うー。
「ーーだから、人殺ししてるわけじゃないし、
大丈夫だよ。心配しないで」
美彩はそれだけ言葉を口にすると、
「ーーここにいる”皮”たちはみんなわたしのコレクション」と
自慢気にそう言葉を口にしたー。
呆然とする俊樹ー。
”皮”とやらにされてしまった人々は、
本当に”生きて”は、いるのかもしれない。
ただ、それでも、
勝手にこんな着ぐるみのような状態にされて、
しかも身体をいつでも乗っ取られてしまうような状態ではー、
”無事”とは言えないー。
「ーーみ、美彩ー
こ、こんなことやめるんだー。
諏訪部のやつもその先輩のこと、凄く心配してたし、
もちろん他の人たちにだって家族とか、大切な人はいるんだー
だからー」
俊樹がそこまで言うと、
美彩はクスクスと笑いながら
「でも、”人を皮にしちゃいけない”なんて法律はないよ?
本人たちから訴えられる心配もないし、
”洋服”みたいにしまい込むこともできるから
誰にも気づかれる心配はないしー」と、
全く悪びれる様子もなく、そう言葉を口にしたー。
自分の彼女がこんなにサイコパスじみた人間だとは思わなかったー。
俊樹は、震えながら
「ーで、でもー」と、それでも美彩に食い下がると、
美彩は「俊樹も一緒に”着て”みないー?」と、そう言葉を口にしたー。
その上で、行方不明者8人ー
”皮”にされた8人のうちの一人、
ツインテールの美少女の皮を手にすると、
美彩は「ほら、この子なんか、俊樹、好きそうでしょ?」と、
そう言葉を口にするー。
俊樹は、そのツインテールの子の”皮”を見て、
自分がこの子になることができる、という状況を
少しだけ想像してドキッとしてしまったものの、
すぐに首をぶんぶんと横に振ると、
「ーそ、そんなことできるわけないだろ」と、
美彩に対してそう言い放つー。
美彩は「え~…残念ー」と、そう言葉を口にすると、
「女子の身体を体験してみるのも、楽しいと思うんだけどなぁ」と、
どこか残念そうにそう言葉を口にしてみせたー。
「ーーーーー」
俊樹は険しい表情を浮かべながら
”皮”にされた人たちを見つめるー。
「ー元に戻す方法はあるのかー?」
俊樹は、困惑の表情を浮かべたまま
”元に戻す方法はあるのかどうか”を確認する。
すると、美彩は「もちろん!あるよ!」と、
そう言葉を口にしたものの
「でも、せっかくコレクションしてるんだしー…
ーーー邪魔をするなら俊樹でも許さないよ?」と、
不満そうな声でそう言葉を口にしてくるー。
「ーい、いや…じ、邪魔するとかじゃないけどー…」
俊樹はそう言葉を口にしながら、
美彩が”人を皮にする注射器”を持つ手に力を込めていることに気付くー。
下手に美彩を刺激すれば、自分まで”皮”に
されてしまうかもしれないー。
俊樹は、そんな危機感を抱くと、
少しだけ笑みを浮かべたー。
「ーーま、まぁ、美彩がそこまで言うならー
いいんだけどさー」
美彩を刺激しないように、そう言葉を口にすると、
「ー”人を皮にする”とか、現実じゃあり得ないと思ったし、
今、そんなの初めて見たから、こうー…驚いてるんだー。」
と、さらにそう言葉を続けるー。
「ーー初めてこんな力を見て、
いきなり、”あ、そう すごいね”なんてなる人の方が
おかしいだろ?
確かに美彩の言う通り面白そうだけどさー、
まだ、びっくりしてる気持ちの方が強くてー」
必死に美彩を刺激しないように、そう言葉を続けた俊樹ー。
すると、美彩も
「ふふー…まぁ、確かにそうだよねー」と、
俊樹の言い分を認めてくれるような発言をして頷くー。
「そうー、だからー
慣れるまで少し時間はかかるけどー
俺も慣れたら、”皮”を着せてもらおうかなー」
俊樹はそこまで言うと、美彩は「うん!約束だよ」と、
そう言葉を口にしたー。
”美彩がこんなことをする子だったなんてー”と、
彼女の危険な一面に激しく動揺しながらも、
とにかくこの場をやり過ごそうとする俊樹ー。
やがて、落ち着かない様子のまま
「で、そうだー、図書館の本は返せた?」と、
話題を無理矢理変えると
”人を皮にする力”にはそれ以上触れずに、
その日の1日を過ごしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー。
再び”行方不明者”が出たー。
9人目の行方不明者は、近くの別の大学に通う
女子大生・天音(あまね)ー。
「ーまたかー」
親友の海斗は、そのニュースをスマホで見つめながら
ため息を吐き出すと、
「先輩も見つからないままだし、一体何が起きてるんだろうなー?」と、
そう言葉を口にするー。
「ーーーー」
しかし、海斗と共に昼食を食べていた俊樹は
考え込んだ表情を浮かべながら沈黙しているー。
「ーおい?大丈夫か?」
そんな俊樹の様子を心配した海斗は
表情を曇らせながら俊樹の方を見つめるー。
俊樹はハッとした様子で
「あ、いやー、あぁ、大丈夫ーちょっと考え事をしててなー」と、
そう返すと、また、彼女である”美彩”のことを考え始めてしまうー。
自分の彼女が、
”人を皮にする注射器”などという得体の知れないものを使って
人を着ぐるみのような状態にして、それをコレクションしているー…
そんな、あまりにも異様な状況を誰かに信じてもらうには、
どうすれば良いのだろうー。
仮にこのまま警察に行っても相手にしてもらえないだろうし、
美彩にも上手く誤魔化されてしまうかもしれない。
あんな状況の人たちを隠すことは簡単だー。
遺体を隠すのとはわけが違う。
ペラペラになった人たちを隠すのは、洋服を隠すのと同じぐらい
簡単なことなのだからー。
「ーーー…本当に大丈夫かー?」
親友の海斗が、俊樹のおかしな様子を不思議に思って
再度そう言葉を口にすると、
俊樹は「いや、ははー…まぁ、大丈夫ー」と、
上手く誤魔化す言葉も咄嗟に浮かばず、そんなぎこちのない
返事になってしまったー。
”ーーー守屋のやつ、何かあったのかー?
今日は様子が変だなー…”
親友の海斗も内心でそんなことを思いつつ、
俊樹に対して少し”疑念”を抱き始めるー。
が、俊樹は海斗からそんな風に思われているとも
知らないまま、心の中で
”警察に言う前に、美彩を説得してみようー”と、
彼女の危険な本質を知ってもなお、美彩のことを
何とか説得したいと、そんな風に頭の中で
考えるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、その数日後ー。
大学での1日が終わった後に、話がしたいと
美彩を呼び出した俊樹は
険しい表情でその場所に向かっていたー。
俊樹は今日ー、”ボイスレコーダー”を密かに用意して
美彩の説得に向かっていたー。
やっぱり、”人を皮にして乗っ取る”なんてことが
たとえ、法律で規定されていなかったとしても、
見逃すわけには行かないし、許されることだとは思えないー。
美彩がそんなことをする子だとは思わなかったけれど、
思えば”ああいう子になってみたいなぁ”とか、
”イケメンに生まれてたら、どんな人生だったかなぁ”とか、
”他人になりたい”ともとれるような発言は
何度か聞いたことがあるー。
そんな思いが”人を皮にする注射器”などという
得体の知れないものを手に入れたことで
”暴走”してしまったのかもしれないー。
いずれにしても、やっぱり自分で美彩を止めないといけないー。
美彩だって、彼氏である俊樹の話になら
耳を傾けてくれるかもしれないー。
俊樹はそんな風に思いながら、
美彩と待ち合わせをしている場所へとやってきたー。
がー、
そこに美彩の姿がなかったー。
俊樹が少し戸惑った表情を浮かべながら、美彩を
待っていると、
やがて「ふふー俊樹ー気付かなかった?」と、
背後から声を掛けられたー。
「ー!?」
俊樹が振り返ると、
そこには、俊樹の親友・海斗のバイト先の先輩・香奈枝の皮を着た
美彩の姿があったー。
香奈枝の身体で髪型を変えて、眼鏡をかけていたために
気付かなかったー。
一応、”行方不明者”として世間で報道されているため
外を出歩く時には変装しているということなのだろうかー。
「ーーみ、美彩なのかー?」
俊樹がそう言葉を口にすると、
香奈枝の身体で、美彩は「そうだよー?」と、
そう言葉を返して来たー。
俊樹は外にまで”コレクション”などと言い放つ
他人の皮を着て姿を現した美彩を前に
”説得は難しそう”だと思わされてしまいながらも、
それでも、と、口を開くー。
「ーー美彩ー……
人をそんな風にして、楽しくなる気持ちも分かるし、
そんな力があれば、コレクションしたくなるって
気持ちも分かるー。
でもーー…でもさ、やっぱりー…
やめた方がいい」
俊樹が悲しそうな表情を浮かべながら
香奈枝の皮を着ている美彩の方を見つめるー
しかし、美彩は
「ーこの力があれば、どんなコだって思いのままに
できるんだよ?
俊樹だって、いい思いをたくさんできる。でしょ?
俊樹も女子の身体、楽しんでみればいいじゃんー
きっと楽しいよ?」と、
そんな風に反論して来るー。
「美彩ー。頼むよー
美彩が道を踏み外していく姿は見たくないんだー」
俊樹はそう言葉を口にした上で、
「ー美彩が、もう”人を皮にする力を使わない”なら、
みんなを元に戻して、美彩も元の生活に戻れるように
俺も力を貸すからー」と、そう言葉を口にするー
”人を皮にしたら違法”などという法律は確かにないと言えばないー。
だから、俊樹は美彩が改心してくれるなら、
それで済ませようと、そう考えていたー。
がーーー
そんな二人の会話を、少し離れた場所から
先日の俊樹の態度に違和感を感じた親友・海斗が見つめていたー…
③へ続く
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コメント
次回が最終回デス~!★
彼女を無事に説得することはできるのかどうか、
そして、どんな結末が待っているのか、
ぜひ見届けて下さいネ~!!
今日もありがとうございました~!★!

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