<皮>新成人コレクター①~企む者~

その地方では、
成人式のたびに毎年ひとり、
失踪者が出ていたー。

その”裏”に潜む”新成人コレクター”の
正体は…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”瑠香(るか)ちゃんも、
 もう成人式かぁ~早いもんだな”

近くに住む伯父さん・勝夫(かつお)が
そう言葉を口にするー。

電話で、伯父さんと話をしていた瑠香は
少しだけ苦笑いをすると、
「あははーわたし、成人式には出るかどうか決まってなくてー」
と、そう言葉を口にするー。

”お?そうなんだー
 瑠香ちゃんのことだからてっきり出ると思ってたよー”
伯父・勝夫はそう言葉を口にすると、
瑠香は「う~ん…わたしも出たい気持ちはあるんですけどー」と、
そう続けるー。

”成人式に出たいけど、迷っているー”
それは何故かー。

この地域のー、瑠香が暮らしている地域の成人式では
毎年、奇妙な現象が起きているのだー。

それはー…
”新成人が必ず毎年一人失踪している”という現象だー。

毎年、警察によって捜査が行われているものの
未だに”消えた新成人”の行方は分かっておらず、
事件性があるような要素も見つからないー。

そんなこともあって、瑠香自身も、瑠香の友達も
成人式に出席すること自体を迷っていたー。

ただ、友達の中には
”たまたまでしょー。本人が勝手に姿を消したのかもだし、
 事件性のあるような証拠だって一つも見つかってないんだしー”と、
そんな言葉を口にする者もいて、
瑠香は”出るかどうか”を完全に迷っている状態だったー。

そういう事件があることを、隣町に住む伯父に説明すると、
伯父も”そうかぁ…そんなことがあるのか”と、
理解を示した上で、言葉を続けるー。

”でもまぁ、瑠香ちゃんが決めることだからねー。
 僕がどうこう言うことじゃないー”

そう言葉を口にした伯父・勝夫ー。

その後はいつも通り、雑談を続けるー。
伯父・勝夫は瑠香の誕生日の都度、毎年こうして電話を掛けて来て
話をするのが”定番”になっているー。

小さい頃から伯父には良く遊んでもらったし、
世話にもなっているからか、瑠香自身も
伯父・勝夫からの電話は
”面倒臭い”ではなく、本当に”嬉しい”気持ちで
いつも会話をしていたー。

「ーーー伯父さんから?」
母・真理子(まりこ)がそう言葉を口にすると、
瑠香は「うんーそうー」と、そう返事をするー。

リビングにいた父親の貞司(さだし)は
少しだけ笑うと、
「兄貴も、心配性だからなぁー」と、そう言葉を口にした上で、
「瑠香、嫌だったら言ってくれたらいつでも伯父さんに言っておくからな?」と、
瑠香の父・貞司からすると自分の”兄”である勝夫のことをそう口にする。

しかし、瑠香は穏やかな表情で首を横に振ると、
「全然ー。伯父さんとの電話は楽しいしー」と、そう返すー。

そんな言葉に、少しだけ暗い表情を浮かべる父・貞司ー。

「ところで、成人式はどうするか決めたか?」
貞司がそう言うと、瑠香は少しだけ迷うような表情を浮かべる。

すると、そんな瑠香を見て、
貞司は口を開いたー。

「ーーーでも、成人式は人生1回きりだからなぁー
 父さんはホラ、当時行かなくて今も後悔してるしー」

とー。

父・貞司は瑠香に成人式に行って欲しいようだー。

そんな言葉に、瑠香は
「う~ん…でも、あの噂ー」と、そう言葉を返すー。

「ーはは、まぁ~…確かに怖い気持ちも分かるけど、
 でも、大丈夫だろうー。
 瑠香は飲み過ぎたりすることもないだろうし、
 誰かと一緒にいるだろうしー心配ないさ」

父・貞司は少し楽観的な様子でそう言葉を口にすると、
瑠璃は「う~ん…」と、言葉を口にするー。

瑠璃にも、成人式に行きたい気持ちはあったー。

ただー、どうしても、
瑠璃たち新成人を迎える人間たちの間で
”噂”されているあることが気になって
仕方がなかったー。

”新成人コレクター”ー。

毎年一人、新成人をお持ち帰りしている
”化け物”がいるという噂だー。

もちろん、瑠璃は
”毎年一人、新成人が失踪することを誰かが面白おかしく言った結果、
 広まってしまったうわさ話の類”だと、そう思ってはいるー。

ただー…
それでも、そういう話があると少し怖いと感じてしまうのは事実だったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーふ…ふふふふふふ♡」

とある家ー

去年”失踪”した新成人”だった”女ー・莉奈(りな)が、
笑みを浮かべながら、
”何か”のニオイを嗅いでいるー。

バニーガール姿のまま、片手で自分の胸を揉みつつ、
もう片方の手で何かを持ち、それのニオイを嗅ぎ続けている莉奈ー。

莉奈が嗅いでいるのはーー
”まるで本物”みたいに見える”人間の着ぐるみ”のような物体だったー。

「ーぐへへへへへー
 ーーすぅ~~~~~」

嬉しそうにその”着ぐるみ”のニオイを嗅ぐ莉奈ー。

その莉奈の手に握られている”人間の着ぐるみのようなもの”はー、
元は普通の人間だったー。

その着ぐるみの正体は、
”2年前”に新成人を迎えた女・一美(かずみ)ー。

莉奈は今、その一美を…
”皮になった状態の一美”のニオイを嗅いで、
嬉しそうな表情を浮かべていた。

1年前の成人式で消息不明になった莉奈が、
2年前の成人式で消息不明になった一美の皮のニオイを嗅いでいるー。

そんな、異様な光景ー。

そして、莉奈は一美の皮のニオイを嗅ぐのに満足すると、
ゆっくりと歩きながら”隣”をチラッと見つめるー

そこには、3年前の成人式で行方不明になった円花(まどか)の皮が
置かれていたー。

「ん~~ひひっ♡」
莉奈は下品な笑みを浮かべながら、
その”円花”の皮を今度はペロペロと舐め始めるー。

とても、莉奈の顔立ちからは想像もできないほどに、
欲望に満ちた表情を浮かべながら、
嬉しそうに欲望の限りを尽くしていくー。

「ーはぁ~~♡ はぁ~~~♡」
莉奈は興奮しきった表情で
バニーガール姿のまま寝転がると、
夢中になって自分の両胸を両手で揉み始めるー。

そしてー、
莉奈は不気味な笑みを浮かべると、
静かに呟いたー。

「ー今年ももうすぐ成人式だよー
 もうすぐ、”お友達”が一人増えるからねー
 ふふー」

莉奈は”皮”にされているー。
その身体を去年の成人式の際に”皮”にされ、
乗っ取られているー。

「ーふふふふ…くくくくく♡」
莉奈は興奮した様子でさらに自分の身体を弄ぶと、
「今年はーーー…」と、
今年のターゲットを頭の中に思い浮かべながら
嬉しそうに笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

成人式当日ー。

「ー結局、成人式に出ることにしたんだねー」
瑠香の友達・架純(かすみ)が笑いながらそう言葉を口にすると、
瑠香は「うんー。一度きりだしー、それにー」と、
そう言葉を口にしてから、
”新成人コレクター”とかいう化け物がいるという噂は
あくまでも噂だからー、と、そんな言葉も付け加えたー。

「ーーあはははーまぁ、都市伝説みたいなものだしー
 行方不明になったって人もそのあと帰って来たのかどうかも
 あんまりよく分かってないし、気にしなくてもいいよねー」
架純も笑いながらそんな言葉を口にすると、
そこに他の友達もやってきて、楽しそうに話をし始めるー。

”ーーうんーそうだよねーわたしが気にしすぎなだけだよねー”
瑠香は内心でそんなことを思いつつ、
周囲を見渡すー。

父・貞司も心配するなとそう言っていたしー、
それにーー

”これだけ新成人”がいるのだからー…
だからーーもしも万が一、新成人コレクターとかいう
化け物がいたとしても、
きっとわたしが狙われるわけがないー…

瑠香はそんな風にも思ってしまっていたー。

それは、人間の心理ー。
事件のニュースを見ても
”自分がそんなことになるはずがない”と思う人間は多いー。
自分が当事者になる確率は、確かに”%”で考えれば低いー。
そう考えてしまうのも、無理はないー。

”新成人コレクター”にしてもそうー。
都市伝説にもなっているような、そんな”恐るべき存在”が
仮に存在していたのだとしても、
消息不明になっているのは、毎年”ひとり”だけなのだー。

今日、成人式にはこれだけの新成人が集まっているー。
つまり、自分自身がその”狙われる立場”になってしまう可能性は
限りなく低いのだー。

そんなことも考えつつも、
瑠香は首を横に振ると、

「ーーとにかく、今日は余計なことは考えずに、
 楽しまなくちゃー」
と、そう言葉を口にするー。

色々、不安な感情を抱きはしつつも、
最近は会っていなかった友達と再会したり、
色々なことを話したりと、瑠香もだんだんと
楽しくなってきて、その不安を払拭していくー。

「ーーーーここに集まった新成人の皆さんはー」
そうこうしているうちに、市長の挨拶が始まるー。

どこかテンプレートのような話が続く中、
瑠香はふと周囲を見渡すー。

「ーどうしたの?」
横にいた友達の架純が小声で言うと、
瑠香は「え?ううんー。何でもないー」と
苦笑いしながら、そう返事を返す。

”まだ”気にしてしまっているー。
そんなことを自分の心の中でも自虐的に
笑いながら、
”都市伝説は都市伝説ー”と、そう自分に言い聞かせるー。

毎年一人、新成人が消息を絶っている、という件も
いつもうやむやになっているし、
本当に起きているのかどうかも、正直あまりよく分からないー。

最初は少し騒がれるけど、いつの間にか話題にならなくなってー、
そのままだ。
事件性があるのかどうかもハッキリしていない。

しかも、その”消息不明になった新成人”は、
別に知り合いでも何でもないために、その後どうなったのかも
分からないー。

”実際のところどうなのか”ということもあまり分からないようなことを、
これ以上気にしても仕方がないー。
そんな風に瑠香自身も思いつつ、首を横に振ると、
「大丈夫ー。」と、架純に向かってそう返事をするー。

すると、架純も少し笑いながら
「新成人コレクターなんていないよ。あんなの都市伝説だし」と、
そう言葉を返すと、
「ほら、このあと、みんなで集まりもあるし、
 せっかくだから楽しも!」と、そんな言葉を付け加えたのだったー。

しかしー…
”その男”はその場所にやってきていたー
今年もー…
”新成人”を皮にして、その身体を乗っ取るためにー

「ククククー」
昨年の成人式の日に行方不明になった女・莉奈が
成人式の会場付近で笑みを浮かべるー。

サングラスをかけていて、髪型も、服装の雰囲気も
メイクも雰囲気も全然違うために、
誰も、そこにいるのが昨年の成人式で消息不明になった莉奈で
あるとは夢にも思わないー。

「ーーー今年手に入れる”新成人”は決まっているからなー」
莉奈は小声でボソッと呟くと、
今年のターゲットに定めた”新成人”を頭の中に思い浮かべるー。

ずっと、ずっと待っていたー
この年をー。
これまでの数年間は新成人コレクターなどとも呼ばれる
彼にとっては”練習”にすぎなかったー。

”本命”は今年、皮にして乗っ取る相手なのだからー。

男が乗っ取っている莉奈の身体が、男の意思に合わせて
ゾクゾクと興奮するのを感じると、
莉奈はニヤニヤとしながら
「そんなに興奮するなよー」と、今は自分の身体である
莉奈の身体をつんつんとつついてみせるー。

そして、改めて息を吐き出すと、
莉奈は成人式が行われる会場を見つめるー。

”もうすぐだーもうすぐー”
狙うタイミングが成人式の式典が終わった後ー。

新成人たちが会場から出て来た後のタイミングだー。
そこでー…”ターゲット”を皮にするー。

「ククー」
莉奈は邪悪な笑みを浮かべると
その瞬間を頭の中に思い浮かべながら、
心待ちにするのだったー。

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”ちょっと出かけて来るー”

「ーーー」
瑠香の父親・貞司の残したメモを見て、
瑠香の母親・真理子は首を傾げるー。

「どこに行ったのかしらー…?」
真理子はそう言葉を口にしつつ、
リビングの机の上に置かれた父・貞司のメモを
どこか不安そうに見つめるのだったー

②へ続く

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コメント

この時期になると、いつも成人式ネタのお話を
ついつい書いちゃいます~!!

最近は呼び方も変わってるところが多いですケド、
今の時点ではまだ”成人式”の方が伝わりやすい気がしたので、
成人式として作中では登場させています~!!

明日もぜひ楽しんで下さいネ~!!

続けて②をみる!

「新成人コレクター」目次

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皮<新成人コレクター>

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