<女体化>よく間違えて男子トイレに入る彼女の謎①~不安~

彼には、彼女のことで気になっていることがあったー。

それはー、
”彼女がよく間違えて男子トイレに入ること”ー。

どうして、度々間違えるのか…。
その秘密とは…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「は、遥香(はるか)!そっち、そこ男子トイレ!!」
男子大学生の戸塚 忠雄(とつか ただお)が、
慌てた様子でそう声を上げると、
彼女の桑名 遥香(くわな はるか)が、
「あっ!!!」と、声を上げてトイレの入口の
マークを確認したー。

「ーまたやっちゃったー」
苦笑いしながらそう言葉を口にする遥香ー。

遥香は、”間違えて男子トイレに入ろうとしていた”自分を
止めてくれた彼氏の忠雄に「教えてくれてありがとうー」と、
お礼を口にすると、今度は女子トイレの方に向かって行くー。

「~~~」
忠雄は、苦笑いしながらトイレから
少し離れた自販機の前で彼女の遥香の帰りを待つー。

忠雄と遥香は同じ大学に通うカップルー。
今日は休日を利用して映画館に足を運び、
ちょうど今は二人で映画を見終えたところだったー。

映画館を出る前に、とトイレに向かおうとした際に
遥香が男子トイレに間違えて入ろうとしたのだー。

「ーーそれにしてもー…」
忠雄は自販機の側で、他の人の邪魔にならないように立ちながら、
ふとそんな言葉を口にするー。

”それにしても、遥香ー
 結構よく間違えて男子トイレに入るよなー”

忠雄は心の中でそう続けるー。

彼女の遥香とは仲良しだー。
遥香はしっかり者で優しい性格の持ち主ー。
勉強も家事も、割と何でもできるし、
遊ぶ時はしっかりと遊ぶ、そんな子だー。

ただー、そんなしっかり者の彼女が、
”なぜか”よく”間違えて”男子トイレに入るー。

”そんなに間違えるかー?”と思ってしまうぐらいに
結構な頻度で、男子トイレに平然と入ろうとしてしまうことがあって、
以前は一度、男子トイレでトイレを済ませてしまったことまであったー。

もちろんー、
トイレのマークを見落として間違えてしまったー…
と、いうことが1回ぐらいならあるのかもしれないー。
いや、1回でも、男子か女子トイレに入ったりしたら大変だし、
女子が男子トイレに入るなんてこともまずないけれど、
それでも、”1回”なら、全く理解できないー…とまでは言えない。

しかし、遥香の場合はかなり”頻繁”なのだー。
”えぇ!?また!?”と思ってしまうぐらいに頻繁に
男子トイレに入ろうとすることがあって、
先週、別の場所でデートした際にも男子トイレに入ろうとしていたー。

他の部分で遥香に対して不満とか、気になる部分はないし
男子トイレに間違えて入る…ということも
別に不満に感じているわけではないー。

ただ、”心配”であるのは事実で、
あまりにも”男子トイレに間違えて入る回数が多い”ために、
何か理由があるのでは?と、
忠雄はそんな不安を抱いていたー。

「ーーーふ~~~危なかった…」
一方、彼氏の忠雄から指摘されて
正しいトイレー…女子トイレの方に無事に入った
彼女の遥香は、安堵の表情を浮かべながら
そんな言葉を小声で口にしていたー。

”もう、何年も経っているしー、
 他の部分ではこういうことないのに、
 トイレだけは間違えちゃうんだよね…
 どうしてだろうー?”

心の中でそう呟く遥香ー。

やがて、鏡の前で身なりを整えると、手を洗って
そのままトイレから出て
彼氏である忠雄のところに戻って来るー。

「ーお待たせ!待たせちゃってごめんねー」
遥香がそう言うと、
忠雄は「ははー。いや、全然いいさー。トイレを急かすようなことはしたくないしー」と、
笑いながらそう答えたー。

そのまま映画館の外に出て、移動を始める二人ー。

「ーでも、遥香、”よく”男子トイレに間違えて入るよなぁ…」
忠雄が苦笑いしながらそう言葉を口にすると、
遥香は少し申し訳なさそうにしながら
「ご、ごめんねー。ついうっかりしちゃってー」と、
謝罪の言葉を口にする。

そんな遥香を見て、すぐに
「あ、いや、別に怒ってるとかじゃないんだけど」
と、忠雄は少し慌てて言うと、
「ただ、ちょっと心配でー」と、そう続けた。

「そ…そうだよねー。
 普通、そんなに入るトイレ頻繁に間違えないもんね」
遥香は自分でもそう言いながら頷くと、
「でも、体調が悪いとかじゃないから大丈夫!
 目もちゃんと見えてるし」と、自分の目を指差しながら
そう笑うー。

「ーそれならいいけどー…
 でも、もし何かあったら、いつでも力になるから」
忠雄は、穏やかに笑いながら
”どこか調子が悪いなら、相談してくれればいつでも相談に乗る”という
そんなことを口にすると、
遥香も「うん、ありがとうー」と、お礼の言葉を口にするのだった。

その後は、二人で昼食を食べて
買い物をして解散したー。

忠雄にとっても、遥香にとっても、
今日のデートもとても楽しく、有意義なものになったー。

ただー、
一人、帰宅しながら彼女の遥香は静かに呟いたー。

「ー…忠雄に心配かけちゃうから、間違えないようにしないとー」

女子トイレと男子トイレを間違えるー…。
遥香は、自分でも頻繁にそれをしてしまっていることは
当然自覚しているし、”直さなくちゃいけない”ということも
理解はしているー。

”男が女子トイレに間違えて入る”場合に比べれば
通報されるリスクは低いかもしれないー。
ただ、それでも騒ぎになる可能性は当然あるし、
店員やスタッフから注意をされたり、通報されたりしたとしても
文句は言えないー。

それでもー
”どうしても”この癖だけは直らないー。

「ー”女体化”してから、もう5年以上も経ってるのにー
 何でこの癖、直らないのかなぁ…」

帰宅した遥香はそう言葉を口にしながら、
自分の姿を見つめるー。

忠雄の彼女・遥香が
よく間違えて”男子トイレに入る”
その理由はー…
”遥香が元男”だからだったー。

遥香は元々女ではなく、
男だったー。

高校1年のあの日まで”男”として生きて来たけれど、
女体化してしまい、女になってしまったのだー。

その後、元々住んでいた場所から引っ越し、転校して
名前も変えて今に至っているー。
そのため、”元々の遥香”を知る人間は
近くにはいないし、
今、身近にいる人間で遥香が”元男”だということを
知っているのは、両親と主治医だけだー。

彼氏の忠雄も含めて、遥香が元々男だったことをー、
桑名 治樹(くわな はるき)という人間だったことを
知っている人間はいないー。

現在、女体化した治樹=遥香は一人ぐらし。
ただ、両親からは”女体化”のことは絶対に言わないように
そう言われているー。

それにー、遥香自身も、
”そんなこと言ったら、忠雄、どんな反応するか分からないもんー”
と、少し寂しそうにそう呟く。

忠雄は優しいー。
一緒にいて安心するし、楽しいー。

女体化して5年ー。
男子トイレに入る癖がどうしても抜けないこと以外は
もうほとんどが心も”女”になっているー。

このまま”バレずに”女として一生過ごすことは
十分に可能だとは思う。

その一方で、彼氏の忠雄を”ずっと騙し続けている”という
罪悪感があったのも事実で、
遥香はこれまでに何度か、”女体化”のことを
打ち明けようとしたこともあったー。

ただ、忠雄がどんなに優しくてもー、
忠雄とどんなに仲良しでも、
”わたし、本当は女じゃなくて元男なの”
などということを伝えれば、
”どんな反応が返ってくるのか”は、
遥香にも分からなかったー。

「ーーー…とにかく、間違えて男子トイレに入らないように
 しなくちゃー」

遥香はそう言葉を口にすると、
自分に言い聞かせるようにして、今一度”間違えちゃ、だめ”と、
そう言葉を続けたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーははははー
 また桑名さん、男子トイレ入ろうとしたのかー?」

数日後ー
大学で昼食を食べている際に
忠雄の親友である荒木 恭平(あらき きょうへい)が、
言葉を口にするー。

「ーーそうなんだよー。
 まぁー…いつものことなんだけどさー」
忠雄は少し微笑ましそうに、けれども心配そうにそう言葉を口にすると、
「ーーいやいや、普通はそんなに頻繁に間違えて男子トイレに
 入らないだろー?」と、
恭平は苦笑いしながらそう指摘するー。

「いや、まぁ…それはそうなんだけどさー…」
忠雄はなおも心配そうにしながらそれだけ言葉を口にすると、
恭平は少し考えるような表情を浮かべてから、
言葉を続けたー。

「ーー目があまり見えてないとか…そういうことはないよな?」
とー。

「ーーーん?あ、あぁ~…
 いや、それはないと思うけどー」
忠雄はそう言葉を口にするー。

最初、彼女の遥香が頻繁に男子トイレの方に間違えて
入るのを見て、
忠雄もそう思った時期はあるー。

ただー、そうではなかったようでー、
前に、心配してそう聞いた時に、
遥香が少し前に取得したという
運転免許証を見せてくれたことがあったー。

そこには確かに”眼鏡”という条件は記載されていなかったー。

運転免許を取得する際には視力検査があり、
一定の視力に満たなかった場合は、
条件に”眼鏡”と記載されるー。

しかし、その記載がなかったということは
少なくとも遥香には”トイレのマークはちゃんと認識できる”ぐらいの
視力は確実にあるはずだし、
そもそも日常生活において”見えていない”と感じるようなことはない。

眼鏡もコンタクトレンズもしていないし、
遥香は確実に”見えている”はずだー。

「ーーそっかー。
 まぁ、確かに桑名さんを見ていて
 あまり目が見えていない…って感じはしないもんな」
恭平は少しだけ戸惑うような表情を浮かべてから
そう言葉を口にすると、
「ー”もしかして”」と、冗談めいた口調でニヤニヤしながら
言葉を続けるー。

「ーもしかして、”実は男”だったりとかー?」
とー。

「ーーーーー!」
忠雄は、困惑した表情を浮かべながらも
「え……?????」と、青ざめたような表情も同時に浮かべるー。

すると、恭平は「いやいやいや冗談冗談ー。流石にそりゃないだろ」と、
笑いながら、自分の言葉を冗談だとそう口にするー。

がー、すぐにこうも言ったー。

「ーいや、ほら、”実は男”だったりしたら
 男子トイレに癖で入っちゃうのも説明がつくだろー?」
とー。

「ーーーーー……」
忠雄は、表情を曇らせるー。

「ーーい、いや、でも、いつも俺が言うと
 女子トイレの方に入って行ってるしー…」

忠雄はすぐにそう言葉を返すー。

もし、”本当は男”なら、指摘されたあとに
堂々と女子トイレに入っていくことは
さすがにないー…はずだー。

どんなにパーフェクトな女装をしていたって、
女子トイレに入ることは許されないし、
それは逆も同じー。
完璧な女装をしようと、完璧な男装をしようと、
異性のトイレに入ってはいけない。

「ーーはははー、だから冗談だって」
親友の恭平は冗談めいた口調でそう言うと、
忠雄は心配そうにしながら”だよな”と、そう返したー。

ただー、あそこまで”男子トイレ”に間違えて入ろうとするとなると、
”その理由”としては、一番しっくりくるような気がしてしまうのも
事実だったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからしばらくして、
彼女の遥香とまたデートをしていた忠雄ー。

”よく男子トイレに間違えて入ろうとすること”以外には
遥香には何の不満もないし、心配もないー。
全てが好きと言ってもいいー。

あれから既に半月以上が経過して、
その間は遥香が間違えて男子トイレに入ろうとすることもなかったために、
忠雄の中からも少し不安な気持ちが消え、
穏やかな日々を過ごしていたー。

がー、この日ー…
ショッピングモールで楽しいひとときを過ごしていた二人ー。

その最中に”あまりの楽しさ”に、
うっかりと遥香が”男子トイレ”に入ってしまったー。

「ーーうわぁぁぁ!?えっ!?」

「ーーーあっ」

男子トイレに入ってすぐ、先にトイレの中にいた
男性の利用者が声を上げたことに気付いて、
遥香もミスに気付くー。

慌てて外に飛び出すと、
少し離れた場所にいて、遥香を止めることができなかった
忠雄もそれに気づくー

「ーは、遥香ー」
困惑した表情を浮かべる忠雄ー。

そんな忠雄に対して、遥香は
「また…やっちゃったー」と、心底戸惑った表情を
浮かべるのだったー

②へ続く

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コメント

間違えて男子トイレに入っちゃう元男の彼女…!
こんなに頻繁に入られたら
忠雄くんも心配になっちゃいますネ~!

続きはまた明日デス~!!

続けて②をみる!

「よく間違えて男子トイレに入る彼女の謎」目次

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