<憑依>仲間であろうと関係ない①~異変~

とある学校の教室が
教室ごと”異世界”に飛ばされてしまったー。

その異世界には”人に憑依する”謎の生命体が徘徊していて、
生徒たちは次々と身体を乗っ取られていくー。

そんな中”一匹狼”な彼は、仲間を犠牲にしてでも
自分だけ生き延びようと画策するー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー」

ある日の朝ー、
いつものように騒がしい教室の音を聞きながら、
彼は一人”騒ぐしか能の無いやつらめー”と、
そう心の中で呟いていたー。

彼は”一匹狼”な男子高校生、
小郷 涼雅(ここう りょうが)ー。

周囲と群れることをせずに、
学校では”一匹狼”を貫き通しているー。

「ーーーねぇねぇ、小郷くんー、
 今度の文化祭なんだけどー」

そんな”一匹狼”に声をかけて来たのは
クラスで文化祭実行委員を務めている
女子生徒・月野 梨菜(つきの りな)ー。

梨菜は優しい性格で、とても可愛らしい容姿の持ち主で
あることから男女問わず人気がある子だー。

が、そんな梨菜を前にしても、
涼雅は表情一つ変えずに、
「好きにしろー。任されたら仕事はやるし、
 任されなければ俺は何もやらない」と、それだけ言葉を口にするー。

梨菜が”文化祭の役割分担”を確認しに来たことを、
最後まで言葉を聞かずに察知して、
そう答えたのだー。

「そ、そっかー。うんーじゃあー、決まったら伝えるね」
梨菜が気まずそうにしながら立ち去って行くー。

「ーねぇねぇ、放っておきなよアイツー」
梨菜の友達で、少し気の強いショートヘアーの子、
高橋 架純(たかはし かすみ)がそんな言葉を口にしているのも聞こえたー。

「ーこら、そんなこと言わないのー。
 誰が相手でも、ちゃんと確認しなくちゃだめでしょ」
梨菜がそう言っているのも聞こえるー。

「ーーー…なぁなぁ、涼雅ー
 お前ー、せいぜい、月野さんにはもう少し、愛想よく振る舞えよー?」
ふと、前の座席にいる男子生徒・河津 宗平(かわづ そうへい)が
そんな言葉を口にしながら、涼雅のほうに向かって話しかけて来たー。

宗平は、一匹狼を自称している気難しい涼雅のことを
何故か”親友”だと語っている物好きな生徒だー。

もちろん、親友だと思っているのは宗平の方だけで、
涼雅は何とも思っていない。

「ーー誰であろうと関係ない」
涼雅はそれだけ言うと、宗平は苦笑いしながら
「おいおいー」と、それだけ言葉を口にするー。

そうこうしているうちに担任の先生である
笹田 幸恵(ささだ ゆきえ)先生がやってくると、
いつものように朝の学活を始めようとしたー。

笹田先生は、どこか幸薄そうなオーラの漂っている先生で、
少し暗い感じの中年のおばさんだー。

「ーじゃあ、今日も1日ー」
笹田先生がそう言葉を口に仕掛けたその時だったー。

教室内に”妙な音”が響き渡ったー。
それと同時に”ゆらっ”と、ゆらぐような感触ー。

地震ではないー。

それとは別の、何か…
そう、空間が歪むような
今までの人生では感じたことのない”何か”としか
言いようがない感覚が全員を襲ったー。

「い、今のは何だ!?!?えっ!?えっ!?」
クラスの騒がしい男子・水城 和夫(みずき かずお)が
そう叫ぶと、
「ーーな、何なのよー…」
と、見た目は派手なギャルなのに臆病な山本 萌々(やまもと もも)が
困惑の表情を浮かべるー。

「ーーー」
そんな様子を一匹狼の涼雅は、特に動じる様子もなく、
腕組みをしながら見ていたー。

が、次の瞬間、遊園地の乗り物が高いところから急降下するかの如く、
”無重力感”が生徒たちを襲うー。

いや、無重力感を感じているだけではないー。
実際に何か、おかしなことが起きているー。

中には宙に放り出されるような形になってしまっている
生徒もいる中、
流石の涼雅も少し目を見開くー。

そして、涼雅の身体も宙に投げ出されるー。

「た、助けてー」
一人の女子生徒が、宙に舞う身体を支えようと
涼雅の手を掴むー。

が、涼雅は「触るな」と、その子を振りほどくと、
そのまま自分の身体も面白いように教室の空中を漂いー、
そしてー、急激に強いゆらぎを感じて、そのまま意識を失ってしまったー。

「ーーーーーー」
涼雅が、目を覚ますと、
先に目を覚ましていた生徒たちが、一か所に集まっていたー。

「ーー磯野(いその)さんー」
そう言葉を口にする生徒たちー。

宙に放り出された際に、教室のスピーカーに頭を強くぶつけて、
そのまま落下ー、死亡してしまった女子生徒、
磯野 麗子(いその れいこ)が、頭から血を流して
倒れ込んでいたー。

「ーーー」
その生徒は、涼雅が宙に放り出された直後、助けを求めて
腕を掴んで来た子だったー。

涼雅が振り払ったことで、放送用のスピーカーの方に身体が
飛ばされて行き、頭を打ち付けて命を落としてしまったのだー

「ーー運の無い奴だな」
涼雅はそれだけ呟くと、一切動じることなく、
教室の窓の外を見つめるー。

「ーーーーー!?」
これまで、動じる様子を見せなかった涼雅も、
外の光景を見て流石に驚いたのだろうかー。

少し目を見開くような仕草を見せると、
「ーこれは、どういうことだ?」と、
近くにいた涼雅の”親友”を自称する宗平に対して
そう確認したー。

「わ、分からねぇよー。
 ただ、目を覚ましたらこうなっててー」
宗平がそう言葉を口にすると、
教室の外を見つめるー。

その”外”にはー、
見たこともないような植物が生い茂る
不気味な光景が広がっていたー。

しかも、3階にあったはずの教室なのに、
まるで”地面の上”に置かれているかのような
そんな光景になっていて、
教室の窓を跨げば、そのまま外を探検できるような、
そんな状況になっていたー。

「ーーここにいないみんなは、どこにー?」
ふと、そんな声が聞こえたー。

その声の主は、生徒会副会長を務める真面目な男子生徒ー、
原口 誠(はらぐち まこと)ー。
顔もイケメンで、女子生徒からも人気がある生徒だー。

「ーーわたしが目を覚ました時にはーもういなかったかなー」
大人しい性格の女子生徒が答えるー。

まだ意識を取り戻していない生徒と、既に意識を取り戻している生徒ー。

それを足しても、担任の笹田先生と残り6名の生徒が
教室にいないことになるー。

「ーお前らより先に意識を取り戻して、
 外に状況を確認しに行ったんだろ?」
涼雅はそれだけ言うと、そのまま教室の廊下側のドアを開けて見せるー。

その外はー、廊下ではなく、
窓側と同じ、見たこともないような植物が生い茂る空間だったー。

「ーなるほどな。俺たちの教室だけ別世界に飛ばされたってことか」
冷静にそう呟くと、涼雅は「さて」と、そう言葉を口にしてから、
そのまま教室の外ー、異世界の森へと歩を進めるー。

「ちょ、ちょっと!どこに行くのよ!」
気の強いショートヘアーの子・高橋 架純がそう叫ぶと、
「探検だ」と、涼雅はそれだけ言葉を口にして、
そのまま異世界の森を歩き出したー。

見たこともない木ー
謎の光ー
見たこともないような植物ー。

少し歩くだけでここが、
”自分たちの元居た世界ではない場所”だということは
分かるぐらいには”おかしな光景”が広がっていたー。

「ーちょ、ちょっと待って!」
ふと、背後から声がして涼雅が振り返ると、
そこには三つ編みに眼鏡の女子生徒が立っていたー。

「ーーーー…お前、誰だっけ?」
涼雅が言うと、三つ編みの子は少し不満そうにしながらも、
「同じクラスの天田 愛唯(あまだ めい)だけどー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーーあぁーーオカルト好きの女かー」
涼雅は思い出したかのようにそう呟くと、
愛唯は「なんでそっちは覚えてるの!?」と、不満そうにしながら
涼雅を見つめるー。

「別にいいだろー。そんなこと。
 で、何の用だ?」
涼雅がそう言うと、愛唯は
「わたしも連れて行ってー。こういうーオカルトじみた未知の状況ー
 ゾクゾクするしー、わたしもこのよく分からない場所を
 調べてみたいのー」
と、そう言葉を続けるー。

「ーフンー要するに俺をボディーガード代わりにしたいってことか」
涼雅がそう言うと、愛唯は少しだけ図星だったのか
「ーべ、別に何だっていいでしょ?」と、そう言葉を口にするー。

「ーまぁいいー。俺の周りをウロウロしたければ
 好きにしろ。けど、邪魔はするな。
 
 それとー、何かあっても俺はお前を守らないー。
 俺は好きにやらせてもらう」

涼雅がそれだけ言うと、少し先の方から
何やら物音が聞こえたー。

「ー!」
涼雅も、愛唯も同時にそれに気づくー。

「ーー…」
涼雅は少しだけ表情を歪めたものの、すぐにその音がした方向へと向かっていくー。

するとー…

そこには、クラスメイトの男子の一人・豊原 信二(とよはら しんじ)の姿があったー。

そして、その反対側にはその信二の彼女である
津本 麻紀(つもと まき)がいるー。

がー何やら様子がおかしいー。

麻紀が苦しそうに蹲りながら
「逃げてーー」と、そう呟いているのだー。

「ーーーー」
涼雅が、その場に姿を現すと、信二は「小郷ー…」と、涼雅のほうを見て
表情を歪めたー。

「ーーど、どうしたの?何があったの?」
後からやってきたオカルト好きの愛唯が不安そうに
言葉を発すると、
苦しそうにしている麻紀を見て、「ーーつ、津本さん!?」と
声を上げるー。

「ーーぁ…ぁ…やめてーわたしから出て行ってー」
麻紀がそう言葉を口にしながら苦しそうにもがいているー。

彼氏の信二は慌てた様子で
「ま、麻紀の中に”光るやつ”がー」と、そう叫ぶー。

「ー光るやつ?どういう意味だ?」
涼雅がそう確認すると同時に、突然、苦しんでいた麻紀が
笑いだしたー。

「ーー…!?」
涼雅がそんな麻紀のほうを見つめると、
麻紀は笑いながら「ーーなかなかいい”入れ物”だなー」と、
そう呟きつつ、自分の胸を触ったり、髪を触ったりし始めるー。

「ーーー…!!」
「ーーな、なに言ってるの?」
涼雅とオカルト好きの愛唯がそれぞれ戸惑いの表情を浮かべるー。

すると信二は叫んだー

「ーーひ、光るやつだ!
 あいつら、俺たちの身体を”乗っ取る”んだ!
 それで、中条(なかじょう)もやられたー」

”中条”とはクラスメイトの一人で、涼雅らが目覚めたときには
教室には既にいなかった先生を含む7人の一人だ。

「ー乗っ取るってー…ど、どういうー?」
愛唯がそう言葉を口にすると同時に、
木々の影から、”光る人型の物体”が姿を現したー。

「ーあ、あいつらだ!」
信二が叫ぶー

「ーっ…」
一匹狼の涼雅も、さすがに少し驚いた様子を見せるー。

「ーーな、何なのあれ!?」
オカルト好きの愛唯がそう叫ぶと、
涼雅は「おい、お前らは何だ?」と、そう言葉を口にするー。

が、光る怪物は答えないー。

「ーククククー”入れ物”に答える必要などない」
憑依された麻紀は笑いながらそう答えるー。

「ーー入れ物だと?」
涼雅がそう答えると、
麻紀は「そうだー」と、そう言いながら、
「ーこの世界には、”何も”ないー。
 光と自然だけの無機質な世界だー。
 だからこそ、我々は食料や技術、知識を求めて
 異世界を切り取り、この世界に召喚して、
 それを奪っているのだー」と、そう説明したー

「ーつ、津本さん!ねぇ、目を覚まして」
オカルト好きの愛唯が、憑依された麻紀に向かって叫ぶも、
麻紀は笑みを浮かべながら「お前も”入れ物”になれー」と
邪悪な笑みを浮かべたー。

光の怪物が周囲を取り囲むー。

涼雅は、”相手の弱点も分からないまま、この数を相手にするのは
ただの無謀だ”と、そのまま逃げ始めるー。

「ーあ、ちょっとー?!」
愛唯は迷うような表情を見せながらも、
同じ考えにたどり着いたのか、その場から逃げ出すー

しかし、麻紀の彼氏である信二は
「麻紀ー」と呟くと、その場に残って動く様子を見せないー。

「ーークククー…お前らは”人間”というのかー。
 人間っていうのはそんなに”彼女”とやらが大事なのか?」
憑依された麻紀は笑いながらそう呟くと、信二のほうを見つめたー。

「ーーバカなやつだー」
背後から聞こえるそんな声を聞きながら、一匹狼の涼雅は
そう呟くー

「そんな言い方、ないでしょ」
オカルト好きの愛唯が言うと、
涼雅は「お前だって逃げてるー。俺と同類だ」とそう指摘すると、
愛唯は何も言わなかったー。

”ーーー”
涼雅は表情を歪めるー。

そして、”安全地帯はー、あそこしかないなー”と、そう呟くと
教室がある方に向かって走り出したー。

②へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

教室ごと、憑依が蔓延する異世界に
飛ばされてしまいました~!★

大変なことになってしまいそうですネ~!!

続きはまた明日デス!!

続けて②をみる!

「仲間であろうと関係ない」目次

コメント