<女体化>俺はあいつを守りたい②~想い~(完)

小さい頃から知る、気弱な親友が
女体化してしまったー。

戸惑いの中、彼は”俺はあいつを守る”と決意して、
女体化した親友との学校生活を送り始めるもー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー本当にありがとうー
松尾くんのおかげで、何とか生活できてるよー」

女体化してから1週間ー。
女体化した勇樹が、改めて感謝の気持ちを口にすると、
瑛太は「へへー気にするなってー。
親友が普通に学校生活送れるようになるなら、
なんだってするさー」と、笑みを浮かべながら言うー。

「おっ!?あれ?松尾ー。彼女?」

ふと、すれ違った別のクラスの生徒がそう言うと、
女体化した勇樹は照れ臭そうに俯くー。

「ーははー、違う違うー。
勇樹は”親友”だよー」
瑛太はそう言うと、勇樹のほうを見ながら笑うー。

「あ~、そいつが噂の女装して女になったとかいうー、
変な奴かー」

笑いながら他のクラスの男子が言うー。

女体化した勇樹はその言葉に「あ…あははー」と、
申し訳なさそうに笑うも、
瑛太は違ったー。

「ーおい、お前、今、何て言った?」
瑛太が怒りの口調でそう言い放つとー、
「ーえ、あ、いやー…だ、だって、それ、女装だろー?」と、
気まずそうに相手の男子が言うー。

「ーー女装なわけねぇだろ?勇樹は急に女になっちまって
苦しんでるんだー。
それを変な奴だとー?」
感情的になってそう言い放つ瑛太ー。

「ーーい、いーーー……だ、だってそうだろー!?
そ、それに、松尾ー、お前の前じゃ誰も言わないかも
しれねぇけど、色々なやつが言ってるぞ!
”変なやつ”だってー」

別のクラスの男子はそう言うと、
瑛太は不満そうにしながら、言い返そうとするー。

がー、女体化した勇樹は「もういいよー松尾くんー」と
そう言うと、「けどー」と、瑛太は戸惑いながら言うー。

「ーーへへー良かったな。
松尾に守って貰えてー」
別のクラスの男子生徒はそう言葉を口にすると、
女体化した勇樹とすれ違いざまに、言葉を口にしたー

「ーキモいんだよー。”お姫様”」
とー。

「~~~~」
女体化した勇樹は泣きそうな顔をしながら、
俯くー。

そんな勇樹を見て、瑛太はカッとなって、
「おい!!」と、その男子生徒の胸倉を掴んで
「ーお前、ふざけんなよ!」と、そう声を上げたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーごめんー僕のせいでー」

昼休みー。
落ち込んだ様子で、
そう呟く女体化した勇樹ー。

結局、停学処分とか、そういうことにはならなかったけれど、
喧嘩をしていると、他の生徒が先生を呼んで、騒ぎになってしまった。

「ーーーそんなこと言うなよー。
勇樹のためなら、このぐらいどうってことないさー」
苦笑いしながら、瑛太はそう言い放つー。

が、目に涙を浮かべながら落ち込んだ様子の勇樹を見て、
瑛太は”このままじゃ、勇樹はー”と、
学校に来られなくなってしまうことを危惧するー。

瑛太も知っているー。
”瑛太の前”では言わないものの、
少なからず”女体化した勇樹”のことを良く思っていない
人間がいる、ということは十分に理解しているー。

しかし、さすがにそこまではどうすることもできないー。
地道に、周囲の理解を深めていくしかないー。

「ーーーーー勇樹。」
瑛太はそう言葉を口にすると、
女体化した勇樹に向かって言ったー。

「ー辛いと思うけど、俺、もっと頑張るからー。」
とー。

一瞬、”だから、一緒に頑張ろう”と、そう言おうとしたものの、
それはやめたー。

勇樹はもう十分に頑張っているー。
これ以上、”がんばれ”は酷だとそう思ったからだー。

「ーーうんーー…ありがとうー。
僕、いつも松尾くんに助けられてばっかりでー」
女体化した勇樹がそう言うと、
瑛太は笑いながら「そんなことないさー」と、そう言葉を返したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日から、瑛太は、勇樹のことを守りつつ、
何とか周囲に理解してもらおうとしたー。

今まで、自分自身も
「勇樹は女になった!受け入れろ!な?」みたいな一面が
少しあったことを反省し、
時間をかけてでも、少しずつ勇樹が受け入れて貰えるようにと、
そんな風な行動を意識するようになったー。

「~~~~~…」
が、女体化した勇樹はいつもどこか申し訳なさそうにしていて、
瑛太をその姿を見るたびに、不安を覚えていたー。

とは言え、瑛太の必死の行動のおかげで、
1ヵ月が経過したころには、
大分、女体化した勇樹は受け入れられつつあったー

「かわいい~~~♡」
クラスのギャル、山瀬 萌奈(やませ もな)が笑いながら
女体化した勇樹の髪でツインテールを作って笑うー。

「そ、そ、そう…ですかー?」
女子慣れしていない勇樹が戸惑いながら言うと、
萌奈は「かわいいかわいい!」と、言いながら
「せっかく、女子になったんだから、色々楽しまなくちゃね!」と、
そう言葉を口にするー。

瑛太は少し離れた場所からそんな様子を見つめながら
安堵のため息を吐き出すー。

クラスの女子の中で”影響力”が強めなギャルの萌奈を
味方につけることができたのは幸いだったー。

萌奈はあまり”元男”とか、そういうことを気にしないタイプの
勢いでその場を楽しむタイプー。

あれから、瑛太は萌奈に”女になった勇樹に色々教えてやってくれないかー”と、
頼み込み、萌奈は”あ~?あの子?いいよ~!オッケー!楽しそうだし”と、
それを承諾してくれたー。

「ーーなんか、いつもありがとなー」
瑛太が萌奈に改めてお礼を口にすると、
萌奈は「全然!むしろ楽しいし、あの子、可愛いし!」と、笑うー。

「今度ね~あたしと一緒に洋服買いに行くことになってて~」
萌奈のその言葉に、瑛太は「へ~そっかー。よかったー」と
嬉しそうに笑うー。

一応、女体化した勇樹に、”無理に強要されていないか”
後で確認したものの、
勇樹も「僕、全然洋服とか分からないしー、僕も行きたいから大丈夫ー」と、
そう答えていたー。

やがてー、”一部”を除き、女体化した勇樹は
受け入れられるようになったー。

心なしか、萌奈たちや、他の男子からも話しかけられるようになって、
少し明るくなった気がするー。

萌奈から色々教えてもらったのか、少しおしゃれにもなって、
学校でも、楽しそうにしている姿を見る機会も増えたー。

ただーーー
勇樹が時々、瑛太の前で申し訳なさそうにしていることー、
そして、時々、悲しそうにしているのが、瑛太にはどうしても気になったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーこれで、よかったんだよなー」
瑛太は、どこか悲しそうにしながら、
そんな言葉を口にするー。

女体化して、2カ月ー。
今やすっかりと女子として受け入れられた勇樹には、
”友達”が増えたー。

最初は不満を漏らしていた女子たちも、
女子の中で有力なグループを率いる”萌奈”が、
積極的に女体化した勇樹に絡み始めたことで、
勇樹は女子たちから受け入れられるようになったー。

そして、男子たちも、
”女体化した勇樹”が、可愛いからか、
勇樹が女体化する前よりも、勇樹に対して興味を抱くようになり、
結果的にー、勇樹には男女問わず、周囲から色々話しかけられるような
そんな、存在になったのだー。

勇樹自身も、ギャルの萌奈たちから、
色々教えてもらって、随分とおしゃれになったー。

”女体化”という突然の現象に見舞われながらも、
いじめられてしまうようなことにはならず、
こうして普通に学校生活を送ることができているー。

それは、親友である瑛太からしても、嬉しいことだったー。

ただーー

「ーーー…いいんだー。アイツが楽しいなら、それでー」
瑛太はそう自分に言い聞かせるかのようにそう呟いたー。

周囲から、勇樹が受け入れられると同時に、
勇樹は、瑛太から離れて行ったー。

勇樹自体の性格が変わってしまったわけではないー。

女体化した勇樹は、瑛太のほうを見ると
いつもとても申し訳なさそうにしていて、
瑛太に何か言いたそうな表情を浮かべているー。

けれど、女体化して”かわいい”姿を手に入れた勇樹は、
男子からも、女子からもよく話しかけられる存在になり、
瑛太もなかなか話すタイミングを確保することができないまま、
いつしか距離が生まれてしまっていたー。

「いいんだ、これでー…
俺はあいつを守りたかっただけなんだからー。

あいつを、守ることができた。
それだけで、いいじゃないか。」

瑛太は再度、自分に言い聞かせるかのように
そう言葉を口にすると、
そのまま女体化した勇樹には話しかけることなく、
今日も自分の座席に着席するのだったー。

それからはー、女体化した勇樹の方も気まずくなってしまったのか
話す機会が少ないまま、時は流れたー。

そんなある日ー。

「ー松尾くんー」
背後から、女体化した勇樹に声を掛けられたー。

「ん?あぁ、勇樹ー。最近の調子はどうだ?」
瑛太が笑いながらそう答えると、
女体化した勇樹は「ちょっとー…話、いいかな?」と、そう言葉を口にするー。

「ーーーあぁ、もちろん」
瑛太がそう言葉を口にすると、女体化した勇樹に呼ばれた先の
空き教室へと二人で移動していくー。

そして、二人きりになると、
女体化した勇樹はそわそわした様子を見せるー。

そんな勇気を見て、瑛太は
「ー最近、随分可愛くなったよなー。色々、そういうのも大変なんだろ?」と、
おしゃれになった勇樹を見て、緊張をほぐそうとそんな言葉を口にするー。

「ーえ…あははー…うん、まぁー…
でも、みんなが教えてくれて」
女体化した勇樹はそこまで言うと、意を決したように言葉を口にしたー

「ごめんなさいー」
とー。

「ーー???」
瑛太は戸惑うような表情を浮かべてから、
「おいおい、謝られるようなことなんて何もー」と、
そう笑うと、
女体化した勇樹は「違うんだー僕ー」と、そう言葉を口にしてから、
「僕、どうしてこうなったか何となく気付いてたのに、ずっと黙ってたんだー」と、
そう言葉を口にしたー。

「ーーえ?」
瑛太が戸惑いながら返事を返すと、女体化した勇樹は言ったー。

「ーーー僕……女になる前、神社でお願いしたんだー…
松尾くんともっと仲良しになりたいってー」

女体化した勇樹が言うと、
瑛太は「ははーおいおい、十分仲良しだったろ?
それにー、神社にお願いしたからってー、そんなー」と、そう言葉を口にすると、
勇樹は首を横に振ったー。

神社でお願いした時に、身体の底に違和感を感じたのと
”その願いは、明日の朝に叶う”という言葉がどこからか聞こえたのだとー。

「ーそ、そんなことー…」
瑛太がそう言葉を口にすると、
女体化した勇樹は「だから…僕、女になったあの日から
何となく原因は分かってんだー」と、そう言葉を口にすると、
「でも、なかなか言い出せなくてーごめんなさいー」と、
そう謝罪の言葉を口にしたー。

神社でもう一度お願いしたけれど、願いが叶うのは1回だけだったのか
元に戻れなかったことや、
最近は、それで気まずくなってなかなか話せなかった、ということも話す勇樹ー。

瑛太はほんの少しだけ間を置いてから笑うと、
「ははーなんだよー。俺、てっきりもう嫌われたのかと思ってたぞー?」と、
冗談めいた口調で言うと、
女体化した勇樹は、「ごめんー」と再度言葉を口にしたー。

「ー神社で願ったりしなくたって、俺と勇樹は親友だしー、
それにー、お前が望むなら、親友だって、相棒だって、義兄弟だって、彼氏だって
なんでもなってやるー」

瑛太が、そう言葉を口にすると、
女体化した勇樹は、心底申し訳なさそうに、
そして嬉しそうに「ーー本当にありがとうー」と、そう言葉を口にしてから、
「ーーこの先、どんなになっても、やっぱり松尾くんは僕の一番の親友だよー」と、
そんな言葉を口にしたー。

「ーはは、俺もだー」
瑛太がそう答えると、
「でも、僕、やっぱいつも助けられてばかりのようなー…」と、そう呟くー

「はははーそれでもいいし、
いつか、俺がピンチになったら、助けてくれるかもしれないしー」
瑛太は冗談めいた口調でそう言葉を口にすると、
女体化した勇樹のほうを見て笑ったー。

それからは、また元通りに”親友”として、楽しい日々を過ごしー
親友の性別は変わってしまったけれど、
元通りの日常を取り戻したのだったー。

おわり

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コメント

女体化しても、大きく人生が狂っちゃうことはなく、
上手くその先も進んで行けそうな結末でした~~!★

でも、そのうち、彼氏が出来たり、彼女が出来たりしたら
また何か起きちゃうかもですネ~!

お読み下さり、ありがとうございました~~!

「俺はあいつを守りたい」目次

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