彼氏との結婚をひたすら反対していた兄ー。
そんな兄と、
結婚式前日に入れ替わってしまったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
黒咲 双葉(くろさき ふたば)は、困惑の表情を浮かべていたー
「ーー今から、お兄ちゃんが来るんだってー」
双葉がそう言うと、
”ーー大丈夫かー?俺も行こうかー?”と、
電話相手の田原 秀幸(たはら ひでゆき)が心配そうに言葉を口にしたー。
双葉と秀幸は、学生時代から交際を続けて来た恋人同士ー。
そして、社会人2年目を迎えた今年ー、結婚することを決めていて、
明日がその結婚式の日だったー。
しかしー…
「ーーううんー大丈夫ー
お兄ちゃんに何を言われても、わたしの気持ちは変わらないしー」
双葉が少し困惑した表情を浮かべながら
そう言葉を口にするー。
”そ、それならいいけどー…何か問題が起きたら俺もすぐに行けるように
しておくからー”
彼氏の秀幸がそう言葉を口にすると、
「うん、ありがとうー」と、双葉はそう答えて少しだけ微笑むー
双葉の兄ー、
黒咲 東吾(くろさき とうご)は、
以前から、秀幸のことを嫌っていて
”絶対にあんな奴と結婚しちゃだめだ!”と、結婚に反対し続けていたー。
しかし、双葉の彼氏である秀幸に”特に大きな問題点はない”ー。
何かを隠しているようなこともないし、
悪人でもないー。
双葉の両親も、秀幸のことは”いい人”だと思っていて
結婚には賛成の立場だったー。
が、兄・東吾は結婚式前日を迎えた今日、この日も
まだ結婚に反対していて、
”今から話し合おう”と、強引に双葉が一人暮らしをしている
アパートにやってくることになっていたー。
そうこうしているうちに、インターホンが鳴ったー。
双葉は少しだけ表情を曇らせながら、
「もう、お兄ちゃんが来たみたいー。1回切るねー」と、
彼氏で、明日から夫となる秀幸との電話を終えるー。
そして、兄・東吾を出迎えると、
少し神経質そうな表情を浮かべた東吾は、
家に入って来ると同時に、
「双葉ー頼む。考え直してくれー」と、
それだけ言葉を口にするー。
「~~~も~~~…何を言われてもわたしの気持ちは変わらないってばー」
双葉は呆れ顔でそう呟くー。
今更、兄の東吾から”結婚しないでくれ”と言われて
”うん!そうだね!結婚やめるね!”などとなるはずがないー。
「ーー双葉!頼む!!あんな奴と結婚しないでくれ!」
東吾がなおもそう繰り返すー。
「ーーお兄ちゃんは、秀幸の何が気に入らないの!?」
双葉が不満そうに言い返すー。
「ー全部だよ!あんな奴に大事な妹を渡してたまるか!」
東吾は即答したー。
「ーそれって、お兄ちゃんの勝手な都合でしょ!」
双葉が”いい加減にして!”という雰囲気で声を上げるー。
最近では、会うたびにこんな言い合いばかりー。
兄・東吾が双葉の結婚に反対する理由はー、
結婚相手の秀幸が気に入らないからー…ではなかったー。
ただ単に、双葉を誰にも渡したくない、という
歪んだ愛、故のものー。
仮に結婚相手が秀幸じゃなかったとしても
同じように反対していただろうしー、
相手の秀幸自身に何か問題があるわけではなかったー。
「ーー双葉!頼むよ!結婚なんかしなくたっていいだろー?
ーー今の時代、生涯独身の人間だって
たくさんいるんだ!
俺も生涯独身でいるからさー、頼むよ!」
無茶苦茶な要求をし始める兄・東吾ー。
「そ、そんなのお兄ちゃんが決めることじゃないし、
わたしは秀幸と結婚したいの!」
双葉がそう言い放つー。
「ーーダメだ!ダメだダメだダメだダメだ!」
いつもは、ここまで言われると引き下がることも多い兄・東吾ー。
が、今日は結婚式前日ということもあってか、
東吾自身も”今日止めなくちゃいけない”と思っているようで、
絶対に食い下がろうとしないー。
「ーーいい加減に帰って!もう話すことはないから!」
双葉が、心底うんざりとした様子でそのまま、
兄の東吾を追い出そうとするー。
「ーま、待ってくれ双葉!!頼む!結婚を考え直してくれ!」
追い出されそうになった東吾は、それでも粘り強く抵抗して、
双葉の結婚を”考え直してもらおうと”するー。
「ーーもうやめて!!!わたし、絶対に考えは変えないから!」
双葉がそう叫びながら、兄・東吾を玄関先まで
押していくー。
が、そんな双葉に東吾は抵抗しようとするー。
そしてーー
「ーーあっ…」
つい、勢いよく双葉の手を勢いよく引っ張ってしまった兄・東吾ー。
二人はそのままバランスを崩して、
机に激突すると、そのまま重なるようにして
勢いよく倒れ込んでしまったー。
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーっ…ふ、双葉ごー、ごめーー」
それだけ言葉を口にすると、
”東吾”は、すぐに異変に気付いたー
”声”がおかしいー
「ーーえ…???? え…???
な、なんだこれー」
自分の口元に手を触れながら
”自分の声”ではなく、”双葉の声”が
口から出ていることに驚くー。
しかもー、触れた自分の口の感じもー、
手の感じもー、何もかもが”おかしい”ー
「ーーー…って、うわっー」
身体を確認しているうちに、”胸”に手を触れて、思わず
そう言葉を口にした東吾は、
慌てて双葉の部屋に置かれた姿見の方に走っていくと、
思わず声を上げたー。
「お、俺が、双葉になってるー?」
とー。
そして、すぐに倒れたままの”東吾”自身の身体に向かって、
「お、おい、大丈夫かー!?おいっ!」と、声を上げると、
やがて、”東吾”は目を覚ましたー
「ーえっ…!?わ、わたしー!?」
”東吾”が、そんな反応を示すー。
その反応を見て、双葉になってしまった東吾はすぐに、
”俺が双葉になって、双葉が俺になったのかー?”と、
そう確信するー。
「ーーぶ、無事でよかったー。
そ、それより、双葉ー」
双葉(東吾)は、自分と双葉の身体が入れ替わってしまったことを
説明するー。
「ーそ、そ、そんなー…
わ、わたし、明日は結婚式なのにー!?」
東吾(双葉)が、心底困惑した様子でそう声をあげるー。
がー、その言葉と同時にー
妹と入れ替わってしまって、焦りの表情を浮かべていた
双葉(東吾)は”あること”を思いついてしまったー。
「ーーー…ーー明日は、結婚式ー」
その言葉を繰り返す、双葉(東吾)ー
そして、双葉(東吾)はニヤッと笑うと、
「ちょっ!?お兄ちゃん!?わたしの身体で変な事したり
言っちゃ、絶対ダメだからね!?」と、
すぐに兄の悪だくみに気付いて、そんな声を上げるー。
「ーへへー…いやー…へへへへー
そっかー…そうかー…
これは、神様が、双葉の結婚を阻止するためにくれたチャンスなんだー」
”双葉”の顔が、双葉本人が浮かべたことのないような、
邪悪なたくらみを浮かべた表情に変わるー
「ちょっと!わ、わたしの顔でそんな悪そうな顔しないで!?」
東吾(双葉)がそう言葉を口にすると、
「ー明日の結婚式で、アイツを振ってやるかー」と、
ニヤニヤしながら、双葉(東吾)が立ち上がるー。
「ーだ、ダメだってば!そんなことしないで!」
東吾(双葉)はそう言葉を口にすると、
”自分”を止めようと立ち上がろうとするー。
”東吾の身体”であれば、”双葉の身体”を止めることは
難しいことじゃないー。
双葉は別に力自慢の女子じゃないし、
どちらかというと、華奢な感じの身体つきであるため、
特別力持ちでもないー。
とにかく、”お兄ちゃん”を止めないといけないー。
そう思って立ち上がろうとしたー。
がー…
「ーーあ、あれーっ!?」
立ち上がろうとした東吾(双葉)は、立ち上がれずに痛みを感じて
表情を歪めるー。
「ーー?」
双葉(東吾)も、そんな様子を見て、
少しだけ心配そうな表情を浮かべると、
「だ、大丈夫かー?」と、
そう言葉を口にするー。
なおも立ち上がろうとする東吾(双葉)ー
しかし、足が思うように動かずに、
痛みを感じて、その場で苦しそうに表情を歪めるー。
「ーーう、嘘ー…」
東吾(双葉)は困惑の表情を浮かべると
「ーーお、お兄ちゃんの足ー、骨折しちゃったみたいー」と、
そんな言葉を口にしたー。
双葉は昔、一度だけ学生時代に骨折した経験があってー、
”その時の感覚”を覚えていたために、
兄・東吾の足が”骨折”してしまったのだと、
すぐに気づいたー。
「ーこ、骨折ー…?俺の足がー?」
双葉(東吾)は心底心配そうに呟くー。
妹である双葉を心配する気持ちは勿論あるし、
”俺の身体”が骨折してしまったとなれば、
それも心配だー。
どうやら、たった今、二人で転倒した際の
打ちどころが悪かったらしく、
骨を折ってしまったようだったー。
「こ、これじゃ、立てないー」
東吾(双葉)がそう言うと、
双葉(東吾)は「ーわ、分かったー。すぐに病院にー」と、
そこまで言いかけて、突然、言葉を止めるー。
「ーーー…お兄ちゃんー?」
東吾(双葉)が、不思議そうにしながらも、
表情を曇らせるー。
すると、双葉(東吾)は「いやー…」と、そう言葉を口にすると、
「ごめんな双葉ー。そのままここで明後日まで待っててくれー」と、
突然、そんなことを言い出したー
「ーえっ……?」
東吾(双葉)が苦しそうにしながら、
”何を言っているの?”と言いたげな表情を浮かべると、
「これは、きっと神様が俺にくれたチャンスなんだー」と、
双葉(東吾)はそんなことを言い始めたー。
「ーど、ど、どういうことー?」
東吾(双葉)が心底困惑した様子で言うー。
すると、双葉(東吾)は、双葉のー
今は”自分自身の”手を見つめながら言葉を続けたー
「ーーアイツに、大事な妹を渡しちゃいけないって、
きっと神様も言ってるんだー。
だからー…だから、こんな風に身体が入れ替わったんだー」
双葉(東吾)のそんな言葉に、
東吾(双葉)は思わず「お兄ちゃん!」と、
呆れ混じりに声を上げるー。
しかし、双葉(東吾)は止まらなかったー
「これで、双葉も俺の邪魔をできないしー、
アイツとーーへへーちゃんと別れることができるー」
そんなことを言いながら、双葉のスマホも手に、
そのまま双葉の部屋から立ち去ろうとする双葉(東吾)ー
どうやら、東吾の身体になった双葉が
骨折で歩けない間に、
明日の結婚式に”双葉”として参加して、
そのまま双葉の結婚相手である秀幸に別れを告げるつもりらしいー
「ーそ、そんなことしたらお兄ちゃんのこと、許さないから!」
東吾(双葉)がすかさずそう声を上げると、
双葉(東吾)は少し残念そうにしながらも続けたー。
「ーーー今はそう思うかもしれないけど、
いつか分かるー。
だからー…俺は双葉にどれだけ罵られようと、
双葉とアイツを結婚させないー」
とー。
そのまま、家から飛び出していく双葉(東吾)ー
「ちょ!ちょっと!お兄ちゃん!」
東吾(双葉)は、慌てて後を追いかけようとするー。
けれど、東吾の足が骨折しているせいで、立ち上がることができず、
這いずって玄関まで向かうも、双葉(東吾)がちゃんと鍵も閉めて行って
しまったために、鍵を開けることもできないー
「~~~~…ど、ど、どうしようー…」
東吾(双葉)は、このままでは双葉(東吾)のせいで、
本当に結婚を台無しにされちゃうかもしれない、と、
そんな不安を覚えながら、
慌てふためいた表情で、”何か手はないかどうか”を考え始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「~~~~~~~~」
双葉になった東吾は、ひとまず、”自分の家”に向かいながらも
ソワソワした表情を浮かべていたー。
「ーーふ、双葉の身体で歩くのってなんかー
こうーー落ち着かないなー」
双葉(東吾)はそう呟くー。
もちろん、異性になっている、というドキドキやソワソワもあったけれど、
東吾は妹をそういう目では見ていないー。
どちらかと言うと、”周囲から狙われるほどのお宝”を持って
街を歩いているかのような、そんな感覚だー。
「ーーーー」
街を歩いている最中に、”自分のことを見ている”気がした
通行人のおじさんのほうを、
敵意むき出しでキッと、睨みつける双葉(東吾)ー
”俺の双葉に近付くんじゃねぇ”とでも、言いたげな表情だー。
双葉(東吾)は、そんな敵意むき出しの状態で
ようやく、東吾自身の家にたどり着くと、
そのまま東吾の部屋に入ろうとしたー。
「ーーあら…?」
ふと、東吾の住むアパートの隣人のおばさんに見つかってしまい、
一瞬狼狽えたものの、すぐに双葉(東吾)は
「あー、わたし、妹の双葉ですー」と、そう自己紹介するー。
”嘘”はついていないー
「あらぁ、そうだったのねーはじめましてー」
そんな会話をしてから、東吾自身の部屋に入ると、
双葉(東吾)は、静かに笑みを浮かべたー。
明日は双葉の結婚式ー。
が、断じてそれを認めるわけにはいかないー。
「ー双葉ー悪いなー
これは、双葉のためなんだー」
双葉(東吾)は、そう言葉を口にすると、
明日の結婚式で、双葉の婚約者である秀幸を盛大に振ってやろうと、
そう決意するのだったー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
結婚式直前にお兄ちゃんとの入れ替わり…!
なんだか大変なことになりそうですネ~!!!
明日の②では、結婚式の様子も出て来ます~!★
楽しみにしていて下さいネ~!
今日もありがとうございました~!!

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