<女体化>ジョタイカ②~拡散~(完)

①にもどる!

突如として出現した”人間を女体化させる”謎のイカー。

女体化してしまった男子大学生は、
そのイカが各地で目撃され始めている状況に
戸惑いを覚え始め…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーマジかよー」
海で女体化した男子大学生の一人、小太りな益男が
戸惑いの表情を浮かべると、
「ーー信じられないけど、マジなんだー」と、
女体化した凌馬が言うー。

”各地で謎のイカの目撃情報”
そんな見出しの記事を見つめながら、
凌馬と益男の二人は戸惑うー。

「あのイカ、いったい何なんだー…
 触っただけで、こんな、女になっちうまうなんてー」

女体化した益男は、自分の手を見つめながら
「っていうか、俺たち急に死んだりしないよな?」と、
戸惑いの表情を浮かべるー。

”急に女になった”ー
それは、普通ではあり得ない現象ー。

”性別が変わるだけで済んだ”とは限らないー。
自分たちの身体に、何か命に関わるようなことが
起きるのではないかと、女体化した益男は
心配そうに言葉を口にしていたー。

「ーーーーー」
そんな中、一番最初に女体化した俊太が、
険しい表情を浮かべていたー。

すっかりおしゃれになって、
今日も可愛らしいスカートを履いて大学に来ている俊太ー。

三人の中では、一番女体化に適応して、
一番喜んでいるのは、俊太だろうー。

そんな俊太に対して、女体化した凌馬が声をかけると、
俊太は「え、あーうんー大丈夫ー」と、
”女子っぽい振る舞い”で返事をするー。

俊太だけは女体化後ー、
”女子”のような振る舞いを続けていて、
女子大生ライフを満喫しているー。

そんな俊太は、凌馬たちに対しても女子っぽい
振る舞いや喋り方を続けていたものの、
今日は少し違ったー。

険しい表情を浮かべていた俊太に対して
「大丈夫か?」と、女体化した凌馬が言葉を口にすると、
最初は”女子”っぽい受け答えをしたものの、
やがて面倒に思ったのか
「ーーん~~~…俺の友達も、何人か女体化しちゃってさー
 それと、バイト先のやつらもー」と、
そう言葉を口にしながら、”謎のイカ”が増えているという
ニュースを見つめつつ、神妙な面持ちでため息を吐き出すー。

「ーまぁー…知ってるやつが女になっちゃうと戸惑うよなー」
女体化した凌馬はそれだけ言うと、
「ーっていうか、お前ー…よく、髪、長いままでいられるなー
 俺なんて速攻でバッサリ切ったのにー」と、
笑いながら俊太の髪を触るー。

すると、女体化した俊太は少しだけいつものような調子を
取り戻して
「せっかく女になったなら、色々楽しまないと損だろ?」と、
そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”謎のイカ”の繁殖は止まることなく、
各地に拡大したー。

そのイカに”触れるだけ”で女体化してしまうことで、
政府は”男性”に対して、海や水辺に近寄らないように
通達を出したー。

一方で、女性はそのイカに触れても、
特に何も起こらず、
精密検査を行っても、何の変化も見られないため、
”男性に対してのみ”謎の力を発揮する
とても奇妙なイカとして恐れられたー

そんな状況は続いたある日ー

「ーーあ、松美ー」
凌馬の彼女”だった”松美に友達の梨沙子(りさこ)が声をかけて来るー。

松美はあの後、女体化した彼氏・凌馬のことを
どうしても”彼氏”として見ることはできなくなってしまい、
とても申し訳なさそうにしながら、凌馬に相談したー。

凌馬は”いやー、松美は悪くないよー
悪いのは俺ー…いや、あの変なイカだー”と、そう答えた上で
それを受け入れて今は”女同士”の友達としての付き合いを続けているー。

そんな松美が、梨沙子に声を掛けられて反応するー。

「あ、梨沙子ー。どうしたのー?」

そんな言葉に、
梨沙子は「ーバイト代入ったから放課後、駅前のスイーツいっしょに
どうかな~?って思って!わたし、奢るから!」と、
嬉しそうに言い放つー。

「え~奢りは悪いからわたしも出すよ~」
松美がそう言うと、「それにしても」と、梨沙子を見つめながら
「最近、妙にお金持ちになったよねー」と、苦笑いするー。

「ー別に、怪しいバイトしてるわけじゃないからねー!?」
梨沙子が釘を刺すかのようにそう言うと、
松美は「ふふーそれは分かってるから大丈夫ー」と、
優しく言葉を口にしたー。

「ーだってさ~”イカ”の駆除のバイト儲かるんだもんー
 ほら、男子はできないし、
 女体化した男の人たちは健康への影響が未知数だからって
 駆除の仕事は禁止されてるでしょ?

 だから、結構いい時給が出るしー」

梨沙子はそう笑いながら、廊下を松美と共に歩くー。

政府は、増え続ける”謎のイカ”の駆除を始めているものの
人手が足らず”バイト”まで募集し始めている状況だー。

男性は当然、女体化してしまう危険があるため
駆除には参加できず、
また、女体化した”元男”も、健康への影響が未知数であるとして、
謎のイカの駆除に参加することは禁じられているー。

そのため、イカの駆除の業務に携わることができるのは、
女性のみであるものの、
当然、女性の中にも、”よく分からないイカの駆除なんて危ないしイヤ”という
人間は多いー。

そのせいか、梨沙子のような
”全然わたしは大丈夫!”みたいな子は、
儲かるバイトとしてイカの駆除に積極的に参加しているー。

「ーーこの前ね~、あのイカ、お刺身にして食べたら美味しいんじゃないかって
 一緒になった人が言ってたんだけど、どう思う~?」
梨沙子が笑いながらそう言葉を口にすると、
松美は「えぇ~?それはさすがにダメでしょー。何が起きるか分からないしー」と、
そんな言葉を口にしたー。

「ーーーーー」
そんな会話を偶然通りすがった女体化した俊太は、表情を暗くするー。

俊太はすっかりと、”女子”っぽくなっていて、今もおしゃれを楽しんでいるー。
しかし、時折暗い表情を浮かべるようなこともあって、
凌馬や、益男もそのことを心配していたー。

”ーーー謎のイカの拡大、止まらず”ー
男を女体化させる謎のイカの拡大は、なおも止まっていないー。

梨沙子がやっているような”駆除のバイト”もあったものの、
それでも限界があり、
むしろ”駆除される数”より、”増加する数”が多く、
世の中の男性の数はどんどん減っていたー。

”イカ”を避ける人間もいる一方で、
”自ら”イカを触りに行き、女になるような人間もいるー。

俊太の友人数名も
「俺もお前みたいにおしゃれをするぞ!!!」と、そう宣言して、
女体化して、そのうちの一人は今、
メイドカフェで嬉しそうにバイトをしているー。

「ーーはぁー…くそっー」
女体化した俊太は、表情を歪めながら、
スマホに表示された”イカの拡大”のニュースを見つめたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それから、さらに時が流れたー

彼女の松美と別れたことで、
何か心境に変化があったのか、
髪を伸ばしてロングヘアーになっていた女体化した凌馬が
「えっ…どういうことー?」と、そう言葉を口にするー。

1年以上、”女子”として過ごしたからか、
言動も大分女子っぽくなっているー。

”余程強い意思で”「俺は男だ!」と思い続けていないと、
なかなか、女となった身体で男のまま振る舞い続けることは
案外、難しいー

このぐらいの歳頃だと尚更で、
どうしても身体に引っ張られてしまうー。

「ーー…自首するー」
女体化した俊太が、そんな言葉を口にしたー

「ーじ、自首ってー?い、意味が分からないけどー!?」
女体化した凌馬がそう言うと、
俊太は静かに首を振ったー。

「ーーお前がー
 いいやー、みんなが”女体化”したのは、俺のせいなんだー」
とー。

「ーーーな、なんだってー…?ど、どういうことー?」
女体化した凌馬が思わず、男だった時のような
反応混じりでそう言葉を口にすると、
女体化した俊太は申し訳なさそうに表情を歪めたー。

「ーーーあの海に遊びに行ったときのことー、
 覚えてるかー?」

今まで、女子として振る舞っていた俊太が”あえて”
男して喋り始めるー。

「ーーお、覚えてるけどー…」

夏休みー
俊太や益男、他の二人と共に海に遊びに行った日ー…
はじめて”人間を女体化させるイカ”と、遭遇してしまったあの日のことは
今でもよく覚えているー。

「ーーー俺はあの日ー、自分で”イカ”を海に放ったんだー」
女体化した俊太は、そこまで言うと当時のことを思い出しながら続けたー。

当時、俊太は”彼女”と別れたばかりだったー。
酷い振られ方をして、自暴自棄になっていた俊太は、
”彼女がいなけりゃ、俺自身が女になればいいかー”と、そんな考えを抱き始めていた上に、
凌馬や、他の友人は彼女と上手く行っていることに強い不満を抱いていたー。

そんな中ー、生物学者である父親の影響で、
小さい頃から、そういう方面に詳しかった俊太は
”ある禁断の実験”に手を染めたー。

それは、”人間を女体化させる”という実験ー。
父親の研究所にいた”研究中のイカ”を持ち出し、
そこに女性ホルモンや、あらゆる特殊な遺伝子を組み込み、
”人間が触れるだけで女体化するイカ”を作り出してしまったー。

そしてあの日ー、俊太はケースに入れて持ち込んだ
そのイカを”わざと”海に放って、
自らそれを触りー、女体化したー。

”イカがいたぞ~!”と騒いでいた俊太は、
自分でイカを海に放ったのだー。

その際に、凌馬らに”イカ”を投げつけて女体化させることに成功した俊太ー。

目的であった”自分の女体化”、そして、
友人である凌馬を女体化させることにも成功したー。

続けて、俊太はもう1体用意していた女体化の力を持つイカを
大学周辺の川に放ったー。
大学内の彼女を持つ友人を、女体化させようとしたのだー。

けれどー、
俊太の想定外の出来事が起きたー。

それはー…
”イカ”の繁殖力が異常に強かったことー。

俊太の想定外に”女体化の力を持つイカ”が増え、
やがて、川から別の領域にも流れていき、
気付けばイカは、別の地域にも拡散し始めていたー

”ヤバいー”
そう思った時にはもう止められなかったー。

”何とかなるだろうー”
”誰かが何とかしてくれるだろうー”

そうも思っていた。

でも、どうにもならなかったー。

女体化の力を持つイカは世界中に拡散し、
今では”男”の数は激減しているー。

そんな手遅れな状況を前に、
女体化した俊太は、ついに自首を決意していたー。

自首をして、”どうやってあのイカを作ったか”
そのデータを全て提供すれば、
政府がなんとかしてくれるかもしれないー。

そんな希望を抱いてー。

「ーーーー…だから、”これ”は俺のせいなんだー」
女体化した俊太は、自分に触れながらそう言うと、
女体化した凌馬は「そ、そんなー…で、でもー」と、
そう言葉を口にするー。

がー、俊太はもう決意していたー。

「俺は自首するー…
 巻き込んで、悪かったなー。
 こんなことになって、事の重大さがようやく分かったー」

女体化した俊太はそう言葉を口にすると、
どこか寂しそうにしながら「じゃあなー」と、そう言葉を口にして
立ち去って行ったー。

翌日ー。
俊太が”女体化騒動”の犯人として逮捕されたニュースが一斉に流れたー。

「ーーーアイツのせいだったのかー」
女体化しても、相変わらず小太りのままの益男が言うー。

「ー俺たち、男に戻れるのかなー?」
女体化した益男が言うと、女体化した凌馬は「う~ん…分からないー」と、
そう言葉を口にするー。

「ーーーもしも、元に戻れるようになったら、
 どうするのー?」
彼女だった松美がそう言葉を口にするー。

その言葉に、女体化した凌馬は
少しだけ複雑そうな表情を浮かべるー。

女体化してから時間が経つにつれて
”今”に慣れてしまった凌馬ー。

もし、この先元に戻れることがあっても、
自分が”その選択”をするのかどうか、今では自分でも、もうよく分からないー。

「ーーそれはー」
女体化した凌馬は、そう言葉を口にしてから、
少しだけ間を置くと、
「それはーー…その時になってみないと、わたしにも分からないかなー」と、
苦笑いしながら答えるー。

”もし”戻れることになったらー…
その時、自分はどんな選択をするのだろうー。

そんなことを思いながら、
凌馬は、小さく息を吐き出すー。

そしてー
変わらず今日も、世界各地で女体化している人々が増え続けているのだったー。

おわり

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コメント

イカによって女体化していくお話でした~!★

…女体化の拡大自体は止まっていないので、
この世界では、この先も色々と大変そうですネ~…!

お読み下さり、ありがとうございました~!★

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