彼女と同棲中の男子大学生ー。
しかし、彼女が憑依されて”本人が絶対にしないような言動”を
繰り返しているにも関わらず、
彼はいつも通りの生活を続けていて、
その様子を前に”憑依した男”のほうが、
”コイツ…本当に気付いていないのか?”と、戸惑う羽目にー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
男子大学生の市原 竜也(いちはら りゅうや)は、
同じ大学に通う彼女・西城 麻奈美(さいじょう まなみ)と、
一緒に暮らしていたー。
麻奈美と竜也は、お互いのことを小さい頃から知る幼馴染同士ー。
竜也は小さい頃からどこかマイペースで、
麻奈美はそんな竜也のことを、何かと心配して、
支えて来てくれたー。
そんな様子は周囲から見れば”姉と弟”かのようで、
小さい頃は特に、周囲から”竜也のお姉ちゃん”と勘違いされるようなことも
あったほどだったー。
お互い、高校は別々であったものの、家は近かったために
そのまま縁が切れてしまうこともなく、
”偶然”進学した大学が同じ大学で、何かと一緒に行動するうちに意気投合ー、
幼馴染同士の縁もあって、恋人同士の関係になったのだったー。
そして、付き合い始めてから少ししたタイミングで、
お互いの実家からだと、大学が遠かったこともあって、
麻奈美の方から
”二人で大学の近くに部屋を借りない?”と、提案されて、
竜也もそれに賛同ー、お互いの両親も相手のことを良く知っていることもあって、
快くそれを承諾ー、
二人は同棲を始めたのだったー。
「ーーーえっーー…
あっ、気付かなかったーごめんー」
苦笑いしながら、そう呟く竜也ー。
小さい頃から、どこかマイペースな竜也は、
大学生になった今でも、小さい頃と変わらない感じだったー。
優しい性格であるものの、どこかボーッとした感じで、
抜けているところもあるー。
今日も、髪型を変えた麻奈美に全く気付いておらず、
麻奈美から”そういえば、わたし、髪型変えたんだけど、気付いた~?”と、
言われるまで、全く気付いていなかったのだー。
「ーーあははーやっぱりー」
麻奈美は、竜也の言葉に笑うと、
「ー竜くんってば、そういうところ昔から気付かないよね~」と、
そんな言葉を口にするー。
「ご、ごめんー」
竜也が少し申し訳なさそうに言うと、
麻奈美は少し慌てた様子で、
「あ、別に怒ってないからねー?竜くんはそのままでいいと思うし!」と、
そう言い放つと、
竜也は「で、でも、社会人になったら”気付き”も大事そうだしー」と、
そんなことを口にするー
「ーあ~、うんーまぁ、それはそうかもだけどー
でも、竜くん、やらなきゃいけないことには真剣だし、
大丈夫じゃないー?」
麻奈美がそうフォローするとー、
竜也は「そ、そうかなぁー」と、言いつつ、
「つ、次は気づくから!」と、
今度、麻奈美が髪型を変えるようなことがあれば気付く、と
そう宣言するー。
「あははー、じゃあー、気付いてもらえるの楽しみにしてるね!」
麻奈美は、竜也の性格をよく知っているー。
たとえ、髪型の変化に竜也が気付かなくても、
竜也が”わたしに興味がないわけじゃない”のは知っているー。
竜也は小さい頃からずっとそういう性格だしー、
それでも、自分のことを大切にしてくれているのも分かっているー。
だからこそ、麻奈美は竜也に髪型の変化を気付いて貰えなくても、
特に気にすることはなかったー。
「ー今度は、その瞬間に気付けるように頑張るよ。
ーあ!!今、髪型変えた!!!ってー」
楽しそうに雑談を続ける二人ー。
本来ならー…
二人の幸せはこの先も”続く”はずだったー。
しかしーー
”へへへへへー
西城さんってやっぱ可愛いよなぁー
しっかり者だしー”
その数日後ー。
帰宅した麻奈美の姿を”見つめている”男がいたー。
しかし、麻奈美はそのことに気付かず、
”今日は竜くんはバイトで帰りが遅いからー…”と、
そう思いつつ、”何か作っておいてあげようかな~”と、
冷蔵庫の中身を見つめるー。
麻奈美が”男”に気付かないのも無理はないー。
何故なら今、麻奈美を見つめている男は
”霊体”の状態だからー。
男は、麻奈美と同じバイト先で働いている
30代前半のフリーター男・木内 信彦(きうち のぶひこ)ー。
寡黙でコツコツと仕事をこなしている彼のことを、
麻奈美自身は特に何とも思っていなかったしー、
周囲のバイト仲間も”木内さんは黙々と仕事をこなしてくれて助かる”
と、仲間内からは悪い評価はされていなかったー。
がー、信彦は内心ではいつも下心丸出しなことを考えていたー。
バイト仲間のことを見て、内心で変な妄想をしたり、
家に帰ってはバイト仲間で抜いたりー、
そんな日々を繰り返していたー。
周囲からは、”全く無害”そうに見える男であったものの、
内側は、そうではなかったのだー。
そんな信彦の一番のお気に入りが、麻奈美ー。
麻奈美とシフトが被った日には、
休憩中にトイレで抜いたりしている始末ー。
が、麻奈美はそんな彼の狂気には全く気付くことが
できていなかったー。
そして、そんな彼はー
先日”憑依薬”を手に入れてしまったー
”これで、俺のつまらねぇ人生とおさらばできるぜー”と、
憑依薬で他人の身体を奪い、その人生を奪うことを決意ー
そのターゲットとして選ばれてしまったのが、
信彦の一番のお気に入りである麻奈美だったー。
”ケッーそれにしてもやっぱ、彼氏がいたのかー
しかも同棲してやがるー
まぁいいー憑依しちまえばー、別れることも自由だしなー”
そう言葉を口にしながら、信彦は
”へへー”と、笑うと、
何も知らずに「竜くん、味は薄い方がいいんだったっけー?」などと
一人で竜也に作ってあげる料理のことを考えているのを見て、
顔を真正面から見つめて笑みを浮かべるー
霊体であるため、どんなに近くで顔を見ていても、
気付かれる心配はないー。
”さてー、そろそろお邪魔しま~すっと”
信彦がそう言葉を口にすると、麻奈美に自分の霊体を重ねるー。
麻奈美は「ひっ…!?」と、声をあげてビクッと震えると、
持っていた調味料の容器をそのまま床に落として、
しばらく身体をガクガクと震わせるー
がー、やがて、ニヤッと笑みを浮かべると、
「ーへへへへー…憑依完了ぅ~」と、嬉しそうに自分の手を
見つめるー
「ー…へ…へへへー、手、ひとつだけでもマジで綺麗だよなー」
自分の手をうっとりとした表情で見つめると、
部屋に飾られていた麻奈美と竜也の写真に気付いて、
ニヤリと笑みを浮かべたー。
「ーー残念だったなー彼氏さんよー
お前の女は、俺の女になったんだぜー」
麻奈美はそう呟くと、
「ま、いきなり別れるとおかしく思われるからなー
すこ~しずつ、別れさせてもらうぜー」と、
そんな言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーただいま~」
竜也がいつものように帰宅するー。
がー、麻奈美からの返事はないー
「ーー麻奈美ー?」
竜也が少し不思議そうに玄関から家の奥に入ると、
開いたままの麻奈美の部屋が目に入るー。
そこには、鏡に向かってキスをして、舐め回すような行動を取っている
麻奈美の姿があったー。
「ーーー!」
麻奈美に憑依した信彦は、竜也が帰って来たことに気付いていなかったのかー、
「あ~~~”竜也”おかえり~」と、そう言葉を口にして、
よだれのついた鏡を雑に自分の服の袖で拭き取るー。
”竜也”ー
普段の、麻奈美と違う呼び方ー。
けれど、竜也は特に反応を示すことなく、
「ただいまー思ったよりバイトが長引いてー」と、苦笑いしながら、
そのまま後片付けを始めるー。
「ーーーーー」
麻奈美はそんな竜也の後ろ姿を見つめながら
”あぶねぇあぶねぇー流石にいきなり変な姿を見られると、バレるかも
しれねぇからなー”と、鏡にキスをしている姿を見られたことに
少しだけ気まずさを感じつつも、
竜也が特に特別な反応を示さなかったことに安堵するー。
”しかしー…
いざ、見ず知らずの他人と一緒ってなるとー
少し緊張するなー
西城さんが普段、この彼氏とどんな風に喋ってるのかも分からねぇしー”
麻奈美に憑依している信彦は、
ドキドキしながら、改めてそんなことを思ったー。
憑依する前に、麻奈美が”彼氏と同棲中”だということは
分かっていたし、
”憑依しちまえば何とかなるだろ”と、そんな風に
軽く考えていたものの、
実際、こうして憑依して”麻奈美”として
同棲中の彼氏と対面すると、とてもドキドキしてしまうー。
頭の中で”憑依後”を想像するのと、
”実際に憑依したあと”では、やはり感覚が違うのだー。
何事も想像はできても、実際に体験して見ないと分からないー。
「ーーま、まぁ…とりあえず何も違和感を抱かれたりはしてないみたいだし…
セーフってことだなー」
麻奈美はニヤッと笑うと、
そのまま「わ、わたし、こっちにいるねー」と、
麻奈美の部屋らしき方向を指差したー。
「ーーあ、うんーわかったー」
竜也はそれだけ言いながら、服を着替えたり、
”バイトから帰宅した後片付け”を続けているー。
部屋に入った麻奈美は、
「へへへへーしかし、鈍そうな奴だなー
俺が西城さんに憑依したってのに全然気づいてねぇー。
それとも、俺の演技が完璧だったのかなー?」と、
笑みを浮かべながら呟くー。
実際にはー、全然完璧ではないー。
そもそも、本来の麻奈美は竜也のことを
”竜也”とは呼ばずに”竜くん”と呼んでいるー。
呼び方すら、正しく振る舞うことが出来ていないー。
がー、竜也が全く違和感を抱いていない様子に、
麻奈美に憑依した信彦は
”きっと俺の演技が上手かったんだ”と、そんな風に思いながら笑うー。
「ーーあ、そういやー、西城さんー、
あのノロそうな彼氏に、メシ作ってやろうとしてたよなー?
ーー何も用意してねぇからー、さすがに違和感持たれそうだなー」
麻奈美は自分の部屋の中で胸を揉みながらそう呟くー。
普段は、麻奈美か竜也は先に帰宅した方が、
相手が家でご飯を食べる予定の場合、
何かを用意しておいてあげるー…のが、二人の中での
暗黙の了解のようになっていて、
今日は麻奈美が先に帰宅したため、竜也にも何か用意を
してあげようとそう思っていたー。
が、その最中に憑依されてしまったため、
麻奈美は何も用意することができなかったー。
「ーーーー」
少しだけ不安になって、麻奈美は部屋の扉を少しだけ開けて、
竜也の様子を確認するー。
竜也は、冷蔵庫を開けて自分の食べるものを探しているー。
「ーーー……」
麻奈美は目を細めながら、
”ーーー別に、普段メシを用意してるってわけじゃないのかー”と、
そう解釈しながら、様子を見つめるー。
竜也は冷凍食品か何かのチャーハンを作ると、
それをどこか美味しそうに食べ始めるー。
”ー大丈夫そうだなー”
そう思いつつも、”覗き”を続ける麻奈美ー
すると、
「ーあ、麻奈美ーどうしたの?」
竜也が、麻奈美に覗かれていることに気付いてしまったー
「えっ!?!?あ、いや、
な、何でもないから気にすんなー」
麻奈美に憑依している信彦は咄嗟のことだったからか、
男の口調のままそう言葉を発してしまうー。
「ーーははーー、あ、麻奈美も食べるー?」
麻奈美の男口調を全く気にする様子もなく
竜也はそう言うと、
麻奈美は「あー、いや、だ、大丈夫ー。竜也ひとりで食べていいよー」と、
またもや”竜くん”ではなく、竜也と呼んでしまうー。
麻奈美が竜也をどう呼んでいるかを信彦は知らないため、
竜也本人から指摘されるか、もしくは麻奈美のスマホでの
やり取りを見るでもしない限り、気付くことはないー。
「ーー分かったー」
竜也はそれだけ言葉を口にすると、
麻奈美はそのまま部屋の中に戻り、息を吐き出すー。
「ふ~…思ったよりも、知らねぇやつの前で
本人のフリをするのって緊張するなー」
麻奈美に憑依している信彦は、そう言葉を口にすると、
鏡のほうを見つめながら、嬉しそうに笑みを浮かべるー。
そして、自分のスカートを嬉しそうに触ってー
その中に手を入れてー、
さらにはスカートをめくったりー、髪を垂らしながら中を
覗くような仕草をしたりして笑みを浮かべると、
「”わたし”が、わたしのスカートをどうしようが、自由だもんねー?」と、
嬉しそうに囁いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
”ー大学に行くの、怠いなー…どんな振る舞いしてるかも知らないしー”
麻奈美に憑依している信彦はそう思いながら
「あ、わたし、今日は大学はパス~」と、そう言葉を口にすると、
竜也は「えっ」と、いうような表情を浮かべたー。
「ーた、体調不良でー」
麻奈美が慌ててそう言うと、
竜也は心配そうにしながらも
「ーぼ、僕も休んだほうがいい?」と、そう確認してくるー。
「ーううんー。竜也は気にしないでー
さ、ほら、大学へ行って!!」
麻奈美が竜也を追い出すかのようにしてそう言うと、
竜也は戸惑いながらも「じ、じゃあー、なるべく早く帰って来るよー」と、
そう言いながら、家の外へと出て行ったー。
「ーへへへへーさ~て、お楽しみの時間だー」
麻奈美は、”早く彼氏との同棲を解消してぇな~”などと思いながら、
一人、欲望に身を投じ始めるのだったー。
②へ続く
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コメント
今月最初のお話は、憑依のお話デス~!!
彼女が憑依されてしまったことに気付く様子のない彼氏…!
次回から本格的に”題名のような状態”になっていきます~!☆!

コメント
スゴい鈍感な彼氏ですネ!★
どんな展開になって行くか全く読めないですネ!!
楽しみにしてますネ♪♪
無名さん暑い中、お疲れ様です(^o^ゞ
創作活動、溶けても更新するって笑いそうになりました艸(*´艸`)笑
ムリはしないように☆
感想ありがとうございます~!☆
大切な人が憑依されても全く気付かない彼氏…☆
とってもとっても、鈍感ですネ~…!
溶けないように更新します~笑☆