3年間、憑依されていたことによって生じた”空白”
本人にショックを受けさせないようにと、周囲はそれを隠し続け、
彼女は不安を抱きながらも、
そのまま前に進むことを決意するー。
そしてー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3年間、男によって憑依されていた楓ー。
男は”女子高生になりたい”という思いから、
入学式当日を迎えた子たちの中から
”気に入った子”に憑依して、
それから3年間をその子の身体で過ごし、
好き放題をして、
そして、卒業式を迎えると
”もうこの身体は女子高生じゃないから”と、その身体から抜け出し、
また別の身体に憑依するー。
そんなことを繰り返していたー。
「ーーへへーさてとー、
今度はどんな身体に憑依するかなぁー」
ニヤニヤとしながら、男は笑みを浮かべるー。
もう、”何回、女子高生として高校生活”を過ごしただろうかー。
そう思いつつ、今回もまたお気に入りの子を探すー。
「ーん~~、あそこのポニーテールの子、可愛いなぁ」
ニヤニヤしながら、男は”3年間を過ごす”身体を物色していくー。
男にとってはただ、
欲しいアクセサリーを選ぶかのような、そんな感覚ー。
しかしー、
”選ばれる側”にとっては迷惑極まりないことだし、
”選ばれてしまう”か、”選ばれずに済む”かで、
その人生は大きく変わってしまうー。
「ーーん?あっちにも可愛い子がいるじゃねぇかー」
ポニーテールの子に”憑依する寸前”まで、進んでいた男ー。
しかし、別の方角から歩いて来た子を見て、
そう言葉を口にすると、男は、ポニーテールの入学生から離れて
そのまま別の子の方に向かっていくー。
”何も知らない”まま、このポニーテールの子は、
3年間を奪われずに済んだ、
あまりにも幸運な瞬間ー。
しかし、逆にー、
男が代わりに目につけた、長い黒髪の眼鏡をかけた子にとってはー
”あまりにも不幸な”瞬間ー。
もちろん、男の憑依能力は”途中で”身体から
抜け出すこともできるし、
別の子の身体に憑依し直すこともできるー。
ただー、男は”入学から卒業までを全部味わいたい”という
強い拘りがあり、
一度憑依した身体で”必ず”卒業まで過ごすということを
心の中で決めていたー。
男は、ポニーテールの子の代わりに
”今年はコイツにするかー”と、そう言葉を口にすると、
その子に憑依したー。
「ーーぁ…!?」
ビクッと身体を震わせるーー。
その子は、少しの間、苦しそうにしていたものの、
やがて笑みを浮かべると、
「ーーー紅葉(もみじ)ちゃんかー。へへー」と、
持ち物から、その名前を確認すると、
「さ~て、今日から俺はまだJKだぜー」と、
憑依された紅葉は嬉しそうに笑いながら歩き始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー♪~」
楓は、親友の聡美とのひと時を楽しんでいたー。
「ーーえ~?本当に~?」
楓が聡美の話に、笑いながらそう答えるとー、
「本当本当ー。わたしもびっくりしちゃってー」
と、親友の聡美はそう答えるー。
あれから、楓はすっかりと元気になっていたー。
高校生活3年間、”憑依”され続けていたことによる”空白”のことも
気にせず、前に進みー、
父・紀明や、母・千秋が望んだように、
楓は本当のことを知ることなく、
”事故で3年間昏睡状態だった”と思ったまま、
こうして、前向きに生きて来たー。
「ーーでも、早いよね~」
聡美が時計を見つめながら言うと、
「ーー”紅葉ちゃん”も、もう高校生でしょ?」と、笑うー。
「ーうんー」
楓は、そう言葉を口にしながら、チラッとカレンダーのほうを見つめるー。
あれからーーー
”約20年”が経過したー。
カレンダーには”2045”と表示されているー。
「ーーわたしには、高校生活の思い出がないから、
なんだか不思議な気分だけどー」
楓が苦笑いしながら行くと、
聡美は「そっかー」と、”楓が憑依されていた頃”のことを
思い出しながら笑うー。
「ーーじゃあ、紅葉ちゃんと一緒に高校生活を始めて楽しむ感じだねー」
聡美がそう言うと、楓は「ふふー。そうかもねー」と、
少し恥ずかしそうに笑ったー。
あのあとー、楓は”三年間の空白”のことを気にしないようにして、
前向きに生きることを決意ー、
そのおかげもあってか、だんだんと元気を取り戻して、
充実した大学生活を送ったー。
さらに、大学で出会った男・勝(まさる)と親しくなって、
大学卒業後に結婚、子供も授かり、
現在は夫の勝、そして娘の紅葉と共に幸せに暮らしているー。
今日は、娘の紅葉の入学、ということで
親友の聡美も久しぶりに遊びに来てくれていたー。
「ー聡美のところの子は、来年から高校生だっけー?」
楓がそう確認すると、聡美は静かに頷くー。
「ーーふふ、そっかー
じゃあー、今年は受験で色々大変だねー」
楓が、そう言葉を口にすると、
聡美は微笑みながら、時計を確認するー。
「ーそろそろ入学式も終わる頃なんじゃないー?
わたしは、そろそろ帰るねー」
聡美が時間に気付いて、そう言葉を口にすると、
楓は「あ、うんー気を付けて帰ってねー」と、
そんな言葉を口にしながら、親友の聡美を玄関まで
見送るのだったー。
がーーーー
”帰宅”した娘の紅葉が豹変したー。
「ー入学式、どうだったー?」
母となった楓がそう言葉を口にすると、
紅葉は「別にー」と、だけ答えてそのまま
部屋の方に向かっていくー。
「ーーえ…?な、何かあったのー?」
楓は心配になって紅葉に対してそう言葉を口にするも、
紅葉は「うるさいなー”別に”って言ってるでしょ?」と、
それだけ言い放つと、部屋の扉を勢いよく閉めて
部屋の中に籠ってしまったー
「ーーー…????」
困惑の表情を浮かべる楓ー。
娘の紅葉はー
”かつての自分”と同じように、入学式の日に憑依されてしまったー。
そして、これから3年間ー
卒業の日まで、男に使い続けられることになるー。
しかしー、楓は知らないー。
今でも”空白の3年間”は、事故により昏睡状態になっていたと
そう思っている楓は娘の紅葉に起きた”恐ろしいこと”が、
かつて、自分にも起きていたことだとは、夢にも思っていないー。
”へへへへへ♡ ぁあああ…♡ へへっ♡ たまんねぇ♡”
紅葉の部屋から変な声が聞こえて来るー。
楓は戸惑いの表情を浮かべながら
「紅葉ー…?」と、ただ、不安そうにその名前を呟くことしかできなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
紅葉はまるで別人のようになってしまったー。
学校では不真面目な生活態度を取るようになり、
夜遊びをしたり、家に帰って来ても反抗的な態度ばかりー。
家に男を連れ込んだり、一人でいる時も
部屋で喘ぎ声を上げたり、
最近では過激なコスプレを楽しんだりもしていて、
”紅葉”が、まるで別人のような状況になってしまったー。
「ーーお義父さんや、お義母さんには言わなくていいのかー?」
楓の夫・勝も心配そうにそんな言葉を口にするー。
が、楓は”母・千秋と父・紀明”に心配を掛けたくないからと、
娘・紅葉の異変を両親には伝えずに、自力で対処しようとしていたー。
”クククーお前たちの娘は、女子高生の間は俺のもんなんだよー”
リビングで話し合う両親の様子を物陰から見つめながら
邪悪な笑みを浮かべる紅葉ー。
そしてー、
その数日後のことだったー。
楓は、夫である勝や、両親に迷惑を掛けずに
自分で解決しようと、
”様子のおかしくなった紅葉”と、真剣に話し合おうと、
紅葉の部屋にやってきたー。
「ーーなに?」
茶髪になった紅葉が不満そうに振り返ると、
「紅葉ー。ちゃんと話がしたいの」と、楓がそう言い放つー。
「”あんた”なんかと話すことなんてないからー」
紅葉はそれだけ言うと、そのまま部屋から
出て行こうとするー。
が、楓は紅葉を生かせまいと道を塞ぐと、
「ーーどうして、”そんな風”になっちゃったの?」と、
悲しそうに言葉を口にするー。
「ーーうるせぇよ」
紅葉は荒い口調でそう言うと、
優しかったはずの顔を歪めながら、
「どけ」と、そう言葉を口にするー。
「どかない!理由を聞かせて!
わたしに、何か不満でもあるの!?」
楓が、なおも紅葉の道を塞ぎながら叫ぶー。
「ーうぜぇなーどけよー
これから、男と遊ぶ約束してるんだからー」
紅葉は怒りの形相で、楓に容赦なく言葉を浴びせて来るー。
「ーーーちゃんとわたしの話を聞いて!!
何か不満があるんだったら、
何か理由があるんだったら、教えて!」
普段怒らない楓が、怒りを滲ませながらそう行くと、
紅葉は「ーー!!」と、突然目を見開いたー。
「ーーお前ーー」
紅葉はそう呟くー
「え?」
楓が表情を歪めると、
紅葉は邪悪な笑みを浮かべたー
「ーーお前、”その顔”思い出したぞー
”俺”が憑依してる時、よくキレてる顔してたから覚えてるー
怒ったとき、顔に血管が浮き上がるんだよなー お前ーー」
そう言い放ちながら笑う紅葉ー。
母・楓は意味が分からずに困惑するー。
「ーそうかそうかー。そういや、名前が同じだったなー
苗字が結婚して変わってたから気付かなかったー
お前ーー、あの時、俺が憑依してた女かー」
娘の紅葉の意味の分からない言動ー。
楓は困惑しながら「な…何を言ってるのー?」と、
そう言い返すと、紅葉は邪悪な笑みを浮かべたー。
「ーーお前ーー
”高校時代3年間”の記憶がないだろー?」
紅葉はそう言い放つと、
楓は「えっ…」と、表情を歪めるー。
紅葉に憑依している男は、いつも”卒業後”、
しばらくしてから”憑依していたやつ”が、
今、どうしているかを見に行っているー
楓のことも、当時、半年後ぐらいに見に行って、
”どうやら周囲は事故で記憶がない扱い”にしていることを知っていたー。
「ーーーお前、確か”事故で昏睡状態”って説明されていたよなー?」
紅葉は笑うー。
紅葉の母親が随分前に憑依した女だと知り、
正体を隠す気もなくなった男は、紅葉をあざ笑いながら言葉を続けるー。
「ーお前は事故になんか遭っていないー
今のこの娘のように、お前は俺に憑依されて
身も心も乗っ取られて、3年間ー、意識を失っていたんだー」
紅葉が笑いながら言うー。
楓は震えながら、紅葉を見つめるー。
「ーーど…どういうー…?」
楓のそんな言葉に、紅葉は”憑依”のことを丁寧に説明してみせるー。
そして、今、”紅葉”の身体を乗っ取っていることもー。
「まさか、ここで前に憑依した女の娘に遭遇するとは思わなかったぜ!」
ゲラゲラと笑う紅葉ー。
「ーーーも、紅葉を返して!!!!お願い!」
楓が泣きながら叫ぶと、
紅葉は笑ったー
「そういや、俺、お前の身体で随分酷いことしたんだよー。
色々思い出したぜー」
紅葉は、”楓”の空白の3年間の出来事を語っていくー。
せっかく、両親や親友の聡美が隠し続けた出来事を、全てー。
「ーー母親の腕に傷があってなー
あれは、俺がお前の身体でやったんだー
あとはー、親友のーなんだったっけー?
ーー聡美だったかー?
アイツを脅して無理矢理Hなことしたこともあったっけなぁー
へへー
それに、お前、何十人の男と身体の関係持ってるぜー?へへー」
紅葉の言葉に、楓は目から涙を溢れさせながら
「ーーやめてー…やめてー」と、その場にしゃがみ込むー。
「ーーへへへへーそんなに泣くなよー」
紅葉は心底、悪意に満ちた笑みを浮かべると、
「お前の三年間の空白ー、俺がもっともっと教えてやるよー」
と、そう言葉を口にしながら、楓に”憑依されていた間の出来事”を、
さらに詳しく、記憶にある限り伝え始めたー。
「ーーーー~~~~」
全てを聞いた楓は、あまりのショックに廃人のようになってしまったー。
紅葉にキスをされて、身体中を触られながらも
虚ろな目のまま、廃人のような状態ー
やがて、母親の身体を弄び終えた紅葉は
満足そうに笑いながら、
楓のほうを振り返るー。
楓は呆然としながら、口を半開きにしたまま動かないー。
「ーあ~あ、ショックで壊れちまったー」
紅葉は”壊れてしまった”楓を見つめると、
「じゃ~、お前のせいで遅れたけど、これから男遊びしてくるからー」と、
雑に楓を足でどけて、そのままゆっくりと歩き始めるー。
”三年間の空白”の真相を
あまりにも運の悪い、偶然の再会でー、
最悪の形で知ってしまった楓は、もう立ち直ることはできなかったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
②の時点で終わりなら…そこそこハッピーエンドでしたネ~…!
でも、最悪の偶然によってバッドエンドになってしまったのデス…!
やっぱり、憑依は恐ろしいですネ~!!
お読み下さりありがとうございました~!

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