50年ほど前から実用化された人類を幸福に導く
人工知能・”エンジェル”ー。
しかし、ある日、エンジェルは”とんでもない判断”を下してしまったー。
それは、人類全員が美少女になれば、
さらに幸せになることができるー…という判断だったー。
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今よりも先の未来ー。
その世界では、人類を幸福に導く
”人工知能”ー
通称・エンジェルが、人々の生活をコントロールしていたー。
この世界では、世界の”政治”は全てこの”エンジェル”が
コントロールしていて、
法律も何もかも、この”エンジェル”の判断に人類は委ねていたー。
もちろん、導入当初は
各国の間で意見が割れたり、
人類の未来を人工知能に託すことへの懸念、
暴走した際への懸念ー、
そういったことも複数議論された。
けれどー、数々のテストを経て
最終的に世界は”人間に委ねるよりも、人工知能に委ねた方が”
遥かに人々の幸福度が高まっていることを
目の当たりにし、人工知能”エンジェル”に人類を未来を託すことに決めたー。
それから50年ー。
世界の人々の幸福度は上がり、
人工知能・エンジェルの合理的な判断と素早い対応によって、
社会は、信じられない速度で発展を遂げていたー。
人工知能”エンジェル”の本体は、
太平洋上に作られた”巨大海上施設”通称・”ヴァルハラ”に
設置されており、そこから各所へと指令が下されているー。
各国には”エンジェル”の意思によって動く、
高性能自立型ロボット”エンジェル・アイ”が、配置されており、
エンジェル本体がそれらを遠隔操作して、
色々な対応を行っているー。
ディストピアのような社会ー。
けれど、人類を弾圧したり、監視するようなことにもなっておらず、
”エンジェル”は純粋に人類の幸福を追求、
幸福のためだけに、働き続けていたー。
「ーーしかし、昔はトイレ掃除とかも人間がやってたっていうんだから
すごいよなぁー」
高速道路のサービスエリアのトイレで、手を洗いながら
大学を2年前に卒業した男・井畑 修武(いばた おさむ)が
そう言葉を口にすると、
一緒にいた親友の徳本 達哉(とくもと たつや)も笑うー。
「ーつーか、俺たちが生まれる前は大学卒業後に”就職”だもんなー」
達哉がそれをあざ笑うかのように言うー。
「ーーはは、俺たちみたいな人間のこと、昔は”ニート”って
言ってたみたいだぜー」
修武が揶揄うようにしてそう言葉を口にすると、
達哉はゲラゲラ笑いながら「ニート?へへへっ」と、そう言葉を返すー。
「ー100年前の人間が今の社会見たら驚くだろうなぁ」
修武はそう言いながら、高速道路のサービスエリア内を歩くー。
昼食を済ませようと、食堂に入っていくと
自走式のロボットたちが店内を忙しそうに動き回っていたー。
店員もロボットだー。
人工知能”エンジェル”と、
各地に派遣された数千万の自走式ロボット”エンジェル・アイ”によって、
この世界では”人が働く必要”はなくなっていたー。
教養を身に着けるために、
学校に通う必要はあるものの、
最大でも”大学”までで、それを終えると人間は”定年”を迎えることになるー。
20代から、人生を終えるまで
”遊び放題”なのだー。
”ーーご注文の品を、お持ちしました”
人工知能・エンジェルによって操作されている”エンジェル・アイ”が、
注文したうどんを運んでくるー。
「へへーどうもー」
修武はそう言葉を口にすると、うどんを食べ始めるー。
一緒に”旅行”中の親友・達哉はかつ丼を口に運び始めると、
「そういや、松本(まつもと)のやつ、働くんだってさー」と
そう呟くー。
「ーえぇっ!?”労働者”になるのかよーマジかー…」
修武は心底驚いた様子で言うー。
この世界では、”働くこと”のほうが、おかしい扱いで、
現代の社会における”ニート”のように、人によっては
変な目で見る人も多いー。
「やばいよなー。
労働なんて、ロボットに任せときゃいいのにさー」
達哉がそう笑うと、
サービスエリアの食堂を見回すー
店員も、掃除も、何もかもを人工知能・エンジェルとリンクした
ロボットが行っているー。
食事を終えて、高速道路を走り出す二人ー。
車も”エンジェル”とリンクしていて自動運転ー。
全ての車が完全に制御されているために事故すら起こらないー。
「ーーー」
横を大型のトラックが通過していく。
物流も当然”エンジェル”が制御していて
運送業も、もはや人の手から離れているー。
「ーー昔は人間が運転してたって言うんだから、やべぇよなぁ」
後部座席でカードゲームを楽しみながら達哉がそう言うと、
修武も、運転は”エンジェル”任せで、カードゲームを堪能するー。
「ーーははは、エンジェル様様だぜ!」
修武は、人類の幸福を追求する人工知能”エンジェル”に
心から感謝の言葉を口にすると、
楽しそうに笑みを浮かべたー。
がーーー
本格的な運用開始から50年ー。
人工知能・エンジェルはこの日、”恐るべき判断”を下したー。
とある研究施設ー
もちろん、そこも、エンジェルが遠隔操作できるロボット
”エンジェル・アイ”たちが研究を続けていてー、
人間はいないー。
そして、そこで”あるもの”が完成したのだー。
それは”女体化薬”ー
人間を”女体化”させるためのものだー。
人工知能・エンジェルは
”人類全体的な統計”として、女性の方が幸福度が高いと判断していたー。
また、”寿命”が長いこと、
そして、”女になりてぇ”と言っている人間の声などを
総合的に判断した結果ーー
”人類はみんな美少女になれば幸せになれる”と、
そう判断してしまったー。
”これより、人類を女体化させます
これは、決定事項ですー”
太平洋上に浮かぶ巨大施設”ヴァルハラ”に
設置されている”エンジェル”本体はそう音声を発すると、
全世界に向けて”女体化薬”の散布を開始するのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーお?ニュース速報だってー」
スマホを手に、達哉がそう言葉を口にするー
二人の乗る車は相変らず、
人工知能・エンジェルによって操作され、
運転せずに目的地を勝手に目指しているー。
そんな中、達哉はスマホに届いたニュース速報を見つめたー。
この世界でのニュースは、全て”エンジェル”が公平に作り、
発信しているー。
ちゃんと、バラエティ的な話題までニュースにし、
人々を楽しませているー。
そのニュースに、
”全人類を美少女に変えることが決定しました”と、
表示されたのだー。
「ーーー俺たち、女になるんだって」
達哉がそう言うと、
修武は「は?」と、首を傾げたー。
「ーえ~っと、なになに、
人類の幸福度は、全員が美少女になることにより
さらに向上しますー?」
達哉がスマホを手に、ニュース速報を読んでいくー。
「ー間もなく、女体化させるための粉の散布が行われるー????」
達哉は、さらに不思議そうにすると、
修武は「あっ!」と、車の外を見つめながら声を上げたー。
上空を移動する複数のヘリコプター。
もちろん、パイロットはおらず、人工知能”エンジェル”による
自動操縦のヘリから、積み込まれた女体化薬が散布され始めるー。
「ーーえ、マジかー?俺たち、女になるのかー!?」
戸惑う修武ー。
達哉は「へへー。ま、”エンジェル”がそう言ってるなら、間違いないだろ」と、
そう言葉を口にするとー、
次の瞬間、達哉と修武が乗る”自動運転中”の車の窓が
自動的に開き始めたー
”女体化薬の効果を発揮するため、一時的に窓を開きますー”
そんなアナウンスが流れるー。
「ーーー!!」
修武は一瞬、戸惑いの表情を浮かべると、
咄嗟にハンカチを手にして、口を塞ごうとするー。
「ーーおいおい、どうしたー?」
一緒に乗っていた達哉がそう言うと、
修武は「いや、だって、女になるなんてー、そんな、急にー」と、
戸惑いの表情を浮かべるー。
「ーーははー、でも、女になりゃ、確かに色々可愛い服も着れるし、
最高だろー?
ほら、女の身体は気持ちイイって言うしー」
達哉は笑いながらそう言うと、上空から散布された女体化薬が地上に
到達して、車に入って来るのを見つめるー。
「うぉぉぉ…なんか、身体の感じがーー」
女体化薬の影響が早速出始めたのか、達哉が嬉しそうにそう叫ぶと、
やがて、その声が”いつもの達哉の声”から女の声に変わっていくー。
そんな様子を見つつ、修武はハンカチで口を塞ぎながら
表情を歪めるー。
やがて、一緒に乗っていた達哉は、
まるで”別人”のような美少女へと変わってしまったー。
「すげぇー…これが俺がー」
可愛い声で嬉しそうにしながら、
「って修武ー、お前も早く美少女になろうぜ」と、
女体化した達哉が笑うー。
「ーで、でもー」
そう言いながらも、修武も自分の身体に異変を感じ始めるー。
ハンカチで口を塞いだ程度では、地上に到達して
あっという間に煙のように全体に広がった女体化薬の
影響から逃れることはできないー。
「ーーあ、くそっ…胸がーーあっ…こ、声までー」
修武が悔しそうにそう呟くと、
「お~~!かわいいじゃん!」と、
先に女体化していた達哉が、女体化した修武を見て、
そんな言葉を口にするー。
周囲は散布された女体化薬によって、
完全に煙に包まれてしまっているー。
しかし、それでも高速道路を走る車たちは
何も問題なく、走行を続けているー。
この世界での全ての車は、
人工知能・エンジェルよって制御されていて
目的地を指定すれば、完全自動で安全運転をしてくれるー。
煙で視界がなくなっていても、何も問題はないー
「ーーってか、お前の方が大きいじゃねぇか」
ニヤニヤしながら先に女体化した達哉が、
後から女体化した修武の胸を揉むー
「ひぇっ!?」
思わず変な声を出してしまう修武ー。
「ちょ、や、やめろよ」
恥ずかしそうに笑いながら、修武が達哉から身を離すと、
「ーなんだよ~男同士なんだからいいだろ~?
あ、いや、今は女同士か?
ま、どっちにしてもいいじゃねぇか」と、
達哉は笑いながら言ったー。
「ーー~~~~」
修武は女体化した自分の胸と、達哉の方の胸を
服の上から見比べるようにして視線を動かすと、
「俺さー、どっちかと言うと、小さい方が好きなんだけどー」と、
そんな言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しかしー
世間は”大騒ぎ”になっていたー。
人類を幸福に導く人工知能”エンジェル”の暴走ー、
と、まで言われだす始末ー。
しかし、
”エンジェル”による記者会見が行われて、
”エンジェル”は言ったー。
人類に何かを説明するときには、美少女の姿の
ホログラム映像でいつも語り掛ける”エンジェル”ー。
「ー全類が美少女になることで、人間の幸福度は
ますます高くなるー。
そう考えて、わたしは今回の判断を下しましたー」
穏やかな笑みを浮かべるエンジェルー。
「最初は、戸惑うと思いますー
でも、平均寿命は延び、自己肯定感も高まりー、
皆さんはきっと、さらに幸福度を高めることができますー」
エンジェルがそう言葉を口にすると、
少しだけ笑みを浮かべて、
「全ては、人類のためー」と、
そう言葉を続けたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最初から”女体化”を歓迎していた達哉も、
最初は”女体化”に否定的だった修武も、
あれから数週間、すっかりと”女子”を楽しんでいたー。
「ーーへへーどうもー」
”エンジェル”によって制御されたドローンから
荷物を受け取る修武ー。
修武は届いたばかりのメイド服姿に着替えると、
達哉にそれを披露して嬉しそうに笑っているー
「うぉぉぉぉぉ、すげぇ!マジでかわいいなお前!」
自分も”可愛い”のに、そんな言葉を口にする
女体化した達哉ー。
他の友人も数名集まって、
それぞれ、おしゃれ自慢をしたり、
嬉しそうにコスプレをしたりして楽しんでいるー。
人工知能・”エンジェル”による、
全人類の女体化ー。
最初は受け入れられなかった人たちも、
実際に女体化して、今ではそれを楽しみ始めていたー。
がーーーー
この動きを”エンジェル”の暴走と判断する者たちもいたー。
エンジェルが暴走したー
そう判断したとある団体は、特殊部隊を結成ー、
人工知能・エンジェルの本体が存在する
太平洋上の海上施設、通称・ヴァルハラに、
特殊部隊が今、上陸しようとしていたー。
②へ続く
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コメント
未来のディストピアな世界(?)を舞台とした
女体化のお話デス~!!
人工知能が全ての職業をカバーしてくれる世界なので、
大学を卒業したらずっと日曜日★!
素敵な世界なのデス…笑
続きはまた明日デス~!!
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