<女体化>みんな美少女になれば幸せになれます②~作戦~(完)

人類を幸福に導くために作られた
人工知能”エンジェル”ー

そのエンジェルが”全人類は女体化するべき”だと、
そう判断を下したー。

そしてー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーこれより”エンジェル破壊作戦”を開始するー」

人工知能”エンジェル”の本体が設置されている
太平洋に浮かぶ海上施設、通称”ヴァルハラ”にやってきた
特殊部隊たちー。

エンジェルは”暴走”したー。
だから、全人類を女体化させるなどという奇行に走ったのだと、
そう判断した団体が送り込んだ特殊部隊だー。

「はぁ…はぁ…はぁ」
隊員の一人が、”ヴァルハラ”に上陸してすぐに荒い息を
吐き出しているのを見て
「大丈夫か?」と別の隊員が言葉を口にする。

「ーーあ、あぁーただー、
 女体化したせいかなー…男の時のそのままの動きをするのがきつくてー」
と、息を切らしながら特殊部隊隊員の”女”が言うー。

ここに派遣されてきた特殊部隊の人間も当然、
全員が女体化しているー。

まだ、”身体の急激な変化”に適応できていない人間もいるのだー。

「ーーまぁ、気持ちは分かるー。
 が、”エンジェル”を破壊さえすれば、元に戻れるかもしれない」
”可愛い声”でそう言葉を口にする特殊部隊隊員ー。

「隊長、可愛いっすねー」
背後から、他の隊員が揶揄う様にして言うと、
「ー黙れー」と隊長は不満そうに言葉を返したー。

気を取り直して、そのまま女体化した隊員たちが
人工知能”エンジェル”の本体がある施設へと向かっていくー。

が、この”ヴァルハラ”には、
”エンジェル・アイ”と呼ばれる、エンジェル本体とリンクしている
自走式のロボが蠢いているー。

ドローン型のものも存在していて、”外敵”を確実に排除するー。

「ーーー皆さんーこんばんは」

「ー!?!?」
女体化した隊員の一人がビクッとしながら振り返ると、
そこには”エンジェル”がいつも人間と会話する際に使う、
美少女のホログラムが立っていたー。

「ーこんな夜中に、どうかしましたか?」
そう、言葉を口にしながらー。

「ーーーー…っ」
特殊部隊の隊長は少し表情を歪めると、
「ーー施設に”侵入者”が入り込んだとの通報を受け、
 警備のためにやってきましたー」と、”エンジェル”に対して
そう言葉を返すー。

がー、”エンジェル”はにっこりと微笑んだー。

「ー人間の嘘は、顔の筋肉・動き・声・息遣いー
 色々な要素から、簡単に分析できます」
とー。

「ーーわたしを破壊するおつもりですね?」
”エンジェル”が、そう言葉を口にすると同時に、
エンジェル本体が存在する海上施設・ヴァルハラ中に
警報音が鳴り響き始めたー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

人類の女体化は完全に完了したー。

修武も、達哉も、女体化した”自分”を存分に
楽しみながら日々を生活を送っていたー。

「ーお~?修武ー、お前、髪随分短くしたんだなぁ」
女体化した達哉がそう言いながら
「せっかく可愛かったのに、勿体なくね?
 その長さじゃツインテールもポニーテールもできないじゃん」と、
そんな言葉を口にするー。

そう指摘された女体化した修武は少し照れ臭そうに、
「ーいやぁ…最初は楽しかったんだけどさー
 だんだん、洗うのが面倒になってきてー」と、そんなことを口にするー。

「あ~…ま、そりゃ分かるって言えば分かる気がするなー
 ずっと女で、いつも髪が長いなら
 それがふつうなんだろうけど、確かに俺たちにとっちゃ、面倒だよなー」
女体化した達哉も、修武が髪をバッサリと切って短くしたことに対しては
そんな風に理解を示す。

「ーってことで、昨日、バッサリと切って貰ったんだよー」
修武はそう言いながら、男の時とほとんど変わらない長さになった髪を
触りながら微笑むー。

もちろん、”昨日”、修武が利用した美容室も、
人工知能・エンジェルが操るロボットが髪を切ったりしてくれるお店で
”人間”は働く必要はないー。

お金すら必要としておらず、
エンジェルによって人間は完全に”労働”から解放された
生活を謳歌しているー。

「ーでもさ~やっぱ、60歳とか65歳だっけ?
 それまで働き続けていた時代ってヤバくね?
 65まで働き続けたら自由な時間、10年もあるかないかだろ?」
女体化した達哉は、そう言いながら笑うと、
修武も「信じられないよなー…。”労働”やばすぎだろー」と、笑うー。

この時代からすれば、”それ”が当たり前の考えだー。

”人類のお世話”は、何もかも、人工知能エンジェルがやってくれるー。
だからこそーー
”労働”する必要などないし、
それでもあえて、”労働”する人間はこの世界では変わりモノでしかないー。

「ーま、でもこういう状況を”エンジェルのたくらみ”とか言うやつもいるよなー
 俺の友達にもひとりそういうやつがいて、前に面倒だから絶縁したけど」
女体化した達哉は、そう言いながら
”髪の短いお前も可愛いな”と、ニヤニヤしながら、首筋のあたりを見つめるー。

”変な目で俺を見るなよー”と、
小声で不満を口にしながら、
「たくらみって?」と、本題のほうを聞き返すー。

「ーあぁ…なんかー」
缶ビールを手にしながら、達哉がそう言うと、
「ーー”エンジェルは俺たち人間に堕落した生活をさせて、
 機を見て人間を完全に支配するつもりだ”っていうー
 そういう、陰謀論的なやつだよー」と、
そう言葉を付け加えたー。

”お前、女体化してから酔うとエロくて面倒だから
 あんま飲むなよな”と、小声で言いながら、
「ははー…そういうやつはいつ、どこの時代でもいるよなぁ」と、
苦笑いするー。

「”エンジェル”は人類の幸福を追求するために
 作られた人工知能だぜー?
 人間を支配する~!なんて考えてるわけないさ」

女体化した修武はそれだけ言うと、
達哉はビールを飲み干しながら
「だよな」と、そう言葉を口にすると、
「ちょっとさー…へへー気持ちよくなろうぜ」と、
ニヤニヤしながら、修武に抱き着いて来たー。

「ーーおいっ!またかよ!」
女体化した後は、酔うといつもこれだー
そう思いながらも、女体化した修武も、
”最初はお前となんて無理無理!って思ってたけど、最近は慣れて来たよ”と、
自虐的にそんな言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

全員が女体化したことで、
人間は”出産”することができなくなったー。

”男”がいなくなったためだー。

その状況が続き、やがて”エンジェル”は
人類を滅ぼそうとしているのではないか、と、
そんな論調も強まり始めたー。

そして、再び以前、
”エンジェル”を破壊するために
特殊部隊を送り込んだ団体が、
再度エンジェルを破壊するための”作戦”に打って出たー。

「ーー空爆する」

「はい?」

女体化した司令官らしき人物が、
女体化した特殊部隊隊員に言うー。

「あの施設ー、”ヴァルハラ”ごと破壊するという意味ですか?」
隊員がそう確認すると、
司令官は頷くー。

「ーしかし、”エンジェル”のコントロール下にある以外の
 航空機やヘリなんて、もうー」
隊員がそう言うと、司令官は笑みを浮かべたー。

「いやー…あるんだー」
ーと。

地下に秘密裏に隠されていた”エンジェル”が搭載されていない
戦闘機を得意気に見せると、司令官は
”ヴァルハラを爆破しろー。人工知能ごときに人類は支配させない”と、
そんな言葉を口にするのだったー。

翌日ー。
人工知能・エンジェルが設置されている
海上施設”ヴァルハラ”に爆撃が行われようとしていたー。

がー、既にその情報は漏れーー、
”ヴァルハラ”に設置された砲台からの猛攻を受け、
戦闘機は全て破壊されたー。

しかもーーー

「ーーえっ…?」
死を覚悟していたパイロットは、
そのまま、人工知能が操る救助機に救出されて、
”ヴァルハラ”の内部へと案内されていたー。

そこにはーー
以前、ヴァルハラ破壊作戦に参加した女体化した兵士たちの姿もあったー。

しかもー、豪華な料理が用意されて、その兵士たちはもてなされているー。

「ーーえ……こ、これはー」
パイロットの女ー…”元男”の彼は戸惑いながら表情を歪めると、
先にいた兵士たちが言ったー。

「ー”エンジェル”は人間に危害を加えようとなんてしていないよー」
とー。

「ほら、エンジェルを破壊しようとした俺たちだって、
 こんな風に歓迎されて、美味しいモノも食べ放題だし、
 可愛い服だって着放題なんだぜ」

お姫様のような服装をした女体化した元兵士が言うー。

たった今、エンジェルを破壊しようとして撃墜されたパイロットが
戸惑っていると、
”エンジェル”がホログラム映像で語り掛けて来たー。

「ーわたしを不安に思う気持ちは分かりますー。
 ですが、わたしは人間に危害を加えるつもりはありませんー
 だから、わたしを破壊しようとしたあなたたちも、こうして救ったのですー

 もちろん、ここから帰るのも自由ですし、
 ここで過ごすのも自由ー。」

そんな”エンジェル”の言葉に、
パイロットの女は戸惑いながらも
”この人工知能は、本当に俺たち人間のことを考えてくれているんだー”と、
そう心の中で呟いて、「ーすまなかったー」と、言葉を口にするのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

女体化した修武と達哉は、
街中を歩きながら、
「そういや、最近は”エンジェル反対”みたいなやつらも
 見かけなくなったよなー」と、
達哉がそう言葉を口にするー。

達哉はすっかりおしゃれになって、
髪からメイク、服装まで何もかもおしゃれだー。
女体化した直後から、そのことを喜んでいたし、
当然と言えば当然なのかもしれないー。

一方の修武の方は、女体化した直後でこそ、新鮮だったからか
それを楽しんでいたものの、
今は髪をバッサリと切って短くしたままである上に、
服装も男の時に着ていたようなラフなものばっかりになっていたー。

がー、女体化したこと自体は後悔はしておらず、
”どちらかと言うと、幸せになった気がするー”と、
そんな言葉を口にして、人類を女体化させる決断を下した
人工知能・エンジェルの判断は”正しい”と、そう思っていたー。

「ーー確かにー。まぁ、っていうか”エンジェル”壊したら
 人間、65ぐらいまで労働しなくちゃいけなくなるし、
 そんなことしようとするやつら、馬鹿だろー」

女体化した修武は笑いながら言うー。

「ーははー確かにー。
 こうやって毎日遊び歩けないとか、
 何のために生きてんのか分からなくなりそうだよな」
女体化した達哉も笑うー。

”エンジェル”は、全人類を女体化させて
”子孫”を作れない状態にし、
人類を絶滅させようとしているー。

そんな風に疑心暗鬼になる人間が、
女体化以降現れて、破壊活動まで行われたー。

人工知能・エンジェルはおかしくなっただとか、
暴走してしまっただとか、
そんなことを言う人間もいたー。

がー、結果的にそれは間違いだったー。

エンジェルは暴走などしておらず、
全人類を女体化させた方が、人間は幸せになると
人類のために本気でそう判断して、それを実行したのだったー。

”男女”の隔てがなくなることで争いやトラブルが
結果的に減るとエンジェルは計算ー、
男か、女か、全人類をどちらか片方に統一しようと考え始め、
結果的に、平均寿命の長さなどから、
女体化の方が選択されたー。

そしてーーー
”子孫”の問題もエンジェルはちゃんと考えていたー

エンジェルは全人類を女体化させたのちに、
”人間を人工的に作り出す”ための準備や研究を自動で開始ー、
7年後には”女”しかいない世界で子供を作ることができるようになっていたー。

自動的に人口の数を計算しながらエンジェルが人間を作り出すほか、
”自分の遺伝子を受け継ぐ子供”が欲しい人向けには、
エンジェルが人工的に妊娠させるシステムも構築したー。

人工知能・エンジェルは暴走などしていないー。
”人間のためのディストピア”をこれからも、
作り上げていくー。

永遠にー。

「ーーーーーで、今日はどこに行くー?」
女体化した達哉がそう言葉を口にすると、
修武は笑みを浮かべたー

「ーそういや、あの映画の続編が昨日から公開されているんだけど、
 それ見に行こうぜー」
修武がそう言うと、達哉は「いいねー」と、そう言葉を口にして
映画館へと向かうー。

映画館のスタッフも、もちろん全てロボットー。
映画は”実写と区別がつかないCG”で、”エンジェル”が、人間が映画を作っていた頃と
変わらないペースで、映画を作っているー。

何でもできる人工知能・エンジェルー。

それによって、全人類が女体化したこの世界は、
この先も、エンジェルによって平和を謳歌していくのだったー

おわり

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コメント

前に全人類が女体化して、結果的に絶滅してしまう~!
みたいなお話は書いたので、
今回は、悪意のない全人類女体化のお話でした~!!!

ずっと遊び放題のこの世界…!
なんだか、いずれやることがなくなっちゃいそうな気もしますネ~笑

お読み下さりありがとうございました~~!

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