<入れ替わり>そのツラ拝んでやろう②~向こう側~

ネットを通じて入れ替わりを
行うことができる男ー。

彼は今日も、自身に対して誹謗中傷を仕掛けて来る相手と
入れ替わって、その”顔”を拝んでいたー。

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明らかな”捨てアカウント”ー
美少女アイコンのアカウントー、
長文で誹謗中傷を繰り返すアカウント。

この3つの持ち主と、自身の能力で入れ替わることにした
昌義は、笑みを浮かべながら
早速、最初のターゲットとの”入れ替わり”を実行に移したー。

最初のターゲットに選んだのはー
”美少女アイコンのアカウント”ー

入れ替わった直後ー…
昌義は「あ、あ~~…」と、相手の身体で声を出すと
「ーあ~…やっぱ男かー」と、そう言葉を口にするー。

”お菓子作りが好きな女子です”などと自己紹介をしていたものの、
毎回、お菓子の背景が違っていることから、
拾い画でも集めているのだろうと、そう思っていたし、
確認したところ、他人へのリプでは普通に男みたいな口調で
暴言を繰り返していたため、
”そうじゃないか”とは思っていたー。

が、案の定だったー。

今までも入れ替わりを繰り返した結果ー、
”美少女の自撮りアイコン”は偽物も多いー。
”男”であるほか、女でも”加工”であったり、
若い頃の写真を使っていたり、色々だー。

もちろん”本物”もそれなりにいるけれどー、
偽物もそれなりにいるー。

「ーー設定がガバガバすぎるだろ」
お菓子作りの写真の風景や、手の雰囲気がいつも違うことに呆れ、
そう呟きながら、その男の名前が田上 恵一(たがみ けいいち)で
あることを確認すると、
恵一(昌義)は、部屋を出て周囲の様子を伺うー。

1階にこっそり行くと、母親らしき人物がいるのが見えて
もう一度部屋に戻るー。

調べた感じ、どうやら実家暮らしのニートのようだー。

「ーーまぁ、ニートは色々事情があるとしても、
 こんな書き込みばかりしてると、親が泣くぞ」
恵一(昌義)はそれだけ言葉を口にするー。

一方、昌義になった恵一は、
あまりの恐怖に昌義の身体で、ビビッて漏らしてしまっていたー。

いつも通りー、
昌義の屈強な身体や、壁に貼られた昌義からのメッセージに呆然とし、
真っ青になって震えるー。

「ーー…な、なんだコイツー絶対、絶対ヤバい奴だー
 ど、どうするー?どうするー?」
ガクガク震えながら、昌義になった恵一は、
目から涙を溢れさせるー。

そうこうしているうちに、10分ほどで
”入れ替わり”は解除され、恵一は自分の身体に戻ると、
自分のアカウント上に”実はこれが俺なんです”と、
勝手に自撮りと共に投稿されているのを見て、青ざめるー。

既にフォロワー数がかなり減っているー。

「ーあぁ、くそっー…!」
震える恵一。

が、「いや、それよりもー」と、昌義に謝罪のメッセージを
慌てて送ると、
”俺の身体で漏らしやがったな?”と、昌義からそんなメッセージが
帰ってきて、悲鳴を上げたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーさて、次だー」
漏らされた昌義は、その処理を終えると、
次は、”捨てアカウント”で、誹謗中傷してきた相手と
”入れ替わり”を実行するー。

「ーーぅ」
いつものように入れ替わって
”相手”がどんな人物かを確認しようとするー。

がー、その直後だったー

「ーーママ~…」

「ー!?」

入れ替わると同時に、そんな言葉が聞こえてきて、
バッと、声がした方向を向くと、
そこには小さな子供がいたー。

「ーー母親!?」
思わずそう声を上げると、
その子供は「ママ~?どうしたの~?」と、
そう言葉を口にするー。

改めて、状況を確認すると
”捨てアカウントで誹謗中傷”してきていたのは、
子育て中の母親で、しかも子供のすぐそばで、
平然とした顔をして、誹謗中傷を行っているようだったー

「マジかー」
そう言葉を口にすると、
身分証を探すのが面倒に思った昌義は
「え~っと、ママの名前、なんだっけ~?」と、
クイズを出題するかのように、
名前を確認するー

「えーー…えっとーママはママだよー」
まだ母親の下の名前を上手く認識できていないのだろうか、
そう言葉を口にする子供ー。

ママ(昌義)は、戸惑いながらも、
「しっかし、自分の母親がこんなことしてると知ったら
 このガキはどう思うかなー」と、そう呟くと、
”まぁ、まだこんなに小さいと分かんねぇか”と、
そう思いながら、
言葉を口にするー。

「ーちゃんと、お腹いっぱいご飯食べてる?」
とー。

”ママ”のフリをしながらそう確認するママ(昌義)ー

「え?うんー!
 ママがいつもいっぱい作ってくれるから!」
子供がそう言葉を口にするー。

続けて「ママ、イヤなことしてたりしない?」と、
そう確認すると、
子供は「え?何もないよー。ママ、大好き」と、
そう言葉を口にしたー。

「ーーーーそ。ならいいよ」
ママ(昌義)はそう言葉を口にすると、
パソコンの画面のほうを見つめるー。

少しパソコンを操作すると、
どうやら、昌義相手だけではなく、
色々な相手に誹謗中傷を繰り返している様子を
見て取ることができたー。

「こりゃひでぇなー」
ママ(昌義)が、ボソッとそう呟くー。

そして、パソコンに何かを入力すると、
”ま、とりあえずガキの面倒はちゃんと見ていることが
 救いだけどー、
 この調子だといつか、他のやつらから訴えられるぞ?”と、
そう心の中で呟いてから、
数回だけ胸を揉んで、そのまま”入れ替わり”を解除したー。

「ーーーーーー!」
入れ替わりを解除されて、自分の身体に戻った”ママ”は
青ざめていたー。

これまで入れ替わった他の人々と同じく、
昌義が”どんな人間なのか”を、昌義と入れ替わっている間に
見せ付けられたからだー。

「ーーーー」
自分の身体に戻ってからもガタガタと震えるママー。

「ーーママ~?」
不安そうに、そんな母親を見つめる子供の声に気付くと、
「え?あ、うんー…」と、それだけ返事をしてから
パソコンの画面の方に視線を移したー。

”馬鹿なことしてねぇで、子供を大事にしろ”

と、そう入力された画面を見て、
”ママ”は、震えると、
SNSを開いて、昌義のアカウントに
謝罪の言葉と、子供を大事に育てることを誓うメッセージを
送信するのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーククーそうかー。それでいいー」
昌義は、”ママ”からのメッセージを受け取ると、
少しだけ満足そうにうなずいてから、
「さてー」と、”入れ替わることにした”
3つのアカウントのうちの、最後の一つを見つめるー。

最後のひとつは、妙な長文で
誹謗中傷をここ数日、繰り返しているアカウントだー。

「ーへへっ、暇人すぎるだろー
 見ず知らずの相手にこんな長文送りつけてー。

 しかも、俺は楽しんでるから読むけどー、
 大体のやつは、こんな長文で文句言っても
 内容なんか読んでねぇぞー? 多分」

昌義は、それだけ言葉を口にすると、
その相手と入れ替わるー。

相手は、”受験中”の男子高校生だったー。

いつものように、相手の情報を確認した昌義は
入れ替わりを解除したあとに、
謝罪のメッセージを送ってきた男子高校生を前に、
”勉強しろ。志望大学に行け”と、だけメッセージを送り返したー。

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その日ー、
昌義は、また誹謗中傷してきたアカウントを見つけると、
呆れ笑いを浮かべながら、
入れ替わりを実行したー。

相手はーーー
”逃亡中の指名手配犯”だったー。

「マジかー。逃亡中に誹謗中傷とか、馬鹿だなー
 しかもネットカフェで」

昌義は逃亡中の指名手配犯・唐田 達樹(からた たつき)の
身体と入れ替わると、
「こいつ、確か一人殺してるよなー?」と、
以前見かけたニュースを思い出しつつ、苦笑したー。

「こういうやつは、俺の姿を見てもビビらねぇかもなー」
達樹(昌義)は、そう言葉を口にしながら、
「ーま、こういう奴は容赦なく叩き潰せる」と笑みを浮かべると
そのままスマホを手にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーあ?なんだこりゃ?」
昌義と入れ替わってしまった逃亡犯・達樹は
昌義の姿を見つめながら、困惑していたー。

他の入れ替わった人々が”見た”のと同じものを
彼も見るー。

昌義自身のあまりにも威圧感のある姿に、
壁に貼られた昌義からの伝言ー、
パソコン上の威嚇するかのようなフォルダ名ー、
若い頃の仲間との写真ーー

「ーーーおいおい、いったいどうなってるー?」
が、昌義の予想通り、逃亡犯である達樹は、
それを見ても気圧されることなく、
「ーーくそっ!何が起きたんだ!?」と、表情を歪めるー。

昌義になった達樹は、”昌義”に対して恐れるようなことは
なかったものの、
逃亡中の身であるが故に”入れ替わり”という訳の分からない
現象が起きたことには心底混乱していたー。

「ーーぐ…何で俺がコイツの身体にー」
自分が、誹謗中傷した相手の身体になっていることは理解しつつも、
”何をされてこうなったのか”が、分からずー、
昌義(達樹)はウロウロし始めるー。

そして、やがて「おい!身体を返しやがれ!」と、
パソコンの画面に向かって叫ぶー。

が、当然返事はないー。

「ーーーーいや、待てよー…
 こいつが誰だか知らねぇけど、もし、こいつが俺の身体になってるならー…
 むしろ、これはラッキーなんじゃねぇかー?」
ニヤッと笑う昌義(達樹)ー

達樹は逃亡犯ー。

この”昌義”が何者かは、達樹は知らないー。
が、少なくとも家らしき場所にいる以上、
達樹のように逃亡する状況にある人間とは思えないー。

それならばー

「ーへへーこの身体、ありがたく頂戴するぜ」
昌義(達樹)は嬉しそうに笑うー。

が、その時だったー
昌義になった達樹は”あること”に気付くー

「こいつー…」

しかしーそれと同時にー…
「ーーー!?!?!?!?」
突然、”ネットカフェ”の店内に戻ったことに気付くー

「ーーなっ!?」
すぐに、自分自身の身体に戻ったことを確認すると、
達樹は「ーく、くそっ…なんだったんだー!?」と、
そう言葉を口にして、立ち上がろうとするー。

しかしーー

「ーーぁ…?」
足が縛られていて、身動きを取ることができないー。

「ーお、おいっ!?!?!?えっ!?」
もがく達樹ー。

やがてーーー
”入れ替わっている間”に、達樹(昌義)がスマホで自ら通報したことによって
警察官が駆け付け、逃亡犯・達樹はそのまま逮捕されてしまうのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」
自分の身体に戻った昌義は、その翌日ー、
”唐田 達樹”が逮捕されたことを知り、
笑みを浮かべるー。

「ーまぁ、逃亡中にネットで誹謗中傷なんてしないこったな」
昌義は、それだけ言葉を口にすると、
少しだけ笑いながら、
「さてさて、今日も暇人がたくさんいるな」と、
”本業”である自ら立ち上げたSNS関連の事業を進めていきつつ、
”入れ替わる相手”を探すー。

「お~お~…こいつがいいな」
暴言を吐きまくるアカウントを見つけて、昌義は
いつものように”入れ替わり”を実行に移すー。

「ーーーーーーーー!」

がー、
入れ替わった昌義は、少しだけ表情を歪めたー。

その相手にー
見覚えがあったからだー。

「ーーー……おいおいおいおいー」

今日ー、昌義のアカウントに誹謗中傷をしてきた相手は、
5つほど歳が離れている現在20代中盤の妹ーーー…
百恵(ももえ)だったーー

「ーーおいおいー…マジかー」

百恵は、両親が離婚し、母側の方に引き取られた妹だー。
昌義が、20の時までやりたい放題をしていたことで
既に絶縁状態ー。

こんな形で再会するとは思わなかったー。

「ーーーー…妹がネットで誹謗中傷してるってのはなかなかーー」
百恵(昌義)はショックを受けながらそう呟くと、
「まぁいいー」と、そう言葉を口にしたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー最近、多発している”謎の事件”の
 容疑者が判明しましたー」

そう言葉を口にするのは、警察官の男ー。

「ーーおぅ」
年配の警察官が、そう言葉を口にしながら部下から
書類を受け取ると、
その書類に記載された男を見て呟くー。

「伊佐山 昌義 かー」

”謎の入れ替わり現象”ー。
昌義に入れ替えられた人間の一部から、
その話が広まりー、警察の捜査も進んでいたー。

そして、今日、この日ー
ついに警察は昌義の仕業であるというところまで
たどり着いていたー…。

③へ続く

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コメント

次回が最終回デス~!!

どんな結末が待っているのか、
楽しみにしていて下さいネ~!

今日もありがとうございました~~!!

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