<憑依>あなたの大事な人の魂はこの中よ③~真相~(完)

豹変した彼女と、
消息を絶った親友とオカルトサークルの女ー。

その裏に潜んでいる”真相”とはー?

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「ーーーふふふー」
美香は、今日もお姫様のような格好をした自分の姿を
姿見で見つめながらうっとりとした表情を浮かべていたー

「ーーかわいいー…かわいいー♡」
自分の頬を触りながら酔いしれたような様子で
笑みを浮かべるー。

そしてー、中でキャンドルが輝く透明なケースを手にしたまま、
美香はうっとりとした表情を浮かべると、
「ーーわたし”が”美香ー」と、嬉しそうに笑みを浮かべたー。

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「ーーー」
秀幸は、大学で聞き込みを終えて、
新しい”推理”を組み立てていたー。

当初、オカルト系サークルに所属している
雪田 麗子が”乗り移りの術”の練習をしていてー、
親友の栄吉がそれを目撃、邪魔をしてしまったことから
栄吉は消されて、麗子が美香に憑依した、と
そう考えていたー。

麗子は”容姿に恵まれた子”に対して
憎しみを向けるようなことがあったー、というのは事実のようで、
それはここ最近の聞き込みでも確認することができていたー。

けれどーーー
どんなに情報を集めても、
オカルト系サークルで雪田 麗子が”乗り移りの術”などと言うのものの
練習をしているような目撃談は得られず、
オカルト系サークルで彼女と親しかった子たちも、
そのことは知らなかったー。

もちろん、単に雪田 麗子が”乗り移りの術”を隠れて練習していた可能性は
十分に考えられるー。

しかし、親友の栄吉がスマホで”憑依”について調べて
ニヤニヤしていたこと、
そして以前、栄吉が雪田 麗子と揉めていたということを聞いて、
さらに調べていくうちに、秀幸は”新しい推理”にたどり着いたのだー。

”美香に憑依しているのは、雪田 麗子ではないのではないか”
とー。

「ーーーーー」
帰宅した秀幸は、憑依されている美香がいる部屋に行くと、
美香は、お姫様のような白いドレス姿で鏡に夢中になっていたー。

「ーーー美香ー」
秀幸がそう言葉を口にしてから、
意を決して言葉を続けたー。

「ーー栄吉ー?」
とー。

「ーーー」
振り返る美香ー。

親友の栄吉は、
雪田 麗子と度々トラブルを起こしていたー。

その理由はー、”元カノ”にある様子だったー。
半年以上前にその彼女とは”別れた”と聞いていたものの、
その”別れた”理由が、雪田 麗子にあるようで、
栄吉の”元カノ”は、麗子のオカルトじみた助言を真に受けて、
栄吉に別れを切り出したのだと言うー。

それを聞いた栄吉は激怒し、雪田 麗子と度々トラブルになっていたのだとかー。

親友ではあるものの、もちろん秀幸も栄吉のことを全て知っているわけではないし、
栄吉は、秀幸の前ではネガティブなことをあまり言わないようにしていたことも
あって、秀幸はそのことを知らなかったー。

”いつかあの女に仕返ししてやるんだー”
栄吉は、秀幸以外の親友にはそんなことを語っていたのだと言うー。

そしてーーーーー
秀幸の前では絶対に言わなかったもののー、
秀幸とは接点のない”友人”に、こう漏らしていたのだというー。

”藤堂さん、可愛いよなー”
とー。

藤堂さんとは、秀幸の彼女の”美香”のことだー。
美香のことを”かわいい”と、栄吉は度々、周囲に漏らしていたのだー。

それらを全て知った秀幸は確信したー。
”美香に憑依しているのは、雪田 麗子に罪をなすりつけようとしている栄吉”だとー。

「ーー栄吉だよなー?」
秀幸は、再度そう言葉を口にすると、美香は「あらー…」と、
笑みを浮かべながら秀幸のほうを見つめるー。

「ーー栄吉、お前は雪田 麗子に恨みを持ってたー。
 以前から、何度もトラブルになっていたらしいなー」
秀幸はそう言うと、
”憑依薬”について調べてニヤニヤしていたこと、
そして、秀幸の彼女であり、現在憑依されている”美香”のことを
可愛いと度々漏らしていたことも口にしたー。

「ーー栄吉、憑依薬を手に入れたお前は
 美香に憑依しようとしたー。
 けどー、その前に、お前が大嫌いな雪田 麗子も陥れようとしたー。

 たぶん、お前は俺に”乗り移りの術の練習をしていた”とか、
 ”俺が消えたら、雪田 麗子のせいだと思ってほしい”とか、
 わざとないことを言っておいて、
 それで、雪田 麗子を憑依薬の力で”始末”して、
 ”全部 雪田 麗子のせい”にして、それで、美香に憑依したー」

秀幸は、推測した”答え”をぶつけるー。

憑依薬を手に入れた栄吉は、かねてから気に入っていた美香に
憑依して、美香を乗っ取ろうとしたー。

が、その前に雪田 麗子に”仕返し”をしようと、
秀幸に”嘘”を言って、”雪田 麗子”の犯人フラグを立てた後、
憑依薬を使って、雪田 麗子に憑依、
雪田 麗子を始末して、その後美香に憑依したー

それが、秀幸の推理ー。

「ーーー”その箱”についても調べたー」
秀幸はそう言うと、スマホのサイトを表示するー。

憑依された美香が手にしているのは、
”憑依した時”に追い出された魂を”閉じ込めておくため”の
”魂を封印する箱”ーー
使用された憑依薬は、”憑依した時に元の身体の持ち主の魂”を
追い出すタイプで、追い出された魂はやがて消滅してしまうー。
それを防ぐために、憑依薬とセットになっているもので、
本来、憑依薬で”永遠に身体を乗っ取る”ことは想定されておらず、
一時的に、憑依された人間の魂をこの特殊なケースの中に保管、
そして元に戻すために存在しているケースだったー。

完全に”美香”を乗っ取るつもりであれば、必要ないものだー。
美香の魂が消えてしまおうと、関係ないからだー。

しかしー、
”美香”本人の魂も消したくなかったのか、
それを封じ込めて、手にしていたー
キャンドルの炎のように見える光は、美香の魂本体でー、
魂は今、その箱の中に閉じ込められている状態ー。

「ーー栄吉ー、
 ”雪田 麗子”のフリはもうやめろー!
 美香の身体から出ていけー」

美香に憑依している栄吉は、美香に憑依した犯人を
雪田 麗子だと思わせて名誉を汚そうとでもしたのだろうかー。
女のような言動を繰り返しているー。

が、その芝居も終わりだ、と、秀幸は言うー。

しかしーーー
美香は笑いだしたーーー

「ーーー凄い推理ねーーー”90点”ー」
と、そう言いながら笑う美香ー。

「ーーー90点ーーー…?」
秀幸が表情を歪めると、美香はクスクスと笑いながら言ったー。

「ー憑依薬については、正解ー
 ”あなたの大切な人の魂はこの中”に封印されているー
 前も言った通りねー」

美香はそれだけ言うと、秀幸のほうを見つめながら続けるー。

「柴田栄吉と雪野麗子の間のトラブルも正解ー
 柴田栄吉が憑依薬を手に入れたのも正解ー。
 柴田栄吉が美香に憑依しようとして、その前に雪田麗子を始末しようとしたのも正解ー」

美香はそう言いながら、不気味に微笑むー

「ーじ、じゃあ、何が違うって言うんだー!?」
秀幸がそう叫ぶと、
美香は笑ったー。

「ーーでも、わたしは”女のフリ”をした柴田栄吉じゃないー。
 わたしはー雪田麗子よー」

とー。

「ーーー…!?」
秀幸が表情を歪めると、
美香は言ったー。

「あなたの推理通りー、柴田栄吉は、この子に憑依する前に
 わたしを始末しようとしたわー

 けどねーー」

美香はそこまで言うと、歪んだ笑みを浮かべながら言うー。

「ーー”柴田栄吉”ーー
 あのバカな男子は、わたしに返り討ちにされちゃったのー

 ふふーははははっ」

美香は嬉しそうに笑うー。

栄吉はーー、美香に憑依しようとして憑依薬を手に入れたー。
そして、美香に憑依する前に、かねてから対立していた麗子を始末しー、
秀幸には”憑依”の犯人を麗子だと思わせるように、”偽装”もしていたー。
”乗り移りの術”なんてものを練習していた事実は全くないのに、
そう秀幸に嘘を伝えたー。

けれどーーー
憑依薬を手に、麗子に憑依して、麗子を始末しようとした際にーー
栄吉は逆に麗子に憑依薬を奪われて憑依されてしまったー。
”憑依”など、本当にできるとは思っていなかった麗子ー。
けれど、栄吉が憑依薬を使おうとしたことでその存在を知り、
栄吉からそれを奪い、麗子が”憑依”を使い始めたー。

憑依された栄吉は、山中奥深くの川で自ら川に身を投げて”自殺”ー。

麗子に逆に始末されてしまったのだー。

そして、栄吉によって”憑依薬”の存在を知り、
それを奪った麗子は、
栄吉が憑依しようとしていた美香に憑依したー。

「ーーーふふふふーあなたのお友達は、もう川の底ー」
美香はそれだけ言うと、
「ーそして、かわいいこの身体も、わたしのものー
 うっふふふふふふ♡」と、狂ったように笑い始めたー

「く、くそー…え、栄吉じゃなくてーゆ、雪田 麗子だったのかー…
 け、けどーどっちだって関係ない!美香を返せ!」
真実を知った秀幸が、そう言葉を口にするー。

美香は「いやだー。わたしはもう、”美香”なんだからー」と、
そう言葉を口にすると、「元の美香ちゃんの魂は消しちゃってもいいんだけどー」と
そう言いながら、魂が封印された箱を手に、美香は笑うー。

「ーあたらしい”わたし”の姿を見せてあげようと思ってー」
と、悪趣味な笑みを浮かべながら笑うー。

「ーーぐーー…こんなこと許されるものかー…警察にー」
秀幸はそう言葉を口にするー。

しかし、それをも美香はあざ笑ったー。

「ーーー無駄よー。”憑依”なんて誰が信じるのー?
 仮に信じたとしてもー、そんなことを罰する法律はないー」
憑依されている美香はそう言うと、
「ーわたしはーず~っとずっと、ブスだって馬鹿にされてきたー
 でも、今は違うー
 これからのわたしはー 見て…ほら、こんなに可愛いのー
 うふふふふふふ♡」
と、嬉しそうに笑うー。

「ーみ、美香を返せ!」
まるで美香じゃない”目の前の美香”に対して怒りに震える秀幸ー。

「ーふふふー
 ”古い美香”は、この中ー。」

ケースを手に、美香は笑うー。

「ーーーーーー」
秀幸は困惑の表情を浮かべながら
不気味な笑みを浮かべている美香と、
美香本人の魂が入ったケースを見つめるー。

そしてーー

「美香!ごめんー!」
秀幸はそう叫ぶと、お姫様のような格好をして邪悪に微笑む
”憑依された美香”にタックルするー。

こうなったら”実力コース”だー。

美香の手から、美香の魂が入ったケースを奪い取ると、秀幸は
それを手に、美香から逃げ出すー。

「ーーー!待って!」
憑依された美香が叫ぶー。

がー、秀幸はそれを振り払うと、
ケースを手に家を飛び出したー。

「ーー美香の魂は取り戻したー
 あとは、これをどうにかしないとー」
そう思いながら、秀幸はこの状況をどうにか出来そうな知り合いや場所は
ないかどうかを考えるー。

そして、大学の教授の一人の顔を思い浮かべると、
「ーそういえば、人の魂とかそういうのにあの人、詳しかったようなー」
と、そう言葉を口にするー

がー
その時だったー。

「ーー!?」
美香の魂が入っているケースの中の
”光”が突然消え始めるー。

「ーーみ、美香!?」
この”光”は、美香本人の魂ー。
しかし、それが突然、輝きを失い始めて、
ついにー…”消えて”しまったー

「ーそ、そんなー…う、嘘だろー!?お、おいっ!?」
この光が消えたということは”美香の魂”が消滅したことを意味するー。

呆然とする秀幸ー。

やがて、秀幸は慌てて家に戻ると、
まだその場にいた、”憑依された美香”にケースを見せながら
「ー美香の魂に何をした!?」と、そう叫ぶー。

しかしー
”憑依された美香”は「わたしは警告しようとしたわよー」と、
ケースを奪って家を飛び出そうとした秀幸を
止めようとした際のことを口にしたー。

その上で、こう、続けたー。

「ーーー”身体”と”魂”は、繋がりの深いものー。
 無理に身体と魂を引き離せば、魂は消滅するー」

とー。

「ーーな…なにー…?」
秀幸は呆然とするー。

「ーあなたが、”その魂”を持って、逃げたからー
 ”この身体”から遠くに離れたからー
 だから、美香は消えちゃったのー」
クスクスと笑う憑依された美香ー。

美香の魂が消えてしまったのはーー
秀幸が、魂の入ったケースを手に
”美香の身体から離れてしまった”からー。

「ーーーそ…そんなーーー」
呆然とする秀幸ー

お姫様のような格好をした美香は微笑むー

「ーあ~あ、古い美香ちゃん、消えちゃったー
 美香ちゃんが消えたのはーーー
 あなたのせいよー? ふふ」

美香はそう言葉を口にすると、
「ーーあ~…今日もわたしってばかわいいー」と、
嬉しそうに鏡を見つめながら微笑むー。

美香が消えてしまったー。
美香は、もう元には戻らないー。

雪田 麗子に憑依された美香が鏡の前で微笑む背後でー
秀幸は呆然としたまま、涙を流すのだったー

おわり

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コメント

最終回でした~!★
恐ろしい結末になってしまいましたネ~…!

ここまでお読み下さりありがとうございました~~~!☆☆!

コメント

  1. TSマニア より:

    栄吉と見せかけて麗子だったんですネ!!

    今回も流石な展開ですネ!★

    やっぱりダークな展開でしたネ(-_-;)汗

    乗り移りの術は嘘だったんですネ!!

    危うく自分もオカルトサークルに入るところでした笑

    自分も憑依薬手に入れて、こっそり短時間、無名さんのカラダに憑依しちゃうのデス~(*´艸`)笑

    ひとりコスプレショー楽しんじゃうのデス☆\(^o^)/☆笑

    • 無名 より:

      ありがとうございます~~!☆

      乗り移りの術の練習は
      オカルトサークルではしてなかったので、
      入らなくて良かったですネ~笑