突然の訪問者に乗っ取られてしまった彼女ー。
”乗っ取るところ”を目撃されたにも関わらず、
彼女を乗っ取った男は、
まるでお構いなしでー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ぐー……で、でも通報すれば、
警察だって色々調べてくれるー!」
怒りの形相のまま、そう言い放つ輝之ー。
「ーははは、どうかなぁ?
こうして”わたし”はふつうにしているわけだし?」
ケーキを手で食べながら、汚れた手を
ペロペロと舐める遥香ー
「ーーーん?」
遥香は、ニヤニヤしながらケーキの飾りに
”はるか”と書かれているのを見て、
「あ~~~」と、頷くー
「今日はこの女の誕生日なのかーへへー」
と、そう呟きながらー。
「ーーーー……も、もしもしー」
ふと、輝之の声が聞こえて遥香は輝之の方を見つめるー。
乗っ取った遥香が”誕生日”であることに気付いて
ニヤニヤしているうちに、輝之はついに警察に通報したようだー。
警察に一生懸命事情を説明している輝之の方を見つめながら
遥香は「無駄っつーの」と、小声で呟くー。
「ーで、でも、確かに見たんですー!調べるだけでもー」
輝之の表情が、みるみるうちに焦りの色に染まっていくー。
そんな様子を、遥香は鼻で笑うと、
「ー馬鹿なやつ」と、そう言葉を口にしながら、
再びケーキを雑に食べ始めるー。
「ーん~~…俺はケーキ、あまり好きじゃねぇけど、
こいつの口には合うみたいだなー
いつもの2倍、いや5倍ぐらいケーキがうめぇ」
遥香はそう言葉を口にすると、わざと手についたクリームを
ぺろぺろと舐めながら、
「うめぇなー…ケーキも、この女の指もー」と、
指についたクリームを舐め尽くしてからも、下品な笑みを
浮かべながら指を舐め続けるー。
「ーそ、そんなー…ほ、本当なんですー!
今も彼女はそいつに身体を勝手に動かされててー!」
輝之はなおも、電話で警察に向かってそう叫んでいるー。
その姿を見つめながら、遥香を乗っ取った男は思うー。
”ーまさか、目撃されちまうとは思わなかったけどー…
まぁ、”ああなる”のは目に見えてるしー
誰も信じやしねぇさー
それにーー”
遥香はニヤッと笑みを浮かべるー。
”どのみち”ー…
目撃されなかったとしても、
彼は”打ち明ける”つもりだったのだー。
だから、目撃されても関係ないー。
当初の予定通りだー。
「ーー戸惑う彼氏や夫との”共同生活”はたまらねぇからなーへへー」
そう言いながら、ケーキをもう一口、口に運ぶ遥香ー。
やがて、輝之は電話を終えて悔しそうな表情を
遥香に向けるー。
「だから言っただろ?警察に通報しても信じてもらえねぇってー」
遥香がそう言うと、
輝之は一層、悔しそうな表情を浮かべたー。
その表情から察するに、信じてもらえなかったのだろうー。
「ーー…だ、だったらーー」
輝之が、スマホを手に”遥香の母親”に電話を始めるー。
「ーーへへー
今度は誰に電話するつもりだよー?」
遥香がそう言うと、輝之は「ー遥香の親だよー」と、
そう言葉を口にするー。
「ー!」
遥香は少しだけ驚いたような表情を浮かべるー。
「ー遥香のお母さんに事情を説明して、
話をしてもらうー。
娘のことはよく分かってるだろうしー、
”今のお前”と話せば、きっと、分かってくれるー」
輝之は悔しそうにしながら言うー。
警察に信じてもらえなかったとしても、
とにかく、少しずつ遥香の異変を周囲に伝えて、
どうにかするしかない、と、そう思ったのだー。
「ーーーーだから無駄だって言ってるだろー?
”娘が男に乗っ取られた”なんて信じる親がいると思うかー?」
遥香は余裕の笑みを浮かべながら、
「ーそろそろ俺は風呂に入るぜー。こいつの身体でよー」と、
そう言葉を口にしながら移動を始めるー。
「おい!ちょっと待て!」
輝之がそう叫ぶと同時に、遥香の母親に電話が通じたのか、
「あ、お世話になってますー。笹島ですー」と、
輝之は急に丁寧な口調で電話の向こうに向かって話し始めるー
「ーー…」
遥香は冷たい表情を浮かべたまま、その様子を見つめるー。
やがて、遥香の母親に事情を説明した輝之が、
遥香にスマホを手渡そうと差し出すー。
「ーー”遥香のお母さん”がお前と話をしたいってさー」
輝之の言葉に、遥香は表情を歪めるー。
「ーーーーケーキ触った手だけど?」
遥香が少しだけ不満そうにそう言うと、
輝之は「別にいいよー。とにかく話せー」と、そう言いながら
遥香にスマホを手渡したー。
がーー
遥香はニヤッと笑みを浮かべると、
「あ、もしもしお母さん~?」と、
いつもの遥香の口調で話をし始めたー。
「ーーー」
輝之はそんな”乗っ取られた遥香”の様子を見つめるー。
遥香の母親には、事情を説明して、
”その証拠に”と、遥香本人に話をしてもらうことにしたー。
電話で事情を伝えるだけでは、
流石に遥香の母親も”な、何を言ってるのー?”という感じだったものの、
直接”乗っ取られた遥香”と話をしてくれれば分かるはずだー。
そう説得して、遥香本人と話をしてもらうことにしたー。
遥香の母親には、
”色々質問してみて下さい”と、そう伝えてあるー。
遥香を乗っ取った男には、”遥香の思い出”までは答えられないはずだー。
しかしー
「え~~?それってあれでしょ?
わたしが修学旅行の朝の時に集合時間間違えてて
遅刻しそうになっちゃったやつだよね~?」
遥香は楽しそうに雑談しているー。
「ーーー…!」
輝之がそんな様子に気付き、青ざめていると、
電話をしながら、遥香はニヤッと輝之の方を見つめたー。
「ーうん!うん!
あははー輝之にもよく言っておくねー!
わたしが”ドッキリ”大好きだから、
輝之にもそれが移っちゃったのかも~!」
遥香は、母親との電話でそんなことまで口にしているー。
”な、なんでこいつー…乗っ取ったばかりの遥香のフリをできるんだー…?
そ、それに遥香のドッキリ好きも知ってるー?”
輝之は呆然としながら、
”こいつ、遥香の知り合いなのかー?”と、そんなことを考えるー
やがて、遥香は電話を切ると、
ニヤリと笑みを浮かべながら
「無駄だって言っただろ?」と、そう言葉を口にして、
スマホを輝之の方に投げつけたー
「うわっ!」
スマホが落ちそうになって、声を上げながら
なんとかキャッチした輝之は
「お、お前ー…遥香の知り合いなのかー!?」と、
そう言葉を口にするー。
が、遥香を乗っ取った男は、遥香の身体で
にやりと笑うと、
「いやー、別にー。”この前”初めてこの女を知ってー…
それで、乗っ取ろうと思っただけさー」と、
そう言葉を口にしたー。
そしてーー
遥香は自分の頭を指でつんつん突きながら笑うー。
「ーー”皮”にして乗っ取った相手の記憶はー
そいつの脳から覗き放題なんでなー」
とー。
「ーーな、なんだとー!?」
輝之が声を上げると、遥香はクスクス笑いながら
「だからわたしは~”遥香そのもの”みたいなものなのー
遥香の記憶もぜ~んぶあるし、普段どう振る舞ってるかも分かるからー」
と、そう言葉を口にしたー。
「ーう~~~~ん…
へへーこの女、お前のことホントに好きみたいだなぁ~
結婚も楽しみにしてるってさ」
遥香を乗っ取った男は、遥香の記憶を読みながら笑うー
「へへ~一人で留守番してるとき、お前のこと考えながら
たまにオナッてるみたいだなぁ」
「やめろ」
輝之が、そう言葉を口にするも、
遥香はそれを無視して続けるー。
「ーうへへへー
おっ!こいつ、子供の頃にー…」
「ーーやめろよ!遥香の記憶を勝手に読むな!」
輝之が声を荒げるー。
そんな輝之の反応に、遥香はニヤニヤしながら笑うと、
「ま、とにかく”無駄”だってことだよー。
分かっただろ?」と、勝ち誇った表情を浮かべながら、
「ー俺は完璧にこの女になりきることもできるしー、
この女の身体でどんなことだってできるー」と、
そう言い放つー。
「ーしかもー、いざとなったら”この女を脱げば”ー
俺はそのまま逃げることもできるー」
遥香はそう言い放つと、輝之に顔を近づけながら、
”宣言”したー
「つまり、俺は”無敵”ー」
とー。
「ーーぐ………」
輝之が表情を歪めるー。
「どうだ?同居中の彼女の身体も記憶も何もかも
奪われたつもりは?
なぁオイ?教えてくれよーへへへへへ」
胸を揉みながら遥香が嬉しそうに笑うー。
「遥香の身体でそんなことするなー…!」
ギリギリと歯軋りをしながら、輝之が怒りの形相を浮かべるー。
しかし、それでも遥香は止まらないー。
遥香を乗っ取った男は、
”俺がこの身体を乗っ取っている以上、コイツに俺を殴ることはできない”と、
そう思っているからだー。
「ーーそういえば~わたしたち、
大学卒業まで仲良しだったら結婚する約束、してたよね~?へへー」
ニヤニヤする遥香ー
「ーぐ……」
輝之はさらに険しい表情を浮かべるー。
「ーーへへへへー
まぁ、”わたしの言うこと”聞くなら
結婚してやってもいいけどねぇ~」
遥香はそれだけ言うと、胸を揉むのをやめて、
そのままお風呂の方に向かって歩き始めるー。
「おいちょっと待て!遥香の身体で勝手なことー」
輝之は、何とか遥香が”乗っ取られたまま”お風呂に入ってしまうのを
防ごうとするー。
しかしー、
遥香は振り返ると、笑みを浮かべながら言ったー。
「ーー俺がこの女の身体でお風呂に入ったらー…
どうするんだよー?」
とー。
「ーーー…ぐ… ぐぐぐぐー」
輝之が拳を握りしめるー。
「”力ずく”で止めて見るか?
でも、そんなことをしたら、どうなるか分かってるよな~?
”きゃ~~~~っ”って叫んでー
彼氏に暴力を振るわれてるってー、外に助けを求めちゃうぜ?」
遥香の邪悪な笑みー。
遥香の顔と声で、ここまで悪人オーラを出すことができるのかと、
恐怖すら感じてしまうー。
「ーー…くそっ……”悪魔”めー」
あまりの仕打ちに、輝之はそう言葉を振り絞るー。
「ーーククー…何を言われたって構わねぇさー
どうせ、お前に何もできやしないー」
遥香はそれだけ言うと、そのままお風呂の方に向かって歩いていくー。
「ーぐへへへへー…こいつの身体でお風呂とか、最高だぜー
ぐへへへへへ」
下品に笑いながら服を脱ぎ始める遥香ー。
がー、そんな声を聞きながらも、
どうすることもできない輝之は
怒りをどこにぶつけていいのかさえも分からなくなって
悔しそうに、叫び声を上げたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
どんどん派手になっていく遥香ー。
どんどん、”遥香が遥香じゃなくなっていく”ー
そんな、地獄のような日々ー。
それでも、輝之はどうすることもできなかったー。
”目撃されても構わない”と豪語する
遥香を乗っ取った男を止めることはできなかったー。
警察も、両親も欺かれー、
ボイスレコーダーで、乗っ取られた遥香の言葉を録音して、
大学の親友に相談しても、
遥香に丸め込まれてしまったー。
”他人の身体を乗っ取る”ということ自体が、
世間では、ファンタジーの出来事であり、
誰も本気にはしてくれないー。
「ーだから言っただろー?」
派手なメイクの遥香が笑みを浮かべるー。
「ーーふざけるなー…絶対に俺はお前を追い出して
遥香を救い出して見せるー」
輝之は、なおも戦意を失わずにそう言い放つー。
「ーへへーやれるものならやってみろよー
俺も楽しみにしてるぜー」
遥香はそう言うと、
そのまま外に向かおうとするー。
「おいっ!そんな格好で外に行くつもりか!」
輝之が、そう言いながら、
見えてしまいそうなぐらいに短いミニスカートを指差すー。
「ーーへへー
知ってるか?
こういう格好してると、街中でも視線を感じてゾクゾクするんだぜー?
あぁ、このおっさん、”わたしの足”見てるってなー
ひひひー」
遥香はそう言うと、そのまま外に向かって立ち去っていくー。
「ーくそっ!!!」
一人残された輝之は、壁に拳を叩きつけると、
怒りの形相を浮かべたままー、
”乗っ取られる前の遥香”と一緒に撮影した写真を見つめるー。
「ーー遥香ー…」
遥香が乗っ取られて既に1ヵ月が経過したー。
諦めるつもりなどないー。
けれどー……
輝之は”どうすれば遥香を救い出せるのか”分からずに、
只々、時間ばかりが過ぎていくのだったー。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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次回が最終回デス~!☆
今のところ、どうすることもできない状況が
続いていますネ~!
逆転はあるのかどうかは…明日のお楽しみデス!

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