ある日、突然家の中に押し入ってきた男ー。
彼は、同居人である彼女を目の前で”皮”にして乗っ取ったー。
まるで”目撃されても構わない”と言わんばかりにー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーただいま~」
帰宅した男子大学生の笹島 輝之(ささじま てるゆき)は
いつものようにそんな言葉を口にするー。
その手には、帰り道に購入したケーキの箱ー。
今日は同居している彼女の天野 遥香(あまの はるか)の
誕生日ー。
そのお祝いのために、ケーキを買って来たのだー。
大学生の輝之は現在、同じく大学生の遥香と同居しているー。
遥香は小さい頃からよく知る幼馴染で、
高校生になった時に、それぞれ別の高校に進み
一旦は疎遠になっていたものの、
大学生になって再会し、意気投合ー、
1年間の付き合いを経て、やがて同居することになり、
現在はお互いの両親の許しも得た上で同居しているー。
大学卒業の時まで”仲良し”でいられたら
そのまま結婚しよう、と二人で約束もしていて、
同居をスタートさせてから約1年ー。
二人は今のところ順調に、日々の生活を送っていたー。
しかしー…
「ーーーー遥香~?」
輝之は少しだけ表情を歪めるー。
同居人であり、彼女である遥香の返事がなかったからだー。
もちろん、普段であれば単に出かけている可能性もあるし、
遥香も輝之と同じ大学に通っているほか、バイトもしているため、
輝之が帰宅しても、”遥香がいない”ことは
別にそれほど珍しいことではないー。
だが、今日はー…
輝之は、今朝のことを思い出しながら
靴を脱ぐー。
”今日はわたし、大学は午前中だけだからー”
遥香が笑いながら言うー。
「ーそっかー。じゃ、俺が帰ったら
盛大にお祝いしなくちゃなー」
遥香の誕生日であることもあって、
輝之は笑いながらそんな言葉を口にするー。
”ふふー、別に気を遣わなくていいのにー
でも、ありがとー”
遥香のそんな言葉に、輝之は
「美味しいケーキ買って帰るから」と、
そう言いながら笑うー。
”ふふー普段、ケーキ屋さんなんて行かないのに、
大丈夫~?”
揶揄うような口調で言う遥香ー。
「へへへー大丈夫大丈夫
今日のために、遥香が好きそうなケーキ、
物色しといたからさー」
輝之が得意気な表情を浮かべるー。
”え~?ホントに~?”
笑う遥香ー。
「ーへへへへー任せとけってー
遥香が絶対喜ぶケーキ、選んでくるから!」
輝之はそう言うと、
遥香はにっこりと微笑みながら
”うんー楽しみにしてるー待ってるねー”と、
そう言葉を口にしたー。
そんな、やり取りがあったのが今朝のことー。
そのため、急用でもなければ、遥香は家の中にいるはずなのだー。
しかも、外から電気がついているのも見えたー。
電気がついているということは、遥香は家の中にいるー……
はずだー。
「ーーー遥香ーー…いないのか?」
が、返事がないためにだんだんと不安になって来るー。
玄関からそれほど遠くない場所にあるトイレには
誰もいる気配はないー。
トイレに入っていて返事ができないー、
と言うわけでもなさそうだー。
「ーーー」
ゴクリ、と唾を飲み込む輝之ー。
「ーー!わ、わかったぞー」
輝之はそう言葉を口にすると、少しだけニヤリと笑うー。
”遥香のやつー、張っているなー…罠をー”
ニヤッと笑いながら輝之は部屋の奥の方を見つめるー。
遥香は、小さい頃から”悪戯好き”な一面もあって、
よくドッキリを仕掛けられていたー。
…と、いうより、最近もよくやられているー。
この前も、帰宅すると同時に
リアルな昆虫のおもちゃが置かれていて、悲鳴を上げてしまったことがあるー。
真面目で優しい性格ながら、未だにそんな
子供っぽい一面があるのも、輝之にとっては”可愛い”と思える
部分の一つだったー。
「ーーーー」
輝之は、遥香が急にどこかから飛び出して驚かせて来たりー、
家の中で血のりでもつけて倒れていたり、
色々な”ドッキリ”の可能性を考えながら
部屋の方へと足を踏み入れていくー。
がー
ガタッー
ドタッバタッーー
ドドドーー…
”変な音”が、遥香の部屋の方から聞えたー。
「ーー…ーーー遥香ー?」
輝之は、ドキドキしながら、遥香の部屋の方を見つめるー。
部屋を開いた瞬間に、ゾンビメイクの遥香が「ぐあー!」とか
うめき声を上げながら突然登場したりしそうな雰囲気だー。
そんな風に思いながら、
遥香の部屋をゆっくりと開けるー
すると、そこにはーー
「ーーーえ」
輝之は、目を疑うー。
見知らぬ男が、もがく遥香を壁に押し付けるようにして
抑えつけていたのだー
「ーーー!?
な…なんだお前は!?」
思わず声を上げる輝之ー。
「ーチッー」
遥香を押さえていた男が、舌打ちするー。
「ーーー…ん…んぐっ…」
口を塞がれている遥香がもがきながら、
ようやく男の手を振り払うと、
「ーこ、この人が急に押し入ってきてー」と、そう叫ぶー。
「ーなーー…」
輝之は唖然としながら”ドッキリ”などと疑っていたことを後悔しつつー、
すぐに押し入って来たという男を睨むー。
「ーは、は、遥香を放せ!」
そう叫ぶ輝之ー。
しかし男は、遥香の腕を掴んだまま、笑みを浮かべたー。
「嫌だねー」
とー。
「ーー…な、…ふ、ふざけんな!何が目的だ!警察呼ぶぞ!?」
輝之がそう叫び返すと、
男は笑みを浮かべながら答えるー。
「警察を呼んでも無駄さー。
できれば、誰にも目撃されずに済ませたかったけど、仕方ないー」
男はそう言うと、ニヤッと笑いながら
”小さな針”のようなものを取り出したー
「ーひっー!?」
”殺される”とでも思ったのだろうかー。
遥香が青ざめた表情で声を上げるー。
「ーーや、や、やめろ!遥香に手を出すな!
遥香を傷つけたら、タダじゃおかないぞ!」
輝之がそう言葉を口にするー。
が、男は笑ったー。
「安心しろー。
この女の身体を傷つけるつもりはないー。
この針はなー、人間に刺しても痛みはない特殊な針だー。」
と、そう説明しながら、
輝之を見つめるー。
そして、さらに言葉を口にしたー。
「ーこれから俺がこの女になるー」
とー。
「ーーえ…な…何を言ってー…?」
遥香が困惑した表情を浮かべるー
輝之は”コイツ、イカれてるー”と思いながら
「いいから今すぐ遥香を放せ!そうしないとホントに警察呼ぶぞ!」
と、そう叫ぶー。
がー、男は笑うー。
「ー呼んでも無駄さー。
なぜならー」
そう言いながら、手にした針を遥香の首筋に突き立てると、
遥香は「ーーて…輝之ー…」と、輝之の方を見つめながら
目に涙を浮かべるー。
そして次の瞬間ーーー
まるで、キャラクターの風船から空気が抜けるかのように、
遥香が、ペラペラになっていくー
「は、は、遥香!?!?!?」
”信じられない”という表情を浮かべる輝之ー。
男は、”皮”になった遥香を手で掴むと、
「帰って来るのが、ちょっと早かったなぁー」と、
ため息をつくー。
「ーーもうちょっと遅けりゃ、全ては終わってたし
お前は何も気付かずに済んだのにー」
男はニヤニヤしながらそう言うと、
輝之の方を見つめて、不気味な笑みを浮かべたー。
「ーーまぁいいさー
俺は別に”目撃されても構わない”からなー
どうせ、何もできやしないんだからー」
男はそう言うと、信じられないことに
”皮”にした遥香を手に、
そのまま遥香を着ぐるみを着るかのように
身に着け始めるー。
「ーー…お、おい、な、何をー…!?」
輝之が呆然としていると、
遥香の”皮”を着た男が、”遥香の声”で、言葉を口にしたー。
「ふ~、これでこの女の身体を乗っ取れたぜ」
遥香の声でそう言い放つとー、
遥香の顔でニヤリと笑う男ー。
「ーーな……」
輝之は、目の前で繰り広げられている
”信じられない光景”を前に、
恐怖すら感じながら、
「は…は…遥香…?」と、そう言葉を振り絞ったー。
謎の男に目の前で”皮”にされて、
目の前でその男が”皮になった遥香”を着たー。
そして、いつもの遥香なら絶対に言わないような言葉を
遥香が口にしたー。
しかし、人間は”あまりにも現実離れした光景”を前にすると、
現実逃避をしてしまうのだろうかー。
明らかに普通な状況ではないにも関わらず、
「は、遥香…だ、大丈夫かー?」と、輝之はそう言葉を口にしたー。
どう見ても大丈夫などではないのにー。
「ーーふふー”大丈夫”だよー」
遥香を乗っ取った男は、遥香の身体でそう言葉を口にするー
「ーーー…そ、そ、そっかー…よ、よかったー」
全然良くないー。
”大丈夫”という返事が返って来ても、大丈夫じゃないということは
今の光景を目撃してしまった輝之が一番分かっているー。
「ーーじゃ、わたし、お風呂でも入ろっかなぁ~」
遥香はニヤニヤしながら、お風呂の方に向かって行こうとするー。
「ーーい…いや、ち、ちょっと待てー!」
輝之は、そんな遥香を呼び止めると、
「ほ、ほ、ホントに、遥香だよなー?」と、そう言葉を口にするー。
そんなことを聞いてどうするのかー。
”答え”は今、自分自身の目で見たじゃないか、と、
輝之は自分の心の中でそんなことを口にするー。
「ーーーーどこからどう見ても、”遥香”でしょ?」
遥香が邪悪な笑みを浮かべるー。
「ーーくっ…」
輝之は、このまま遥香をお風呂に行かせてはいけないような気がして、
声を振り絞ったー。
「ーじ、じゃあ、い、今の男はー…」
輝之がそう言うと、
遥香は「”夢”でも見たんでしょ?」と、鼻で笑うように言葉を発したー。
”夢”ー
そう言われてしまうと、どうすることもできないー。
既にー”証拠”は何もないのだからー。
スマホで映像か写真を残しておけばよかったのかもしれないー。
しかし、彼女が”皮”にされるというあまりにおかしな光景を前に、
そこまで頭が回らなかったー。
表情を歪めながら、輝之が「ゆ、夢じゃないー…!確かに見た!」と、
そう声を上げると、
「お、お前は誰だー!遥香を解放しろ!」と、
勢いのままにそう叫んだー。
遥香は「ふぅー…」と、ため息を吐き出すと、
「ー何をしても、無駄だぜー?」と、そう言葉を口にしたー。
「ーーお前の彼女の身体はもう俺のものー
何をするのだって自由だー。
こうして胸を揉むのもー
髪をいじるのもー
手を舐め回すのも、なー」
自分の手をペロペロと舐めながら笑う遥香ー。
「ぐー…は、遥香を解放しろー!」
輝之がそう言い放つー。
しかし、遥香はニヤニヤしながら
「せっかく可愛い女の身体が手に入ったんだぜー?
素直に”はい、解放しますー”なんて言うと思うか?」と、
挑発的に笑うー。
「ーー…ふ、ふざけるなー!だったら今すぐに警察に通報してやる!」
輝之がスマホを手にするー。
が、それでも乗っ取られた遥香は余裕の笑みを崩さなかったー。
「ー通報したきゃしろよー。
でも、警察に何て説明する?」
遥香は椅子に座ると、足を組みながら、
馬鹿にしたような表情で笑うー。
「ーーけ、警察にー…な、何てー…」
そこまで言うと、輝之は言葉を止めるー。
警察に通報するー。
がーー
警察に何て言えばいいー?
輝之は、心の中で必死に考えるー。
「ーー”俺の彼女が、知らない男に身体を奪われました”とでも通報するかー?」
遥香はニヤニヤしながら、そう言い放つと、
言葉を失う輝之を見つめながら
立ち上がるー。
「旨そうなケーキじゃねぇか」
遥香は”誕生日”のお祝いのために輝之が買って来たケーキを見つけると
雑にその箱を開けて、手でケーキを鷲掴みにして食べ始めたー
「お、お前…!それは遥香にーー!!」
輝之が悔しそうに叫ぶと、
「ー”わたし”は、遥香だけど?」と、冷たい口調で遥香は言葉を口にしたー。
そして、ケーキを食べながら遥香は笑うー。
「通報するならしろよー。
この女が乗っ取られてるなんて証拠はどこにもないし、証明もできないー。
警察に通報したって、お前が頭おかしい彼氏に思われるか、
悪戯だと思われるかするだけだからさー
ーーーへへーそれにしてもこのケーキうめぇなー」
遥香はケーキを両手で雑に食べながら微笑むー。
そんな様子を見つめながら、
警察に通報しようとスマホを手にしていた輝之は
何もできないまま、呆然とすることしかできなかったー
②へ続く
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彼氏に目撃されてもお構いなし…!
厄介な相手に、彼女を奪われてしまいましたネ~!
続きはまた明日デス~!☆!

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