他人に憑依し、
欲望を楽しみー、
さらには解放後に”脅す”ー。
そんなことを繰り返す男の行く末は…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー大事な”お父様”の会社を守りたかったらー…
ちゃ~んと、期日までに金を払えよ?か・ね」
絵里は邪悪な笑みを浮かべながら、相手を脅すー。
相手は絵里に憑依している絵里の兄・健人が
ついさっきまで憑依していた相手のお嬢様・香奈枝ー。
絵里はスマホを手に、椅子に腰かけて足を組んだ状態で、
極悪非道な”脅し”を続けているー。
”ーそ、そんなー…わたしー…”
泣き出してしまう香奈枝ー。
「ー払わなきゃ、お前の”お父様”は破滅だー。
そして、お前もなー」
鏡に、絵里の悪い笑顔が映るー。
”ークククー
俺の妹ながら、こんな悪い顔ができるなんてなー”
絵里を乗っ取っている健人は、そんなことを思いながら、
電話を続けるー。
普段は真面目で優しい絵里にこんな極悪なことをさせてー、
こんな極悪な顔をさせていることにも、
激しく興奮を覚えるー。
「ーーーー何度も言わせるなー
金を払うか、破滅するか、選択肢は二つに一つだー」
絵里はそれだけ言い放つと、
そのままスマホを切って、スマホをベッドの上に放り投げると、
悪女のような声で笑い始めたー。
「ーはははははっ…ははははははははははっ!」
普段の絵里とはまるで違う笑い方ー。
しばらく笑い続けると、絵里は立ち上がって
”鏡に映る自分”見つめながら言葉を口にするー。
「ーーなぁ、絵里ー
お前はもう俺の共犯で、悪女なんだよー
ククー無駄な抵抗はやめろってー な?」
絵里はそれだけ言うと、満足そうにそのまま歩いていき、
「さ~て、絵里の身体で遊ぶかー」と、
そう言葉を口にすると、嬉しそうに自分の身体を
弄び始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー…!」
数日後ー
憑依人・健人の妹、絵里は
再び意識を取り戻したー。
絵里は困惑の表情を浮かべるー。
「ーわ…わたしの意識が戻ったってことはー…
また、誰かがー」
絵里は、そう呟くー。
兄の健人が”絵里”の身体から出ていくときは、
基本的に”他の誰かに健人が憑依しているとき”だー。
意識が戻る度にー、
誰かが、兄に憑依されていると考えるだけで、
絵里は罪悪感でいっぱいになるー。
そう思いつつ、
いつもの椅子に拘束された自分の身体を見つめるー。
「ーーー!?!?!?」
が、拘束された絵里は、自分の姿を見て驚くー。
絵里は、サキュバスのような衣装を身に着けたまま
拘束されていたのだー
「な、なにこの格好ー…!?」
絵里は戸惑うー。
それと同時に、”お兄ちゃん”への怒りをたぎらせるー。
そうこうしているうちに、正面に置かれたテレビに
映像が表示された
「ーー!」
絵里は、表情を歪めるー。
健人が、絵里の身体から抜け出す前に、
録画映像を再生しておき、
”絵里が目を覚ます頃”に、映像が始まるよう、
最初の10分間は、何も収録せず、
再生10分後から映像が流れ始めるようにセットしておいたものだー。
”ーーーふふふふー 気分はどうかな?”
ニヤニヤしながら、そう言葉を口にするのはー
”憑依された絵里”自身だったー
「…わ、わたしー…!?」
絵里は戸惑うー。
自分が憑依されて、好き放題されていることは理解しているー。
が、こうして”憑依されたわたし”の映像を見るのは
これが初めてだったー。
だからこそ、驚かずにはいられないー。
”ーー”わたし”は、ねー
もう、お兄ちゃんの共犯なのー
お兄ちゃんが憑依した相手を、わたしが電話で脅してるー
クククククー”
憑依された絵里がー
兄の健人が、絵里の身体で、絵里の口調を真似ながら
そんな言葉を口にするー。
「ーふ…ふざけないで!わたしの身体でそんなことしないで!」
拘束されている絵里が
録画映像に向かって叫ぶー。
”ーまぁ、また憑依されるまで暇だと思うし、
せっかくだから”脅してるところ”見せてあげるね”
映像の”憑依された絵里”は、ガムを噛みながらそう言うと、
そのままスマホを手に、
健人が憑依した人間の一人・女子大生の美沙に対して
確認の電話を入れ始めたー。
その映像を見つめることしかできない絵里ー。
”ー泣いても無駄なんだよー
とっとと金を用意して払えー”
映像の中の”憑依された絵里”が
恐ろしい形相ー、恐ろしい声で言葉を口にするー
”わたしが、こんな怖い顔をしてるー?”
”わたし、こんな脅すような喋り方できるのー…?”
絵里は、映像見ながら
色々な意味でショックを受けるー。
”ーー金を払うか、破滅するかー
明日までによく考えろ”
憑依された絵里はそう言葉を口にすると
スマホを切ったー
するとー、今度は”兄”の口調で、
憑依された絵里は喋り始めるー。
”ーな?今のお前、すっごく悪そうだっただろー?
これで、お前も俺の共犯だってわかったか?”
とー。
絵里は悔しそうに涙を流しながら、
拘束具を解除するために、暗証番号を入力し始めるー。
「ーーー…もう!!開いて!!開いて!!開いて!」
泣きながら、暗証番号を何度も入力する絵里ー。
しかし、椅子の拘束具が外れることはないままー、
絵里は悔しそうに「あんたなんかー…あんたなんかお兄ちゃんじゃない!」と、
モニターに向かって叫ぶー。
もちろん、録画映像であるために
そんな言葉に反応はないー。
がー、絵里はふと”あること”を思いつくー。
”暗証番号”を入力するボタンー……
健人が戻ってくればー、
健人は再び絵里に憑依して、絵里の身体で”正解”を入力するー。
その際に何か”印”がつくようにできればー
次に憑依された時に、正解のヒントになるかもしれないー。
例えば、絵里自身の指に何か細工をして、
絵里に再び憑依した健人がそれに気づかず、暗証番号を入力ー。
例えば”1”と”3”と”8”と”9”に
何らかの痕がついていれば、
正解の暗証番号を割り出す大きなヒントになるー。
もちろん、暗証番号を入力後に健人が
ボタンを拭きとったりしていれば意味はないけれどー、
このまま何もできないよりは、何かを試してみる価値はあるー。
そう思った絵里は、一応、自由に動かすことはできる手を、
自分の口元に近付けて、ガリガリとかじり始めたー。
指を出血させてー、
その状態で健人が暗証番号を入力すればー、
次に憑依された時に、”答え”のヒントを得られるかもしれないー。
絵里はそう思いながら、自分の指をかじりー、
人差し指を出血させると、
”わたし、負けないからー”と、静かにそう呟いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーー」
絵里の身体に戻って来た健人は、
いつものように暗証番号を入力して
拘束を解くー。
「へへへー…絵里ー。
お前の身体はもう俺のものなんだぜー」
絵里はニヤニヤしながらそう言葉を口にすると、。
ふと、人差し指の”傷”に気付くー。
「ーへへへへ…
俺に抵抗してるつもりかー?」
絵里はそう言葉を口にすると、
指をペロリと舐めながら、笑みを浮かべるー。
”絵里が、俺にせめてもの抵抗をしようと
自分の指を噛んだー”
そう解釈した健人は、それ以上
気にすることなく、
「ーな~んかムカつくから、お前のイク顔でも見せて貰おうかなー」と、
そう言葉を口にしながら、
服を脱ぎ捨て始めるー。
がーーー…
拘束具つきの椅子の”ボタン”には、
血が滲んだ状態で入力したところで、
わずかな痕がついていたー。
”次に”絵里が正気を取り戻すことがあればー、
絵里が脱出することのできる、
確かな”証”がー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーククククー
振込を確認したー。
言っておくが、警察に通報したら
どうなるか分かってるよなー?」
数日後ー
憑依されている絵里は、再び笑みを浮かべながら
女子大生・美沙からの振り込みを確認して
そう言葉を口にしたー。
「ー俺はいつだってまた”お前の身体”で
好き放題することができるー。
警察に通報されて、俺が逮捕でもされたらー、
俺は今度はお前の身体に憑依して
同じことをするー。
そうなったら、どうなるか分かるよな?
お前は俺に乗っ取られたまま、一生を台無しにするんだー」
絵里はクククク、と笑いながら
美沙を脅すと、
美沙は”だ…誰にも言いませんー…だからもう、わたしに関わらないでくださいー”と
怯え切った様子で言葉を口にしたー。
「クククーまぁいいだろうー」
絵里はそう言葉を口にすると、美沙を脅すのを終えて
スマホを切るー。
こうして、一度”要求”を飲ませたら、
健人はしばらくの間は、その相手を野放しにするようにしているー。
連続で金を要求しても、ないものはないだろうしー、
あまり追いつめすぎると、大変なことになるかもしれないー。
「ーーと…あのお嬢様ー、俺の要求に応じないつもりかー」
絵里は、お嬢様・香奈枝が振込期限を過ぎても
何も言って来なかったことに不満を覚えー、
”香奈枝”の過激なコスプレ写真ー、
一人でHなことをしている動画ー、
そして、香奈枝の父親の会社の情報を流出させたー。
「ーーふんー要求に応じなければこうなるってことを
思い知らせてやるー」
絵里は、絵里の顔とは思えないぐらいに悪女の笑みを
浮かべると満足そうに笑い始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
絵里に憑依している健人は気付いていないー。
絵里の身体から一時的に抜ける際に使っている
拘束具つきの椅子の暗証番号を入力するボタンに
”痕”がついていることにー。
「ーーー…さて、今日は買い物を済ませたら
また新しい獲物に憑依するかー」
そうとは知らずにそんな言葉を口にする絵里に憑依している健人ー。
健人がこのまま気付かず、絵里の身体から一時的に抜ければー、
先日、絵里が考えた通り、絵里は健人が他の身体に憑依している間に
脱出できるかもしれないー。
「ーーーー…」
日用品を買うために買い物に出かける絵里に憑依した健人ー。
「ー今夜はー…肉でも食うかー。
絵里の身体だと、俺の身体で食うよりおいしく感じねぇけどー」
そう言葉を口にしながら、スーパーに入ろうとしたその時だったー。
「ーーぐっ…」
絵里は突然、背後からドスッという衝撃を感じて
振り返ったー。
「ーーー…ぁ?」
絵里が驚くと、自分の背中にナイフが刺さっていて、血が
出ていることに気付いたー。
そしてー、背後にはーー
健人がこの前憑依しー、昨日、”写真や動画、情報を流出させた”
お嬢様の香奈枝が立っていたー。
「ーあんたのせいでー…あんたのせいでー
わたしの人生は台無しよ!」
香奈枝がそう叫びながら、絵里を何度も何度も
刺し始めるー。
「ーーがっ…!? な、なんで、俺だと分かったー!?」
絵里が苦しそうにしながらそう声を上げると、
香奈枝は、”お父様の全財力を使って調べた”と、
そう言葉を口にしたー。
「ーーま、まてっ…!おいっ!」
絵里が叫ぶー。
しかしー、香奈枝は絵里の首にナイフを突き立てると、
絵里はそのままよろよろとよろめいて、その場に倒れ込んだー。
周囲の人々が悲鳴を上げるー。
香奈枝は、倒れ込んだ絵里がもう死んでいるにも
関わらず、何度も何度も、絵里のことを刺し続けたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”ふ~~~~…危ねぇ危ねぇ”
死んだ絵里の身体から抜け出し、
霊体となった健人は、笑みを浮かべるー。
”あ~あ…絵里のやつ、殺されちゃったか”
死んだ妹の死体を見つめながら笑う健人ー。
”ま、こういう時のために、他の身体で悪いこと
してるんだからなー”
健人は、そう言葉を口にすると、
まだ絵里の死体を刺している香奈枝に憑依して、
香奈枝を”自殺”させてー、
そのままその場から飛び去って行ったー。
”ククククー
この前の美沙って女子大生を今度は使うかー”
健人はそう言葉を口にしながら、
そのまま”次に使う身体”の元へと向かうのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・
もしー
もしも、”絵里”が死ななければ
絵里は暗証番号を突破して脱出ー、
健人は破滅したかもしれないー。
憑依で人生を壊され、復讐しようとした香奈枝の行動が、
結果的に、”健人を止めようとする絵里の動き”も無駄にしてしまい、
健人を助ける結果になってしまったのだったー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
憑依の脅しの最終回でした~!
憑依人の一人勝ち…
いつか、何かの罰が下る日も来るかもしれませんネ~…!
お読み下さりありがとうございました~!

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