<入れ替わり>忘れていた大切な勇気

★本日(8/3)の通常の更新は
このあと、お昼ごろまでにこのあと行います~!☆
こちらはおまけデス!

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クラスからいじめを受けていた彼ー…

その”いじめ”のメンバーの中には
小さい頃仲良しだった子の姿もあったー。

”もう昔とは違うんだ”
そんな風に諦めかけていたある日ー、
彼は、その子に身体を入れ替えられてしまいー…?_

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※こちらは、2024年2月にサソリザ様(@SasoriZa_13)によって企画された
「冬のほのぼのほっこりハートフルTSF合同」の参加作品として私が書いた作品デス~!

こちらも自由に公開していい期間を迎えたので、
憑依空間にも載せておきます~!☆
是非楽しんでくださいネ~!

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「ーーーねぇ…おじいちゃんー」
少女が、おじいちゃんに声をかけるー。

「ーー卓(すぐる)くんがクラスの子にいじめられてるんだけど、
 …どうしたらいいかなー?」

少女がそんな言葉を口にすると、おじいちゃんは優しく微笑んだー。

「ー美愛(みあ)は、どうしてあげたいんだい?」

とー。

「ーーーわたしは… わたしは、卓くんを助けてあげたいー…でもー」
美愛はそう言うと、悲しそうな表情を浮かべるー。

「ーーーーだったら、助けてあげなさいー」
おじいちゃんは、諭すようにそう言葉を口にするー。

「ーーーで、でもー…」
美愛が戸惑いながら言うー。

”卓”をいじめているのはゴツイ体格の男子たちー。
美愛は、恐れていたー。
いじめを止めたら自分も何かされてしまうのではないか、とー。

だから、卓を助けたいのに、助けられなかったー。

「ーーーーー」
そんな美愛の姿を見つめながら、おじいちゃんは
少しだけ微笑むー。

「美愛は優しいんじゃなー」
とー。

幼馴染のために、心から悲しそうな表情を浮かべて悩んでいる美愛を見て、
おじいちゃんは笑うと、

「ー美愛、”勇気”を持つんじゃー。
 
 これから先、大人になっていく中で、
 どうしようか迷ったときは、勇気を振り絞るといいー」

おじいちゃんはそう言うと、
少しだけ寂しそうな表情を浮かべるー。

”自分は、それで今もずっと後悔しているからー”

だからー、孫には、そんな思いをしてほしくないからー。

「ーー美愛、うしろを向いてごらんー」
おじいちゃんはそう言うと、美愛は「え?」と、不思議そうに
しながらも、おじいちゃんに背を向けるー。

おじいちゃんは、美愛の背中に手を触れると、
「ーーおじいちゃんが、美愛に勇気を分けてあげるからー…
 頑張るんじゃぞー」と、そんな言葉を口にしたー

そしてー、
その翌日ー

「ーーーねぇ!やめなよ!」

美愛はー、
同じ小学校に通う幼馴染の卓を助けるために、
おじいちゃんから貰った勇気で
ゴツイ男子たちに立ち向かったー。

「ーー卓に、これ以上何かしたら絶対に許さないから!」

美愛の物凄い気迫に、気圧された男子生徒たちはー、
その日を最後に”卓”のことをいじめなくなったー…。

・・・・・・・・・・・

それからーー
時は流れたー。

とある高校ー。

「ーーあははははは!もう泣きそうになってるじゃ~ん!」

女子生徒たちに”笑いもの”にされている
男子高校生ー。

4人の女子生徒に囲まれた彼、
堀村 卓(ほりむら すぐる)は何の抵抗もできないまま、
目に涙を浮かべていたー。

情けない姿ー。
自分でも、そう思うー。

でも、抵抗することができなかったー。

彼はー…”いじめ”を受けていたー。
女子生徒たちからー。

クラスの女子グループに目をつけられてしまい、
毎日のように”玩具”のように扱われているのだー。

そしてー…
その女子グループのリーダーは…

近所に住む幼馴染・愛川 美愛(あいかわ みあ)ー。
小さい頃はよく一緒に遊んだ間柄の女子生徒だった。

小さい頃から、気弱でいじめられがちだった卓ー。

けれど、美愛はそんな卓を助けてくれたー。

「やめなよ!」と、
自分よりもゴツイ男子生徒を前にしても臆することなく声を上げて、
卓を守ってくれたー。

”卓も、ちゃんと言い返さなくちゃだめ!”

よく、美愛にはそう叱られていたのを今でも覚えているー。

結構強引なところもあったけれど、
卓にとってはまるでお姉ちゃんのような一面もある、頼れる存在だったー。

そんな美愛とは、中学校は別々になり、
高校で再会したー。

が…再開した美愛は、小学生時代とはまるで別人のように
派手でおしゃれな女子に変わっていてー、
こうして今、卓をいじめている女子たちのリーダー格となっていたー。

「ーーー…あはは、ねぇ、堀村くんさぁ、何で何も抵抗しないの?」
美愛が笑みを浮かべながら、卓のほうを見つめるー。

卓は涙目のまま、答えることもできずに震えると、
美愛は失笑しながら、卓に背を向けたー。

「ーーいこっ」

他の3人の女子にそう言い放つ美愛。

残りの三人ー、
聡子(さとこ)、明梨(あかり)、文香(ふみか)の三人も
笑いながら立ち去っていくー。

「ーーーーー」
一人残された卓は、悲しそうな表情を浮かべながら、
どうすることもできない自分を呪ったー。

そんな”いじめ”が続いたある日ー…

美愛に呼び出された卓は、怯えながら美愛の待つ
空き教室へと向かったー。

すると、美愛が一人で待ち構えていたー。

「ーーー…あ、愛川さんー」
震えながら、そう言葉を口にする卓ー。

そんな卓を前に、美愛は少しだけ表情を歪めると、
「ー小さい頃みたいに、”美愛ちゃん”って呼んでくれないんだー」と、
笑みを浮かべたー。

美愛と二人きりで会うのは、高校に入学してから
初めてだったかもしれないー。

再会して”変わってしまった”美愛を前に、
卓は、話しかけることもできず、避けていたー。

しかも、聡子たちいじめっ子に目をつけられて
いじめが始まってからは、尚更苦手意識が強まってしまったー。

「ーーーーー……ぼ、僕ー…」
卓が震えながらそう言い放つと、
美愛は「ーは~…そういうのウザい」と、ため息を吐き出すと、
「ーー…ねぇ、卓って、”童貞”でしょ?」と、
ニヤニヤしながら、言葉を掛けて来たー。

「ーーーー」
口を閉ざす卓ー。

他の子と一緒にいるときは”堀村くん”と呼んでくる美愛も、
1対1になると昔のように”卓”と、名前で呼んでくるようだー。

そんなことを思いながら、恥ずかしそうにしていると、
「ー童貞だよね?」と、美愛が少し高圧的に言葉を口にしたー

「だ…だったら何だって言うんだよ!」
卓が少しムキになって言い返すと、
「あははっー」と、美愛は馬鹿にしたように笑いながら、
突然、卓にキスをしてきたー

「ーー!?!?!?!?!?!?!?」

小学生時代、少なからず好きだった美愛にいきなりキスをされて、
”もう、何がなんだかわからないよ!”と、
頭の中でパニックになっていると、
やがてーー…

「ーって、ひぃぃ!?何で僕が目の前に!?」
と、声を上げたー。

目の前にー”自分”がー…つまり”卓”がいるのだー

「ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、ぼく、僕がもう一人!?
 えっ…!?えっ!?えっ!?」

怯えた表情を浮かべながらそう叫ぶ卓ー。

がー…
目の前にいる卓は少し呆れた様子で言葉を口にした。

「ーー…他に気付くことないの?」
とー。

「ーーえ…?」
相手の言葉に、卓は首を傾げる。

そしてー…

「ーーあっ!?!? えっ!?!? 声がヘン!?」

ようやく、その異変に気付いたー。

よく考えたら、自分の口から出ているのは
”いつもの自分の声”じゃなくてー、
”女”の声ー。

しかも、その声はよく聞き覚えのある声ー。
そう…美愛の声だったー。

「ーー…う、うわぁぁぁ!?!?」
自分の身体を見下ろして、胸のふくらみを見て
顔を真っ赤にしてしまう卓ー。

「ーあははは!ザ・童貞って感じの反応じゃん!」
揶揄うようにして笑う目の前にいる卓ー

「えー…こ、これって、どういうー?」
卓が困惑しながら言うと、
美愛は、空き教室の前方にあった鏡を指差したー。

「ーーー…!」
恐る恐る鏡を見つめてみると、そこにはーー…

「な、な、な、なんだこれぇぇぇ!?!?」

”美愛”の姿が写し出されていたー。

「ーーふふふふー…ホント、面白い反応ー」
卓になった美愛は笑みを浮かべながらそう言い放つー。

いつも自信の無さそうな表情を浮かべている”卓”の顔が、
とても自信に満ちたような笑みを浮かべていて、
自分の顔にギャップを感じてしまうー。

「ーー…こ、こ、こ、これってー…え?な、なに?」
美愛になった卓が慌てた様子でそう叫ぶと、
「ー分かるでしょ?”入れ替わり”ってやつー」
と、卓(美愛)が笑いながら言ったー。

「ーー…い、い、入れ替わりー…」
戸惑う美愛(卓)ー。

すると、卓(美愛)は、
笑みを浮かべながら「”入れ替わり薬”を使って卓とわたしの身体を入れ替えたのー」と、
そんな説明を続けたー。

「ーーそ、そ、そ、そんなー…
 で、でも、どうしてー?」

美愛(卓)が戸惑いながら言うと、
「ーー…あんたの反応が面白いからー」
と、美愛(卓)に顔を近づけながら意地悪そうな笑みを浮かべたー。

「ーー…も…も、元に… 元に戻してよ!」
美愛(卓)はそう叫ぶー。

美愛の身体にドキドキしていないー…わけではなかったものの、
何だかさらに酷い目に遭わされそうな気がして、
泣きそうになりながら、そう叫んだー。

「ーーだ~め! これ高かったんだからー
 だから、た~っぷり、楽しませてね」

卓(美愛)はそれだけ言うと、

「ー今日から卓がわたしとして、わたしが卓としてしばらく過ごすのー。
 あ、他の三人には絶対バレちゃだめー。
 わたしが”個人的に”楽しみたいんだからー…

 あんたが、わたしの身体で戸惑う様子をー、ね。 ふふー」

と、そう言い放ったー。

「ーーー…そ、そんなの無理だよ…!
 ぼ、僕に愛川さんの真似をするなんてー!」

美愛(卓)が必死に叫ぶー。

「ーふふふー…バレたら、もっとひどい目に遭わせるからー」
卓(美愛)は笑みを浮かべながら言うと、
そのまま空き教室の外に向かって行くー。

「ちょ、ちょっと待って!
 お、お風呂とか、と、トイレとか!どうすればいいの!?」
美愛(卓)が戸惑いの叫び声をあげるー。

「ーーどうすればいいのかなぁ~?
 ふふふふふふー」

卓(美愛)はバカにするようにして笑うと、
そのまま立ち去っていくー。

”完全に遊ばれている”ー

そう思いながら、美愛(卓)は、自分の身体を見下ろして、
”スカートを履いている自分”に、ドキッとしてしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「~~~~~~~~…」
美愛(卓)は、顔を真っ赤にしながら帰宅したー。

「ーーあ、おかえりー」
美愛の母親が美愛(卓)を出迎えるー。

「あ、お、お邪魔しまー… い、いや、た、ただいまー」
美愛(卓)はそう呟くと、
そのまま美愛から教えてもらった部屋に駆け込むー。

「~~~~~…」
美愛の身体を見下ろしては顔を真っ赤にする卓ー

”やっほ~!どうせ卓のことだから、
 わたしの身体にドキドキとかしちゃってるんでしょ?

揶揄うようなメッセージが卓(美愛)から送られてくるー。

”あ、そういえばさ~、さっき男子でのトイレデビューしたけど、
 なんか、すっごい変な気分だねー。

 そっちも適当にトイレ済ませていいからー。
 あ、わたしの身体でトイレにはいけない~とか
 言いながら漏らしたらコロスからね?♡”

そんな脅しのようなメッセージも届くー。

「はぁ~~~…」

もう、過去の美愛はいない。
美愛は昔とは変わってしまったー。

鏡に映る”派手になった美愛”を見て、改めてそんなことを
実感すると、美愛(卓)は今一度大きなため息をついたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

聡子、明梨、文香ー…。
美愛を中心とした女子グループが、
美愛(卓)の元にやってくるー。

ビクッとしながらも、
無難に会話を続ける美愛(卓)

どうやらー、
三人は”入れ替わり”のことを知らない様子で、
普通に”美愛”に対して喋っているー。

ビクビクしながら、
会話を続ける美愛(卓)ー

やがてー、
「なんか今日、元気なくない?」
と、聡子が”美愛”の異変に気付くー。

まぁ、そう言われてしまっても無理はないー。

そんなことを思っていると、
「ーじゃあさ、またあいつ、呼び出そうよ」
ツインテールの明梨が笑いながら言うー。

「ーあはは!いいねいいね!
 美愛のストレス発散にもなるだろうしね!」
ポニーテールの文香も楽しそうに笑うー。

「ーえっ、あ、そ、そのー」
美愛(卓)は戸惑いながら、チラッと
窓際の座席にいる卓(美愛)のほうを見つめると、
”いつも通り振る舞いなさい”と言わんばかりの
ジェスチャーをしてきたため、
慌てた様子で、美愛(卓)は「い、い、いいね」と、
言葉を口にしたー。

放課後ー。

”卓いじめ”が始まるー。

いつものように、三人が卓(美愛)をいじめて、
美愛(卓)は後ろに控えているー
そんな感じの状況ー。

立場が”逆”になったー。

”あわわ…やばいやばいやばいー”

がー…
美愛(卓)は、内心、青ざめていたー。

”と、と、止めなくちゃー…!”

そんなことを思いながら、あたふたし続ける美愛(卓)ー。

”僕の代わりにいじめられた”なんてことになれば、
確実に”美愛”は怒るだろうし、
”あんたのせいで、わたしがいじめられた”などと
逆ギレしてくるはずだー。

”そ、それとも、僕がこうして戸惑う姿を見て、
 愛川さんは楽しんでるー?”

そんなことも思ったものの、とにかく止めないといけないー。
そう思って、美愛(卓)は声を上げたー。

「ーー…あ、あのさー、今日はー」

がー、
そこまで言いかけるとー

「ーうあああああああああああっっっっ!!!!!!!!!!!!!」
と、卓(美愛)が叫んだー。

「ー!?」
ビクッとして、美愛(卓)が言葉を止めるー。

聡子、明梨、文香の三人に
”今日はこのぐらいにしておこう”と言葉を口にして
いじめを止めようと思ったのにー、
それが、できなかったー。

卓(美愛)は、「どうして僕がこんな目に~~~~~!」などと
騒ぎ立てているー。

そしてー…
卓(美愛)が、美愛(卓)に突進してくるとー、
顔が近付いたタイミングでー、
”ーーわたしのフリ、続けないともっとひどい目に遭わせるよ?”
と、脅すような口調で、囁くー。

美愛(卓)は戸惑いながら、”美愛”として
振る舞い続けるとー、ようやくその日の”いじめ”は終わりを迎えたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”あはは、卓の戸惑う姿、面白かったね~!”

夜ー。
そんなLINEが届いて、
美愛(卓)は「ーこ、こんなことして何になるんだよ!」と、
反論のメッセージを送るー。

がー、
卓(美愛)は”面白いからって言ったでしょ?”の一点張りー。

やがてー…また”美愛”の身体でお風呂に入ることになってしまい、
美愛(卓)は顔を真っ赤にしながらお風呂に入るー。

「ーーーー」
昨日もそうだったけれど、
美愛の身体でお風呂に入っている間は、ずっと心臓が
バクバクしっ放しだー。

何だかいけないことをしているような気持ちになるし、
とにかく、落ち着かないー。

胸に触れてしまうたびに「ご、ごめんー」と、
意味もなく呟いてしまう美愛(卓)ー。

そんな”混沌のお風呂”の2日目を乗り越えた美愛(卓)は
「っていうか、いつ身体返してくれるんだろうー」と、
大きくため息をついたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日もー、翌々日もー、
美愛は身体を返してくれなかったー。

”そ、そろそろ僕の身体を返してよ!”
そう叫ぶ美愛(卓)ー。

けれどー、
”だ~め!わたしが飽きるまではこの身体はわたしのもの”
と、卓(美愛)は意地悪そうに笑ったー。

”いじめ”も続くー。

卓になった美愛は何も知らない
聡子、明梨、文香の三人に連日いじめられているー。

そんな日々が続きー…

美愛(卓)は、卓(美愛)の元に駆け付けると、
声を上げたー

「ーね、ねぇ…も、もう元に戻ろうよー…!」
とー。

もちろん、自分が元に戻りたいという思いもあったー。

けれど、それ以上に、
”小さい頃”は仲良しだった美愛が、
変わってしまったとは言え、”僕の身体でいじめられている”のを
これ以上見ていられなかったー。

「ーーふふふー い・や・だ」
卓(美愛)が笑みを浮かべながら言うー。

そんな反応を前にー
美愛(卓)は少しだけ躊躇ってから、言葉を続けるー。

「ーー愛川さんー…
 ーーその……
 ぼ、僕を守ってくれてるんだったらー、もう…いいからー」

その言葉に、卓(美愛)は表情を歪めるー。

「ーー入れ替わったのってー……
 その…僕のため……なんだよねー?」

美愛(卓)は、オドオドしながらも勇気を振り絞って
そんな言葉を口にしたー。

「ーーーふんーー…自惚れすぎでしょ?
 わたしが、卓を守るー?何のためにー?」

卓(美愛)は、フッと笑いながらそう言い放つー。

が、美愛(卓)はそれでも引き下がらなかったー。

「ーだって、僕の知る愛川さんは、そういう子だからー…!」
とー。

「ーーーー」
卓(美愛)の表情から笑みが消えて、睨むような視線を送ってくるー。

「ーーーーー…わたしの何を知ってるのー?」
卓(美愛)の脅すような口調ー。

それでもー…
美愛(卓)はなおも食らいついたー。

「ーー僕のためなら、もうやめてよ…!!!!
 こんなことされても、僕、嬉しくないよー!」

とー。

「ーーーーーー」
しばらくの沈黙が流れるー。

そしてーーー

「ーーーー変なところだけ、勘が鋭くて困っちゃうなぁ」
卓(美愛)は少しイラついた様子でそう言うと、
「ーーー…気付いてるなら、黙ってわたしの身体で過ごしてればいいでしょ?
 わたしが代わりにいじめられてあげてるんだからー」
と、そう言葉を吐き出したー。

”やっぱりー”と、
思いながら、美愛(卓)は
「ーそんなの嫌だよ!愛川さんがいじめられるなら、僕がいじめられてた方がマシだよ!」
と、そう叫ぶー。

卓(美愛)はそんな美愛(卓)の言葉にため息をつくと、
「ーーーー卓を、守りたかったー」と、悲しそうに言葉を口にするー

「ーー愛川さんー」
美愛(卓)が戸惑いながら、卓(美愛)を見つめるー。

「ーー…でもー、
 わたしじゃ、あの三人を止められないー。

 女子ってさー…男子以上に面倒臭いからー
 わたしが止めに入れば、”明日からわたしもいじめられっ子”になるだけー。

 それじゃ、卓は結局、いじめられてるままー。
 卓を助けることはできないー」

卓(美愛)がそう言うと、
美愛(卓)は「だ、だからってー」と、言葉を口にするー。

「ー卓が、わたしの身体でいれば、
 わたしが我慢すればいいだけだからー。

 だから、絶対に聡子たちに気付かれちゃだめー。
 わたしのフリを意地でも続けてー。

 もしもバレたら、もっとひどい目にーー…

「いやだ!」
美愛(卓)が叫ぶー。

卓(美愛)は少し驚いたような表情をしながら、
「ーはぁ…?」と、言葉を口にするー。

「ーそれしかあんたをー卓を守る方法はないの!
 それともまたいじめられっ子に戻りたいの?」

卓(美愛)が少し苛立ちを露わにすると、
美愛(卓)は「ーさっきも言っただろ…?愛川さんが僕の身代わりに
なるぐらいなら、僕がいじめられてた方がマシだって!」
と、必死にそう叫んだー。

「ーーーーー……」
卓(美愛)は、その言葉に、
「ーわたしの身体でそんなに叫ばないでよ。喉がやられるから」と、
咄嗟にそんな、話題を逸らそうとするような言葉を口にするー。

「ーーーご、ごめんー」
美愛(卓)は美愛の身体で大声を出してしまったことに
ドキッとするー。

そしてー、その声は、
小さい頃、”よく僕を庇ってくれた”美愛の声そのものだったー。

「ーーー僕、勇気出すからー」
美愛(卓)が、なおも迷う卓(美愛)に言い放つー。

「ーーえ」
卓(美愛)が少し表情を歪めると、

「”卓も、ちゃんと言い返さなくちゃだめ!”
 ーーって、前に、愛川さん、言ってくれたからー

 僕ーー…頑張るからー
 だから、もう僕の身代わりになろうなんて考えないでー」

美愛(卓)は、嘆願するかのようにそう言葉を口にするー。

「ーーー…言ったねー…確かに、言ったー」
卓(美愛)は、懐かしそうに少しだけ笑うと、
「ーーでもー、そう簡単にはいかないと思うよ?」
と、忠告の言葉を口にするー。

「ーそれでも、頑張るー。
 だから、僕を信じてー。
 もう、愛川さんに心配かけたりしないからー。

 だからー…
 僕を信じてー…
 
 ーーー美愛ちゃんー」

小さい頃のように、名前で呼ぶ美愛(卓)

その言葉に、
卓(美愛)は、目を真っすぐ見つめながら
やがて、大きくため息を吐き出したー。

「ーー美愛ちゃんー… かーー。
 
 なんだか、懐かしいねー」

そう言うと、卓(美愛)は少しだけ笑いー…
「いいよー。卓を信じてあげるー」と、そう言葉を口にしたー。

「ーーーーーじゃあ、準備して」
卓(美愛)の言葉に、美愛(卓)は「え?準備?」と
不思議そうに首を傾げるー。

すると、卓(美愛)は
少し意地悪っぽく笑いながら言葉を続けたー。

「ー入れ替わったとき、何をしたか、覚えてないの?」
とー。

「ーーえ…?」
そう言われた美愛(卓)は少しだけ考えるような表情を浮かべるとー、
”入れ替わる直前”にされたことを思い出すー。

そう、入れ替わる直前”キス”をされたのだー。

「ーーーい… え… えっ!?!? あ、、そ、そのー!? えっ!?」
美愛(卓)が顔を真っ赤にして叫ぶと、
卓(美愛)は面白そうに笑うー。

「ーあはは!やっぱり卓は面白いねー」

揶揄うような口調で言う卓(美愛)に対して
「お、面白くなんかないし!」と、少し不機嫌そうに言うと、
卓(美愛)は笑いながら言葉を口にしたー。

「ーーー…大丈夫ー、
 ほら、今度は”自分”とキスするような感覚でしょ?
 目の前に来るのは、自分の顔なんだからー」

卓(美愛)のそんな言葉に、
美愛(卓)は”たしかに”と、思いつつも、

「でもー、僕とキスをするような感覚だと、
 それはそれで嫌だなぁ」と、
苦笑いしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その日の夜ー。

元に戻った美愛は”おじいちゃん”の部屋を訪れたー。

「ーーーどうしたんだい?」
おじいちゃんが優しく微笑むー。

「おじいちゃんー…また、わたしに”勇気”を分けてほしいのー」
美愛はそんな言葉を口にするー。

一瞬、きょとんとしたおじいちゃんだったもののー、
すぐにその意味を理解して微笑むと、
「ーーーじゃあ、あっちを向いてごらんー」と、
昔と同じように、美愛に勇気を分け与えたー。

”ーわたしはー、いつの間にか、逃げてたー。
 いつの間にかー、わたしは大事なものを忘れていたー”

美愛はそんなことを思いながら、おじいちゃんから
勇気を貰うと「ありがとうー」と、穏やかに微笑んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

元に戻った二人ー。

卓と美愛は、”いつも通り”学校にやって来るー。

そしてー
いつものように、
聡子、明梨、文香の三人から”放課後、時間ある?”と、
呼び出される卓ー。

そうー、いつもいじめを直接主導しているのは三人のうちの
聡子だー。

確かに、普段は美愛を含む4人で仲良くしていて、
美愛がリーダー格に見える。

けれど、いじめに関しては今、思い起こしてみると
美愛は背後に控えていて、直接何かをしていたわけではないー。

それにーー

「ーーー…あはは、ねぇ、堀村くんさぁ、何で何も抵抗しないの?」

「ーーいこっ」

よく考えると、美愛はいつも卓を馬鹿にするようなことを言いながらも、
いじめができる限り早く終わるように誘導してくれていたようにも思うー。

”勇気、出しなよー?”
と、何度も言われた気がするー。

昔と同じようにー。

放課後ー。
いつものように嫌がらせが始まるー。

聡子、明梨、文香の三人が
陰険な言葉を卓に投げかけているー。

”ーーーー卓ー”
美愛は、そんな卓のことを見つめながら、表情を歪めるー。

卓は、聡子たち三人のほうを見つめながら
背後に控えている美愛の方に視線を向けると、
意を決したように声を上げたー。

「ーーーー…もう…負けない!」
とー。

「ーーは?」
聡子が表情を歪めるー。

「ー今までずっと我慢してきたけどー…
 僕が間違ってたー…」

身体が震えるー。
けど、美愛との約束だー。

勇気を出すー。

勇気を振り絞って、卓は叫ぶー。

「ーもう、お前たちになんか、負けるもんかー!」

ありったけの大声で叫ぶー。

「ーーあはは…何言っちゃってんの?」
明梨が失笑するー。

そして”生意気だ”と言わんばかりに卓を押さえつけようとする明梨ー。

けれどー、卓にもう迷いはなかったー。

明梨の手を払いのけて、卓は明梨を一生懸命睨みつけるー。

「ーーっっ…な、何なのアンター…」
明梨が少しだけ動揺するー。

絶対、反撃してこないと思っていた卓の思わぬ反撃に、
明らかに明梨は動揺していた。

それでも、文香と聡子は卓の腕を掴んで、
「こいつにはお仕置きが必要ね!」などと怒りを露わにしているー。

”ーーーーー”
そんな光景を見ながら、美愛がぐっと拳を握りしめたー。

”ーーー卓は頑張ってるー。
 今度は、わたしの番ーーー”

美愛は一瞬躊躇いながらも、すっと息を吸うとー、
聡子・明梨・文香の三人の前に割って入ったー。

「ーーえ?」
聡子が表情を歪めるー

「あ、愛川さんー?」
卓も戸惑うー。

「ーーもう、やめなよー」
美愛が、聡子たち三人に言い放つー。

聡子も、明梨も、文香も戸惑ったような表情を浮かべるー。

「ーーあ、愛川さんー」
卓に背を向け、聡子たち三人のほうを向いていた美愛は
少しだけ卓のほうを振り返ると、
「ー今度は、わたしが勇気を出す番ー」と、
小声で呟いてから、聡子たちのほうを再び見つめたー。

「ーは?どういうことー…?」
聡子が不満そうに言い放つー。

「ーーもう、こういうこと、やめようー。
 こんな”いじめ”はー」

美愛がそう言葉を口にすると、
明梨は「え…?なになに?まさか、あんただけいい子ぶるつもり?」と、
呆れたような表情を浮かべながら笑うー。

その言葉に、美愛は少しだけ微笑むと、
「ー違うよーわたしだけ逃げるつもりなんてないー」と、
それだけ言い放つとー、
続けて美愛が取った行動に、卓も、聡子も、明梨も、文香も
驚きの表情を浮かべたー。

「ーー堀村くんー、今まで、本当にごめんなさいー」

そう言いながら、美愛は卓のほうを見て、
謝罪の言葉を口にしながら、頭を下げたー。

「ーーえ…」
いじめっ子の一人、文香が呆然とする中、
卓は戸惑いの言葉を口にするー。

「ーーーーーで、でも、愛川さんはー…」

美愛は、三人とは違い、”直接”何かをしていたわけではないー。
それは、卓もよく分かっているー。

しかしー

「ーーううん。わたしだって止めることができないまま見てたんだから、
 聡子たちと同じー。
 
 自分だけ助かろうなんて、そんなこと思わないー」

美愛は、そう言いながら真っすぐな視線を卓に向けるー。

その目には自分と同じように、”強い決意”が滲んでいたー。

こんなことをすれば、自分も聡子たちにいじめられてしまうかもしれないー。
こんなことをすれば、先生たちから叱られるかもしれないー。
そんな”恐れ”から、美愛はずっと何もしなかったー。

でも、卓の勇気を見て、美愛も勇気を貰ったー。
そして、今度はその貰った勇気を自分が振り絞る番ー。

「ーー本当に、ごめんなさいー」
美愛がそう言いながら今一度、頭を下げると
聡子たちが表情を歪めながら、不満そうに立ち去っていくー。

「ーーー……」

やがてー、卓と美愛が二人だけになるー。

美愛は頭を上げると、
どこかやり切ったような表情を浮かべながら、
「ー卓ー、すごいじゃんー」と、少しだけ微笑んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

後日ー

美愛は、自ら職員室を訪れ、先生にいじめの件を伝えるー。

美愛は、臆することなく聡子たちのことも全てを伝えた上で、
自分自身も逃げることなく、罪を受け入れる覚悟で、
”わたしも、同罪ですー”と、そう言い放つー。

そんな、逃げようとしない美愛の堂々とした姿勢を見てー、
最初は文句を言っていた聡子も、明梨も、文香もー、
それ以上は何も言わなかったー。

美愛の勇気と気迫に気圧されてー、
自分たちも逃げることができなくなって、
三人ともいじめを認めるー。

この学校はいじめに厳しく対応していてー、
”いじめ”を認めたとなれば停学処分は免れなかったー。

それでも、美愛はそれを受け入れると
どこか穏やかな表情で静かに微笑んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

帰宅した美愛は、”停学処分”を受けたことを
両親に伝えるー。

戸惑う両親ー。

奥の部屋から、話し声を聞いて
”おじいちゃん”が顔を出したー。

真っすぐと美愛を見つめるおじいちゃんー。

美愛は、そんなおじいちゃんのほうを
見つめ返しながら、穏やかな口調で言い放ったー。

「ーおじいちゃん、わたし、
 ちゃんと、”勇気”出したよー」

とー。

その言葉に、詳しい事情を聞かずとも、
”おじいちゃん”は、深々と頷くー。

そして、美愛に近付いていき、
静かに頭を撫でると、
戸惑う美愛の両親に対して、
言葉を口にしたー。

「美愛は、大丈夫ー。
 何も心配することはないー」

かすれたおじいちゃんの声ー。
けれども、その言葉は力強いー。

そしてー、
美愛のほうを今一度見つめると、
おじいちゃんは力強く、言葉を口にしたー。

「ー人間、誰にでも躓くことはあるー。
 停学が明けたら、また、しっかりと頑張るんだぞー」

とー。

「ーうん。頑張るー」
美愛は、迷いなくそう言葉を口にすると、
不安そうな表情を浮かべていた両親も少しだけ安堵したような表情を浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー、美愛たちの停学は明け

”いじめ”は終わったー。

卓と、美愛の勇気が、いじめに打ち勝ったー。

美愛と聡子ら三人の間には距離は生まれてしまったけれど、
美愛自身は、そのことを微塵も後悔はしていないー。

「ーー本当に、ありがとうー」
改めて、停学明けの美愛にお礼の言葉を口にする卓ー。

美愛は少しだけ笑うと、
「ーーいじめに勝ったのは、全部、卓の力だよー」と、
言葉を口にするー

「ーわたし、聡子たちに嫌われたり、
 先生たちに怒られることを恐れて、何もできなかったんだからー」

美愛はー、
中学時代、だんだんと成長していく過程で、
色々イヤな思いもしたー。

”綺麗事”だけじゃ、正しいことだけじゃ、
この世界は上手く生き抜いていくことはできない、ということを知ったー。

いつしか美愛は、流されるように生きるようになっていたー。

高校で、聡子たちと仲良くなって、
聡子たちがいじめを始めた時にも、止めることはできなかったー。

”何となく”そのまま、傍観者になってしまったー。

美愛にできたことは、”いじめをなるべく早く切り上げさせる”ことぐらいー。

いつしか、おじいちゃんから大切にするように言われていた”勇気”を
忘れて、他人にばかりそれを求めるようになってしまっていたー。

けれどー…

入れ替わったあとの卓に言われた言葉で、
美愛はまた、それを思い出すことができたー。

「ーー卓ー。わたしこそ、本当にありがとうー」
美愛がそう言葉を口にすると、
照れくさそうに「ー相川さんはやっぱり、昔のままだなぁ」と、
卓は、そんな言葉を口にしたー。

「ーー…ねぇねぇ、そういえばなんだけどー…
 昔、わたしのこと”美愛ちゃん”って呼んでくれてたよね?」

美愛がふと思い出したかのように言うー。

「ーーえ…あ、あぁ、うんー
 まだ子供だったしー…」
卓が恥ずかしそうにそう言うと、
美愛はクスッと笑いながら、
「ーまた、”美愛”でいいよー。愛川さんだと余所余所しく聞こえるしー」
と、そんな言葉を口にしたー

「え…え、えぇぇっ!?」
顔を真っ赤にする卓ー。

「ーあははは!卓ってばやっぱり面白い反応!」
美愛は、そんなことを言いながら「あと!」と、
真剣な表情で言葉を口にするー。

「ー卓、
 わたしと入れ替わってる間に、
 わたしの身体で着替えたよねー?」

「ーえ…う、うんー」
戸惑う卓ー。

「わたしの身体で、トイレ行ったよね?」

「ーうんー」

「わたしの身体で、お風呂も入ったよねー?」

「ーー…え…う……うん」

そんな問答を繰り返すと、
やがて、美愛は言葉を口にしたー。

「ーーーわたしの着替えも、お風呂も、トイレもー、
 わたしの身体もーー…
 ぜ~んぶ、見たってことだよね?」

美愛の言葉に、
卓は「えっ!?えっ!?えっ!?」と、顔を真っ赤にしながら
「だ、だ、だって、トイレに行けって愛川さー、…み、美愛ちゃんが
 言ったんだし!」と、慌てふためいた様子で言うー。

「ーーーー」
むすっと頬を膨らませたままの美愛ー。

そんな美愛を見て、卓は「ご、ご、ごめんなさいー」と、
咄嗟に謝罪の言葉を口にすると、
美愛は「だめ」と、即答したー。

「ーーえぇぇ~…」
卓がしょんぼりした様子で言うと、
美愛はそんな反応を楽しむかのように笑ったー

「ーだから、責任取ってー」
とー。

「ーー…せ、責任ー?」
卓が困惑しながら美愛のほうを見ると、
美愛は笑ったー

そして、美愛は勢いに任せてこう言ったー。

「”彼氏”になら、見られても仕方ないかなぁ…って思えるからー
 だから、責任取って、わたしと付き合って!」

「ーーーーー」

「ーーーーー」

勢いに任せて言葉を口にした美愛が、
卓の反応を見て、かぁっ、と顔を赤くするー。

卓が何も言ってくれないからだー。

「ーーー…ち、ち、ちょっと!何か言ってよ!」
美愛が真っ赤になりながらそう言うと、

「ーーー…………ぇ… ぁ…えっとー…なに?」
と、卓は放心状態で顔を赤くしながら美愛を見つめたー

「あぁ…もうー…」
美愛は”鈍いんだから”と、愚痴のように呟くと、
「ーー卓を見てると放っておけないしー
 一緒にいると癒されるから、わたしと付き合って!」と、
美愛は直接、卓に”告白”したー

「ーーーーえ??? えええええええええええええええ!?!?!?」
卓はそんな言葉を口にすると、
信じられないという様子で美愛のほうを見つめながら
「ぼ、ぼ、ぼ、僕の方こそ、宜しくお願いしますー」と、
ぺこりと頭を下げたー

「ちょっ!?なんで敬語ー」

「ぼ、僕にも分かんないよー」

そんな言い合いを楽しそうにしながら、
卓と美愛は、この日、より強い絆で結ばれたのだったー。

”ありがとうー
 おじいちゃんー
 忘れていた大事なもの、おじいちゃんのおかげで
 思い出すことができたよー”

美愛は、心の中で祖父への感謝の言葉を口にすると、
卓のほうを見つめながら、

「わたしのほうこそ、よろしくね!」
と、嬉しそうに微笑んだー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーー美愛があんなに頑張ったんじゃー。
 わしも、動けるうちに勇気、出さないとなー」

美愛の祖父は
かつて、”いじめ”を受けていた友達を
”見て見ぬフリ”をして、見捨ててしまったー。

その結果、彼は不登校になって、
それきりになってしまったー。

ずっとずっと、後悔していたー。

あの時、勇気を振り絞って”やめろよ”と言っていたらー、
運命は大きく変わっていたのかもしれないと、
ずっと、ずっと、後悔していたー。

そんな”彼”は今、隣町の老人ホームに入居していると聞いたー。

ずっと、会いに行って謝りたいと思っていたー。
もちろん、もう自分のことなんて覚えていないかもしれないし、
今頃謝られても、何も得るものは、彼にとってはないかもしれないけれどー

でもーー…

それでもー。

「ーわしも、美愛から勇気を貰ったよー」

美愛の祖父は、そう呟くと
遠い昔”見て見ぬフリをしてしまった”友人がいる
老人ホームに向かって、静かに歩き始めたー。

おわり

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コメント

サソリザ様の合同企画に
参加した際の入れ替わりモノでした~!☆

ハートフル合同ということで、
最後にハッピーエンドにする必要があったのですが、
”あえて”真逆のところからスタートして、
ハッピーに持って行くことにチャレンジしてみました~!☆

結果的に、私自身も印象に残る作品になったので、
今でも参加してよかったと思っています~!

今回初めてご覧下さった皆様も、
久しぶりに見た!という皆様もありがとうございました~!

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