<憑依>マキオ①~伝染~

その自己中心的すぎる性格から
周囲に嫌われ、孤立していた男ー。

しかし、ある日ー
そんな彼が”自分の魂を憑依させる”力を
身に着けてしまうー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”マキオ”
そう呼ばれる男子が、その学校にはいたー。

「ーーぐへへへへへー」
”マキオ”はニヤニヤしながら、逃げ惑う別の生徒を
追いつめていくー。

彼には”他人に自分の魂”を憑依させる力があったー。

とにかく”自分勝手”な性格で、
その上、下心に溢れ、下品な”マキオ”は、
周囲から孤立し、蔑まれていたー。

が、そんなある日”マキオ”は力を手に入れたー。
学校の帰り道に、路上に生えていた謎のキノコのようなものを
食したことで、3日間意識を失い、その結果手に入れた力だ。

”自分の魂の分裂させ、他人に憑依する力”

マキオに憑依された人間は、”マキオ”になり、
そしてー、さらに”憑依”を広げていくー。

そんな、伝染する”憑依能力”を”マキオ”は手に入れてしまったのだー。

そして、今日もそんな”マキオ”の犠牲者が一人ー。

「ーーーひっー!?」
追いつめられた相手が、”マキオ”の方を見つめるー。

「ーぐへへへーお前も今日から”マキオ”だー」
”マキオ”はそう言葉を口にすると、ニヤニヤしながら
その相手にキスをして、自分の魂の分身を”憑依”させたー。

「ーーえへへへへへー」
マキオの魂の分身体に憑依された相手は
”マキオ”と同じような笑みを浮かべると、
マキオと共に歩き出したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーえへへへへー」

クラスメイトの奥脇 牧夫(おくわき まきお)の
視線を感じながら
笹島 絵里(ささじま えり)は、戸惑いの表情を浮かべて来たー。

どちらかと言うと、大人しい性格だった牧夫ー。
しかし、最近の彼は”力を手に入れた”とか何とか訳の分からないことを
言い始めて、奇妙な言動を繰り返しているー。

急に女子のスカートをめくったり、
Hな話をし始めたりー、
平気で下品なことをしたりー、
あっという間に牧夫は、クラスから孤立し、
避けられていたー。

「ーーー……ぐふふふふ」
牧夫は、絵里の方を見つめながら笑うー。

イヤらしい視線を感じながら、絵里は逃げるようにして
自分の座席から立ち上がると、
そのまま廊下の方に向かうー。

「ーーー……お?どうした?絵里ー」
廊下で偶然鉢合わせをしたのは同じクラスの生徒で、
絵里の彼氏である坂城 悠平(さかき ゆうへい)ー。

ちょうど、昼休みということもあり、
1階にある自販機に飲み物を買いに行って
教室に戻って来るところだったー。

「ーーあ…悠平ー…。
 ーーー…なんか、奥脇くんの視線を感じてー」
絵里が困惑した様子で呟くー。

最近、様子のおかしい牧夫のことは、
悠平もよく知っているー。

「ーーまたかー…
 
 こんなこと言っちゃっていいのか分からないケド、
 最近、アイツ気味わるいよなー…」

悠平がそう呟くと、
絵里は「ーーーーうん…何されるか分からない感じで
ちょっと怖いかなー」と、そう呟くー。

「ーーーまぁ、もしアイツに何かされたら
 俺がガツンと言ってやるからー。」
悠平が笑いながらそう言うと、絵里は「ふふーありがと」と、
少しだけ笑うー。

「ーーで、教室には戻らないのかー?」
悠平がそう言うと、絵里は落ち着かない様子で
「うんー…B組の啓子(けいこ)ちゃんのところでお昼を食べようと思ってー
 奥脇くんがいると落ち着かないしー」と、
そう言葉を口にすると、
「そっかー」と、悠平は頷きながら、
そのまま自分の教室の方へと戻って行ったー。

教室へと戻ると、牧夫は鼻をほじりながら一人で
ニヤニヤとスマホを見つめていたー。

スマホからは、”Hな声”が聞こえて来るー。

「ーーちょっと!キモい!
気の強い女子生徒・凛(りん)が怒りの形相で、
牧夫に言葉を投げかけると、牧夫はニヤニヤしながら、
「ーーーキモい?へへー…」と、それだけ言葉を口にしたー。

”前は大人しいだけの奴だったのにー
 最近、気味悪くなったよなー”

悠平は、そんなことを思いながら
自分の座席に着席すると、そのまま昼食を食べ始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーえへへへ…俺と付き合ってほしいんだー」

放課後ー

牧夫は、絵里の前に突然姿を現して
そう言葉を口にしたー。

「ーーーご、ごめんなさいー
 わたし、彼氏いるの知ってるよねー…?」
絵里がそう言うと、
牧夫は「付き合ってるとかさ、法律で縛られてるわけじゃないんだから
どうだっていいじゃんー」と、そう言葉を口にするー。

「ーー俺と付き合えよー
 えへへー
 最近、俺、毎晩、笹島さんで抜いてるんだからー」

その言葉に、絵里はゾワッとした悪寒を覚えるー。

好きでもない相手に、面と向かってそんなことを言われて
驚かない人なんて、ほとんどいないー。

「ーー……ご、ごめんー無理だから!」
絵里はそう言いながら逃げようとするー。

がー…

「だったらー、残念だなぁー
 笹島さんも”マキオ”になってもらうしかないなぁ」

下品な笑みを浮かべる牧夫ー。

「ーーー…!?」
絵里はガッと腕を掴まれて、「な、何をするの!?」と、
声を上げるー。

「ーげへへー お前も今日から”マキオ”になるんだー」
そう言葉を口にすると、牧夫は
”マキオの魂”を分裂させて、そのまま絵里にキスーー、
絵里に”マキオ”を憑依させたー。

「ーーひっ…!?」
ビクっと震える絵里ー。

すぐにー、絵里の表情が恐怖から、下品な笑みに変わっていくー

「うへへへへ…す、すげぇ…笹島さんが俺のものだー」
”マキオ”になってしまった絵里は欲望のままに
自分の胸を揉み始めるー。

「ーへへへへ…俺にも触らせろよ」
牧夫はニヤニヤしながらそう言うと、
「ククー当たり前だろ?」と、絵里は散々嫌がっていた牧夫に
嬉しそうに胸を揉ませると「キスもしようぜ」と、
ニヤニヤしながら、そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー。

「ーーー?」
3年生の教室が何やら騒がしいー

悠平が所属している卓球部の先輩である久留米(くるめ)先輩に
話があって会いに行ったところ、
3年生の教室がかなり混沌とした様子であることに気付いたー。

女子が胸を揉みー、
女子同士で笑いながらキスをしているー。
男子の一部も、それに加わっているようだー。

「ーー先輩ー、これは?」
悠平がそう聞くと、
「ーー半月前ぐらいから、なんかおかしい奴が増えてさ」と、
久留米先輩は、困惑した表情を浮かべながら苦笑いしたー。

「ーーーおかしい奴がー?」
悠平がそう確認すると、久留米先輩は
「ーーーーーまぁ…見ての通りだよー。理由は分からないけど」と
教室の方を見つめるー。

5,6人の生徒が奇妙な行動を取っているように見えるー。

「ーーー……た、大変ですねー」
悠平はそう言いながらも、卓球部の活動に関する相談をすると
久留米先輩は「わかったー。じゃあ、そうしておくよ」と、
そう言葉を口にしてから、自分の教室へと戻って行ったー。

悠平は、”なんか、ヤバいことになってるなぁ…3年生はー”と、
そう言葉を口にしながら、自分の教室に戻るー。

がーーー…

教室に戻った悠平は、目を疑ったー。

「ーーふふふふふふ…みんな~~!
 笹島さんのスカートの中、見たいでしょ~?

 げへへへへへっ!」

絵里がゲラゲラ笑いながら、教室の前の方で
自らスカートをめくっていたのだー

「ーーは…!?…えっ!?」
何が起きているのか全く理解できず、悠平が困惑した表情を
浮かべていると、絵里が悠平に気付いて、笑みを浮かべたー。

「ーーお!”彼氏”登場~!
 
 ねぇねぇ、俺ーあ、いや、わたし、
 今日から奥脇くんの彼女になるから!」

絵里の言葉に、悠平は表情を歪めるー。

教室内は絵里の異様な行動にどよめいているー。

「ーね~~!奥脇くん!」
クラスメイトと、”彼氏”の前で牧夫に抱き着いてみせる絵里ー。

「ーへへへ…おい”俺”ー
 さすがにやりすぎじゃね?」
抱き着かれた牧夫が小声で言うと、
「へへへー…他のやつらの呆然としたツラ、最高だろ?」
と、”マキオ”と化した絵里がニヤニヤしながら言うー。

「ーーー…え…絵里…?」
彼氏の悠平は何が起きているのか、しばらく思考が追い付かずに
戸惑いの表情を浮かべていたものの、
やがて「お、おい…!どういうことだ!?」と、
牧夫に対して言い放つー。

「どういうこと? こういうことだよ」
絵里を抱きしめながら、牧夫は笑みを浮かべると、
抱きしめられていた絵里が小声で言い放ったー。

「ーなぁなぁ、キスもしちゃおうぜ?アイツの目の前でさ」
とー。

「ーへ…へへー
 で、でも、それやったら俺が殴られそうなんだけど?」
と、牧夫はそう言い放つー。

「ーへへへ…大丈夫さー。
 ”この身体”で守ってやるからー」
絵里の言葉に、牧夫は「へへへー」と、笑うと
悠平や他のクラスメイトたちの前で、絵里にキスをし始めたー。

クラス中がどよめくー。

「なっ…」
呆然とすることしかできない悠平ー。

「ーー…うふふふふ…♡ ふふふふふふふっ♡ たまんねぇ…」
絵里が奇妙な言葉を発しながら、嬉しそうに微笑むー。

「お、お前…!絵里に何か言ったのか!?」
牧夫が絵里を脅して、こういうことを”やらせているー”

悠平はそう判断して声を上げるー。

しかし、牧夫は悪びれる様子もなく、
「脅されただけで、お前の彼女はこんなことするのかなぁ?」
と、笑みを浮かべるー。

「ーふふふー悠平~
 わたしは、自分の意思で奥脇くんー
 ううんー、”牧夫”の彼女になったんだよー」

絵里がそう言い放つと、
「ど、どういう意味だー…?」と、悠平は戸惑いながら言うー。

「ー別にさぁ、二人以上と付き合ったり、
 浮気したりしちゃいけないって法律があるわけじゃないじゃん?」
絵里は”マキオ”に憑依される前に彼自身が言っていた持論を
口にすると、馬鹿にしたように笑い始めるー。

「ーお、お前!絵里に何をした!」
悠平は、今度は絵里が牧夫に何かされたと、
そう感じて言葉を口にすると、
牧夫は笑いながら「別にー」と、そう言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”マキオ”は伝染するー。

自分の魂を分裂させ、
そしてまた新たな人間に憑依するー。

”マキオ”に憑依された人間もまた、
自分の中で”マキオ”を分裂させ、
また、”憑依”を広げていくー。

「クククククー」

放課後ー。
B組の啓子は、親友である絵里から
呼び出されて、南校舎の廊下脇にやってきていたー。

「ーど、どうしちゃったの…!?絵里!?」
啓子がそう叫ぶと、
絵里はニヤニヤしながら言ったー。

「ーお前、可愛いじゃんー」
啓子を壁ドンしながら、邪悪な笑みを浮かべる絵里ー。

「ーーお前も”マキオ”にしてやるよー」
絵里がイヤらしい目で親友を見つめるー。

「ーー…え…絵里…?何を言ってるのー?」
涙目で絵里の方を見つめる啓子ー。

しかしー、啓子はそのまま絵里にキスされてーー
分裂した”マキオ”の魂に憑依されると、クスクスと笑い始めたー。

「ーーへへ…早速女同士で楽しもうぜ?」
絵里がそう言うと、啓子は「ーへへ…女同士でHなこと一度、してみたかったんだよなぁ」
と、そんな言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はぁ~~~~~~~」

帰宅した悠平が大きくため息をついていると、

「ーーえ…?何?どうしたの?」
と、悠平の姉であり、大学生の優奈(ゆうな)がそう言葉を口にしたー。

「ーーいや……べ、別にー」
悠平が目を逸らすー。

彼女に浮気されたー、なんてことは言いたくなかったー。
いやー、未だに信じられないし、
何かがおかしいー。

「ーーえ~~~?なんかあったでしょ?」
ニヤニヤしながら、悠平の顔を覗き込む優奈ー。

「ないっ!ないっ!何もないって!」
悠平は逃げるようにして自分の部屋の方に向かうと、
部屋に入ってからも、しばらく何もする気力が起きず、
呆然と、今朝の地獄のような光景を思い出すのだったー。

②へ続く

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コメント

伝染する”マキオ”の恐怖…
どんどん広がって行っちゃう恐怖を味わってくださいネ~!

今日もありがとうございました~!!★

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憑依<マキオ>

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