姉から、”わたしの親友に変身してほしい”と
突然お願いされた弟ー。
あまりにも意味の分からないお願いに
困惑する彼の運命は…?
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「ーねぇねぇ、竜也(たつや)ー」
葵(あおい)に変身してくれない?」
姉の堀坂 彩恵(ほりさか さえ)が
突然、訳の分からないことを言い始めたー。
「ーーーえ……?ど、どういうことー?」
彩恵の弟・達也が困惑した表情を浮かべながら
振り返ると、
「っていうか、部屋に入る時はノックしてほしいっていつも言ってるよね?」と、
姉の彩恵に対して、そんな言葉を口にするー。
「まぁまぁまぁ、そんなこと、どうでもいいでしょ」
彩恵が笑いながら近づいてくるー。
竜也の姉・彩恵は、
見た目はとても可愛らしいし、明るく、友達も多いタイプー。
勉強もできて、家のことも色々とできる、なんでもできるタイプの姉だー。
しかし、竜也は姉・彩恵のことがあまり得意ではなかったー。
”外”でのイメージとは全然違ってイタズラ好きだし、
昔から何かあると”弟のせい”にするような一面もあり、
姉・彩恵のせいで、親から勘違いされて怒られたりするようなこともあったー。
小さい頃から、散々、姉・彩恵に驚かされたりしてきた竜也は、
正直、彩恵のことはあまり好きではなかったー。
「ーどうでもよくないよ!俺にだってプライバシーがー」
現在、高校生の竜也ー。
不満そうにそんな言葉を口にすると、
彩恵は「まぁ、それはいいんだけどー」と言葉を続けたー
「よくないよ!全く姉さんはいつもいつもー」
不満そうにしながらも、姉・彩恵はこういう性格だと
ある種の諦めの境地に達している竜也は「で、話ってなに?」と、
そう言葉を口にするー。
「ーーだから、”葵”に変身してほしいの」
小笠原 葵(おがさわら あおい)ー
姉・彩恵の親友で、
彩恵がいつも”葵ちゃん可愛い~”とか、”葵ちゃんは推せる!”とか、
そんなことばっかり言っている子ー。
姉の彩恵は”可愛い子”が好きで、
昔から、イケメンよりも可愛い子を好んでいるー。
今は大学の同級生である葵に夢中で、
先日も、学園祭の後に、その子に”お疲れ様~”と、抱き着いたことを、
嬉しそうにずっと語っていたー。
”華奢で、守ってあげたくなる感じが、本当にたまらないね!”とか、
”抱きしめたら思ったより柔らかくて、気持ち良かった”とか、
完全に危ないお姉さんになってしまっているー。
それはさておき、その”葵”に変身してほしいとは
一体どういうことなのだろうかー。
「ーーー…姉さん、ついに頭おかしくなったのか?」
表情を歪めながら、竜也がそう言葉を口にすると、
「ー全然!わたしは正気だよ」と、彩恵は竜也の方を見つめるー。
「ーー俺がその、葵さんって人になれるわけないだろ?」
竜也が表情を歪めるー。
姉・彩恵はこういう訳の分からないことを急に言い出す一面もある。
”現実をしっかり見る”タイプの、悪く言えば冷めた感じの
男子高校生でもある竜也からすれば、
姉の奇妙な言動の数々には、いつも頭を抱えていた。
「ーーーま、まさかー
姉さん、俺に女装させる気じゃ!?」
嫌な予感を覚えながら、竜也がそう言葉を口にすると、
彩恵は「竜也が女装しても、葵になれるわけないでしょ」と、
ピシっと否定されてしまったー
「ーじ、じゃあ何なんだよー
俺に葵さんになってほしいってー」
竜也が呆れ顔でため息をつくー。
「ーっていうか、もう勉強したいから、部屋から出て行ってくれよ」
うんざりしながらそう言葉を口にすると、
後ろからポンポンと肩を叩かれた竜也は、振り返るー。
すると、そこにはー
「ーーえぇぇぇぇっ!?お、お、お、お、俺がもう一人!?」
跳ね上がりそうなほど驚きながら声を上げると、
目の前にいる”もう一人の竜也”がゲラゲラと笑い始めたー
「あははは!面白い反応ー」
ゲラゲラと笑い続けるもう一人の竜也ー。
その人を小馬鹿にするような態度から、
すぐに”姉の彩恵”であることを悟り、竜也は
「ど、どうなってるんだよ!それ!」と、叫ぶとー、
彩恵は笑いながら、指にはめた指輪を光らせると、
そのまま”元の姿”へと戻ったー。
「どう?すごいでしょ?
この指輪の力ー。
相手を見つめながら念じると、ほらー」
彩恵がそう言いながら、指輪を光らせるー。
すると、彩恵の身体が一瞬にしてドロドロしたシルエットのような状態になるとー、
すぐに、竜也の姿に完全に変形したー。
その間、わずか3,4秒ー。
あっという間に、姉・彩恵は竜也の姿に変身してみせたのだー。
「ーーー…す…すげぇ…
……って、そんな指輪、どこでー?」
竜也が言うと、
彩恵が「ネットの怪しいサイトで売られてたよ」と、クスクス笑うー。
「ーいやいや…姉さん、怪しいモン平気で買いすぎだろ」
竜也は思わずそうツッコミを入れるー。
前から姉の彩恵は、平気で変なものを買う癖があり、
”いつか騙されるぞ!”と、竜也はよく警告をしているのだー。
「ーーあははー。
だから、この姿でー」
突然、彩恵は竜也の姿のまま、突然ズボンを脱ぎ始めるー
「はーっ!? え?まって!何やってんの?」
竜也が顔を赤らめながらそう言葉を口にすると、
ズボンを脱ぎ捨てて、さらにその下まで脱ごうとするー
「いや!おいっ!」
ぺしっ!と、竜也の姿をした姉・彩恵を叩くと、
竜也の姿をした彩恵は、
「相手の姿で何でもできちゃうの、すごくない?」と、
嬉しそうに呟いたー
「いや、す、すごいけど!俺の姿で変なことしないで?」
竜也が必死にそう叫ぶと、
竜也の姿をした彩恵は「えー…」と、不満そうにしながらも
「まぁいいや」と、そのままの姿で言葉を続けるー。
「それで、改めてお願いなんだけど、
葵の姿に変身して、”いろいろ”させてくれるかな?」
竜也の姿のまま笑う彩恵ー。
「ーい、色々ってー?」
嫌な予感を覚えながら竜也が聞き返すー。
すると、姉の彩恵は、竜也の姿のまま顔を赤らめると、
「抱きしめたり、キスをしたり、おっぱい触ったり!」と、
ニヤニヤしながら言い放つー。
「ーーー~~~~」
竜也は、嫌そうな顔を浮かべるー。
「ーそんな顔しないでよ~
だって、葵本人はそういうことなかなかさせてくれないし~」
「ー俺だっていやだよ!」
竜也がすかさず反論するー。
しかしーー
「ーじゃあ、全部脱いで
竜也の姿のまま、外を走っちゃおうかな~?」
脅しの言葉を口にし始める彩恵ー。
「ーーはぁ!?そ、そんなことしたら俺、捕まるし!
絶対やめろよ!?」
竜也が困惑しながら叫ぶー。
するとー、竜也の姿をしたままの彩恵は、
笑みを浮かべながら
「ーじゃあ、わたしのお願い、聞いて?」と、
言葉を続けたー。
「ぐぐ…」
竜也は表情を歪めるー。
これは、アレだー。
返事がYesとサーしかないやつだー。
拒否権など存在しないー。
竜也は、嫌そうな表情を浮かべていたものの、
「わかったよー」と、そう言葉を口にすると、
姉の彩恵は自分の姿に戻って、
「やった!ありがと!」と、そう言葉を口にしたー。
指輪を外して、それを竜也に手渡す姉・彩恵。
「ーーでもさ、これ、健康的なアレ、大丈夫なのか?」
竜也が心配そうに呟くー。
変身するときに一瞬、人型のスライムのような
ドロドロとした状態に変わり、変身しているー。
なんだか、自分の身体のどこかがおかしくなりそうなー、
そんな感じがするー。
しかしー、彩恵は「大丈夫ってサイトに書いてあったし」と、
そう言葉を口にすると、
「ーわたしももう何度も試したけど、全然、体調に問題はないから!」と、
笑いながら、その場で手をぶんぶんと振って見せるー。
根拠のない自信ー
これも、姉・彩恵の昔からの特徴だー。
”今”彩恵が大丈夫だからと言って、
健康状態に何の影響もないとは限らないし、
そもそも、サンプル数が”1”では、たまたま彩恵が大丈夫だっただけで、
竜也の身体には何か影響が出るかもしれないー。
「ーーーーー…どうせ、断っても
俺がやるって言うまでしつこくするんだろー?」
竜也が半分呆れ顔で笑うと、
「ふふふーさすが竜也!よく分かってるじゃん!」と、
彩恵は嬉しそうにそんな言葉を口にしたー。
「はぁ…」
大きくため息をつきながら、逃げ場のないこの状況を呪うかのように、
自虐的な笑みを浮かべつつ窓の外を見つめる竜也。
窓の外を見つめても、何も意味がないことぐらいは分かっている。
けれど、気持ちの整理をする時間が必要だったー。
「ーーわかったよ。やるよー
で、葵さんにどうやって変身すれば?
ここに、葵さんはいないんだしー」
竜也がそう言うと、彩恵は「それなら大丈夫」と、
そう呟きながら彩恵の親友である”葵”の写真をスマホに表示してみせたー。
「これ、勝手に撮った葵の写真だけどー、
写真を見つめながらでも変身できることは確認済みだからー、
これで変身して!」
彩恵が何も悪びれる様子なく、そう言いながら笑うー。
「いやいや、勝手に撮るなよー。
盗撮じゃんー」
呆れ顔の竜也ー。
「ー女同士だからいいの」
彩恵が即答するー
「いいのかよ…」
なおも呆れて首を横に振る竜也ー。
「ーまぁまぁ、とにかく、葵に変身してみて」
彩恵に押されて、
仕方がなく指輪をはめると、
そのまま竜也は、葵の写真を見つめるー。
がーーー
”ーーへへ”
竜也は、少しだけ”姉さんに仕返ししてやろう”と、そんなことを思ったー。
いつも揶揄われたり、ドッキリを仕掛けられたり
ばっかりしている竜也ー。
ちょっと、仕返ししてやろうという気持ちになったー。
”スマホ”を見ているフリをして、姉・彩恵の方を見つめる竜也ー。
葵に変身する前に、姉・彩恵に変身して
彩恵を驚かせてやろう、とそう思ったのだー。
「ーーーーーー(姉さん、何て言うかなぁ)」
そう思いながら、姉をこっそり見つめながら
変身を開始するー。
今まで、感じたことのない感触がしてー、
自分の身体がスライムのようにドロドロになっていくー。
がーーー
その時だったー。
「ーえいっ!」
姉・彩恵が、”ドロドロの状態”の竜也を突然、
”いつものイタズラ的なノリ”で、押したのだー。
「ーー!?!?」
ドロドロとした身体が、そのままバランスを崩して転倒するー
身体が激しく波打ちー
竜也本人の姿と、彩恵本人の姿が入り乱れたような状態になってー、
姿が安定しないー。
ぐにょぐにょと蠢く身体に、竜也が苦痛の声を上げると、
彩恵は「え…? え…?あ、あれ?」と、途端に焦りの表情を浮かべるー。
そしてーーー…
「ーーな…な…何、するんだよー!」
彩恵の姿に変身した竜也が叫ぶー。
「ーちょ、ちょっと!何でわたしの姿に変身してるの!?」
彩恵が表情を歪めながら声を上げるー。
がーー
「ーーあ…あれ…な、なんだ…これ?」
彩恵の姿になった竜也は戸惑うー。
不完全に膨らんだ胸とー、
不完全に縮んだ、男の肉棒ー…
片手は女子っぽく、もう片方の手は自分の手のままー。
足も、片方だけ彩恵の足になったのかー、
歩くにもバランスが悪いー
「え…な、なにそれ…」
彩恵がそう言うと、
「ーーね、姉さんが途中で妨害したからじゃないのか!?」と、
彩恵の姿になった竜也が叫ぶー。
目から、”ドロドロとした液体”が涙のように伝い、
変身が不完全な状態になってしまった竜也が、不安そうに叫ぶと、
彩恵は「だ、だ、だってーこんなことになるなんて、思わなかったんだもん!」と、
そう叫ぶと、「元の自分の姿を思い浮かべるか、指輪を外せば元に戻れるから、
一旦元に戻って!」と、そう言葉を口にしたー。
すぐに指輪を外す竜也ー。
がーー…
”不完全な彩恵”の姿になった竜也は、指輪を外しても、
元の姿に戻れることなくー、
二人は表情を歪めたー
「ーー…姉さんー…何だよこれ…?
どうすりゃいいんだよ」
不完全な変身を遂げた竜也が、困惑しながら叫ぶー。
その言葉に、軽い気持ちで、変身を妨害した姉・彩恵は
真っ青になりながら、「え…え~っと…」と、
やっとの思いで、意味のない言葉を吐き出したー…
②へ続く
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コメント
途中で変身妨害…!
ちょっと、イタズラの度が過ぎているお姉ちゃんなのデス……!
続きはまた明日デス~!
今日もありがとうございました~!
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