憧れのあの子に憑依した男…。
しかし、憑依には成功したものの、
憑依薬の副作用で、その子の身体が巨大化してしまい…!?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーうへへへへへ…」
男子高校生の直井 武治(なおい たけはる)は
ニヤニヤと笑みを浮かべていたー。
「ーな、直井くんーどうしたの?大丈夫ー?」
そんな武治の様子に気付いた
クラスメイトの北沢 由菜(きたざわ ゆな)が、
心配そうに言葉を口にするー
「ーうぁっ!?あ、あ、だ、大丈夫!」
突然、由菜から声を掛けられた武治が、
ビクッとしてそう言葉を口にすると、
由菜は「大丈夫ならよかったー」と、優しい笑みを浮かべながら
そのまま立ち去っていくー
「ふ… ふ~~~…びっくりしたー」
由菜に声を掛けられたことにドキッとしながらも、
嬉しそうに笑みを浮かべる直治ー。
由菜は、クラスの誰にでも優しいタイプの美少女ー。
見た目も可愛く、勉強もできて、性格も…
少なくとも武治から見ている分にはとても良い感じの人気者だー。
クラスの中でも”地味”な部類に入る武治からしてみれば
そんな由菜は”雲の上の存在”
今みたく、偶然話しかけられるぐらいでも、
武治は、1週間ぐらいその余韻に浸れるぐらいに喜んでしまうー。
がー、武治は
今日の放課後、そんな由菜に”憑依”しようとしていたー。
今、一人でニヤニヤしていたのはそのためだー。
まさか、その憑依する予定である由菜に
偶然、今日に限って声を掛けられるとは思っておらず、
不覚にもドキッとしてしまったー。
”へへへー…
まさか本当に”憑依薬”なんてものが届くなんてー”
またニヤニヤし始める武治ー。
武治は今から1週間ちょっと前に、
ネット上で偶然、憑依薬なるものを見つけたー。
決して安い買い物ではなかったものの、
これまでバイトで貯めて来たお金の大半を利用すれば
買えない金額ではなかったー。
そこで、武治はバイトで貯めたお金を使いー、
憑依薬を購入し、
先日、ようやくその憑依薬が届いたのだったー。
憑依薬は1回分ー。
そのため、まだ本当に他人に憑依できるのかどうか、
分からなかったものの、
それでも、武治は憑依できると思い込んでいたー。
武治は、よく友達からも”警戒心が足りない”などと言われてしまうぐらいに
単純な性格で、
”憑依薬”として売られていれば、それが憑依薬だと信じてしまうし、
そういう性格が原因で、過去にもネットの買い物に何度も
失敗したことがあるほどだー。
一度、スマホで変なサイトにアクセスした際にも
騙されて個人情報を抜き取られた経験もあって、
かなり危ういほどに、純粋で単純な人物と言えるー。
そんな武治は、何の疑いもなく
ネットで買った憑依薬を手に、”今日の放課後、北沢さんに憑依する”と、
朝からずっとワクワクしている状態だったー。
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そして、放課後ー。
武治はいち早く家に帰宅すると、
そのまま部屋の中で憑依薬を飲み干すー。
”憑依薬って名前だけでただの水とか栄養ドリンクなんじゃないか”とか、
”これは実は毒で、飲んだら死んでしまうのではないか”とか、
そういったことは彼は全く考えていないー。
これを飲めば憑依できるー。
単純にそう思い込んでいたー。
「ーーーー!」
がー、幸いにも、この憑依薬は”本物”で、毒でもなく、
憑依薬を飲んだ武治は幽体離脱したー。
「ーーす、す、す、すげぇ!」
武治は嬉しそうに、倒れ込んでぐったりとしている
自分の身体を霊体の状態で見つめると、
「ー俺ってこんな顔してるんだなぁ…
今まで鏡とか写真とか動画とか、
他のもの越しでしか見たことないからなぁ…」と、
自分の身体を霊体の状態のまま、楽しそうに見つめるー。
やがて、すぐに”そうだ!早く北沢さんに憑依しないと”と、
そんな風に思い直して、そのまま浮遊して学校に向かうー。
由菜は美術部所属ー。
今日も美術部の活動があることは確認済みで、
学校が終わったあとにすぐに帰宅することで、
”由菜がまだ学校にいるタイミング”で、
霊体になって学校に戻ることができる、
そういう計算だったー。
家に帰ってしまう前に由菜を乗っ取って、
由菜の身体で色々遊び回りたいのだー
”あぁ、もうすぐで俺が北沢さんになるんだ…へへ”
”由菜って名前まで俺のものになっちゃう うへへー”
色々な妄想をしながら、浮遊を続ける武治ー。
一瞬、Hな妄想をしていたことで、
アソコが勃ってしまっているのではないかと、
心配そうに自分の身体を見つめたものの、
霊体の状態では勃つ、勃たないもないようで、
特に自分のアソコに変化は見られなかったー。
そもそもの話、霊体になっているのだから、
例えば棒のようになってしまっていても、
どうせ誰にも見えはしないー。
「ーーじゃあ、わたしが片付けておくからー」
美術室に到着すると、由菜が、
他の部員たちにそんな言葉を口にしていたー。
由菜は現在、美術部部長。
部活の時間が終わり、部屋の後片付けと戸締りは
自分がやっておく、と、他の部員を
先に帰らせてあげている最中だったー
”うへへ…やっぱり優しいなぁ…”
由菜の優しさに感動しながら、一人でニヤニヤと
笑みを浮かべる武治ー。
やがてー、武治は「ーちょうど憑依には絶好のタイミングだなー!」と、
一人で呟くー。
由菜の周りで呟いているものの、やはり霊体であるからか、
特に由菜が反応する様子はないー。
「ーーえへへ…部室に一人…
ちょうどいいやー
憑依したらまずはー、色々ここでやっちゃおー」
そう呟くと、武治はついに、由菜の身体めがけて
自分の霊体を突進させたー
「ーあぅっ!?」
由菜がビクンと震えて、声を上げるー。
”おっと、憑依した時って意外と声が出るんだなー
もし、次回以降も憑依する機会があったときのためにー
「ーー覚えておこうー」
ー!?
憑依に成功し、由菜の身体の主導権を握ったと同時に、
由菜の口から、自分の考えている言葉が声として発されたー
「ーえ… あ…あは、そ、そっかー
お、俺、この声で喋れるんだー
えへ…えへへへへへっ」
下品な笑みを浮かべながら”由菜”の声で
喋れることに感動すら覚える由菜になった武治ー。
「ーーえへへへ…
き、北沢さん…さ、早速ー…うふっ…ふひひひ」
胸の膨らみを主観視点で見つめながら笑みを浮かべる由菜ー。
美術室の後片付けをする手は、完全に止まり、
自分の身体を芸術品として見ているかの如く、
下品な笑みを浮かべた由菜が、その胸に手を触れるー
「ーふへっ…す、すげぇ…これがー…ひひひひひひっ♡」
胸を始めて揉んだ興奮から、
語学力さえも失って、ニヤニヤし始める由菜ー。
あまりの気持ち良さに、夢中になって、
胸を揉み続ける由菜ー。
”揉むってこんなに気持ちいいのかー
身体の中から何かエネルギーみたいなものが
湧き上がって来てー、
あぁ、いつの間にか太陽に照らされているような
ほわっとした感覚にー、
あぁ、すげぇー…なんだか心の壁が崩れていくような音までするー
これは、これはーーー”
「ーーーーへ…?」
興奮のあまり、目を閉じながら胸を揉んでいた由菜は、
目を開いて、唖然とした表情を浮かべるー。
美術室にいたはずなのに、いつの間にか外にいるー?
それに、なんだか周囲が騒がしいー。
「ーーー」
夕日のほうを見つめながら、由菜は首を傾げると、
下を向いて、表情を歪めたー
「ーーえ…!?」
自分の足元には、美術室ー…
いや、由菜がいた学校があるー。
しかも、その校舎がミニチュアのように小さくー…
いや、それだけじゃない。
まるで、ちょっとした上空から撮影したかのようなー
航空写真もどきの光景が、眼前に広がっていたー
「え…??え?」
「ーーーこ、これはい、いったい…?」
困惑する由菜に憑依した武治ー
周囲が、急に小さくなってしまったー?
自分の身体を改めて見下ろすー。
確かに、由菜の身体に憑依はできているし、
由菜の身体は自由に動くー。
そう思いながら、自分の手と足を動かすー。
がー…
足を動かすと同時に、イヤな感触がしたー。
何かを壊すような、そんな感触ー。
由菜は一瞬、何が起きたのか理解できなかったー。
しかし、数秒後に聞こえて来た悲鳴と、
何かが崩れるような音ー、
そして、足から伝わってくる感触ー
それらが一気に伝わってきて、
由菜は呆然とした表情を浮かべたー
「え………ま…まさかー…」
突然、周囲が小さくなったのではないー。
突然、外にワープしたのではないー
自分自身が、”巨大化”してしまったのだー。
まるで、大怪獣のようにー。
何らかの理由で突然巨大化してしまった由菜は、
美術室の天井をー、いや、学校の校舎を突き破って
外に上半身の部分が飛び出してしまった状態ー。
外にワープしたのではなく、校舎を破壊してしまったのだー。
そして今、状況を理解しないまま、
手足を動かしたことにより、大惨事が起きてしまったー。
手は、問題なかったー。
巨大化してしまった由菜の腕の部分は
既に屋上よりも高いところにあるー。
そのため、振っても問題は起きていないー。
が、足は別だー。
2階にある美術室で巨大化し、床を突き破って地面についている
状態だった足を振ったことで、
校舎を派手に破壊してしまったー。
人的な被害も出て居るかもしれないー。
「ーーえ… え… え… えええ… え???
な、なんで巨大化してるんだよー…?え?」
戸惑いの表情を浮かべながら、由菜は
周囲の様子を見まわすー。
足元では、豆粒のように小さく見える
見覚えのあるクラスメイトや同級生が
悲鳴を上げているー。
「ーーい、いや…ち、ちょっと待ってー これは」
由菜は声を発するー。
だが、”下”ではパニックが起きていて、
会話できる状態ではないー。
「ーーい…いやいやいやー
っていうか、服まで丁寧に巨大化してるんだなー」
由菜は、そんなことを呟きながら
自分の姿を見つめるー。
どうやら、由菜が身に着けていた衣類の類ー、
つまり、制服も一緒に巨大化したようだー。
まぁ、それは不幸中の幸いだったかもしれないー。
巨大化した時に服がはじけ飛ぶようなことがあれば、
由菜は巨大化した状態で裸体を晒す羽目になって
もはや普通の日常生活には戻れなくなってしまったかもしれないー。
「ーーい…いや…こ、この状況も十分まずいかー」
巨大化して、校舎を破壊してしまったー
既に、学校だけの騒ぎではなく、
周囲からも”巨人が現れたぞぉ~!”などという声が響いているー。
当然、学校の校舎を突き破り、怪獣のようなサイズに
なってしまった由菜は、周囲からもよく目立つ存在だー。
「ーー…み、みんな…お、落ち着いてー」
由菜のフリをしながら、そう叫ぶ武治ー。
とりあえず、憑依のことは隠しつつ、
”原因が分からないまま巨大化して困っちゃった可哀想な女子高生”という
感じで振る舞うのが一番いいだろう、と武治は判断するー
とりあえず、校舎をこれ以上、破壊しないように、
足を上手く動かして跨るように、校舎を超え、
校庭の方に移動するー。
ズシン、ズシン、と怪獣が
動くような音がその都度響き渡るー。
「ーーん?」
ふと、校庭に移動した”巨大な由菜”は首を傾げるー。
悲鳴を上げて逃げる生徒が多い中ー、
ニヤニヤしながら巨大化した由菜を見上げている男子生徒が目に入ったのだー
「ーーーーー…なにをして…」
そこまで言いかけて由菜はハッとするー。
「ー(って、こいつら、巨大化した北沢さんのスカートの中を見てやがるのか!?)」
そう思った瞬間に、急に恥ずかしい感情が芽生えて来る由菜ー。
ニヤニヤしている男子生徒たちは、
制服ごと巨大化した由菜の、スカートの中を見ていたのだー。
巨大化したせいで、もはや普通に立っている状態で、
上を見上げるだけで、中は丸見えの状態ー。
”ぐ…ぐぐ…こいつらー”
由菜は、そう思いながら少し懲らしめてやろう、とふと笑みを浮かべるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー17:37分ーー残念ですがー」
その頃、少し離れた病院では、
とある男子高校生の死亡が確認されていたー。
自室で倒れているのを親が発見ー、
病院に運び込まれたものの、即、死亡が確認されたー。
「ーーーそんな…」
母親が呆然とするー。
たった今、死亡確認された”その身体”は、
現在、由菜に憑依して巨大化し、戸惑っている武治の身体だったー
②へ続く
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コメント
憑依した身体が巨大化してしまったり、
自分の身体が死んでしまったり…
とんでもない憑依薬ですネ~…!
続きはまた明日デス~!!
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