ある日の朝、突然美少女になってしまった弟の悠太。
しかし、何事にも無気力な悠太は、
美少女になっても、あまり周囲の目を気にしない振る舞いを
続けてー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーー」
「ーーーーーー」
「ーーーーーーーー」
戸惑いの表情を浮かべながら
”美少女”になった悠太を見つめる兄・海斗ー。
「ーーーゆ、悠太ー…」
海斗が、思わず声を上げると、
「ん?」と、悠太が海斗のほうを振り返ったー
「ーーーな、なんでそんな薄着なんだよ!?」
海斗が思わず突っ込みを入れるー。
薄いランニングシャツに、短パンーー
正直、物凄く目のやり場に困るー。
胸元がチラチラ見えるし、
綺麗な太ももが大胆に晒されているー。
そんな状態を前に、先ほどからざっと
ソワソワしていた兄・海斗は、
悠太に向かって、そう叫んだのだったー。
「ーー何でって…?暑いからに決まってるじゃん」
悠太はそう言いながら、ぐったりとソファーに寝転びながら
団扇で自分を仰いでいるー。
「い、いやいやいやいや、そういうことじゃなくて!
そ、そのー…
お、お、女になったんだから…もう少しーこう、何と言うかー」
海斗が顔を赤らめながら言うと、
悠太は、少し笑いながら身体を起こすと、
「ー兄さん、弟の俺に興奮してんの?」とニヤニヤしながら言うー。
「いや、だってさぁ、そんなー…そんな可愛い姿になったらー
だ、誰だってー」
海斗はさらに顔を真っ赤にしながら
そんな言葉を吐き出すー。
「ーーーえ~~~?そんなもんか?」
悠太は可愛い顔で、自分の綺麗な足をじっと見つめるー。
しかしー
「ーただの足だよー
ただの骨と肉と皮ー」
と、だけ言うと、また面倒臭そうに、
そのままソファーに横たわってしまったー
「おぉぃ!?た、確かにそうだけど!!そうだけどさ!」
海斗は、そう言いながら、
「ーこ、こんな大胆に生足晒してたら、誰だって気になるから!」と、
近くに行って、悠太の足を指差しながら叫ぶー。
「ーまぁまぁ、そのうち慣れるっしょ」
悠太は笑いながらそんな言葉を口にするとー、
「くそっ…笑顔も可愛いー…くそっ!」と、
海斗が困惑したような表情を浮かべて呟いたー。
結局ー、
”元に戻す方法”が分からないまま、
1日が終わってしまったー。
昼間は、いつものように堕落した休日を過ごしていた
弟の悠太も、夜になると流石に、不安になってきたのか
口数が減っているのが分かるー。
「ーま、まぁ…必ず元に戻れるから」
海斗が、女体化してしまった弟を、少しでも安心させてあげようと、
そんな言葉を口にするー。
「ーーはぁ~… ありがと」
いつものように面倒臭そうに返事をする雄太ー。
「ー父さんと母さんも、元に戻る方法を探してくれてるしー、
ほら、寝て起きたらまた、元に戻ってるかもしれないだろ?」
そんな言葉に、悠太は「あ~…いや…まぁ…今の状況に別に不安が
あるわけじゃなくてさ」と、言葉を口にするー
「ん…?じ、じゃあ、どこか体調でも悪いのかー?」
心配そうになおも食い下がる海斗ー。
「ーいやぁ…そのー…
色々面倒臭いなぁってー。
学校とかもさ、この姿じゃ、そもそも俺って認識してもらえないかもしれないしー、
色々面倒そうじゃんー?
それにさー、
さっきトイレも行ったけど、立ってできないのが滅茶苦茶面倒臭いしー、
お風呂も、髪洗うの滅茶苦茶面倒臭くてー
あ~~~もう、何もかもが面倒臭い!」
悠太が可愛い声でそう叫ぶー。
「ーーーーーーー」
そんな言葉を聞いて、海斗は少し間をおいてから
「いや、そこかよ?!」と、思わず叫んだー。
てっきり
”もう男に戻れないのかな?”とか
”俺の身体どうなってるんだろう?とか、
そういうことを気にしているのかと思っていたが、
どうやら違ったらしいー。
思わず苦笑いしながらー
「ーまぁ、悠太らしいと言えば悠太らしいけど」と、笑うー。
「ーーー何だよそれー
っていうかほら、この髪ー
長くてジャマだし、面倒くさいしー」
自分の髪を触りながら、女体化した悠太が言うー。
「ーほら、触ってみー?ジャマすぎるだろコレ」
悠太の綺麗な長い髪がサラサラと目の前に迫るー
「ーー~~~~~~~」
女の人の髪なんて、まともに触ったことのない海斗は
ドキドキしながらそれを触るー
「た、た、確かに、邪魔かもなー」
海斗がそう言うと、悠太は少しだけニヤニヤしながら
「あ、兄さん、もしかしてまたドキッとした?」と、
揶揄う様に言葉を口にしたー
「お、お、お前なぁ!そ、そういうのやめろって!」
海斗が思わず悲痛な叫びをあげると、
悠太は笑いながら「ーまぁ、心配してくれてありがとなー」と、
お礼の言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーあ~~~~~~」
翌朝ー。
悠太は、自分の可愛い顔を鏡で見つめながら
「…戻ってねぇ…面倒くさ」
と、つまらなそうに呟いたー。
母・郁恵と父・拓真の判断で
今日は学校を休むことにし、
息子がこんな状態だからと、拓真は有給休暇を取得し、
そのまま母・郁恵と共に学校に状況を説明するため、
女体化した悠太を連れて、そのまま車で学校へと向かうー。
そしてーーー
”とりあえず、このまま学校に行くことになったー”
と、聞かされたのは、
兄・海斗が大学から帰宅して、少ししてからのことだったー。
「ーーえぇ!?女のまま登校するってことー?」
海斗が言うと、悠太が「校長がオッケーだって」と、
相変わらず、ラフな格好のまま言葉を口にしたー
「ーっていうか、汗でシャツ透けてるし!?」
海斗は、女体化した悠太の胸が普通に透けていることに
気付くと、声を上げながら目を逸らすー。
「ーん?あぁ、暑いから仕方ないじゃん」
悠太が笑うー。
「ー俺の胸なんて見たって男の胸だし??」
悠太のそんな言葉に、
「お前…美少女になった自覚を持てってー」と、
困惑した表情で海斗が言葉を口にするー。
「ーほら、ブラぐらいつけろよ」
海斗が顔を赤らめながらそう言うと、
「イヤだよ面倒臭いー」と、
悠太が首を振るー
「どうせ男の何だし、
誰も気にしないってー」
悠太のそんな言葉に、
海斗はあたふたしながら、
「いやいやいやいや、絶対学校の男子とかも気にするぞ!?」と、
声を上げるー。
「ーいやぁ…俺は教室内でも空気だし?」
悠太が得意気に言うー。
面倒くさがり屋の悠太は、学校でもそんなに友達がいないー
孤立しているわけでもなく、いじめも受けてはいないもののー
友達は”特にはいない”と、そんな状況なのだー。
「ーーーいやいやいや、お前、男子を甘く見すぎだぞ?
そんなに可愛くなったら絶対、
”うひょ~”みたいのが寄って来るぞ!?」
海斗が叫ぶー。
「ーーえ~~~面倒くさいー」
悠太が、首をふるふると横に振るー。
「いやいやいや、母さんに相談して何とかしろって」
海斗がなおも食い下がるー。
口うるさいお兄ちゃんみたいにはなりたくない、と思いつつも
心配でついつい色々口を出してしまうー。
「ーいやだぁ、
もう疲れちゃって動けない~」
悠太は、そんな言葉を口にしながら、首を横に何度も何度も振ったー。
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翌日ー。
結局、”下にシャツを着るから見えないし、大丈夫”という
理由で、ノーブラで学校に向かう女体化した悠太ー。
帰りにいつも行っている床屋に足を運び
髪をバッサリと切って来るとも言っていたー。
”俺はー長い髪の方が好きなんだけどなー”
海斗は、そんな風に思いながら、弟の悠太を見送ると
自分も大学に向かうための準備をし始めるー。
「しかしー…どうして急に女にー…?」
海斗はそんなことを考えながら、
大学に向かう準備を進めるー。
けれどー、考えても考えても、その答えは出て来ないー。
当たり前と言えば、当たり前だー。
「ーーー……う~ん…ダメだ分からん…」
海斗はそう呟くと、そのまま親に声をかけて、
そのまま玄関から外に向かって歩き出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーえ?女になったって本当ー?」
「ーすごくね?うわっ!本当だ!胸があるー!」
「ーせっかくだから、女子の制服に変えれば!?」
クラスメイトたちが、
女体化した悠太を見て、興味深そうに
群がって来るー。
「っていうか、滅茶苦茶可愛くね?」
「やっぱエッチなこととかしたのか?」
「可愛い服を着れるとか、羨ましいぜ!」
クラスメイトたちのざわざわは止まらないー。
「ーう~ん…なんつーか…面倒臭いだけだなぁ…
可愛い服着たいとか別に思わないし」
女体化した悠太が、いつものように冷めた様子で
言葉を口にすると
「うぉぉぉ!可愛いのにいつもの杉原だ!」と、
またまた盛り上がるー。
「ーなぁなぁ触らせてくれよ!なぁ!」
男子生徒の一人の言葉に、
兄・海斗に対する態度と同じような態度で、
「おいおい、男の触って嬉しいのかよ?」と、
悠太が笑うー。
「うぁっ…か、かわいいー」
悠太の笑顔を見て男子生徒の一人が、
顔を真っ赤にしながらそう叫ぶとー、
悠太は呆れたような表情を浮かべながら
首を横に振ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーいらっしゃいー」
悠太がいつも行っている
学校帰りの床屋に足を運ぶと、
悠太は「この髪ー、バッサリ切って短くしてください」と、
だけ告げたー。
「えっ!?本当にいいのかい?」
随分綺麗な長い髪を前に、
いきなり”バッサリ”と言われたものだから店主のおじさんは
少し戸惑ったような表情を浮かべるー。
しかもー
この店は男性向けの床屋で、あまり女性客は入ってこないー。
しかもこんな風に可愛らしい女子高生が入って来ることは滅多になくー、
その上”髪をバッサリ”などと言われたので、
流石に戸惑いは大きかったー。
「ーーーー…髪、邪魔なだけなんで」
そう面倒臭そうに呟く悠太を見て、
床屋のおじさんは、相手がまさか、
いつもこのお店を利用してくれている男子高校生だとは思わずに、
苦笑いを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーただいま~」
髪をバッサリと切って、元の髪型ぐらいの長さに戻った
悠太が帰宅するー
「ーーおぉ!?一気にボーイッシュな感じにー」
海斗が言うと、
悠太は「長い髪、面倒だったからすっきりした」と、嬉しそうに笑うー。
「ーそ、そっかー」
”俺は長い髪の方が好きだからザンネンだけどー”と、
心の中で残念そうにしながらも、海斗は
女体化した悠太のほうを見つめるー
顔も”美少女”になっていてー、
元の悠太の顔とは変わっているためー、
髪を切っても”悠太”にはならないがー、
一見すれば、男子なんだか女子なんだか分からないような
中性的な、そんな雰囲気になったー
「ーーあ~~ねみ…ちょっと晩御飯まで昼寝」
あくびをしながら、悠太がそのまま自分の部屋に向かうー。
そんな悠太の後ろ姿を見ながら、
兄の海斗は心配そうな視線を送るー
本人はー、”面倒くさい”以外、あまり悩んで無さそうにも見えるけれど、
やっぱりいきなり”男”から”女”になったりしたら
不安は色々あるだろうー。
自分で望んでそうなったのなら話は別ー。
しかし、悠太の場合、間違いなく自分から望んで女体化したわけでは
ないだろうしー、
やっぱり、心のどこかで不安な部分はあるとは思うー。
「ーーー…俺が、どうにかしてやらないとな」
海斗は、そんな風に思うと、
”弟のために”、
弟・悠太が女体化した原因を探り、
解決方法を見つけ出すことを、
心の底から誓い、その日から色々な行動を起こし始めるのだったー。
③へ続く
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コメント
ひたすら面倒臭がりな弟の女体化…!★
お兄ちゃんも色々戸惑いっぱなしの日々ですネ~!
元に戻す方法はあるのかどうか、
明日の最終回も、ぜひ見届けて下さいネ~!
今日もありがとうございました~!☆
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