彼には、”何事にも無気力”な弟がいたー。
そんな弟がある日、女体化してしまうー。
しかし、弟は女体化しても、何事にも無気力・無頓着のままでー、
兄は”目のやり場に困る”生活を送ることになってしまうー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーーは~~~~~」
男子高校生の弟、杉原 悠太(すぎはら ゆうた)が
ソファーでぐったりしながら、スマホを手に、
だらしない格好を晒しているー。
そこに偶然、2階から降りて来て、
冷蔵庫に飲み物を取りに来た大学生の兄・杉原 海斗(すぎはら かいと)が、
ぐったりした様子の弟を見て、苦笑いしたー。
「ーおいおいおい、何て格好してるんだよー」
完全に怠け者のような、堕落した姿勢で、ソファーにぐったりしている悠太に
思わずそんな言葉をかけるー。
ソファーに座っている…というよりかは、もう半分床に
落っこちているしー、
服もシャツと、短パンという”とりあえず着ました”状態だー。
まぁ、でも、今日はマシとも言えるー。
酷いときは、パンツ1枚しか履いてなかったり、
そもそも”着るのが面倒くせぇ”と、何も着ていない時もあるー。
「ーーなんだ…兄さんかー」
30秒ぐらいして、スマホから視線を兄の海斗に移すと、
そんな言葉を口にする弟の悠太ー。
「リアクション遅いなオイ!?」
海斗はジュースを飲みながら思わず突っ込みを入れるー。
声をかけてからしばらく弟の悠太が
ノーリアクションだったため、てっきりシカトされたのかと思ったが
そういうわけではなかったよううだー
「ーーあぁ…いや、なんかー、返事するのが面倒臭くてー」
悠太がそう言いながら苦笑いするー。
別に、弟の悠太とは仲は悪くないし、
シカトされるようなこともほとんどないー。
ただ単に”返事をするのも面倒臭い”と、思うぐらいに
弟の悠太は面倒くさがりな性格なのだー。
「ーーいやいやいや、面倒臭がりすぎだろ!?」
兄の海斗が笑いながらそう叫ぶー。
「っていうか、学校ではどんな生活してるんだよ!?」
海斗がそう叫ぶー。
こんな無気力すぎる弟もー
学校に行けば急にハイテンションになったりするのだろうかー。
そんな風に思いながら、反応を待っていると
悠太は「あ~、いや、似たようなもんだよ」と、
大きな口を開けてあくびをすると、
「ちょっと昼寝するわ」と、そのままだらしない格好で
眠り始めたー
「ーおいおいおいおいおいー
寝るのかよ!?
ってか、スマホ!そんなところに置いたまま寝たら
押しつぶして壊すぞ!?」
海斗がさらに突っ込むー。
しかし、もう悠太は寝ていて、スマホは自分のすぐ近くの床に
置いた状態のままになっていたー。
「ーったく、適当すぎだろー」
そうは言いつつも、海斗は今にも押しつぶされてしまいそうな
弟のスマホを拾うと、そのまま机の上にそれを置いてあげると、
「ーー…風邪ひくぞー」と、ため息をつきながら、
ソファーの近くに置かれていたブランケットをかけてあげると、
そのまま自分の部屋へと戻って行ったー。
だがーー
”信じられない事態”が起きたのは
その翌日のことだったー。
朝早く、自分の部屋の扉をノックする音が聞こえて、
目を覚ました兄の海斗ー。
「ー????」
”今日は日曜日だぞ?”と、思いながら時計を見るー。
時計はまだ、朝の7時台だー。
お昼近くまで寝ていたなら、親が心配して起こしに来るのも
まぁ理解はできるが、
しかしまだ7時だ。
日曜日の朝の7時に部屋をノックするとは何事かー?
そんな風に思いながら
「ーーえ…?えっと、母さんー?いや、父さん?」と、
扉に向かって声をかけると、
”朝早くで悪いけどー…入っていい?”というー
”女”の声が聞こえたー
「ー!?!?!?!?!?」
海斗は表情を歪めるー
明らかに母親の声とは違うー。
どちらかと言うと、若い感じの可愛い声が
扉の向こうから聞こえて来たー
しかしー…
この家に”女性”は一人しかいないー。
母・郁恵(いくえ)以外は
弟と、父の拓真(たくま)ー
つまり、海斗も含めて全員”男”なのだー
「え!?ちょ、ちょっと待て!タイム!
だ、誰!?」
海斗が扉に向かって叫ぶー。
「ゆ、幽霊!?」
一瞬、そんな風に思いながら扉に向かって叫ぶと、
「わ、分かった!落ち着け!話なら聞くー
幽霊ならビビるから、扉は開けずにそのままー
そのまま、まずは話し合おう」と、海斗は
少し焦ったような表情を浮かべながら言葉を口にしたー。
がーー
その直後ー
”無情にも”扉は開いたー
「ひぃっ!?何で開けんの!?」
悲鳴に似た叫び声を上げるとー、
そこにはラフなシャツと半ズボン姿の
可愛らしい美少女が立っていたー
”や、やっぱ幽霊!?
それとも、不審者!?”
”その子”に見覚えはないー。
同じ大学に通う子じゃないー…と、思うし
高校までの同級生でもないー…と、思うし
バイト先の子でもないー。
では、この子は一体ー?
「ーー幽霊じゃないから、開けたー」
美少女がそんな風に言うー。
確かに”幽霊ならビビるから、扉を開けずにー”とは言ったー。
幽霊じゃないから開けたー、というのは
まぁ、理には叶っているー
「え?え?え?じ、じゃあーどちらさま?」
海斗が戸惑いながら聞くと、
「ーーー」
美少女は少しだけ戸惑った様子を浮かべてからー
「ー俺だよ…兄さんーなんか、起きたらこうなってた」と、
言葉を口にしたー
「ーーーーーーーー」
海斗は驚いた様子で何度か瞬きをすると、
やがて、笑みを浮かべながら呟いたー。
「あぁ、なんだ、悠太かー
驚かすなよなぁ…
てっきり、幽霊か強盗か何かかとー」
安堵の笑みを浮かべながら
もう一度ベッドに戻る海斗ー。
しかし、3秒後ー
海斗は飛び起きるように起き上がってー
「って、えぇっ!?!?!?!?」
と、叫んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー何か変なモン食べたりとかは?」
海斗がそう言うと、
「いやー、ない…」
と、女体化した弟の悠太がそう呟いたー
話を聞く限り、どうやら”本物”の悠太であることには間違いないー。
特に、自分で何かをした記憶もなくー、
誰かに何かをされた、ということもなくー、
本人にも、心当たりはない様子だったー
「ー学校で誰かに変な薬盛られたとか?」
海斗が少し冗談っぽく言葉を口にすると
「いや…しかも昨日は土曜日だったし、家から出てないしー」
と、面倒臭そうにしながら、悠太は言うー。
「そもそも俺、別に学校で嫌われたりはしてないしー」
悠太のそんな言葉に、
”どこからそんな自信が生まれるんだー”と内心で
ツッコミを入れながらも「そ、そっかー」と、頷くー。
「ーーーは~~~兄さんの部屋、暑」
そう呟きながら、団扇を手に、シャツの中に
風を送り始める悠太ー
「ーーーーー」
海斗は、そんな悠太のほうを見ながら、悠太の胸が見えてしまい
不覚にもドキッとしてしまうー。
女体化したばかりで、当然シャツの下には何もつけてないだろうしー、
とても目のやり場に困るー。
ソワソワしながら、キョロキョロとしていると、
悠太は「ん?どうかした?」と、首を傾げたー
「あ、い、いやー…
で、…身体は大丈夫なのか?」
海斗が少し顔を赤らめながら言うと、
悠太は「ん?」と、首を傾げるー。
「あぁ、いや、ほらー
急に性別が変わるなんて、普通じゃないことだしー、
体調に変わりはないのかなって」
そんな言葉を、心配そうに口にする海斗ー。
「ーーそれは大丈夫ー。体調はいつも通りー」
悠太はそれだけ言うと、
「ーで…父さんと母さんにどう説明しようか、考えるのが面倒臭くて」
と、ため息をついたー。
”心配するとこ、そこかー!?”
そう思いつつも、
”まぁ、確かにそれも心配だろうけどー”
と、海斗は「ーって、何で最初に俺に言いに来たんだ?」と、
苦笑いするー
「ん~~~?」
悠太は、胸元が見えるのを全く気にする素振りも見せずに、
シャツをぱたぱたとさせると、
「ーー兄さん、ちょろいからさー」
と、笑ったー
「ーおぉぉい!?」
海斗は思わずそんな言葉を叫びながらも、
「とにかく、二人が起きたら、このことをちゃんと説明しよう」と、
言葉を口にしたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
母・郁恵と父・拓真が起きたタイミングを見計らって、
海斗は、両親に弟・悠太の状況を説明するー
「え??え??ちょっと待って。何言ってるの?」
母の郁恵が戸惑いながら言葉を口にするー。
「ーーい、いや…お、俺も自分で何言ってるか分からないけど…
と、とにかく悠太が女になっててー」
起きた出来事を、海斗はもう一度、順を追って丁寧に説明するー
女体化した悠太は、海斗の合図があるまで、
リビングには降りて来ずに、2階で待機しているー。
悠太が直接姿を現してもよかったのだが、
いきなり”知らない女”が家の中にいたら両親もびっくりするだろうし、
海斗も動揺してしまうだろうー。
お互いに、冷静に話すことが難しくなってしまうと判断して、
まずは、海斗が両親に話をし、”女体化”の衝撃を少しでも和らげる
クッションの役割を果たしてから、
両親と、女体化した弟・悠太を引き合わせようとしていたー。
「ーそ、それは”女装”してるってことかー?」
優しそうな雰囲気の父・拓真がそう呟くー
「い、いやー、そ、そのー…
えぇっ…?」
海斗は少し不安になって、2階への階段があるほうを見つめるー。
そういえば、胸元は見えたが、
アソコに”ついているどうか”までは確認していないー。
本人の言葉を信じただけで、
もしかしたら、普通にアレがついていて、女装しているだけかもしれないー
「ーと、と、とにかく!俺はさっき説明した通り、
急に女になった悠太に起こされて、って感じだからー
詳しいことは分からないけどー
そういうことだからー…」
海斗はそれだけ言うと、戸惑った様子の両親に対して
「今から”女”になった悠太を呼ぶからー、とにかく、あまり驚かずに、な?」と、
二人が驚きすぎないようにと、言葉をかけてから
ようやく、2階のほうを見つめて叫んだー。
「ー悠太!とりあえず説明は終わったからー!
降りて来てくれ!」
とー。
「ーーーーー」
しばらくの沈黙ー。
両親も少し緊張した様子で、
ゴクリと、”女体化したという悠太”が降りて来るのを待つー。
そしてーーーー
女体化した悠太が、姿を現すと、
両親は驚いた様子で、声を上げたー。
「ーーーほ、ほ、本当に悠太なの!?」
母・郁恵が叫ぶー。
「ーう、嘘だろー…?」
父・拓真が唖然とするー。
しかしー、美少女になった悠太は、
いつものように面倒臭そうにあくびをしながらー
「ー俺も…未だに信じられないけどー」と、言葉を口にしたー。
その、面倒臭そうなー
無気力な振る舞いは、確かに”悠太”本人らしさに溢れていてー、
両親も、困惑している様子ながら、
話していくうちに”目の前の美少女は悠太”だと、
なんとなく理解し始めた様子だったー。
「ーー………じ、女装してるわけじゃ、ないんだよなー?」
父・拓真が言う。
「あ、いや、別に女装したいならー…ーーーしても、いいんだがー」
拓真は戸惑いの表情を浮かべたままそう付け加えるー
「ーーー…俺が女装なんて、面倒なことすると思う?」
悠太が少し戸惑いながら言うー。
「ーた、確かにー」
兄・海斗、母・郁恵、父・拓真ー
三人ともその言葉に妙に納得してしまうー。
すると、拓真がふと言葉を口にしたー
「そのー…
ー”アレ”も、ないってことか?」
と、半ズボンを指差しながらー。
「ーーー……ん?ないよ?見る?」
そう言いながらズボンを脱ぎ始めようとする悠太ー
「わ~~わ~~~!!!脱ぐな!ストップ!」
兄・海斗が慌てて静止すると、
「え?なんで?」と、悠太が可愛い顔で首を傾げるー。
「お、お前、本当に女になったんだったら、か、軽々しく脱ぐなよ」
海斗の言葉に、悠太は
「なんで?別に男なんだし、いいじゃんー」と、
あくまでも”自分は男だ”と、いう主張を口にするー
「でー、でも、身体は女になってるんだろ?」
父・拓真がそう言うと、悠太は「まぁ」と頷くー。
「ーーあ、そうだ、だったら触ってみてよ。本当にないからさ」
悠太のそんな言葉に、
両親も、海斗も少し驚いた表情を浮かべるとー、
「ほら、兄さん、触ってみ」
と、当たり前のような口調で、美少女になった悠太が言葉を口にしたー
「えぇぇっ!?お、俺?」
「ーうんー。弟の触ったって別にどうってことないだろ?」
「ーーーえ… えぇぇ…」
戸惑う海斗ー。
ドキドキしながら、悠太のズボンの上から”男じゃなくなってること”を
確認する海斗ー。
確認しながら海斗は、
心の中で”美少女になった自覚を持ってほしいー”と、
心の底から強く、強く、思うのだったー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
女体化してしまった弟に振り回される
お兄ちゃん…!
なんだか大変なことになりそうですネ~!
続きはまた明日デス~~!!
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