<女体化>美少女になった自覚を持ってほしい③~元に戻る方法~(完)

ある日の朝、突然女体化してしまった弟。

普段からとにかく面倒臭がりな弟は、
女体化しても、そのままの生活を送るー。

心配した兄は、弟を元に戻す方法を
探し始めるもののー…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーなぁなぁ兄さんに兄さん!」
シャツに短パン姿の弟・悠太が
可愛い声と顔で、兄の海斗を呼びかけるー

「おまえっ!まだそんな格好をー」
海斗が顔を赤らめながら目を逸らすと、
「ー別に俺の胸なんか見えても何てことないだろ?」と、
悠太が笑うー。

「ーで、何だよー
 何をそんなに嬉しそうにしてるんだよ」

海斗がため息をつきながらそう言うと、
胸元がチラチラ見えるのも全く気にする素振りを見せずに、
女体化した悠太は
「俺、すごいことに気付いた!」と、嬉しそうに叫ぶー

可愛い声で平気で”俺”とか言うもんだからー
聞いている兄・海斗としてはドキドキしてしまって
心穏やかではないー。

「ー髭!生えない!剃る必要がない!!!」
嬉しそうに髭が本来生えるような場所を触る悠太ー

「ーーーは、はははー…そ、それはよかったなー」
半分呆れ顔で笑う海斗ー。

相変わらず、とんでもない面倒くさがり屋だー。

「トイレとかさ、お風呂とか、着替えとか、
 女って面倒くさいな~!とか思ってたけど、
 髭が生えないのは、最高だよ」

”面倒なこと”が一つ無くなったからか、
妙にハイテンションな悠太はー、
「おじさんになったら、いっぱい髭剃んないといけないみたいだし、
 は~~女体化してラッキーって感じだな」と、
嬉しそうに、また髭が本来生えるような場所を触っているー。

「ーーはははー、ま、まぁ、悠太が嬉しそうで何より」

海斗はそんなことを言いながら、
自分の部屋にあるパソコンの方に目を向けると
”届いたメール”を確認し始めたー。

”弟が急に女になってしまった”
そんな状況を打開しようと、
海斗はここ最近、色々な情報を集めているー

悠太と同じような状況に陥っている人間は
いないかどうかー。
そういう病気はないのかどうかー。
色々なことを、一つ一つ探っているー。

もちろん、”女体化”なんて現象は
少なくとも、人間では”通常”は起こりえないことで、
ネットで色々調べても、
”朝、起きたら女になっちゃいました!”みたいな漫画や小説、
イラストの数々が流れて来るだけで、
正直なところ、有力な情報は今のところは
得ることはできていないー。

それでも、海斗は諦めずに
”女体化した弟”を元に戻す方法を探り続けているー。

「ーーでもなぁ~…」
そんなことを考えていると、弟の悠太が
また、面倒臭そうに言葉を口にしたー。

「ーー学校でもさ~
 最近、俺が男子トイレに行くとみんな騒ぐし、
 体育の授業も一緒に着替えてると、周囲がうるさいしー」

悠太のそんな言葉に、
海斗は、下着もつけずに、堂々と着替えてるんだろうなー、と
思いながら”そりゃそうだろ…”と内心でツッコミを入れるー

とは言えー…
身体は女子になったとは言え、中身は男子ー。
女子の教室で悠太が着替えます!なんてことになれば
今度は女子が悲鳴を上げるだろうし、
女子トイレについても同様だろうー。

”やっぱり、早く元に戻してあげないといけない”
そんな思いを、海斗は改めて強めると
「ー俺も頑張るからな!」と、弟の悠太に対して言い放ったー

「え?頑張る?
 ん?あぁ、まぁー、頑張って」
面倒臭そうに悠太はそう言うと、
「眠いからちょっと寝るわー」と、大口を開けて
あくびをしながら自分の部屋の方へと戻って行ったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

時間はあっという間に過ぎ去っていくー。
1週間が経過し、
1ヵ月が経過ー。

弟の悠太の”元に戻れない”状態は続いていたー。

「ーーーzzzzzzzz…」
リビングで寝息を立てている悠太ー。

シャツがめくれてお腹が見えているしー、
大胆に晒された生足がだらしなくソファーの上に乗せられているー

「おいおいー
 可愛い子になってこんな隙だらけって
 なんか心配だなー…」

海斗は苦笑いするー。

例えば修学旅行でもこんな姿を晒していれば、
最悪、クラスメイトに襲われるかもしれないー。

悠太は”俺は男だし、俺の身体に興奮なんかするやついないだろ…”と、
いつも言っているものの、
海斗からすれば”それは甘い”と思うー。

悠太本人はそう思っていても、
周囲は女体化した悠太を、”必ずしも”男として見てくれるとは限らないー。
悠太を”女”として見る人間もいるだろうしー、
悠太本人には言わないが
正直、悠太のクラスメイトの中には”悠太で抜いている”やつまで
いるはずだと、海斗は思うー。

「ーーーーーにしても、
 悠太は本当にぶれないな」

寝ている悠太にブランケットをかけた海斗は、ため息をつくー。

もし、自分が悠太と同じように美少女になってしまったらー?
最初は悠太と同じように戸惑うことも多いだろうし、
面倒臭い、と思うこともあるだろうー。

しかし、自分の場合だったら
”女の子にしかできないことを楽しんでみたい”と思うだろうしー、
色々な可愛い服を着たり、おしゃれをしたり、
わざと女の子っぽくしゃべって見たり、色々楽しんでみたいと思うー。

そもそも1か月も女子をやっていたらー
”俺は男だ!”と言えるのかどうか、海斗には分からなかったー。

けれど、弟の悠太は違うー。

女体化してから1か月以上が経過した今でも
悠太は”ブレて”ないー。

相変わらず普通に男の格好をしているし、
”女”口調で喋り始めたりもしていないし、
服装も、前のままだー。

「ーーーある意味、すごいよなー
 でも、女になったのが俺じゃなくて、良かったのかもなー」

海斗は、美少女になった弟の寝顔を見つめながらそう思うー。

自分だったら一人でエッチなこともしてしまっていただろうし、
友達を誘惑して揶揄ったりもしてたかもしれないー。

犯罪のようなことはするつもりは全くないがー
小悪魔的なことは色々してしまっていたかもしれないー。

「ーーー」
改めて、そんな妄想をしてドキッとしてしまった海斗は
「と、とにかく、元に戻す方法を見つけてあげないと!」と、
言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

半年も経過してしまったー。

「ーーーーーマジで面倒臭すぎるー」
不機嫌そうな悠太がぐったりとしているー。

相変わらず、髪はショートヘアーのままで、
今日は学校のジャージ姿のまま、家でウロウロしているー。

「ーー…お、俺にはよく分かんないケドー
 その…まぁ、なんか、頑張れー」

海斗は、弟・悠太の様子を見つめながら
そう言葉をかけるー

「ー兄さんには分からないよー。このだるさー」
机にぐったり顔を付けたまま、そう呟く悠太ー。

「ーま、まぁー…そうだなー」
海斗はそう呟くと、生理で苦しむ悠太を横目に
自分の部屋へと向かうー。

「ー生理とか、面倒臭すぎるー」
最近の悠太の口癖だー。

海斗には、彼女がいないため、あまり実感としてそういうことは
分からないがー、
確かに、大変だと聞くー。

悠太によれば”とにかく全てがモヤモヤして色々不愉快”とのことだったが、
海斗の身体では、生理を体験することはできないし、
その言葉から想像することしかできないー。

だがー、
”生理”も今回で最後になるかもしれないー。

そうー
海斗はついに”女体化した弟”を元に戻せるかもしれない
”希望”にたどり着いていたー。

”女体化”の原因と思われるものを見つけたのだー。

その”論文”を発表していたのは

とある研究所の所長で、
”その日の食べ合わせ”
”健康状態”
”睡眠時間”
”その人間の血液型やDNAなど、生まれ持った条件”
などなど、あらゆる”細かい条件”が、偶然重なってしまうと、
体内のとある成分が過剰反応を引き起こしー、
性別が変わってしまうー。
と、そう記述されていたのだー

通常ー、
”ほぼ確実に”そんな条件を満たせる人間はいないー。
実際にその論文に書かれている”条件”を見たが
その条件を全て”偶然”に満たせる確率は
0.001%にも満たないぐらいだろうー。

狙って女体化しようとしたとしても、ほぼ不可能だー。

だが、読む限りー…
あの日、悠太が”それを全て満たしてしまった可能性”も
完全に0とは言えないー。

偶然の偶然を潜り抜けて、弟・悠太は女体化してしまったのかもしれないー。

それを見た海斗はその所長に連絡を取り、
悠太の状況を説明した上で、来週、会うことになっていたのだー。

相手によれば”元に戻す方法もある”とのことだったー。

これでようやくー、
悠太を男に戻すことが、できるかもしれないー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌週ー。
海斗は、研究所の所長と対面していたー。

「ーーーー確かに、君の弟は、
 僕の論文の通りー、”女体化”してしまったようだねー」

研究所の所長ー、
”綺麗な金髪の美女”と、言うのがしっくりくるような女性がそう言うー。

「狙って女体化することは不可能だー。
 でも、偶然の偶然を引き当ててしまって、女になってしまった人間はー
 これまでに、僕の知る限り世界で”5人”いるー。
 君の弟で6人目だー」

浅川(あさかわ)所長が、そう言葉を口にするとー、
海斗は「6人…」と、表情を歪めるー。

「まぁ、世間はそんなこと信じやしないがねー。」
浅川所長が、自分の髪を邪魔そうにしながらそう言うと、
海斗は「そ、それでー…元に戻せるんですか?」と、表情を歪めるー。

「ーーーーー」
浅川所長は少しだけ間を置いてから
「もちろんー」と、笑うー。

「ー色々研究してねー。
 体内に起きる”異様な変異”を、抑え込みー、
 元の状態に戻すことで、男に戻ることができるー…と、いうことが分かったー」

浅川所長はそれだけ言うと、
「ー金にも名誉にもならない研究だー。」と、自虐的に呟きながら
瓶に入った液体を、海斗に手渡したー。

「ーーーこれを飲めば、翌日には男に戻るー。
 今まで僕が発見した女体化現象で女体化した5人のうち、2人はそれで戻ったよ」

浅川所長の言葉に、海斗は不安そうに「二人…ですか?」と、言葉を口にするー

「あぁ、いやいや、失敗したわけじゃないー。
 残りの3人は”戻ること”を希望しなかったんだー」

浅川所長がそう言うと、
「僕も”その一人”だけどねー」と、笑いながら長い金髪を自慢するようにして
微笑んだー。

この浅川所長は、悠太と同じように、かつて
”ある日の朝、急に女体化してしまった”男ー。
それ以降、自分の身体に起きた異変を調べ続けて
原因を突き止めたのだというー。

「ーあ、あははーーそうだったんですねー」
海斗は少し安心したような、驚いたような表情を浮かべると、
苦笑いしながら、浅川所長のほうを見つめたー

「君の弟も、女の子のままでいたいって言うかもしれないよー?」
浅川所長の言葉に、海斗は笑いながら「悠太は、あんま”女”に興味がなさそうなのでー」と、
答えたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

「悠太ー、話があるー」
海斗がそう言うと、美少女姿の悠太は、ジャージ姿でソファーに寝そべりながら、
「ん~~~?」と、面倒臭そうに答えるー。

最初は面倒臭そうにしていた雄太ー。

しかし、海斗が”大事な話なんだ”と言うと、渋々それに応じたー。

兄・海斗の部屋にやってくる悠太ー。

女体化してから、それなりの時間が経過したものの、
悠太は”一度も”女体化した自分の身体で遊んだりすることはなくー、
女体化前と同じ生活を送っているー。

ただ、最近は”女”としての生活にかなり慣れたらしく、
ほとんど、不満を漏らさなくなったー。

”しかし、すごいよなー…俺だったら絶対Hなことしてそうだしー”
海斗は思うー。

悠太曰く”そういうの、時間の無駄じゃね?疲れるしー”とのことで、
男の時から、ほとんど一人でHなことをすることもなかったし、
女体化しても、同じ考え、ということなのだろうー。

「ーーー……元に戻る方法が見つかったー
 これが、その薬だー」

海斗がそう言いながら、男に戻るための薬を差し出すと、
悠太は「えっ!?!?マジで!?」と、声を上げたー。

「あぁ、ホントだー。嘘じゃない。
 怪しい薬じゃないしー、絶対に元に戻れるー」

海斗はそう確信して、悠太にそんな言葉を投げかけると、
悠太は少しだけ笑ったー

「ーーーーーいいや」
とー。

「え?」
海斗が唖然とするー

「元に戻らなくて、いいやー」
悠太のそんな言葉に、
海斗は「え…なんで…?」と、言葉を口にしながらー、
ふと、浅川所長の言葉を思い出したー

”「君の弟も、女の子のままでいたいって言うかもしれないよー?」”

と、いう言葉をー

「え…ま、まさか女の方がいいってことー?」
海斗がそう言うと、悠太は笑いながら、短い髪を触ると、
「いや違う」と、即答したー。

「え?じ、じゃあ、いったいー?」
海斗が聞くと、悠太は答えたー

「ー兄さん、俺の性格良く知ってるだろ?
 言うまでもないさー。

 ”男に戻るのが面倒臭い”」

悠太はそう言いながら、立ち上がるー。

半年以上も女として過ごしたー。
今、男に戻れば、また”男としてのトイレ”を思い出さないといけないしー、
お風呂も、朝の準備も、そうー。
学校でもまた”男に戻った”と騒がれるし、
色々面倒臭いー。

だったらこのままの方が面倒がなくて楽だ、とー。

「ーーーーー」
呆然とする海斗ー。

悠太は「そういうことだから。じゃ」と、そのまま立ち去っていくー

「ーは…ははははー」
一人残された海斗は思わず笑ってしまったー

それでこそ、悠太だー。

なんだか、妙に納得してしまいー、
結局、海斗は苦労して手に入れた薬を使うことなくー、
美少女になった悠太を前に、目のやり場に困る日々を
これからも送り続けることになるのだったー

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

最終回でした~!☆

悠太くんが女体化したままだと、
将来の就活とかで”面倒なこと”になりそうな気がしますが、
そういうことまで考えるのも面倒臭がる子なので、
今は女体化したまま過ごすようデス~笑

お読み下さりありがとうございました~!☆!

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