人間同士の”絆”を破壊して快感を感じる危険人物ー
そんな男に狙われてしまった仲良し姉妹ー。
手始めに姉が洗脳されて、
その絆は崩れ始めるー…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌朝ー
「お姉ちゃーーー」
「ー話しかけないで」
姉の直美は、翌朝になっても不機嫌なままだったー。
「お姉ちゃんー…」
悲しそうに呟く妹・瀬奈ー
母の久恵や、父親とは普通に話をしていてー
”瀬奈だけが”敵意を向けられている状態ー。
”お母さんは、大学で何かあったのかもしれないって
言ってたけどー…”
瀬奈は、そうじゃない気がするー、と不安に思うー。
単に機嫌が悪いー…
と、いうことではないー…
そんな気がするのだー。
「ーーふん」
出かける直前も、直美は、露骨に瀬奈に敵意を向けて
そのまま大学に向かったー
不安そうな表情を浮かべながら、瀬奈はそのまま
自分も高校へと向かい始めたー。
だがーーー
「やぁーー」
”その男”は現れたー
自称・キズナ芸術家の龍之介ー
昨日ー、姉の直美を”洗脳”した張本人ー
「…?」
当然、龍之介に見覚えなどない瀬奈は、
困惑の表情を浮かべるー。
「ーー…な、何か御用ですかー?」
瀬奈がそう聞き返すと、
龍之介は「お姉ちゃんに、色々言われたみたいだね」と、
笑みを浮かべるー
「え…?」
瀬奈は表情を歪めるー。
「ー今までずっと仲良しだった姉妹がー
憎しみ合うー
実にーーー
実に美しいーーー」
ゾクゾクしながらそう呟く龍之介ー
訳が分からず、瀬奈が
「ど…どういう…ことですか?」と、
少し後ずさりながら確認すると、
龍之介はにっこりと笑ったー
「どうして、君のお姉ちゃんが
昨日、あんたことを君に言ったか、知りたいかい?」
とー。
「ーーー!?!?!?」
瀬奈は驚いて
”お姉ちゃんに、何か言ったんですかー!?”と、聞こうとしたー
この男が、姉の直美に”何か嘘の話を吹き込んだ”ことで、
お姉ちゃんに嫌われてしまったー
そんな風に、瀬奈は考えたのだー
しかしー
「ーーー教えてあげるよー
君の身体でー」
龍之介はそう言うと、目を赤く光らせてー
不気味な笑みを浮かべたー
瀬奈がビクッと震えて目を赤く光らせるとー
洗脳された瀬奈は、
不愉快そうな表情を浮かべー
そのまま高校に向かって歩き出したー
”姉妹を洗脳して、その絆を引き裂くー
美しいー”
立ち去っていく瀬奈の後ろ姿を見つめながらー
”だがー”
と、笑みを浮かべる龍之介ー。
その前にー
もう”余興”も楽しみたいー。
そう思った龍之介はー
夕方ー
大学から出て来た姉の直美の前に再び姿を現したー
そしてーーー
目を青く光らせるとー
直美がビクッと震えてー
”正気”に戻ったー
「ーーークククー」
そのまま直美に声を掛けず、立ち去っていく龍之介ー
最終目的は”姉妹両方を洗脳させて憎しみ合い”をさせることー
しかしー
その前に”あえて”姉の直美の方の洗脳を解除したー。
「ーーー…わ…わたしー」
正気に戻った直美は昨日のことを思い出すー。
「ーーー何で、あんなにイライラしてたんだろうー…」
妙にイライラしていた自分を思い出して困惑すると同時に、
妹の瀬奈に謝らなくちゃ…という気持ちが一気に噴き出してくるー。
慌てて帰宅した直美は、先に帰宅していた
瀬奈の部屋をノックしたー。
返事を確認してから、中に入った直美は
「せ、瀬奈ーき、昨日は本当にごめんなさいー」と、
すぐに謝罪の言葉を口にするー。
普段の姉妹ならーーー
恐らく”これで”仲直りに向かって行ったはずだー
だがーー
「ーーー…お姉ちゃんなんて、大っ嫌い」
瀬奈は振り向くこともせずに呟くー
「ーーせ…瀬奈ー」
直美は震えながら、「昨日は、酷いこと言って、本当にごめんー」と、
再び謝罪の言葉を口にするー
「ーうるさい」
瀬奈はなおも敵意を向けて来るー
”姉の洗脳”は解除されたー
だが、今度は”妹の瀬奈が”洗脳されてしまったー
普段の瀬奈ならきっと、許したー
けれどー
「どうせブスなんでしょ?わたしー
いいよいいよそれでー
ーでもさー、」
瀬奈はそれだけ言うと、振り返って
ようやく直美のほうを見たー
「ーそんなんだから、彼氏できないんでしょ!
この嫉妬女!」
そう叫んで教科書を投げつけながらー
「せ、瀬奈!?」
驚いて青ざめる直美ー。
「ーーー大体さ、そうやってお姉ちゃん面して、
わたしのこといつもいつも見下してー
ふふっー
まぁ、そうだよねー
彼氏がいるわたしのことが
羨ましくて羨ましくて仕方がないんだもんね?
だからわたしを見下して、優越感に浸るしかないんだもんね?」
瀬奈とは思えないような嫌味の連続に
直美は「ご、ごめんってばー…お願い…許して」と、
困惑しながら言うー。
「ーーうるさい!この嫉妬女!」
瀬奈の表情には敵意しかないー。
「ーーーし、嫉妬してないしー、見下したことなんてないよー…!」
涙目で言う直美ー。
「ーー嫌い」
瀬奈がボソッと呟くー
そして、直美のほうを見ながら、
ハッキリと言い放ったー
「お姉ちゃんなんか大っ嫌い!」
とー。
ショックを受ける直美ー
「ーーごめんねー…昨日は本当にごめんねー」
瀬奈が”早く出てって!”と叫ぶ中、
直美はそれだけ言うと、これ以上は今は話を聞いてもらえないと
判断して、自分の部屋へと戻ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーーーーーーー」
「ーーーーーーーーーー」
妹の瀬奈が、姉の直美と目も合わさずにご飯を食べているー
母・久恵と、今日は仕事が比較的早かった父親が
困惑しながら二人を見つめるー
久恵は”昨日と同じ”ようにまた直美が
妹の瀬奈を無視しているのかと思っていたがー
どうも、違う気がするー。
「ーーーせ、瀬奈ー」
直美がようやく声を掛けるも、
瀬奈は「うるさい」と、だけ愛想なく呟くー
「ーー…(え…?)」
母親の久恵も”昨日とは逆”になっている姉妹の状況に混乱するー
昨日は姉の直美の方が怒ってる感じで、妹の瀬奈の方が戸惑っている感じだったはずだー。
それなのにー
今日はーーーー
”逆”だー。
「ーーー瀬奈ー…」
食事後も、瀬奈に謝ろうと瀬奈を呼び止める直美ー
「ーーブスに何か用?」
昨日”ブス”と言われたことを引き合いに出して立ち止まる瀬奈ー
「ーごめん…本当にごめんってばー…」
直美が悲しそうにそう呟くー
どうして、昨日、自分は瀬奈にブスなんて
言ってしまったのかー
困惑しながら直美はそんなこと思っていないと伝えるー。
「ーーふふっー…
昨日は、彼氏を自慢してるとかわたしに言ってたくせにー」
瀬奈はそう言うと、
「お姉ちゃんの望み通り、自慢してあげよっか?」と
意地悪そうに笑みを浮かべるー。
「ーお姉ちゃんにはいない彼氏が、
わたしにはいま~~す!」
意地悪モード全開でそう叫ぶ瀬奈ー
「ーお姉ちゃんには彼氏がいないのに、
わたしにはいるんだよ~~~~~~~?」
顔を近づけながら敵意剥き出しの瀬奈を前に、
直美は泣きそうになりながら、
どう反応していいのか困ってしまうー
「あはははっ!その顔、最高ー!
あははははっ!」
笑いながら部屋に戻っていく瀬奈ー
直美は”何かがおかしい”と思いながらも、
どうすることもできなかったー。
そしてー
翌日ー
「ーーー昨日は、楽しめたかいー?」
大学から出て来た姉の直美に声を掛ける
キズナ芸術家の龍之介ー。
「ーー!!!」
直美が、困惑した表情を浮かべながらー
すぐに声を上げるー
「あ、あなたが瀬奈に何かをー!」
とー。
しかしー、
龍之介の目が赤く光りー、
直美は再び、洗脳されてしまったー
妹に対する憎しみを、植え付けられてしまったー
「ーーーーさぁ、本番だー
私に芸術を見せておくれ」
龍之介がそう言うと、
直美は虚ろな目で「はい…」と、答えたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した姉の直美ー
「ーただいま~!」
母の久恵には、いつも通りに声を掛けるー。
しかしー
廊下で妹の瀬奈と目が遭うとー
直美は豹変したー
「ーー自慢女ー…まだいたの?」
直美が不機嫌そうに呟くと、
瀬奈は「ーーここ、わたしの家なんだけど」と、
不満そうに答えるー。
「嫉妬女こそ、早く出てけば?」
瀬奈の言葉に、直美は「は?お姉ちゃんに向かって何その口の利き方?」と、
怒りを露わにするー
「ーーーは???ーいつまでもお姉ちゃん面するなって言ったでしょ?」
瀬奈も、退かないー。
二人とも洗脳されている状況ー。
既に、憎しみと憎しみがぶつかり合う危険な状態ー
睨み合う瀬奈と直美を見て、
たまらず母親の久恵が止めに入ると、
二人は互いに罵り合いながら、そのままそれぞれの部屋に向かったー
「どうしちゃったのよー…二人ともー」
久恵は、そう呟きながら困惑することしかできなかったー
お互いに「ふん!」と、すぐに部屋に入っていきー
晩御飯の時間まで、気まずい雰囲気が流れるー。
母の久恵は、”何だか最近二人とも変ね…”と心配しながらも、
晩御飯の支度を終えると、二人にそれぞれそれを伝えたー
母親に対してはいつも通りの振る舞いをしながら
1階に降りて来る二人ー。
しかしー、やはり二人は全く口を利く様子は見せないー
姉の直美も、妹の瀬奈も、苛立った様子すら見せているー
「ーねぇ…」
そしてー、ようやく口を開いたのは、姉の直美の方だったー。
「ーーなに?」
瀬奈が箸を止めて、不満そうに口を開くー
「ーわたしに何か文句でもあるの?
いつもいつもそうやって、反抗的な態度を取ってー」
直美の言葉に、瀬奈は「は?」と、不機嫌さを露わにするー
ピリピリとした空気が食卓に伝わりー、
母親の久恵もたまらず、「ねぇ…最近あなたたちー、どうしちゃったの?」と
困惑の表情を浮かべるー。
だがー
母親の言葉が耳に入っていないかのように、
直美と久恵は睨み合いを続けていてー、
張り詰めた空気が、さらに強まるー。
「ーーお姉ちゃんが、わたしを見下してるからでしょ!
この嫉妬女!」
妹の瀬奈が乱暴な口調で叫ぶー。
「ーは~~~~????
妹の癖に何なのその口の利き方!」
机を叩く姉の直美ー
「ーーあんたみたいなお姉ちゃん!
尊敬できるところなんて何一つないし!」
瀬奈が、さらに挑発を続けると、
直美は立ち上がって、瀬奈の近くに行き、
瀬奈にビンタを食らわせたー
「いったぁ~~~…」
頬を抑えながら瀬奈が怒りの形相を浮かべると、
「あんたなんかお姉ちゃんじゃない!」と、
涙目で叫び、ビンタの仕返しを食らわせるー。
「ーーはぁ??? わたしだってあんたみたいな
自慢女!妹だと思ったことなんてないから!」
瀬奈の髪を引っ張り始める姉の直美ー
瀬奈が悲鳴を上げながらも、
手でコップを掴み、その中身を直美の顔面に向かって飛ばすー
「ーーふざけんな!」
「ーーあんたこそ!!」
晩御飯の最中に喧嘩が始まってしまったー
慌てて久恵が「もうやめなさい!」と、叫ぶと、
姉の直美が妹の瀬奈を突き飛ばして、
「あんたなんか死んじゃえばいいのに!」と、
怒鳴りながら、そのまま部屋の方へと戻っていくー
「はぁ??死ぬのはお姉ちゃんでしょ!!!」
妹の瀬奈も声を荒げると、
そのまま不機嫌そうにテーブルに座って、
「お姉ちゃんなんか、いなければよかった!」と、
うんざりした様子で、露骨にイライラしながら
食事を口に運び始めたー
「ーーせ、瀬奈ー…お姉ちゃんと何がー」
久恵が困惑しながら尋ねるも、
姉の話になると、感情的になる瀬奈は「うるさい!」と、だけ叫んで
聞く耳を持たなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「直美と瀬奈が喧嘩ー?」
帰宅した父親が困惑の表情を浮かべるー
「そうなのー。今日も酷くてー」
母・久恵がそう言うと、父親は戸惑いながら、
「ーー二人も難しい年頃だからなー…」と言葉を口にするー
「けど、今まで仲良かったはずだろー?
どうして急にー?」
その言葉に、母の久恵も「わからないー…」と
言葉を吐き出すのがやっとだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
”素晴らしいー”
キズナ芸術家の龍之介は笑みを浮かべながら、
洗脳した人間の視界を特殊な技術で映し出しー、
その”絆が引き裂かれていく様子”を見つめていたー。
「ーーもっともっとー、憎しみを募らせてー
私に最高の芸術を見せておくれー」
そう呟くと、目を赤く光らせる龍之介ー
それに呼応するかのように、
離れた場所にいる直美と瀬奈ー
二人の姉妹の目が一瞬、赤く光ったー
憎しみの増幅ー
「クククー…」
龍之介は、さらに憎しみ合う姉妹の”地獄のような光景”を
思い浮かべながら、静かに笑みを浮かべたー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
エスカレートしていく憎しみ…!
次回が最終回デス~!
今日もありがとうございました~!!
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