ある日の朝、姉さんが突然そんなことを言ってきたー。
そして、その翌日、
俺は姉さんの手によって”妹”にされていたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーわたし、本当は弟じゃなくて妹が欲しかったのー」
姉の里崎 梨絵(さとざき りえ)が
突然、そんなことを口走ったー
「ーーー…はい?」
弟で高校2年生の里崎 勇雄(さとざき いさお)は
突然の意味不明な言葉に、思わず変な声を
出して反応してしまったー
姉の梨絵は、優しいのだが
時々おかしいー。
いきなり、変なことを言い出すこともあるし、
突然、正気を疑うような爆弾発言をすることもあるー。
普段から仲は良く、姉の梨絵からも普通に話しかけてくれるし、
勇雄も普通に会話を交わすー
そんな間柄ーー
なのだがーー
時々思うー
”姉さんって頭のネジ1本、いや2本ぐらい抜けてるよな”
とー。
「勇雄、妹になってよ」
その言葉にー
勇雄は確信したー
”やっぱ姉さん、頭のネジ抜けてるよー”
とー。
「ーーー……いや、いや、いやーなに?意味が分かんないケド」
笑いながら勇雄が返事をすると、
梨絵は「意味は分かるでしょ」と笑うー。
「ー弟に、”妹になって!”ってお願いしてるの」
梨絵が真顔でそんなことを呟くー
「ーーーーーーーー………」
勇雄は思わず言葉を失い、しばらく梨絵のほうを見つめていたものの
ようやく我に返って口を開くー
「ーーーい、嫌だよー!俺が女装したって似合わないだろ?」
勇雄がそう言い放つー
勇雄はスポーツ少年風な容姿で、
とても女装が似合う感じではないー。
別にスポーツも得意ではないのだが、
何だかそんな感じの見た目の勇雄ー。
女装なんてしたこともないし、
女装する趣味もないし、
似合うとも思えないー
「ーうん。似合わないと思うー」
梨絵がニコニコしながら言うと、
勇雄は「ーじ、じゃあ妹ってなんだよ!?」と、ツッコミを入れるー。
「ーま…まぁーでも…
妹がいたら可愛いかもしれないけどさー」
勇雄は、そう呟きながら部屋の中を見渡すー
「ーでも、もう母さんだって子供を作れるような年齢じゃないだろー?
妹は諦めるしかー」
勇雄がそこまで言うと、
梨絵は突然満面の笑みで勇雄に向かって囁いたー。
「ー勇雄が妹になるんだよ」
とー。
「ーー……!?!?!?!?!?」
困惑する勇雄ー
「ーえっ!?なに!?なに!?怖いんだけどー」
勇雄は思わずそんな声を上げるー。
「ーふふふふふふふふ」
にこにこと笑う梨絵ー。
「ーい、いったい何を企んでるんだよ!」
勇雄がそう叫ぶも、梨絵は「楽しみにしててね」とだけ
言い放つと、「あ、そろそろ部屋に戻って勉強しなくちゃ」と、
そのまま部屋の方に向かって行ったー
「ーー……時々変なこと言い出すよなぁ…姉さんはー」
勇雄はそんな風に呟きながらも
”どうせ明日になれば、「そんなこと言ったっけ?」とか言い出すんだろうしなぁ”と
苦笑いしながら、「俺も部屋に戻るか」と
家族の集うリビングから、自分の部屋がある2階に向かって歩き出したー。
だがー
その日の深夜ー
穏やかな寝息を立てていた勇雄に
突然痛みが走ったー
まるで、注射をされたかのような
そんなチクッとした痛みだー
「っっー…」
思わず目を覚ますと、なぜかナース服を身に着けた
姉の梨絵がすぐ横で注射器を持って微笑んでいたー
「ーお注射の時間でちゅよ~」
姉の梨絵が、なぜかそんな口調で勇雄に対してそう言い放つー
「ーね、姉さん、こんな夜中に何をー!?」
あまりの意味不明さに思わずそう言葉を口にするも、
直後、急激な睡魔に襲われてしまいー、
勇雄はそのまま眠気に打ち勝つことができないままー
眠りについてしまったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そして、翌朝ー
「ーーな、なんだこれええええええええええ!?!?!?!?」
目を覚ました勇雄は、
思わず絶叫してしまったー
伸びた髪ー
膨らんだ胸ー
あるはずのモノがアソコにないー
「ーーー…何でえええええええええ!?!?!?」
可愛らしい声でそう叫ぶと、
「ーーおはよ~~~!」と、姉の梨絵が
嬉しそうに部屋の中に入ってきたー。
「ーーね、ね、姉さんの仕業か!?なんだこれ!?」
”女”になってしまった勇雄がそう叫ぶと、
「ーーやった~~~!」と、突然、姉の梨絵が嬉しそうに拍手を始めたー
ダメだこの姉さんー
完全にサイコパスだー
と、思いながらも、
勇雄は「い、いや、やった~じゃないよ!元に戻せよ!」と
ツッコミを入れたー
「も~そんな怒った顔しないの!
それに女の子なんだから、言葉遣いも気を付けて」
と、なぜか急に叱られた勇雄は
「ご、ごめんー…」と反射的に謝ってしまうー。
「ー……い、いや、そうじゃなくて、俺に何をしたんだよ!」
勇雄が”謝ってる場合じゃねぇ”と、思い直して
そう叫ぶと、梨絵は「昨日の夜中、性別を変える注射を勇雄にぷすっ!てさしたの!」と
嬉しそうに説明するー
「ぷすっ!じゃね~~!!!!」
勇雄がうんざりした様子でそう叫ぶと、
「だって妹が欲しかったんだもんー」と、梨絵はいじけたような
表情で勇雄のほうを見つめたー。
「欲しかったんだもん、じゃねえええええ!」
勇雄は「と、とにかく早く元に戻してくれよ!」と叫ぶも、
梨絵は首を縦には振らなかったー
「ーい、いや、首を横に振らないで!?縦に振って!?」
勇雄が戸惑いながらそう言うと、
梨絵は「ー今日は日曜日だし!お願い!1日だけ!1日だけ!ね!」と、
手を合わせて勇雄に頼み込むー
「ーー…1日だけ?
…じゃあ元に戻る方法はあるってこと?」
勇雄が言うと、梨絵は性別を変える注射器を手に、
「これで性別を変えられるって言ったでしょ?
もう一度これをぷすっ!ってすれば元に戻れるから」と笑ったー
「ーそ、そっかぁ…」
勇雄は納得したような、納得いかないような、
何とも言えない表情を浮かべると、
少し考えたあとに
「まぁ……そういうことならー」と、ため息をついたー。
「ー…っていうか姉さんー
昨日の夜中のあの変な格好はー?」
女体化した勇雄が顔を少し赤らめながら言うと、
「あーあれ?昨日のためだけに買ったやつ!」と笑いながら梨絵が答えるー
「いや、昨日のためだけに!?
そんなんで買うなよ!」
勇雄が可愛らしい声でそう叫ぶと
「あ~この声…なんかもう違和感がやべぇよ」と、
自分の喉のあたりを押さえたー
「あ、そうだ!花子、着る!?」
梨絵がポン!と手を叩きながら
嬉しそうにそう叫ぶー
「き、着るって何をー?
ってか花子って誰だよ」
勇雄がそう言うと、
梨絵は人差し指を勇雄の方に向かってさしたー。
「ーーー…え?俺が花子?」
勇雄が自分を指さすと、
「ーその姿で”勇雄”は、おかしいでしょ?
だから、女の子っぽい名前を考えてあげたの!」と、
梨絵が嬉しそうに言うー
「ーーーか、勝手に名前をつけるな!
しかも、何で記入例で使われるような名前なんだよ!」
先程からツッコミを入れてばかりの勇雄ー
「ーーこら!」
だが、突然梨絵に怒られて勇雄はビクッとするー
「ーーー全国の花子ちゃんに失礼だよ!もぅ!」
梨絵に怒られた勇雄は「ご、ごめんなさいー」と謝ってしまうー。
「ーじゃあ、元勇雄の花子ちゃん!
今日は、わたしの妹だからね~~~!」
と、嬉しそうに髪を撫で始める梨絵ー
「や、やめろ~~~!髪が長いとなんか違和感がすごい~!」
「ーついでにおっぱいチェック!」
梨絵が笑いながら、女体化した勇雄の胸を揉み始めるー
”胸を揉まれる”ー
男だった勇雄が今まで経験もしたこともない感覚を味わいー、
違和感と気持ちよさとこんなことを姉にされている気味の悪さと、
ちょっとくすぐったいような気がしながらー
あらゆる感情のブレンドを味わいつつー
「ーーこ、こうなったらー!」
と、反射的に仕返しとして、姉・梨絵の胸に手を触れるー
だがー
「変態っ!」
梨絵が突然そう叫んで、勇雄をビンタして、
勇雄はその場に倒れ込んだー
「ーーー…な、なんでぇ…!?」
倒れ込んだ勇雄は、思わず悲痛な声を上げるー
「エッチ!変態!」
梨絵の言葉に
「ね、姉さんはよくて、お、俺はダメなのかよ…!」
と、困惑した表情のまま言い放つと、
梨絵は「ーわたしは純正だから触っちゃだめ!」と
訳の分からない言葉を口にしたー
「な、なんだよ純正ってー」
勇雄はそれだけ言うと、
「ーで、そうそう、着る?
わたし、妹が出来た時のために
いくつか服を用意しておいたの」と、
梨絵は得意気になりながら、自分の部屋の方に
一度戻っていくー。
”着る”とは一言も言っていないが
もはや梨絵の中では”着る”ということに
完全に決定してしまっているかのような、
そんな振る舞いだったー
”強引すぎるだろ姉さんー…
っていうか、頭のネジ完全に吹っ飛んでんだろー…
何考えてるんだよいったいー…”
すぐに姉の梨絵を追いかけようとしたものの、
”この姿”のまま部屋から飛び出して
親に見つかったらあらぬ誤解を招くそうな気がするー
そんな気がして、ひたすら姉の帰りを待つ勇雄ー。
「ーーー…」
ふと、髪が自分の手に触れて、ドキッとしながらも
すぐに首を横にぶんぶんと振って
”ドキドキするんじゃない”と、自分に言い聞かせるー。
ちょうど今日は日曜日だし、学校はないー。
だから、姉の梨絵の言う通り、1日で元に戻ることができて、
それで姉が満足するのであれば
それはそれで良いのかもしれない。
姉・梨絵の性格を考えると
一度、梨絵の好きなようにやらせてあげないと、
明日からずっと「妹が欲しかったなぁ~」とか
言い出すから、非常に面倒臭いことになるー
「ーーー…ゴクリ」
勇雄は、自分の胸を見つめるー。
さっき、梨絵に胸を揉まれた時には
”今まで感じたことのなかったような快感”を感じたー。
男の身体では味わうことができない
新鮮な感触だったー
「ーーー…す、少しぐらいー…いいよな」
廊下の物音に聞き耳を立てながら
”姉の梨絵がまだ戻ってこないこと”を確認すると、
勇雄は自分の胸に手を触れて、
すぐにビクッとして手を離したー
「い、今は俺のおっぱいのはずなのにー
ざ、罪悪感がすごいー…」
勇雄は思わずそう呟くー。
罪悪感なんて感じる必要はないと言うのに、
罪悪感を感じてしまうー。
触ってはいけないものを、触っているような気がするー
「ほ、ほ、他の人の身体を奪ったとかじゃないんだしー
お、俺の身体なんだからー」
恥ずかしそうにそう呟くと勇雄は
自分の口から出るその”声”にもドキッとしてしまうー
”そ、そういやー…今、この声で告白してみたら
妙にドキドキするかも…”
そんなことを思いながら、
遠慮がちに口をゆっくりと開くー
緊張して身体中がゾクゾクするー
「ーーじ、実はま、前から、勇雄くんのことー…」
”女体化したこの声”で、
”自分”に告白してみるー
するとー
まるで自分が告白されたかのような、そんな気持ちにー
「じーーーーーーー」
変な声が聞こえたー
!?
勇雄が”告白”の言葉を口にしている最中に
聞こえた謎の声ー。
その声にビクッ!として顔を上げるとー
そこには姉の梨絵の姿があったー
「ひっ!?!?!?ね、姉さんー!?」
扉をほんの少しだけ開けた状態で、
「じー…」と言いながら、女体化した勇雄の様子を
楽しそうに見つめていた梨絵は、
勇雄に気付かれたことを悟ると、
意地悪そうに笑いながら
「ーあれ~?花子ちゃん、今、何してたのかなぁ~???」と、
揶揄うような口調で囁いたー
「ーふ…ふ…ふざけるな!や、やっぱり早く元に戻せぇ!」
可愛い声で勇雄がそう叫ぶと、
梨絵は「だめ。今日1日は妹!」と、あっさりと勇雄の
悲痛な願いを切り捨てたー
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
お姉ちゃんに女体化させられてしまった弟のお話デス~!
なんだか大変そうですネ~笑
続きはまた明日デス~!
今日もありがとうございました~!
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