<女体化>わたし、本当は妹が欲しかったの②~迷惑な姉さん~(完)

”本当は妹が欲しかった”

そんな理由で女体化させられてしまった弟ー。

姉のとんでもない行動に振り回される時間は続くー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「今日1日が終わったら元に戻してあげるから!ね!」
姉の梨絵がそんなことを呟くー

「ーー…ま…まぁ…そ、それならいいけどさー」
最初は不満ばかりだったが、
自分が”可愛い女の子”になっていると思うと、
興奮するし、1日ぐらいなら、まぁいいのかもしれない、と
思い始めていた勇雄ー。

「ーじゃあ、”お姉ちゃん”って呼んでみて?」
梨絵が嬉しそうに言うー。

普段、勇雄は梨絵のことを”姉さん”と呼んでいるー。

だが、どうやら梨絵は”お姉ちゃん”と呼んでほしいらしいー

「ーな、なんでだよー…姉さんじゃダメなのかよ?」
勇雄がそう言うと、
「ー妹にお姉ちゃんって一度ぐらい呼ばれたいんだもん~~」と、
顔を真っ赤にしながら、梨絵が興奮した様子で言い放ったー

「ーーもう姉さんの考えについていけねぇ…」
そんなことを口にし始めながらも、
長引かせても面倒だしー、と、
仕方がなく、”お、お姉ちゃん…”と言葉を口にする勇雄ー

「あ~~~~~♡♡」
身体を奇妙にクネクネさせながら、突然大声で叫ぶ梨絵ー

その顔は真っ赤で、
完全に興奮しているのが分かる。

「おねえちゃん おねえちゃん おねえちゃん~~
 あっ~~~~♡」

梨絵が嬉しそうに奇妙な動きをしながら叫んでいるー

「ーー…(姉さんの大学の同級生たち、この感じの姉さんに
 ついていけるのかなー…)」

姉・梨絵の大学の同級生たちが心配になりながらも
そう思っていると、梨絵は、はぁはぁ言いながら
「おかわり!」と、もう一度”お姉ちゃん”と言うように
促してきたー

「お、おかわりじゃねぇ~!
 っていうか服がどうこうって言うのはどうしたんだよ?」

勇雄がうんざりとした様子で腕組みをしながら言うー。

がー
腕組みをすると自分の胸に腕があたることに気付いて
困惑するー

「ー(お、女の子が腕組みするときって、これ避けるのかー…?)」

そんなことを思いながら、
姉の梨絵が部屋から持ってきた服を見て、
勇雄は「ばっ…ばかっ!」と思わず叫んでしまうー。

姉の梨絵が”妹が出来た時のために”と、用意していた服装はー
メイド服だったのだー

「だ、誰が着るかこんなもん!」
勇雄が思わず可愛い声で叫んでしまうとー
梨絵が「え~~~~~!」と頬を膨らませながら
拗ねたような表情を浮かべるー。

「ーーさ、さ、さ、流石に恥ずかしすぎるって!
 無理無理無理無理無理!」

勇雄が顔を赤らめながらそう言うと、
梨絵は「大丈夫だよ~ちゃんとしたメイド服で、
露出度が高いやつじゃないから~」と、にこにこと笑うー

「そういう問題じゃねぇ!」
勇雄は、そうは言いながらも、チラッとメイド服のほうを見つめたー。

その視線に気づいたのか、それとも偶然かは
分からないが、梨絵はニヤニヤとしながら言葉を続けるー。

「ーねぇねぇ、花子ー
 ”男”に戻ったらメイド服着れる機会なんてないよ~?
 
 勇雄、ただでさえ、そういう容姿じゃないんだしー
 おじさんになってからメイド服はもっときついでしょ?」

なおもニヤニヤしながら、梨絵がそう呟くー。

「ーーう…」
勇雄は”花子って呼ぶな”と反論しながらも、
メイド服のほうを見つめるー

そうー
勇雄は女装に適したような容姿ではないー
太ってはないが、日ごろから運動をしているため、
身体はがっちりとしているし、顔も、女装に適した顔とは
思えないー

梨絵の言う通り、おじさんになればさらに、
そういうことは難しくなっていくだろうー。

「ーーー…」
勇雄が、メイド服を見つめたり、視線を逸らしたりしながら
困惑していると、
梨絵は囁くようにして
「いつ着るの?今でしょ!」と、言い放つー

「うるさいうるさい!」
勇雄が、梨絵の言葉にそう言い放つと、
「しかもなんか随分前に聞いた気がするぞ」と小声で呟きながら、
そのまましばらくメイド服を見つめるー

そしてーーー

「ーーー……分かったよー着るよー」
と、己の欲望にー
いや、姉の勢いに押し切られるような形で
メイド服を手に取ったー

「ーでも、着方とかたぶん分かんないから
 教えてくれよ?」

勇雄がそう言うと、

「ー”お姉ちゃん”って呼んでくれたら!」
と、エサをせがむポチみたいな表情で、
梨絵が嬉しそうに勇雄のほうを見つめるー

「あ~~もう、わかったよー

 おねえちゃんー」

勇雄が嫌々ながらもそう言い放つー。

「ーうっ♡ ずきゅううううううううううううん♡」
意味不明な効果音を叫びながら、梨絵がその場で
心臓を押さえて倒れ込むー

「ーーーお、おい、お姉ちゃんー!?」
つい間違ってまたお姉ちゃんと言ってしまうと、
梨絵は鼻血を流しながら、
「しあわせですぅ…」と、虚ろな声で呟いたー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーはい~!ごはんだよ花子~!」

夕方ー…
散々弄ばれた勇雄の元に、
姉の梨絵がご飯を運んでくるー

昼食もそうだったがー、
”事情を知らない両親”の前に姿を見せるわけにも行かず、
姉の梨絵がこうして食事を運んできているー

「俺は囚人か何かかよ…」
そう言いながらメイド服姿の勇雄が呟くと、
「ーーでも、何だかんだで勇雄も楽しんでるでしょ~?」と、
梨絵が嬉しそうに笑うー

「ま…まぁ…」
高校生の勇雄からすれば
髪も胸も声も、色々な意味で刺激的だし、ゾクゾクはするー

正直、姉さんのせいで性癖を狂わされた感じもするが、
この際、もうそれは仕方がないー

「そういえばー…… なんか今日、すぐにお腹いっぱいになるんだけどー」
勇雄がそう言うと、
梨絵は「あ~まぁ、勇雄は特別食べてたし、女の子になったから、
いつもより小食の身体になったんじゃないかな」と、
言葉を口にするー

ご飯を食べながら「あ~そういうことなのか」と
納得しつつも、
メイド服や、自分の綺麗な手が視界に入るたびに、
少しドキドキしてしまい、首を横にぶんぶんと振る勇雄ー。

「ーあぁ…色々な意味で身体に悪いぞこれ…」

そんなことを思いながら、何度も何度もため息をつくと
「っていうか、母さんと父さんには何て説明してるんだ!?」と、
勇雄がふと、そんなことを思い立って、梨絵に確認するー

「ー熱を出して寝込んでて、わたしが看病してることになってるよ♪」
梨絵は何故か嬉しそうにそう言うと、
「ーーってか、そろそろお風呂も入りたいし、元に戻してくれよー」
と、勇雄はため息をつきながら呟いたー

さっきからー
トイレに行くたびに、
まるで潜入捜査官にでもなったかのように、
親に見られないよう、忍び足でトイレに行っているー

”何のスパイごっこだよ”と
心の中で毒づきながらも、トイレは何回かクリアしたものの
流石にお風呂は厳しいー

「う~ん、9時になったら戻してあげるー
 だから、もう1回、お姉ちゃんって言って♡」

梨絵がまたお姉ちゃんと呼ばれたそうに勇雄のほうを見つめて来るー

「あ~~~もうまたかよー

 お…お姉ちゃん」

それだけ言うと、梨絵が再び嬉しそうに絶叫し始めたー。

”ーーー俺が妹じゃなくてよかったー”

ふと、勇雄はそんなことを思ったー。

もしも、俺が妹だったらー
毎日毎日こんなことに付き合わせていたと考えると、
勇雄にとっては恐怖以外の何物でもなかったー。

「ーーー…はぁ…はぁはぁはぁ…♡」
涎を垂らしながらニヤニヤしている梨絵ー。

やがて、正気を取り戻したのか、ハッとすると、
「じゃあ、21時頃に元に戻してあげるから、
 それまでは部屋で、好きなことしててね~」と、
笑いながらそのまま勇雄の部屋を出て行ったー。

「ふぅ~…」
思わずため息をつきながら、勇雄は、
”可愛い”自分の身体を楽しもうかとも思ったが、
すでにそんなことをする気力も無くなっていてー、
ベッドにドサッと横たわると、
そのままうっかりと寝落ちしてしまったのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー…」

「ーーーお~い…!」

「ーーお~い、あれ、もしかして死んじゃった!?」

そんな声で目を覚ました勇雄ー。

「ーーあ…姉さんー」
姉の梨絵の姿を見て、
女体化したままの勇雄が目を覚ますと、
梨絵は「ーあはは、生きててよかった~」と笑いながら言い放ったー

”やっぱ姉さん、頭のネジ1本、いや、2本ぐらい抜けてるよな”
と思いながら、すっかり暗くなった部屋を見渡しながら
「あ~…寝落ちしてたか」と、だけ呟く勇雄ー。

時計は既に21時を過ぎていて
”元に戻す約束”の時間だー。

「ーーーじゃあ、元に戻すからね」

そう言いながら電気をつけた姉の梨絵ー

「って、何でいちいちその服着るんだよ!」
またナース服に着替えている梨絵を見て
思わず苦笑いしながらそう叫ぶとー
「ーなんとなくこの方が気分が出るから!」と、
”性別を変える注射器”を手に、
それを勇雄に向けるー

「注射苦手かもだけど、頑張ってね!
 じゃあーいくよ~」

梨絵はそう言うと、嬉しそうに「えいっ!」と、叫びながら
グサッ!と、注射器を刺したー

「いってええええええ!!!!へたくそ!」
思わずそう叫ぶも、痛みに耐えてー
勇雄は男に戻るのを待ったー

「ーーーーー」

「ーーーーー」

だが、注射が終わっても、勇雄が男に戻る様子はなく、
そのままー。

「ーーーーーー」

「ーーーーーー」

「ーーーなぁ、いつ戻れるんだ?」
勇雄が思わず落ち着かない様子で
そう言うと、梨絵はニコニコしながら
「あれぇ…おっかしいなぁ…」と言い始めるー

「おい姉さんー
 まさか、元に戻れないと分かってて
 俺に注射したんじゃー…?」

そんな不安を覚えて、姉の梨絵にそう問いただす勇雄ー。

だが、梨絵は焦った様子で自分の部屋に走っていくと
途中で転ぶような音も聞こえて
”どうしようどうしよう”なんて声まで聞こえて来たー

あの雰囲気を見ると
”元に戻す”つもりはあるようだー。

そんな梨絵が慌てて部屋に戻ってくると
性別を変える注射器に付属されていたと思われる
説明書を手に
「え~~~っと!」と、それを眺め始めたー。

そしてーーー

「あ~~~~~~~~~~~~!!!!!」
梨絵が大声で叫ぶー。

「ーな、なんだよ…」
勇雄が不安そうにそう呟くと、
梨絵は説明書を手に
「わたし、今、初めて説明書を読んだんだけどね、
 こ、ここに大変なことが書いてあるのー!」
と、慌てた様子で叫んだー

”怪しい注射を説明書も読まずに、俺に打つな”と
心の中でツッコミながら、梨絵の指差している場所に
視線を落とすとー

”1度使用すると抗体ができるため、同じ人間は2度使用できません”
と、注意書きがされていたー。

つまり、男が女になったら元には戻れずー
女が男になっても、元には戻れずー

「おおおおおおい!じゃあずっと俺はこのまま!?」
思わずそう叫んでしまう勇雄ー。

「ーーそ、そ、そ、そうみたい…」
気まずそうにそう呟きながらも、
梨絵は何を思ったのか、次の瞬間にはポン!と手を叩き、
「じゃ、じゃあもしかして、これからもわたしはずっと”お姉ちゃん”って
 呼んでもらえる!?」と、
訳の分からないことで喜び始めたー

「やったああああああああ!」
ガッツポーズする梨絵ー

「ーやった~~!じゃねぇ!」
カッとなった勇雄は思わず梨絵の腕に注射器をプスッと刺したー

「ーーえ?」
驚く梨絵ー

「あ」
カッとなってしまったことで、やべっ!と思う勇雄ー

「ち、、ちょっおおお!!????何するの!?!?!?」
そう言いながらも、梨絵の身体がみるみると変化していきー
そのままー
梨絵は男になってしまったー

「ーー……」
呆然とする梨絵ー。

少し間を置いてから梨絵は
「ちょっと!!!!男になっちゃったじゃない!!!!」と、
怒りの形相で叫ぶー

「ね、ね、ね、ね、ね、姉さんが悪いんだろ!?」
反論する勇雄ー

姉と弟はー

いつの前にか、

兄と妹になってしまったのだったー。

そしてーーー
それからしばらくして、
その近所では頻繁に
”妹を溺愛し、自分のことをお兄ちゃんと呼ばせる兄妹”の
姿が目撃されるようになったのだというー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

二人とも元に戻ることはできなくなってしまいましたが
何だかんだで上手くやってそうな雰囲気ですネ~笑

お読み下さり感謝デス~!

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