<皮>新成人コレクター②~悪意~(完)

①にもどる!

”新成人”を毎年”皮”にして乗っ取り、
集めている謎の男ー。

今年の成人式にも、
その男の影が迫るー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「この後の集まりも来るでしょ?」

成人式の式典が終わり、
親友の架純がそんな言葉を口にするー。

瑠香も「うん!」と前向きに返事をすると、
賑わう会場周辺で、
久しぶりに会う友達とのんびり話をしたりして、
楽しい時間を過ごしていくー。

久しぶりに話す友達もいて、
すっかり楽しい気分になっていた瑠香は
”新成人コレクター”の都市伝説のことも、
忘れて、今を楽しんでいたー。

しかしー…

「ーーククククー」
サングラスをかけた莉奈ーー
”新成人コレクター”と噂される男は
既にすぐ近くまで来ていたー。

昨年の成人式のタイミングで
乗っ取られた莉奈がその場にいるー。

けれど、周囲は莉奈がその場にいることには気づかないー。

髪型もメイクも雰囲気も何もかも変えられていて
サングラスをしている状態では、
そこにいるのが莉奈だと気付く人間はいないー。

”クククー出て来た出て来たー…”
莉奈はニヤニヤとしながら、その笑みを隠すかのように
口元に手を当てると、
ゆっくりと”今年皮にするつもりの新成人”のほうを見つめるー。

そしてー、その”新成人”に声を掛けるチャンスを見計らって、
静かに歩き始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーあ、ごめんー電話ー」
架純や、他の友達と一緒に、同級生たちの集まりの会場に
向かおうとしていた瑠香は、自分のスマホが鳴っていることに
気付いてそう言葉を口にすると、
そのままスマホを確認するー。

電話の相手は、母親の真理子だったー。

「ーーあ、お母さんーどうしたの?」
瑠香がそう言葉を口にしながら通話を始めると、
”あー、瑠香。ごめんねー、今大丈夫?”と、
そんな言葉を口にしたー。

「ーーうんーこれから同窓会みたいな集まりに行くけどー、
 どうかした?」
瑠香は少し不思議そうな表情を浮かべながら、そう言葉を返すー。

すると、母・真理子は少し間を置いてから言葉を続けたー。

”パパがねー…
 「ちょっと出かけて来る」ってメモだけ残して
 どこか行っちゃったのよー

 瑠香のところに来てない?”

とー。

その言葉を聞いた瑠香は少し不思議そうにしつつも
「え?お父さんがー?来てないよー?」と、
そう返事を返すと、
「どこか行っちゃったってー…行先とか聞いてないの?」と、
そう言葉を続けるー。

父・貞司は普段、居場所も告げずにいなくなるようなタイプではない。
その貞司が行先も告げずにいなくなってしまった…というのであれば
それは確かに心配だ。

”ーーううんー。「ちょっと出かけて来る」のメモしかなくてー
 どこに行ったのかまではー”
母・真理子が不安そうにそう言葉を返してくるー。

瑠香も少しだけ不安に思いながら
「ーわたしも何か連絡があったらすぐお母さんに知らせるね」と、
それだけ言葉を口にすると、会話を終えて
架純ら友達が先に向かった方向を見つめたー。

”ー急がなくちゃー”
友達に置き去りにされてしまう、と、そんなことを思いつつ
友達が向かった方向に向かう瑠香ー。

がー、
瑠香が友達を追って大通りから小さな道に入ったところでー
”その相手”は姿を現したー。

「ーーあのーすみませんー」
姿を現したのは、”新成人コレクター”に乗っ取られている莉奈ー。

莉奈を乗っ取っている男が”今年の獲物”として
狙っているのは、よりによって”瑠香”だったー。

「ーーーえ…?あ、はいー」
瑠香は、同じぐらいの年代の相手であるからか、
警戒していない様子で、そう返事をするー。

「ーーー」
流石にサングラスをかけたままでは怪しまれると思ったのか、
サングラスは外した状態で姿を現した莉奈は、
少しだけ微笑むと、
「ーちょっと道に迷っちゃってー」と、そう言葉を口にした上で、
スマホを手にするー。

「ーここに行きたいんですけどー」
莉奈はそう言葉を口にすると、
瑠香に近付こうとするー。

自然な流れに、そして、相手が同年代の女性であるからか
瑠香もそれを確認しようとするー。

がーーー…
ふと、瑠香は相手の顔を見たー。

「ーーーって、あれー…」
瑠香は不思議そうな表情を浮かべるー。

「ー!」
スマホを見せる風を装い、接近したところで
”人を皮にする注射器”を打ち込んで瑠香を”皮”にしようと
していた莉奈ー。

しかし、その直前で瑠香はあることに気付いてしまったー。

「ーーー……あなたは、去年失踪したー……」
瑠香が言うー。

髪型は違うー。
メイクも違うー。
服装の雰囲気も違うー。

がー、”成人式に消息不明になる新成人がいる”というニュースに
不安を覚えていた瑠香は、
これまでの数年間、”消息不明になった子”たちが報じられている際の
ニュースを何度も見ていて、
その顔を”誰よりも”よく覚えていたー。

例え髪型が違っていても、メイクが違っていても、服装が違っていてもー…。

「ーーーーち、違いますー人違いですよーそれよりー」
莉奈は険しい表情を浮かべながらそう言葉を口にして、
瑠香に近付こうとするー。

がー、その時だったー。

「瑠香に近付くな!」
そんな声が聞こえたー。

「ー!」
瑠香が振り返ると、そこには
瑠香の父親である貞司の姿があったー。

「ーえ…お父さんー?」
さっき母親から”パパはどこかへ外出した”と聞かされていた瑠香は
驚いた表情を浮かべながら貞司を見つめるー。

すると、それと同時にーー

ぷすっ!と、瑠香の首筋に痛みが走ったー。

「ーへへへへーもう遅いー」
莉奈が突然態度を豹変させて、ニヤニヤしながら
そう言葉を口にすると、瑠香の身体から突然力が抜けていくー

「え……」
瑠香が振り返ると、莉奈の手には
”人を皮にする注射器”が握られていたー。

「瑠香!!!」
父・貞司が叫ぶー。

しかし、貞司の目の前で娘の瑠香は”皮”になっていくー。

莉奈はニヤニヤしながら、皮にした瑠香を見つめて
それを握りしめるー。

そして、莉奈はニヤァと、笑いながら言ったー。

「ようやくー、ようやく瑠香ちゃんを手に入れたよー
 へへへー」
莉奈は邪悪な笑みを浮かべながらそう言葉を口にすると、
瑠香の父・貞司のほうを見つめるー。

すると、貞司は言ったー。

「ーーーー兄貴ー。馬鹿な真似はやめるんだー」
とー。

その言葉に、莉奈はさらに邪悪な笑みを浮かべるー。
そしてー
莉奈の皮がぱっくりと割れて、中から”男”が姿を現したー。

その男は、
父・貞司の兄であり、瑠香からすれば”伯父さん”である勝夫ー。

成人式の前にも瑠香が電話で話をしていた勝夫だったー。

「ーぐ…兄貴ー…
 兄貴が新成人が行方不明になる犯人だったなんてー」
瑠香の父・貞司が険しい表情を浮かべながらそう言うと、
「僕はずっとずっとー、”お前”から娘を奪う機会を伺ってたんだー」と、
勝夫はそう言葉を口にするー。

弟の貞司とは違い、ずっと独身の兄・勝夫は
貞司が幸せな家庭を築いているのを見て、
ずっと不満を蓄積させてきたー。

そんな中、”人を皮にする力”と出会った勝夫は、
瑠香の身体を乗っ取ることに決めたのだー。

”新成人”に拘って乗っ取っている理由はー、
”一番輝くタイミングで、その身体を、人生ごと奪い取るのに興奮するから”だと、
そうも説明する勝夫ー。

その話を聞いていた貞司は困惑の表情を浮かべながら言うー。

「ーー瑠香を今すぐ解放しろ!
 いや、他の人たちもだー。
 俺と共に、警察に行こう」

ーと。

しかし、勝夫は笑うと、
「弟のくせに、僕に指図するな!」と、そう言い放つと、
瑠香の皮を手にして、それを素早く身に着けたー。

父・貞司もそれを止めようとしたもののー、
人の皮を着る・脱ぐことに慣れているのか勝夫の方が素早かったー。

「へへへへーへへへへー
 ついにー、ついに手に入れたぞー
 瑠香ちゃんはー…僕のものだーへへー」
瑠香の姿、瑠香の声でそう言い放つ勝夫ー。

自分の娘の身体が乗っ取られて、欲望に満ちた表情を
浮かべる姿は、見たくなかったー。

「ーーあ、兄貴ー…ふ、ふざけるなー…
 瑠香を解放しろ!
 そんなことが、そんなことが許されると思っているのか!」
心底困惑した表情を浮かべながら、
父・貞司はそう言葉を口にするー。

「ーーククククー
 僕はずっと瑠香ちゃんを自分のものにしたかったんだよー
 瑠香ちゃんみたいな可愛い子ー、お前の娘にはもったいないー

 だから、僕は小さい頃からず~~~っと、瑠香ちゃんに親切にしてきたし
 可愛がってきたーー
 いつか瑠香ちゃんがお前ではなく、僕を選んでくれるようにー」

瑠香を乗っ取った貞司は瑠香の顔を欲望に満ちた表情に
歪めながらそう言い放つー。

成人式の晴れ姿の瑠香が、下品な笑みを浮かべている状況を前にー、
父・貞司は怒りの形相を浮かべるー。

しかし、瑠香は言ったー。

「でも、どんなに親切にしても、僕は”伯父さん”止まりー。
 瑠香ちゃんの”親”にはなれなかったー」
とー。

「ーあ、当たり前だろ!!あ、兄貴は、瑠香のことをそんな目でー」
貞司が怒りを露わにするー。

「ーへへーそうだよー
 だから僕は、瑠香ちゃんを手に入れる方法を探して、見つけたー。
 
 この人を皮にする注射器を手に入れたあと、
 ホントはすぐに瑠香ちゃんを皮にしようと思ったー

 ただー、ちょうどこれを手に入れた日は、何年か前の成人式の日でー
 かわいい子が振袖姿でたくさん歩いててさぁー
 だから、予定を変更して、まずはその子を乗っ取ったー

 それで、感じたんだー

 ”一番輝いてる瞬間”を乗っ取りたいってー。
 だから、僕は成人式の日に人を皮にして、
 ”新成人コレクター”と噂される存在になったーへへー。」

瑠香を乗っ取っている勝夫はそう言うと、
”それに、瑠香ちゃんが新成人になるまで”見たかった”からなー
 だから、今日まで待ったんだ”と、
そう説明したー。

「ーでも、何故僕に気付いたー?」
瑠香がそう言うと、父・貞司は怒りの形相を浮かべながら言うー。

娘の瑠香が”成人式”に不安を感じている様子なのを見て、
娘の瑠香の前では、心配させないように”大丈夫だろ?”と言うような
態度を取りつつ、貞司は裏で”新成人コレクター”について
調べていたー。

そして、成人式の当日である今日ー、
自分の兄である勝夫の不審な行動や、対応、
そういったものを彼なりに察して、
”もしも兄貴が犯人なら、瑠香が危ないかもしれない”と、
そう察知して、ギリギリのところで瑠香のところに
駆け付けた結果が、これだー。

「ーークククーちょっと遅かったなー。貞司ー。
 これで瑠香は俺のものだー」
瑠香は晴れ姿のまま自分の胸を揉んで見せるー。

「兄貴…!!!!瑠香を解放しろ!!!」
そう言葉を口にすると、父・貞司は
隠し持っていたボイスレコーダーを手にしたー。

「ーー!」
瑠香が表情を歪めるー。

「ーーー兄貴ー。瑠香を、そして今までにそうした子たちを
 解放しろー。」

貞司が言うー。

「ーー僕に、自首をしろと?」
瑠香が不満そうに言うと、
貞司は「そうだー」と、そう言葉を口にするー。

「ー兄貴が道を踏み外したなら、弟の俺が止めるー
 そう思って、今日はここに来たー」

貞司がそう言うと、
瑠香は歯ぎしりをするー。

がーー
突然、瑠香は落ちていた鞄ー…
元々、莉奈の身体で持ってきていた鞄を手にすると、
笑みを浮かべたー。

「ー!?」
その中から、瑠香がナイフを取り出して自分に突き付けるー。

「ーーーーなっ…」

そして、ナイフを突きつけたままの瑠香が
笑みを浮かべながら近づいてくると、
「ー”わたし”がその気になれば、死んじゃうこともできるんだよ?」と、
瑠香の口調で、自ら命を絶つと脅して見せる勝夫ー。

「ーぐっ…あ、兄貴ーー」
貞司は表情を歪めるー。

そして、その時だったー。

「ーー!」

瑠香がニヤッと笑みを浮かべると、隠し持っていた
”もう1本の人を皮にする注射器”を貞司に打ち込んだー。

「ーがっ…?」
貞司は表情を歪めると、瑠香のほうを見つめるー。

すぐに、身体から力が抜けていくのを感じると、
瑠香にしがみつくようにして掴みかかって
力を振り絞って叫んだー。

「ーー今すぐーこんなバカなことはやめ ぉ…」

とー…。

最後の言葉は、上手く発音もできなかったー。

「ーククー。うるさい弟だー」
瑠香はそう吐き捨てると、父・貞司の皮を鞄に詰め込んで立ち去っていくー。

友達の架純らと合流することもなく、
クスクス笑いながら立ち去っていく瑠香ー。

この日ー、
この年の成人式でー、
また一人、新成人が”失踪”してしまったのだったー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

成人式を舞台としたお話でした~!★

”1年に1回皮にしている”なんて感じだと
毎年やる系のお話だと思われそうですケド、
この作品は多分今年限りだと思います~!!!

たぶん…!

お読み下さりありがとうございました~~!

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