<入れ替わり>予想外の命拾い③~仇討ち~(完)

②にもどる!

命を狙われて、ギリギリのタイミングで入れ替わって
命拾いした男ー。

しかし、今度は元に戻る方法が分からず、
そのままの状態での生活を強いられることになってしまう…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大学にやってきた絵美香(颯太)は、
真剣に大学での授業を受けていたー。

「ーあ~…この空気、懐かしいな…」
絵美香(颯太)はそう呟くー。

颯太自身もまだ20代で、大学を卒業してから
そんなに年数が経過したわけではないものの、
社会人になって数年、
既に、自分が大学生だった時代は
遠い昔になってしまったかのような、
そんな感覚に陥っていたー。

”まぁ、俺の通ってた大学じゃないけどー…
 でも、この空気感はやっぱ懐かしいなー”

そう思いつつ、絵美香(颯太)は、
絵美香の言う通り、大学内には友達はいないのか、
特に誰かが話しかけてくることもなく、
そのおかげで、それなりに自然体に行動することが出来ているー。

勉強自体は嫌いじゃないし、
そこは苦にならないー。

「ーお~食堂の雰囲気ーこりゃまた懐かしいなー」
絵美香(颯太)は、自分の通っていた大学とは違うけれど、
学食の独特の雰囲気を楽しみながら
満足そうに頷くと、
”久しぶりの学生生活”を、堪能したのだったー。

「ーって、楽しんでばかりもいられないよなー
 ずっとこのままじゃ、俺が職を失うしー…」
絵美香(颯太)は、そう思いつつ夜道を歩いていると、
ふと”尾行”されているような気配を感じて振り返ったー。

「ーーー…き、気のせいかー」
絵美香(颯太)はそう言葉を口にすると、
ふと、街中のミラーを見て、表情を歪めるー。

「~~~…」
”尾行されているような気配”がした途端、
絵美香(颯太)は、入れ替わってから今まで感じたことのなかった恐怖を覚えるー。

”ーーこ、この子の身体で襲われでもしたらー…”
絵美香(颯太)はそう思うと、
”こういう人通りの少ない道は避けた方がいいかー”と、
”女ならでは”の恐怖を自覚して、そのまま大通りの方に移動していくー。

いやー、それだけではないー。
先日、入れ替わる前にいきなり”絵美香”に殺されそうになったことも
颯太の中で少なからずトラウマのような状態にはなっていたー。

下手をすれば、あのまま誤解されたまま殺されるところだったのだからー。

「ーーーーお疲れ様でしたー。
 ありがとうございますー」
帰宅すると颯太(絵美香)が、ぺこりと頭を下げながら
そう言葉を口にするー。

「ーはは、いやー。授業を受けていただけだしー
 それに、大学も懐かしい感じだったから
 楽しかったよー」
絵美香(颯太)がそう言葉を口にすると、
「ーまぁ…間違えて男子トイレに1回入っちゃったけどー」と、
苦笑いしながら、そう言葉を口にするー。

「ーえー…あ、そ、それもそうですよねー」
颯太(絵美香)は”気持ちは分かりますー”と、
そう言葉を口にすると、
絵美香(颯太)は
「ははーでも、もし、君が俺の身体でこの先出かけることがあったらー
 トイレは特に気をつけて貰えるとありがたいかなー」と、
言葉を返すー。

女子が男子トイレに間違えて入るよりも、
男子が女子トイレに間違えて入ってしまったほうが
”よりリスクが高い”ー。

少なくとも、颯太はそう思ったー。
しかも、自分のような成人男性であればなおさらだー。

「ーーわ、分かりましたー気を付けますー。
 そうなる前に元に戻れればいいんですけどー」
颯太(絵美香)は少し遠慮がちにそう言葉を口にすると、
「ーー家にいる間、入れ替わりのこと、色々調べてたんですけどー」と、
絵美香もただ単に家でボーッとしていたわけではないらしく、
自分なりに色々調べた情報をまとめていたー。

「ーーこの病院の先生ー、
 精神の”入れ替わり”について研究しているらしくてー」
颯太(絵美香)はそう言葉を口にすると、
絵美香(颯太)も、颯太(絵美香)が表示したパソコンの画面を見つめるー。

颯太と絵美香に起きたような”事故による入れ替わり”自体を研究している
わけではなさそうであるものの、
人間の精神を他人に移す研究や、交換する研究を行っている様子だったー。

本人が記述したと思われる挨拶には、
”医療の新時代を切り開く”などと、そう書かれているー。

「ーーー……」
絵美香(颯太)は、しばらくその医師のサイトを見つめていたものの
やがて、静かに頷くと
「この先生にとっても、俺たちのような状況は”いい研究材料”に
 なるかもしれないし、そういう部分で交渉すれば力を貸してくれるかもしれないー」と、
そう言葉を口にするー。

颯太(絵美香)は「じゃあ、明後日ー…大学も休みなので、
一緒に行ってみましょうー」と、乗り気な様子を見せるー。

”元に戻るため”
二人は、次の土曜日に精神の入れ替わりや移動を研究している
脳神経外科の医師の元を訪れることを決意するのだったー。

そして、土曜日ー。

「ーーー…本当に、話を聞いて貰えるでしょうかー?」
不安そうな颯太(絵美香)ー。

「ーけど、このままずっと元に戻れないと俺も君も困るだろうしー」
絵美香(颯太)がそう言葉を口にすると、
颯太(絵美香)は「そうですねー」と頷いてから、
「ーーーアイツを、絶対に殺してやらないといけませんしー」と、
なおも妹・由香里の仇である”竜岡 慶介”を殺すとそう言葉を口にする
颯太(絵美香)ー

「ーーーーー…君の妹さんは、それをー」
再び、説得しようと口を開く絵美香(颯太)ー

がー
その時だったー。

物陰から飛び出して来た男が、刃物を手に、絵美香(颯太)に
迫って来たー。

「ーーー!な、何だ!?」
絵美香(颯太)が驚いて声を上げると、
その男は「死ねええ!」と、そう言葉を口にしながら
ナイフを振るうー。

絵美香(颯太)は何とかそれを避けると、
勢いあまってよろめいた男が、
不満そうな表情を浮かべて振り返ったー。

その男はーー
”絵美香”の妹の仇である男ー、竜岡 慶介 本人だったー。

数日前から”絵美香”を尾行していた人物はー、
この慶介自身ー

「あ、あんたはー…!!!」
颯太(絵美香)が怒りの形相を浮かべるー。

絵美香(颯太)も相手の顔を見て、
その相手が”竜岡 慶介”であることをすぐに理解するー。

何故なら、”絵美香に誤解されて颯太が殺されそうになった”ほどに、
慶介は颯太によく似ているからー

「お、お前ー…!」
絵美香のフリをするのも忘れて、思わずそう声を発するー。

そもそも、元はと言えば”颯太が絵美香に殺されそうになった”のも
この男のせいだー。
絵美香(颯太)は怒りの形相を浮かべると、
慶介はニヤリと笑ったー

「お前、俺のこと殺そうとしてるだろー?
 だったら、先に殺してやるぜー」
慶介はそう言葉を口にするー。

慶介は、絵美香が”慶介の居場所”をSNSなどで探っていたことを
偶然、SNSで見かけて知っていたー。
絵美香の妹・由梨花が自ら命を絶ったこと、
それが原因で”おそらく”恨まれていることも理解していた彼は
”殺されるぐらいなら先に殺してやる”と、
絵美香を襲撃するタイミングを探っていたのだー。

「ーーお、おい、やめろー!」
絵美香(颯太)がそう声を上げると、
颯太(絵美香)は「やっと…やっと見つけたー!」と
逆に嬉しそうに声を上げたー。

「ーー!何だお前は」
絵美香の妹の仇・慶介がそう言葉を口にするー。

彼は”入れ替わり”とは無関係なようで、
二人が入れ替わっていることは知らないー。

「ーーふふふー誰でもいいでしょ?」
颯太(絵美香)はそう言葉を口にすると、
「ーーおい!待ってくれ!俺の身体で何をする気だー!?」
と、絵美香(颯太)は困惑の表情を浮かべるー。

”仇”を前にすると我を見失ってしまうのか、
颯太(絵美香)は、慶介の方に向かって行くと、
ナイフを振るった慶介のナイフを叩き落とすー。

慶介はそんな颯太(絵美香)の方を見つめると、
「く、くそっー!あの女の彼氏かー!?」と、
そんな誤解を口にするー。

「い、いや、か、彼氏じゃなくてー」
絵美香(颯太)が思わず口を挟むと、
慶介は慌ててナイフを拾おうとするー。

けれどー、それを見た絵美香(颯太)は
ナイフを蹴り飛ばして、慶介がそれを拾えないようにするー。

「ーーーーあんたのせいで由香里はー…
 あんたのせいでー…!」
颯太(絵美香)は、自分が今、颯太の身体になっていることも
忘れて、怒りの形相でそう言葉を言い放つー。

慶介からすれば”絵美香と一緒にいる知らない男”が、
絵美香みたいな言葉を口にしているのを見て、
困惑の表情を浮かべるー。

そして、颯太(絵美香)は、「わたしはあんたを許さない」と、
そう言葉を口にすると、
慶介は「へへーそうかいー」と、ニヤニヤしながら
ナイフではなく”別のもの”を取り出したー。

「ーー!?!?!?」
絵美香(颯太)が、ハッとするー。

信じられないことに、慶介が”銃”のようなものを取り出したのだー。

「ーー危ないっ!!!」
絵美香(颯太)が慌てて、颯太(絵美香)を助けようと、
颯太(絵美香)に飛び掛かるー。

それと同時に、銃声のようなものが響き渡るも、
それが暴発ー、絵美香と颯太ではなく、
慶介の身体が吹き飛ばされるー。

「く、くそっー!」
慶介は”自作の銃”が暴発したことに苛立ちを露わにすると、
手から出血するのを見て、慌ててその場から逃げ出すー

「ま、待ちなさいー!」
絵美香がそう叫ぶー。

が、その”声”に絵美香と颯太は顔を見合わせたー。

「あ、あれーわ、わたしー…」
絵美香がそう言葉と口にすると、
颯太も「お…おぉ…????」と、驚いた様子で
自分の身体と絵美香の方を見つめるー。

「ーも、元に戻ってるー?」
二人でほぼ同時にそう言葉を口にするー。

銃を取り出した慶介から、颯太(絵美香)を守るために、
飛び掛かった絵美香(颯太)ー
その際に二人が転倒したはずみで、
二人は元に戻ることができたのだったー。

元に戻れたことに驚き、喜ぶ二人ーー。
それと同時に、少し離れた場所から
”悲鳴”が聞こえて来たー

「ーー!」
颯太と絵美香が悲鳴のした方向を見つめると、
その方向に移動していくー。

するとー、
大通りで血を流して倒れている慶介の姿があったー。

絵美香の妹の”仇”である慶介は
自身の拳銃の暴発に驚き、逃亡ー、
あまりに慌てていたために、大通りで車に轢かれて
無残な姿を晒していたー

「ーーーー…」
絵美香は、どこか呆然とその姿を見つめるー。

その後ー、
慶介は駆け付けた救急隊によって、
その場で死亡が確認ー。

結果的に、絵美香の”復讐”はー、
自分の手を汚すことなく、
慶介が自業自得の最後を遂げることで、果たされたのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「本当にお世話になりましたー」

数日後ー

絵美香が、慶介の家を訪れてお礼の言葉を口にしていたー。

颯太の家を訪れて、誤解から颯太を殺そうとした責任を取ると
口にした絵美香ー。
しかし、颯太は”もう忘れたよー”と、絵美香のことを通報したりは
しないと、そう言葉を口にした上で
「でも、2度とあんなことはしないと約束してほしい」と、
そう言葉を口にしたー。

絵美香は謝罪と感謝の言葉を口にするー。

そんな絵美香を見て、颯太は口を開くー。

「ーーいや、よかったよー
 無事にこうして元に戻ることができたし、
 それに、君も復讐をせずに済んでー」

”人の死”を喜ぶー、というのは良いことではないー。
ただ、結果的に絵美香の妹の仇である慶介が
自業自得の死を遂げたことで、
絵美香が復讐に囚われることはなくなったー。

「ーーー」
絵美香はどこか複雑そうにしながら、
「これから、わたしはどうすればいいのでしょうかー?」と、
そう呟くー。

この数年間、復讐だけを考えて生きて来た絵美香には
急に”生きる目標”がなくなってしまったー。

「ーーーん~~~……」
颯太は少しだけ考えると、
「これから、ゆっくり考えればいいんじゃないかなー。
 時間はたくさんあるんだしー」
と、そう呟くー。

絵美香は少しだけ笑うと、「それもそうですねー」と、
そう言葉を口にしてから、
袋を手に、それを颯太に渡したー

「これはー?」
颯太が少し戸惑うと、
絵美香は「弁償ですー」と、笑ったー

その中には、コンビニのからあげ弁当ー。

あの入れ替わった日、誤解から絵美香に殺されそうになった颯太ー。
仕事帰りだった颯太は、コンビニで買った弁当を持って歩いていて、
それがダメになってしまったー。

その、弁償だー。

「ーははーー」
颯太は思わず笑うと、
「ありがとうー。大事に食べるよー」と、
そんな言葉を口にするのだったー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

無事に上手く元に戻ることもできて、
元の日常に戻ることができる結末…☆!

入れ替わり研究の博士は…
二人で出かける理由を作るためだけに登場した人なので、
実際に会うことはありませんでした★笑

お読み下さり、ありがとうございました~~!!

「予想外の命拾い」目次

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