ある日の仕事帰りに突然命を狙われてしまった男ー。
絶体絶命のピンチの中
相手の女と偶然入れ替わってしまった彼は
誤解を解き、予想外の出来事で命拾いをしたものの…?
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「え…い、いえ…こ、これは、わたしは何も分からないですー」
颯太(絵美香)がそう言葉を口にすると、
絵美香(颯太)は「えっ…?」と、困惑の表情を浮かべながら
「こ、これは君の仕業じゃないのかー?」と、
絵美香になってしまった自分の身体に手を触れながら
そう言葉を口にしたー。
颯太(絵美香)は困惑した表情のまま
今は自分の身体になった颯太の身体を見下ろすと、
「わ、わたしみたいなただの大学生に”こんなことする”力が
あると思いますかー?」と、
そう言葉を返すー。
「ーーー」
絵美香(颯太)は苦笑いすると、
「た、確かにー」と、絵美香のような子に
”身体を入れ替える力”などあるはずがない、と、
そんなことを考えるー
「ーで、でも、じゃあこれは一体ー?_」
絵美香(颯太)が率直な疑問をぶつけると、
颯太(絵美香)は少しだけ考えてから
「それは、わたしが聞きたいぐらいなのですがー」と、
戸惑いながら言葉を口にしたー。
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「ーーお、お邪魔しますー」
絵美香(颯太)は戸惑いの表情を浮かべつつ、
”絵美香”の家にやって来ていたー。
今は自分自身がその”絵美香”になっているとは言え、
やはり、女子大生が一人暮らしをしている部屋に入ることには
何か抵抗のようなものがあったー。
「ーあ、そんなに気を遣わずにどうぞー
どうせ、何もないので」
颯太(絵美香)はそう言うと、家の中を見回すー。
自分の家だと言うのに、
颯太(絵美香)はあまりにも殺風景な家の中を
見つめて苦笑するー。
生活するのに最小限のものしか置かれていないー。
その代わりにー
”竜岡 慶介”の写真や、死んだ妹・由香里に対する
数々の酷い仕打ちの証拠など、
そういったものが積み上げられていたー。
「ーーそれだけ、この竜岡って人のことが憎かったのかー」
その部屋の光景を見つめながら絵美香(颯太)がそう言うと、
颯太(絵美香)は「妹とはずっと仲良しだったので」と、
どこか寂しそうにそう言葉を口にしたー。
結局あのあとー、二人は
”元に戻れそうなこと”をその場で色々と試してみたー。
わざとぶつかってみたり、
手を握って念じてみたり、
最初に入れ替わった時と同じような状況を作り出して
わざと転倒してみたりー、
色々と試してはみたー。
けれど、残念なことに身体が元に戻ることはなく
そもそも、元々遅い時間だったことや、
さらに時間ばかりが経過してしまったこと、
そして、ぶつかったり転倒したりを
色々と試しているうちに、二人とも身体のあちらこちらが
痛くなってきてしまい、
最終的に、絵美香の家に移動することになって
こうして絵美香の家にやってきていたー。
「ーーそのー…わたし、逃げたりするつもりはないのでー」
颯太(絵美香)がそう言葉を口にすると、
絵美香(颯太)は少し首を傾げながら「え??」と、
疑問の言葉を口にするー。
「ーあ、いえー。そのー…
原口さんのこと、殺そうとしてしまったのでー
殺人未遂ですからー」
颯太(絵美香)が悲しそうにそう言葉を口にするー。
「殺人未遂ー」
少し驚いた様子で、絵美香(颯太)がそう言葉を口にすると
少し考えてから「いや、まぁ、確かにその通りだけどー」と
苦笑いするー。
誤解で命を狙われたことや、入れ替わってしまったことにばかり
頭が回ってしまって、すっかり忘れていたけれど、
絵美香のしたことは”犯罪”だー
仮に他人の空似で間違えたのだとしても、
そもそも、法律上は”仇討ち”などはしてはいけないことだし、
相手を間違えて全く無関係の颯太の命を狙ったなど、
言語道断だー。
しかしー、絵美香(颯太)は笑うと
「確かに、許されないことだけどー、”今”は、なー…」と、
そう言葉を口にしながら自分の身体を示して見せるー。
今、颯太は”絵美香”の身体を使っているー。
つまり、このまま通報してしまったら
絵美香の身体で自分自身が逮捕されることになってしまうー。
「ーーーあ!す、すみませんー。ごめんなさいー
陥れようとしたわけじゃー」
颯太(絵美香)は心底申し訳なさそうに言葉を口にするー
それがーー
実は”颯太を絵美香の身体で逮捕されるように仕向けようとした”のかー、
それとも、まだ入れ替わったばかりで
本当にその感覚がなくて、うっかりそんなことを言ってしまったのかー、
それは、颯太には分からなかったー。
「ーーそれで、この部屋はー…」
絵美香(颯太)は殺風景な絵美香の部屋を、
どこか心配そうな表情を浮かべながら見回すと、
「ーわたしは、由梨花の仇討ちをするためだけに
この数年間、生きて来たのでー、
わたしが最低限生活するためのものさえあれば、それでいいんです」と、
そう言葉を口にしたー。
”竜岡 慶介”なる人物のせいで、
妹が命を落としてから、絵美香は”復讐”だけを心の在り処にして
生きて来たのだろうー。
「ーわたし、仇討ちを終えたら、死ぬつもりでしたしー」
颯太(絵美香)は自虐的に笑いながらそう言葉を口にするー。
すると、絵美香(颯太)は首を横に振ったー
「そんなことをしても、妹さんは喜ばないー」
とー。
「ーーえ…」
颯太(絵美香)が少し不満そうに表情を歪めると、
「あなたに、何が分かるんですかー」と、
そう言葉を続けるー。
が、絵美香(颯太)は「もちろん、100%、君の妹さんのことは
分からないけどー」と、した上で、
「俺にも兄がいて、俺は”弟”の立場だけど、
万が一、さっき、俺が君に殺されていたとしても、
俺は兄貴に”自分の人生を壊してまで仇討ちしてほしい”なんて思わないー
むしろ、死んだ俺のために兄貴の人生までおかしくなっちゃったら
俺は、悲しい」と、そう言い放ったー。
自分が”弟”の立場で、
しかも、さっき絵美香に殺されそうになったからー、
多少は絵美香の妹の気持ちも分かる、
とー。
「死んだ方は、仇討ちなんてしてほしくないと思うんだー。」
絵美香(颯太)がそう言うと、
颯太(絵美香)は複雑そうな表情を浮かべるー。
話が重くなってしまったー。
そう思いつつ、絵美香(颯太)は
「そういえばー…そろそろトイレに行きたいんだけど、どうすればいいかなー?」
と、そう言葉を口にするー。
颯太(絵美香)は「どうすればってー?トイレはあちらですけど」と、
絵美香の家のトイレの位置を答えるー。
すると、絵美香(颯太)は「いやぁ、そうじゃなくてー…
ーーその、トイレを済ませるとなると色々、見なきゃいけないだろー?
だから、どうすればいいのかなーって」と、恥ずかしそうにそう言葉を口にするー。
「あっ」
颯太(絵美香)もその意味を理解したのか、顔を赤らめるー。
トイレを済ませるためとは言え、
身体の一部を見られることになりかねないし、
そもそも”自分の身体で男の人がトイレを済ませる”というのは
何とも言えない不思議過ぎる経験だー。
「ーーーー……」
颯太(絵美香)は困惑の表情を浮かべると、
「ーわ、わたしも元に戻れるまで、原口さんの身体でトイレを済ませるわけですからー
お、おあいこだと思いますしー
何より、わたしも原口さんも、いつ元に戻れるか分からないのに
ずっとトイレを我慢するわけにはいきませんよねー?」と、
そう言葉を口にするー。
「じ、じゃあ、トイレ、行っていいのかー?
ーそろそろ、漏れそうー」
絵美香(颯太)が少し苦しそうにそう言うと、
颯太(絵美香)は慌てた様子で「わ、わ…!早く、早くトイレに行ってください!」と、
そう言葉を口にするのだったー。
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「ーーー学生に戻りてぇなぁ…とは言ったけどー…」
翌日ー
困惑の表情を浮かべながら、絵美香(颯太)はそう言葉を口にするー。
「ーーこ、こ、こんなことになるなんてー!!!」
鏡の前で、一人、自分にツッコミを入れる絵美香(颯太)ー
学生に戻りたいとは言ったけれど、
まさか女子大生になってしまうなんて
夢にも思わなかったー。
しかもーー
「ーーえ…っていうか、俺、本当に君のフリして大学にーー??」
絵美香(颯太)が困惑しながら、颯太(絵美香)に言うと、
「ーご、ご迷惑でなければー」と、申し訳なさそうに言葉を口にするー
「い、いや、まぁー俺はいいんだけどー……」
久しぶりに学生気分を味わってみたい気持ちがあるのも事実ー
それに、ずっと絵美香の家にいると何となく落ち着かないー。
自分の身体がどう使われるか、というのは心配だし
見張っていたい気持ちはあるけれど、
とは言っても、絵美香に大学を休ませることになってしまうのも
申し訳ない気もするー。
「ーあ、あのー…すみませんー
わたしだけ、大学に行ってもらってしまってー」
颯太(絵美香)は、申し訳なさそうに言葉を続けるー。
「いやー、それはいいよー。
ちょうど、今日と明日は元々休みだったしー、
有給休暇使え~!!って会社の方針があるから
それ使えば、5日ぐらいはどうにかなるからー」
絵美香(颯太)はそう言うと、大学に向かう準備を終えて
ドキドキしながら深呼吸をするー。
絵美香は”妹の復讐”だけをこの数年間、
考え続けて来たー。
そのため、大学では人との接点をほぼ断っている状態で
”授業さえ”受けていれば大丈夫という状態のようだー
入れ替わってしまった状態においては、
颯太が”絵美香のフリ”をしなくて済むし、
ある意味では助かる状況とも言えるー。
「ーーでも、そんな生活で辛くなかったのかー?」
絵美香(颯太)は玄関に向かいながら、そう言葉を口にするー。
颯太(絵美香)は「辛いですよーずっと」と、そう言葉を口にしながらも
「でも、わたしは妹がー、由香里が死んだ時に
一緒に死んだも同然なんです」と、
妹を失って、心は既に死んでしまった、と、そう言葉を口にしたー。
「ーーそれに、仇討ちをすればわたしは捕まります。
犯罪者になりますー。
それは、ちゃんと分かってるんですー。
だからこそー、大学で友達を作ったりすることはできません。
”友達”を作れば、わたしが仇討ちをしたとき
迷惑をかけてしまいますし、傷つけてしまいますからー」
颯太(絵美香)はどこか寂しそうにそう呟くー。
”妹の仇討ち”にはそれだけ強い覚悟を持っているのだろうー。
けれどー
「ーでも、やっぱり、妹さんは悲しむと思うー。
俺が昨日、もし君に誤解で殺されてて、
兄貴が俺の仇討ちのために全部を投げ打ったら
俺は悲しいし、兄貴にそんなことしてほしくないー」
絵美香(颯太)がそう言うと、
颯太(絵美香)は暗い表情を浮かべるー。
「ーーーまーー兄貴は俺が殺されても
仇討ちなんかしようとも思わないだろうけどー」
自虐的に絵美香(颯太)はそれだけ言葉を口にすると、
「じゃあ、分からないことがあれば連絡するよー」と、
玄関に手を掛けるー。
颯太(絵美香)は、心底申し訳なさそうにしながら、
「ー色々ご迷惑をおかけしてすみません」と
ぺこりと頭を下げたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
大学に向かう絵美香(颯太)ー。
絵美香の仇討ちをしたい気持ちは分からないでもないー。
ただ、やっぱり、颯太からすれば
それに執着して、自分の人生を棒に振っている状態の
絵美香を見ているのは辛かったー。
「ーーに、しても、この格好ー」
絵美香(颯太)は、慣れない服装にドキドキしながら、
”なんか…落ち着かないなー”と、戸惑うー。
女として街を歩いているーーー
ことも、落ち着かない理由ではあるけれど、
自分自身が絵美香になっている現状ではー、
鏡を見たり、何かに自分の顔が反射したりでもしない限り、
”自分の顔”は見えないー。
見えるのは女の格好をした自分の身体だけー。
そういう状況だと、
”自分が女装して歩いている”ような錯覚を覚えてしまうー。
自分の顔は、自分では見えないために、
”本当に絵美香の顔で街を歩いているのか”不安になってしまうー。
「~~~~」
何とかそんな気持ちを自分の中で落ち着けようと、
今一度深呼吸をすると
「ーそもそも、どうすれば元に戻れるんだろうなー…?」と、
困惑の表情を浮かべながら、大学に向かう道を改めて歩き始めるのだったー…。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
次回が最終回デス~!!!☆
命は奪われずに済みましたケド、
まだまだ大変そうですネ~!!!

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