<寄生>パラサイト・ホスピタル③~地獄~(完)

②にもどる!

病院内で広がっていく寄生ー。

支配は次第に進みー、
患者も、医師も、
次々とその餌食になっていくー。

その果てに待つ結末は…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

病院内の異変は、さらに加速したー。

その理由は、単純だったー。

寄生された人間が院内に増えたことで、
”繁殖力”がさらに増えたからだー。

最初は、女医の梓の身体の中でのみ繁殖していたものの、
梓の中で繁殖した寄生虫が、患者を、医師を乗っ取り、
乗っ取られた人々の中でまた繁殖ー、
一人が、二人に…
二人が、4人に…
4人が、8人に…
と、いう具合で寄生された人々の数は加速的に増えていたー。

「ーーせ、先生ー…?お話とはー?」
看護師の百恵が、医師の俊樹の元にやってくると、
俊樹は「これを飲んでほしい」と、寄生虫入りの水を
百恵に差し出したー

「ひっ…?こ、これはー…」
百恵が逃げようとすると、
背後から、入院患者の萌々菜が姿を現して、
百恵を取り押さえるー。

「ーー!?あ、あなたー…?どうしてこんなにー!?」
百恵は、萌々菜の手が”異様に冷たい”ことに気付くー。

それもそのはずー
萌々菜は、体内の寄生虫の繁殖を早めるため、
既に自ら電気ショックを何度も浴びて、身体は死亡している状態ー。

「ーーそんなこと、どうだっていいでしょ?ふふー」
萌々菜は嬉しそうに笑うと、百恵を取り押さえたまま、
「さぁ、飲ませて」と、医師・俊樹に対して言うー。

俊樹は笑いながら、百恵に迫ると、
百恵に対して、寄生虫入りの水を飲ませるのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーえっ…な、なにしてるんですかー!?」
看護師の愛華がそう叫んだその先にはー、
自ら、濡れた口に、コンセントを咥えて
感電している患者の姿だったー。

「ーー!?!?!ちょ、ちょっとー」
愛華は止めようとするも、
その女性患者はニヤニヤしながら、
「ーもっと繁殖するのー…ふふー」と、そう言葉を口にするー。

そんな愛華の元に、先輩の看護師・百恵がやってくると、
愛華は慌てて「この人がー!」と、そう叫ぶー。

がーー
百恵の目はーーー
既に瞳孔が開いていて、おかしな状況だったー

「せ、せんぱいー…?」
愛華がそう言葉を口にすると、
百恵は「ふふー…どうしたの?」と、そう言葉を口にしながら近づいて来るー。

そして、愛華にそのままキスをしようと、愛華の腕を掴むー。

がー、百恵の手は冷たかったー。
とてもー…

「ーー離して!」
愛華は慌てて百恵を振り払うと、
病院内を逃げ始めるー。

がーー、
患者もー、医師もー、
ほとんどの人の様子がおかしいー。

寄生されたあとに電気を浴びていない人間は
まだ”身体も生きて”いる状態ー。

けれどー、いずれにしても、正気ではないー。

愛華は病院の外に飛び出そうとするも、
入口付近では、多数の患者や看護師がまるで
”出入りを禁じているかのように”
待ち構えていたー

「ーーーー…」
愛華は慌てて引き返すと、使われていない物置となっている部屋に
逃げ込んで身を隠したー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーークククーーー
 ここを我々の”巣”とするのだー」
医師の俊樹が笑うー。

病院を自分たちの”巣”とするー。
そのための準備は整ったー。

十分に同胞が増えたことに、満足そうな笑みを浮かべる俊樹や
その仲間たちー。

寄生虫たちが、病院を選んだのにはもう一つ、理由があったー。
それは、”寄生”を広げて仲間を増やしきったあとに、
”建物ごと巣にできる”という理由だー。

病院には色々な設備があるー。
巣にするには、彼らにとっても、もってこいだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”西区地区の病院が、封鎖されましたー
 病院の関係者や、患者が団結して、病院を封鎖しているとの模様で、
 周辺には異様な”虫”のようなものも確認されている状態ですー

 警察関係者によると”未知の寄生虫”が関係しているとのことですが
 その寄生虫がどこから出て来たのか、そういった情報は現時点ではー”

そんな報道を見ながら、病院で勤務する愛華の彼氏・俊二は
戸惑いの表情を浮かべていたー。

それと同時に、愛華から連絡が入るー。

「あ、愛華!?今、ニュースで…!」
俊二が慌てた様子で言うと、
愛華は泣きながら答えたー

”なんか、病院が変なのーみんな変でー
 助けてー”

とー。

「ーーわ、分かったー。落ち着けー。落ち着くんだー
 今の状況はー?」
俊二がそう確認すると、愛華は、自分が身を隠していることを
俊二に伝えるー。

俊二は、そのまま愛華に隠れているように伝えると、
「今からそっちに行くから」と、そんな言葉を口にして、
すぐに家を飛び出すー。

「ーー愛華ー…くそっー」
一体、病院で何が起きているのかー。
それは、分からないー。

けれど、とにかく
今は一刻も早く、病院に駆け込んで、
愛華を救う必要があったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

”病院占拠の事件の速報ですー。
 現在、院内に留まっている医師・看護師・患者の大半は
 研究中の寄生虫”γ-002”に、寄生されていることが
 判明しましたー。”

ニュース番組では、病院を地獄絵図へと変えた
”寄生虫”のことが報じられていたー。

正式名称”γ-002”ー

最初に大学内で寄生された”笹美”が通っていた大学の
教授が研究中だった、
”人間に寄生する力を持つ寄生虫”ー。

彼はー、”そのテスト”のために、
”わざと”寄生虫を1匹放って、笹美に寄生させたー。

笹美に恨みがあったわけではないー。
別に誰でも良かったー。
寄生虫を放った場所に最初に足を踏み入れたのが笹美だっただけだー。

がー、彼、山室教授の想定外に寄生虫は優れた力を発揮ー、
病院を占拠するほどの繁殖力を見せたー。

「ーー…こ、ここまでのことになるとはー」
警察は、早い段階でそれを突き止め、
山室教授の研究室に突入ー、彼を逮捕したー。

しかし、既にもう遅いー。
寄生虫は解き放たれてしまったー。

ここまで急速に繁殖するとは思ってもいなかった山室教授に、
”寄生虫の拡大”は止めることはできないー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ガタッー

物置に隠れていた愛華は、震えていたー。

病院中から、悲鳴が聞こえたり、
笑い声が聞こえるー。

みんな、おかしくなってしまったー。

そしてーー
愛華はこの部屋に逃げる途中に”見た”後継を思い出すー。

同僚の看護師が、患者に”ミミズのようなもの”を
捻じ込まれているー、そんな光景を見てしまったのだー。

「ーーーいったい、何なのー?」
そんな言葉を口にしていると、ガチャ、と扉が開いたー。

「ーー愛華ちゃ~ん?ここにいるの~?」
そんな言葉が聞こえるー。

愛華の同期の看護師のひとりだー。
比較的”最後の方”に寄生された子であるため、
電気は浴びておらず、身体もまだ生きているー。

既に、病院内の人間にほぼ寄生が完了した今、
”慌てて繁殖する必要がなくなった”ため、
寄生虫たちは乗っ取った身体を”生かす”方針に変えたー。

最初の頃のように、自ら電気を浴びてしまうと、
繁殖力は爆発的に高まるものの、
数週間で身体がダメになってしまうからだー。

急ぐ必要がなくなった今ー、
寄生虫たちは乗っ取った身体を生かしているー。

「ーーー~~~~~」
愛華は震えながら、
物陰に身を潜めるー。

「ーね~…仲間になろうよ~?
 気持ちいいよー?ふふっ」
同僚の女性看護師が笑うー。

気持ちイイはずなどないー。
仮に気持ちいいのだとしても、
それはもう正気ではないし、
正常な状態ではないー。

愛華は”絶対にあんな風になりたくない”と、
そう思いながらひたすら身を潜めるー。

「ーーーーーーー」
自分で病院から脱出しようかとも試みたー。

でも、病院から自力で脱出することは難しいー。
下手に動くより、ここで身を隠して
助けが来るー…あるいは、何か状況が好転するのを
待つ方がいい、と、そう思ったー

「ーー出てこいよ!おい!!」
同僚の女性看護師が声を荒げるー。

いつも笑っているような子で、
あんな風に怒る子では絶対になかったー。
もう、彼女も愛華の知るような子ではなくなってしまったー。

「ーーーーー…」
物置に身を隠しながら、愛華は手を震わせながら
物置にある窓を見つめるー。

ただー、ここからでは窓の位置が高すぎて届かないー。

”足場さえ、作れたらー”
愛華はそう思いながら、何とか自分でも脱出する手段を探し始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「山室教授が全てを自白しましたー
 ただー、寄生された人々や、寄生虫自体への対処法は
 教授自身も準備できていないようですー」
若手の刑事が、病院を包囲している警察官の一人に向かって言うと
「くそっー、つまり打つ手なしってことかー」と、
そう言葉を口にするー。

警察側では、病院への突入も検討されているー。
ただ、それをすれば、突入した警官側にも寄生される人間が
出て来る可能性もあり、うかつに突入することもできなかったー。

「ーーー…寄生虫も、寄生された人間も絶対に外に出してはいけないー」
年配の刑事がそう言葉を口にするー。

地獄絵図と化した病院ー。
この”地獄”を、病院の外に広げるわけには行かないー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーー」
物置の外に繋がる窓からの脱出を試みていた愛華ー。

何とか、物置にあったもので足場を完成させて
窓から外に出ることが出来そうな状態を作り出した愛華ー

ここは2階ー
飛び降りても、きっと何とかなるー。

そう思っていると、物置の扉が開いたー。

「ーーーみ~つけたー」
寄生された状態で搬送されてきた女子大生・笹美の手術に
立ち会っていた女性看護師の瑠奈が笑みを浮かべるー。

突然、瑠奈は既に寄生されていてー、
初期に寄生された人間であるため、既に自ら電気を浴びて、
その身体は死んでいるー。

「ーーひっ…!?」
愛華は必死に逃げようとするも、足場を崩されて
窓からの脱出に失敗してしまうー。

「ーーふふふふーこれで、仲間だねー」
瑠奈はそう言葉を口にすると、愛華にキスをしようとしたー。

がーーーー
その時だったー

物置にさらに別の人物が入って来て、
愛華にキスをしようとしていた瑠奈の腕を引っ張ると、
”顔”を確認してから、持っていた棒で瑠奈を思いっきり叩いたー。

吹き飛ばされて、物置の棚に激突する瑠奈ー。

「ーー愛華ー!」
駆け付けたのは、彼氏の俊二だったー。

「ーーし、俊二ー…?」
嘘だと思いながら、愛華が震えると、
「助けに来たよー。裏側の窓から侵入して、ここまでー」
と、そう言葉を口にするー。

愛華は少しだけ不安に思いつつも、
俊二の手を掴むと、「とにかく、逃げよう」と、言葉を口にした
俊二と共に脱出を開始するー。

俊二は、ここにたどり着くまでに”寄生虫”に寄生されている最中の人間を
見かけたり、さらには襲い来る看護師の瞳孔が開いていて、
既に”死者”になっている人がいることを把握していてー、
今、瑠奈を棒で殴りつけたのも、”瞳孔”を確認してからのことだったー。

瑠奈はもう”死んでいる”ー
だから、ゾンビと同じー。
容赦してはいけない、とー。

病院の裏側から、入って来る時に割った窓の外に出るー。

そしてー、
少し逃げたところで俊二は立ち止まるとー、
静かに振り返ったー。

その”目”を見る愛華ー

「ーーーー!!」

がーー
瞳孔が開いたりはしておらずー、
俊二は”正気”だったー。

一瞬、都合よく物置に現れた俊二も、
寄生されているのではないかと、
愛華は不安に思っていたものの、そうではなかったー

「ーー本当にー、ありがとうーーー」
愛華が涙目でそう言葉を口にすると、
俊二は「いいさー」と、そう返しながら
”地獄”と化した病院のほうを見つめたー。

二人は近くにいた警察官に保護され、
寄生されていないことを検査で確認後ー、
病院内部の状況を知りたい警察官から、
色々と話を聞かれることになるのだったー。

その後ー、
病院は封鎖ー。
寄生虫たちを外に出さないように、
徹底的な封じ込めが行われたー。

特殊部隊も出動し、厳重に封鎖された病院ー。

残る人々の救出を断念しー、
”封鎖”することで、寄生虫をこれ以上外に広めないー、
そんな対応が実行に移されたのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーなんか最近、あの子、
 複数の男子と関係持ってるんだってー」

「ーーえ?マジー?やばっー」

とある高校ー
これまで大人しかった女子生徒の”ある噂”の話をしながら、
笑う二人組ー。

あの病院が”地獄”と化す前にー、
怪我で日帰りの治療を受けたとある少女ー。

彼女はその日”寄生虫”を、既に死亡した女医・梓から
植え付けられて、そのまま病院を後にしていたー。

既に寄生虫は”外”にも広がっているー。

病院の、外にもー。

おわり

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

最終回でした~~~!★

いつもの私だと、
助けに来た彼氏が既に寄生されていて…だったり、
逆に彼氏が到着した時には彼女が寄生されていて~…に
なりそうな感じの展開でしたケド、
あえて、この二人は普通に助かる結末にしました~笑

予想するのを、どんどん難しくしていくのデス…★

お読み下さり、ありがとうございました~~!!★

「パラサイト・ホスピタル」目次

作品一覧

コメント