<寄生>パラサイト・ホスピタル①~発端~

ある日ー、
その病院に謎の寄生虫に寄生された患者が搬送されてきたー。

そのことをきっかけに、病院内は地獄絵図と化していくー…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー転落事故による重傷患者がこれから搬送されてくるわー。
 みんな、準備をしてー」

この病院の医師の一人、嘉山 梓(かやま あずさ)が
そう言葉を口にするー。

医師としては若い部類に入るものの、
梓は、これまでに数々の実績を残して来た天才医師ー。

彼女がこの病院にやってきたばかりの頃は、
彼女のことを甘く見るような医師もそれなりにいたものの、
今ではすっかりと、この病院の”主力”の医師の一人として、
誰もがその実力を認め、信頼していたー。

「ー俺も手伝おうかー?」
軽い性格の男性医師・宮原 俊樹(みやはら としき)が
そう言葉を口にすると、
梓は「いえ、大丈夫です。ご配慮ありがとうございます」と、
それだけ返事をして、オペの準備へと向かっていくー。

「ーへへー、相変わらず愛想がないねぇ」
俊樹はそれだけ言葉を口にしながらも、
”ま、嘉山はこうじゃなきゃな”と、梓のいつもの調子に
安心するかのような表情を浮かべてから、
その場を離れていくー。

運ばれて来たのはー、
女子大生の真下 笹美(ました ささみ)ー。

突然、大学内で奇行に走った挙句、
笑いながら高所から転落したのだと言うー。

ただ、笹美は高所恐怖症で自分から
そんな転落するような場所に行く子ではないことや、
何かに悩んでいるようなこともなかったことから、
周囲は”どうして笹美がそんなことをしたのか分からない”と、
そう漏らしていたのだと言うー。

「ーーこの子、何か悩みでもあったんですかねー?」
搬送中に救急隊員から事情を聴いた男性看護師がそう言葉を口にすると、
女医の梓は「理由なんて後でいいー。まずは、この命を救うよ」と、
そう言葉を口にして、オペを開始するー。

オペを進めながら、梓はすぐに”命は助かる”と、そう確信するー。
これまでに多くの患者を診て来たー。

もちろん、全ての患者を助けようとはするものの、
”この人は助かる” ”この人は助からない”ということが、
感覚的にある程度は分かってしまうのも、事実だったー。

数々の現場を潜り抜けてきた”勘”とでも言えば良いのだろうかー。

”大丈夫、助かるよ”
梓は内心でそんな言葉を口にしていくー。

がー、
その時だったー。

突然ー、オペ中の患者ー、笹美が目を覚ましたのだー。

「ーー!?!?!?」
梓は驚くー。

周囲の看護師や助手たちも「えっ!?」と声を上げるー。

起き上がった笹美の目は、どこか虚ろな目で、
表情は無表情のままー

「ーーど、どうしてー」
オペ中だった梓は戸惑うー。

”絶対に意識が戻るような段階”ではないー。
しかも現在はオペの最中で、術中に目を覚まさないように
眠らせているはずー。

怪我の状況からも、麻酔の使用状況からも、
患者が目を覚ますことことなど、絶対にー

が、それでも梓は動揺を抑えて、
「ー真下さんー聞こえますかー?ここは、病院ですー」と、
虚ろな目のまま起き上がった笹美を見つめるー。

しかし、笹美はその言葉には反応を示さずに、
血を流したまま笑ったー

「ー病院ーーー…ーーー計画ーーどおりーー」
ぎこちない口調でそう言葉を口にする笹美ー。

「ーこの女はーー、移動用の…入れ物ー
 我々のーー繁殖のためのーー入れ物ー」
笹美がブツブツと笑みを浮かべながら何かを呟くー。

その声は、とても”ふつう”と言えるような感じではなく、
まるでロボットのような、おかしな喋り方だったー。

「ーー…ーー錯乱しているようだわー
 追加の麻酔をー」
医師の梓は、患者の笹美が、意識が朦朧として
うわごとを喋っていると判断して、
そう言葉を口にするー。

が、次の瞬間ー

笹美は、”嘔吐”したー。

しかもーー、
”謎のミミズのような物体”をーー

「ーーひっ!?!?」
「なにこれ!?」
「うわっ!?」
助手たちが驚きの表情を浮かべるー。

「ーーーーへへへへー…この身体はもうダメだからー
 わたしも、移動…するよぉ?」
笹美は、ふらふらと立ち上がると、バランスを崩しながら
梓の腕を掴むー。

「ちょ!?放しなさい!」
そう言葉を口にする梓に対して、笹美はニヤリと笑みを浮かべると、
そのまま梓にキスをしてー、
キスをした直後、まるで糸が切れたかのように、
血を流したままその場に倒れ込むー。

”ーー!?!?な、何かが、わたしの中に入ってー!?”
キスをされた時に、何かが梓の中に入り込んで来たー。

そう思いつつ、梓はオペ室の外に助けを求めようとするも、
既に、笹美が吐き出したミミズのような”虫”に、看護師たちも
”寄生”されてもがいているー。

「ーーこ、これはーー…な、なんなのー…?」
梓は、手術中だった女子大生・笹美が、床に倒れたまま
痙攣しているのを見て、呆然とするー。

がー、その直後、その梓の意識も闇に飲まれるようにして
消し飛んでしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーー」
病室で目を覚ました梓は、険しい表情を浮かべるー。

「ー災難だったなー」
先輩の男性医師・宮原 俊樹が、目を覚ました梓にそう言葉を掛けると、
梓は、俊樹のほうを見つめるー。

「ー患者は、死んだよー。
 手術中に急に意識を取り戻して、暴れ出したんだってなー

 お前も、意識を失って倒れてて、ここに運び込まれた」

いつも軽い調子の”軽いおじさん”という雰囲気漂う
俊樹は、今日ばかりはあまりふざけた調子を見せずに
そう言葉を口にするー。

すると、梓は「あの子を、救えなかったー」と、
悲しそうに言葉を口にするー。

俊樹は「そう気を落とすな。お前は悪くないー。
イレギュラーな事態には、どんな名医だろうと対応できないこともある」と、
それだけ言葉を口にすると、
”あとは一人にしておいてあげた方がいいな”と、そう判断したのか、
梓の肩を何度か叩いてから、そのまま外へと向かうー。

がーー
一人残された梓は、
「あの子を、救えなかったー」
「あの子を、救えなかったー」と、
何度も何度もそう呟きながら、不気味な笑みを浮かべるー。

「あの子をー…ひひー 救えなかったー」
そう言葉を口にする梓の耳からは、
死亡した患者ー…女子大生の笹美に寄生していた
”謎の寄生虫”が顔を出していたー。

この寄生虫はー”人間を乗っ取る”未知の寄生虫ー。
しかも、乗っ取った人間の”元々の思考”を読み取ったり、
”予測”することができ、
もしも、”梓”がまだ正気だったら、
笹美を救えなかったことを後悔する言葉を口にするだろうと”予測”して
「あの子を救えなかったー」と、何度も何度もつぶやいていたー。

思考や記憶を読み取ることができても、
本質的には”虫”ー
人間的な感情を理解できなかったり、
言葉や行動におかしな点が多々見られるのも事実で、
今も「あの子を救えなかったー」と、まるで
録音された音声かのように、何度も何度もそう言葉を口にしているー。

ゆらり、と立ち上がった梓は、
「ーー病院は、人がたくさん集まるからー、わたしたちも、増えやすいーふふ」と、
どこか機械的な口調で呟くと、ゆっくりと外に向かって歩き始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「~~~~~~~~」

どこか、ぼ~っとしている感じの
女性看護師・瑠奈(るな)ー。

女子大生・笹美の手術に参加していた人物の一人だー。
手術が終わってから、ずっと、ぼーっとした様子を見せているー。

「ーー瑠奈ちゃん、大丈夫かしらー?」
先輩の看護師がそう言葉を口にすると、
「ーあんなことがあった後ですからー、仕方ありませんよ」と、
別の看護師が呟くー。

が、瑠奈は、休憩時間に入ると表情は感じられないまま
不気味な笑みを浮かべつつ、パンをむしゃむしゃと食べ始めるー。

その様子を見て、周囲は流石に違和感を覚えると、
瑠奈に心配そうに声をかけるー。

しかし、瑠奈は声を掛けて来た先輩の看護師のほうを見つめないまま
笑顔を浮かべると、
「ー大丈夫ですよぉ~ふふ」と、そう言葉を口にするー。

その様子に、周囲はオペ中の患者が急に目を覚まして
異常な行動をした挙句に命を落とした件で
相当ショックを受けているのだろう、と、そう判断し、
瑠奈をそっとしておくことにしたー。

けれどー…
”そう”ではないー。
瑠奈は搬送されてきた女子大生・笹美に寄生していた寄生虫が生み出した
寄生虫の”子”に寄生されてしまっていたー。

この寄生虫がここにやってきたのはー、
”仲間”を増やすためー。
寄生する人間がたくさんいる場所に入り込むためー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数時間前ー。

いつものように大学生活を送っていた女子大生の笹美は、
”あるもの”を発見したー。

「ーーー…なにこれ…?なんか気持ち悪いー…」
それは、大学内の廊下に落ちていた”ミミズ”のようにも見えるー、
けれども、不気味に身体をくねらせている”虫”だったー。

それこそー、
この後、笹美に寄生して悲劇をもたらす寄生虫だったー。

「ーーー……」
笹美は、気色悪いものを見る目でその寄生虫を見つめると、
”ー先輩が好きそうだなぁ”と、虫好きの先輩のことを思い出しつつ、
”そんなことよりー、明日の待ち合わせ場所の確認しておかなくちゃー”と、
彼氏との明日のデートの待ち合わせ場所の確認を
後でしておこうと、そんなことを考えつつ、
寄生虫を素通りしようとするー。

がー…
”足”に妙な感触を覚えたー。

「ーえっ…?」
笹美が”素通り”しようとした寄生虫が笹美の足にジャンプして
くっついていたのだー

「ひっ!?!?ちょ…!?」
虫自体、あまり得意ではない笹美は
”気色の悪いミミズのような虫”が自分の身体に飛び乗って来たことに
驚き、それを慌てて振り払おうとするー。

しかし、笹美の手を回避したその虫は
思っているよりも素早い動きで、笹美のスカートの中に
入り込むと、そのまま笹美の”体内”に侵入したー

「ーーーぁ…」
ビクッと震える笹美ー。

ふらふらとしながら、笹美は笑みを浮かべると、
「ーー…繁殖ーしなくちゃー」と、
笹美の知識を瞬時に読み取りながら
”自分たち”の繁殖に最適な場所を記憶を元に探し出すー。

この寄生虫は、人間の体内が”最適な繁殖環境”でー、
人間に寄生したあと、体内で繁殖ー、
一定数、繁殖に成功したら他の人間にも
”体内で生みだした子”を寄生させ、
仲間を増やしていくー。

「ーーここは、”大学”ねーー
 ここもいいけどー…」

寄生された笹美は”大学”でも、人は集まるから
寄生する仲間は増やしやすいとそう考えるー。

ただー

「病院ーーー」
笹美はニヤッと笑みを浮かべるー。

大学よりも、もっと”寄生”を進めやすい場所が
笹美の記憶の中にあったー。

それが、病院だ。

人が集まる、ということは同じ。
それに加えて、
大学とは違い、”夜も病院にずっと留まる人間”がいるほか、
入院中の患者のような”抵抗しにくい状態”の人間もたくさんいる。

加えてーー…
”寄生虫たちにとって、成長を促すあるもの”も、存在しているー。

「ーーー…病院に行くにはー…」
笹美は、そう言葉を口にすると、
手っ取り早く病院に行き、寄生する方法を考えるー。

「ーーえへへーよしー」
その方法は、自らが緊急搬送されることー。

それを思いついた、寄生された笹美は、
笑顔で大学の高いところから飛び降りて、
そのまま重傷を負い、緊急搬送されたのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーもっと、もっと、仲間を増やさなくちゃー」

自分たちが、爆発的に繁殖する方法があるー。

それはーー…
電気ショックを与えることー。

寄生された女医・梓はオペ室に密かに入り込むと、
心停止した際に使う器具を、自分に向かって使い始めたー。

「ーーえへ…」
身体中に走る電気ショックで、体内で爆発的に増える寄生虫ー。

その最中、梓の身体は心停止してしまったものの、
”身体が腐敗するまで”は、梓の身体を使うつもりだー。

「ーーーーへへへ」
体内に寄生虫が大量に増えたことを感じながら、
梓は「さぁ、仲間を増やさなくちゃー」と、もう心臓が動いていないその身体を
寄生している寄生虫たちの力で動かしながら、ゆっくりと移動を始めるのだったー

②へ続く

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コメント

病院内が寄生虫のせいで大変なことに…!

そんなお話デス~!!

今のところ、解決できそうな気配は
全くないですネ~…!!

続きはまた明日デス~!!

今日もありがとうございました~~!

続けて②をみる!

「パラサイト・ホスピタル」目次

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