<憑依>仲間であろうと関係ない②~異世界~

①にもどる!

教室ごと異世界に飛ばされてしまった生徒たち。

そんな中、”一匹狼”の彼は
クラスメイトらを犠牲にしてでも、生き延びようとするー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「安全な場所ってー?」
勝手についてきたオカルト好きの愛唯が
三つ編みの髪を揺らしながら、そう言葉を口にするー。

「ーー”教室”だー」
涼雅はそれだけ答えると、
「この感じだと、恐らくこの世界に俺たちのいた場所のような
 ”建物”と呼べるようなものはねぇ。
 だから、俺たちがいたあの教室が一番安全ってことだー」
と、そう答えてから、
「教室に戻ったら窓を閉めて鍵を閉めて、机で
 バリケードを作って、対処するぞ」と、そう続けるー。

「ーーそ、それは確かにー…
 でも、外にいる子はどうするのー?」
愛唯が少し不安そうに言うと、
「ー助かるためなら多少の犠牲は仕方ない」と、
涼雅はそう言葉を口にしたー。

「ーーーちょっとー、そういう言い方ー」
愛唯がそこまで言いかけると、
涼雅は「しっ」と、指を立てるー。

「ーーー…囲まれたな」
涼雅がそう呟くと、木々から、光る怪物が多数、
姿を現したー。

”人型”ではあるものの、
完全な人型とは少し違うー。
手足の部分が少し長く、胴体は人間よりも妙に細長いー。

”光”であるために顔だとか、そういったものは
シルエットでしか分からず、
それ故に、感情も読み取ることが困難だったー。

「おいー、待て。交渉しよう」
涼雅がそう言葉を口にするー。

しかし、”光る怪物”は、人間に憑依していないと会話できないのか、
そのままゆっくりと近づいて来るー。

「ね…ねぇ…どうするのー?」
オカルト好きの愛唯が戸惑いの表情を浮かべながら
落ち着かない様子で自分の眼鏡を触るー。

「ーーー」
涼雅は険しい表情を浮かべるー。

”ここがどこだか知らないがー、
 俺はこんなところでくたばるわけには行かないー”

そう思いながら、周囲を見渡していると、
やがて、目を覚ました時には教室にいなかった女子生徒の一人、
工藤 麗(くどう うらら)が姿を現したー。

「ーーー話し合う余地なんてないー。
 お前たちは、人間の言葉で言うー、そう獲物だー。
 そして、我々は”狩人”ー」
麗が邪悪な笑みを浮かべるー。

既に”光る怪物”に憑依されてしまっているようだー。
そう思いつつ、涼雅は「そうかーなら仕方ないー」と、
そう言葉を口にすると、
突然、隣にいたオカルト好きの愛唯の腕を掴んで、
そのまま光る怪物たちの方に突き飛ばしたー。

「ーえっ…!?」
愛唯が驚くと同時に、泣きそうな顔をして
涼雅を見つめるー。

「言ったろー?何かあっても俺はお前を守らないー。ってー」
涼雅はそう言うと、愛唯を囮にして、自分だけ逃げようと走り出すー。

「えっ!?ちょっと待ってー、ひどーー」
愛唯はそこまで叫んだところで、近付いて来た光の怪物に”憑依”されてしまうー。

ビクッと震えて、苦しそうにもがき始める愛唯ー。

「ーー…ーーゆ、許さないー!許さないから!」
愛唯が薄れていく意識の中で叫ぶも、
やがて、自分の身体の自由がどんどん利かなくなっていくのを
感じ取ると、笑い始めるー。

「ーあは…あははははーすごい…何これー
 こんなの、今まで経験したことないー…!」
そう言いながら、笑う愛唯ー。
当然、”憑依”されて身体を乗っ取られてしまうというのは怖かったー。

けれど、オカルト好きな愛唯にとってはこんな
”経験したこともないような体験”ができることを、
それ以上に喜んでいたー。

「えへへへへー… へへーー ひひひひひひー」
途中からは、愛唯本人ではなく、愛唯の身体を支配した
光の怪物の笑いに変わるー。

「ーー”人間”って生き物はー、本当にたくさんの知識を
 持ってるんだなぁ」
愛唯はそう言葉を口にすると、邪悪な笑みを浮かべながら
ゆっくりと歩き始めたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

教師のある場所に戻る途中ー、
悲鳴が聞こえたー。

涼雅が視線を向けると、
犬と狼が混じったような”怪物”に追いかけられている
涼雅の親友を”自称”している男子生徒・河津 宗平の姿が目に入ったー。

「なんだそいつらはー?」
涼雅が冷静に宗平の方に向かって叫ぶと、
宗平は「わ、わからねぇーこいつらに2人喰われたー」と、そう叫びながら
「助けてくれ!」と、叫ぶー。

その”犬と狼が混じったような怪物”は、
人間が暮らす世界とは”また別の異世界”から、この世界の
光の住人たちが”切り取って”この世界に召喚したものー。

そして、人間と同じように憑依されて乗っ取られてしまった哀れな生物だー。

「ーーー」
涼雅はそんな宗平を無視して、教室のあった方向に向かって歩き出すと、
宗平は化け物に襲われながら叫んだー

「おいっ!涼雅!助けてくれ!俺たち、親友だろ!?」
宗平がそう叫ぶー。

がー、涼雅は振り返ると、
「俺はお前のことを親友と思ったことはない。
 俺が教室に戻るまでの囮にでもなってろー」と、
それだけ言葉を口にして、宗平を見捨てて立ち去って行くー。

「~~~~~~~~」
宗平は、絶望の表情を浮かべて死を覚悟するー。

それと同時に、”あぁ、涼雅はそういうやつだもんなー”と、
そう心の中で呟くのだったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「チッー」
犬と狼が混じったような怪物ー
光の怪物に憑依された異世界の獣から
何とか逃げ切った涼雅は、
教室へとたどり着いていたー。

異世界に飛ばされてしまった自分たちの教室ー。

こういう状況になった以上、
下手に動かず、ここに留まるのが
もっとも得策なのではないか、と、
そんな風に思いながら涼雅は
教室に入ろうとするー。

”元いた世界”でどんな状況になっているのかは分からないものの、
教室ごとこっちに飛ばされて来たー、ということは
あちらでは”教室がなくなっていて、生徒と担任の笹田先生が
消えている状態のはずだー。

そうなれば当然、異変に気付いているだろうし、
捜索を行うハズー。
ここが異世界と言えど、助けが来るのではないかー、
涼雅はそんな風に考えていたー

「ーー!」

がーー
生徒たちがいたはずの教室は既に荒れ果てていてー、
机も滅茶苦茶になぎ倒された状態だったー。

先程、涼雅がここから出る際にいたはずの生徒たちもいないー。

「くそっー…バカどもがー」
涼雅は表情を歪めるー。

油断して窓を開けっぱなしにしていて、あの光の怪物たちの
襲撃を受けたのだろうかー。
恐らくこの様子だと、教室にいたほとんどの生徒は
憑依されてしまったに違いないー。

仕方がなく、教室に入ると、
そのまま窓を閉めて、鍵をかけ始めるー。

「まぁいい、一人の方がかえって楽かもしれないー」
涼雅がそう言葉を口にすると、
突然、背後に気配を感じてバッと振り返ったー。

すると、そこには、
見た目は派手なギャルなのに、臆病な性格の
クラスメイト、山本 萌々の姿があったー。

「ーへへへーやっぱ帰って来たなー人間ー」
萌々はそう言葉を口にしながら、
掃除用具の箒を手に、襲い掛かって来るー。

「ー人間の身体は、前に切り取った異世界の生き物よりも
 使い勝手がいいんでなー
 お前の身体も、我々の仲間のために使わせてもらうぞ」

そう叫ぶ萌々ー。
この異世界に飛ばされてきた、怯えていた萌々の面影は
もはやないー。

「他のやつらはどうした?」
涼雅がそう言い放つと、萌々は
「大半は我々の”入れ物”になったー」と、笑みを浮かべるー。

「まぁ、何人かは逃げたが、そんなことはどうでもいいー」
萌々はそう言葉を口にすると、
「邪魔だなー」と、自分の髪を面倒臭そうに触ってから
近くの机に置かれていたハサミを手にすると、
髪を雑に切り始めるー。

「ーーー……ーー」
涼雅はそんな様子を見つめていると、
「ーお前らの言う”入れ物”になった人間はどうなるー?」と、
そう言葉を口にするー。

「ーククー…我々は完全に同化してー
 そうだな、一体化するような形で
 己のものとするー」
萌々は笑みを浮かべながらそう言うと、
雑に切り落とした髪を足でどかして、
そのまま涼雅のほうを見つめるー。

「ーーーー…そうかー」
涼雅はそう言うと、
「ーーここは俺たちのいた世界とは”異なる世界”だと
 お前の仲間が確か言っていたがー」と、そう確認するー。

「ーククーそうだー
 我々は、入れ物や情報、物資を求めて
 異世界の一部を切り取り、この世界へと召喚ー
 こうして身体を奪ったり、身体の中に蓄積された”情報”を手に入れているのさー。
 
 見ての通り、この世界には、自然以外、何もないのでねー」

憑依された萌々のそんな言葉に、涼雅は「そうか」と、
そう頷くと、萌々に近付いていくー

「クククー
 仲間を傷つけるつもりか?
 この女は”クラスメイト”なのだろうー?

 知っているぞー?
 この女の知識によれば、人間は仲間を大切にすー」

萌々がそこまで言いかけたその時だったー。

突然、涼雅は
萌々の持っているハサミを強引に奪おうとし始めたー。

「ーなっ…!?何をするー!?」
萌々は抵抗しようとするー。

しかし、萌々は元々運動が得意な子でもないために、
力づくで涼雅にハサミを奪われてしまうー。

「ーそんなに知識が欲しいなら教えてやるー。
 人間は多種多様
 仲間を大切にするやつも、確かに多い。

 だがー
 俺みたいな”一匹狼”もいるってことを覚えておけ」

そう言葉を口にすると、涼雅は信じられないことに
萌々にハサミを容赦なく突き立てたー。

「ーーがっ…」
血が溢れ出すのを感じながら、萌々に憑依した光る怪物は、
「ーーーえ……??」と、”信じられない”と、言いたげな
表情を浮かべるー。

「ーーひ、人殺しはー、に、人間のーーー罪ー」
萌々が苦しそうにそう呟くと、
涼雅は「それは俺たちのいた世界の法律だ」と、即答するー。

「ここは異世界だと言ったな?
 だったら、殺しても罪にはならないー。」
涼雅のその言葉に、萌々は瞳を震わせるー。

「ーな、仲間をー…」
萌々が苦しそうにそう呟くと、
涼雅は掴みかかって来た萌々を蹴り飛ばしながら言ったー。

「仲間であろうと関係ないー。
 俺はこのクソみたいな世界から生き延びるー。
 他の全員を犠牲にしてでも」

そう言葉を口にして、涼雅は萌々に容赦なくトドメを刺すと
「悪く思うなー。乗っ取られた時点でどうせお前は死んでいるも同じだった」と、
それだけ言い放ち、教室の窓の戸締りを確認して、
廊下側ーー…今はもう廊下はないけれど、その扉も封鎖していくー。

萌々の遺体と一緒に過ごすのは気乗りはしなかったものの、
仕方がないー。

涼雅はさらに、外から中が見えないように、
窓を封鎖できるものを教室内で探し始めるー。

「チッーそんなに都合のいいものはねぇか」
涼雅はそう言葉を口にすると、自分の座席だった場所に座って、
スマホを弄り始めるー。

予想通りと言えば予想通りであるものの、
ネットは通じないー。

ダメ元で、SNSやメール、電話なども試してみたものの、
やはり、それらが通じる気配はなかったー。

「ーーー…しばらくはここで身の安全を固めるかー」
涼雅はそう言葉を口にするー。

助けが来ることを100%期待しているわけではない。
仮に、学校の関係者や、クラスメイトの家族らが、
自分たちを助けようとしても、
この”異世界”とやらにたどり着けるかどうかは分からない。

”神隠し”的な扱いで終わる可能性も否定できない。

がー、
今はこの周囲に”獲物”を異世界から連れて来たと
あの光の怪物たちが蠢いているはずー。

しばらくすれば”もう全滅しただろう”と判断して、
この周囲から光の怪物たちが去る可能性もあるし、
そうすればのんびりと探索できる。

「ー俺たちを異世界から”召喚”したってことは、
 元いた世界とつながる方法もあるはずだからなー」
涼雅はそう思いつつ、教室にあった教科書を切って、
それを貼り付けた窓を見つめるー。

とりあえず、外から中は見えない。

窓も補強したー。
仮に、クラスメイトの身体を乗っ取ったやつらが
窓を破壊しようとしても、
時間がかかるだろうー。

「ーーー…少し、昼寝するか」
涼雅は腕組みをしながら、自分の座席でウトウトし始めるー。

他のやつらがどうなろうと、知ったことではないー。
彼は、改めてそう思いながら、
やがて、穏やかな寝息を立て始めたー。

③へ続く

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コメント

次回が最終回デス~!★

帰ることができたとしても…
大分人数が減っちゃった状態での帰還になりそうですネ~!!

結末は明日のお楽しみデス~!!

続けて③をみる!

「仲間であろうと関係ない」目次

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