結婚式前日を迎えても、
妹の結婚に反対し続ける兄ー。
そんな兄に困惑していた妹ー。
そして、最悪なことに、その兄と
入れ替わってしまいー…?
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーどうしようー…
どうしようー…」
兄・東吾と入れ替わってしまった妹の双葉は
立つこともできない状況の中、
なんとか外部に連絡をしようとしていたー。
玄関の扉は、骨折して立てない状態では
開けることもままならないー。
丁寧に、双葉になった東吾がカギを閉めて外に出たためだー。
そして、スマホも持ち去られて、
家の固定電話は存在しないー。
外部に連絡する方法もなく、戸惑いの表情を浮かべる東吾(双葉)
「ーーーあ、そ、そうだーパソコンー…」
ふと、東吾(双葉)は、普段ほとんど使っていない
ノートパソコンがあることを思い出して、なんとか這いつくばって
パソコンのあるテーブルまでたどり着くと、
立てない状態ながらも、なんとかパソコンに手の届く位置まで
身体を動かそうと、痛みに苦しみながら試行錯誤を始めるー。
「ーー早く、秀幸にこの状態のこと、伝えないとー」
明日、結婚式を挙げる予定の彼氏・秀幸ー。
早く、秀幸に”入れ替わってしまったこと”を伝えないと、と、
そう思いながら、東吾(双葉)は何とかパソコンを操作しようと、
力を振り絞ったー。
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♪~~~
一方、自分の家に帰宅した
双葉(東吾)は、スマホが鳴ったのに気づくと、
スマホの画面に表示された名前を見て、
露骨に不愉快そうな表情を浮かべたー。
その相手はー
”いつもの双葉”であれば喜ぶはずの相手ー。
明日から”夫”になる秀幸だったー。
「ーチッ」
思わず怒りの形相を浮かべながら、双葉(東吾)は舌打ちをしてしまうー。
普段、舌打ちなどもしない双葉のその姿を見たら、
秀幸や、友達たちは驚いてしまうかもしれないー。
そんなこともお構いなしに
「ー双葉に近付く悪党めー」と、そう呟くと、
何度か咳払いして、喉の調整をしてから
「ーも、もしもし~?」と、双葉(東吾)はそう言葉を口にしたー。
”あー、双葉、よかったー
それで、お兄さんはー?大丈夫だったかー?”
秀幸が、そう言葉を口にするー。
兄・東吾が家にやってくる前に、
双葉は、彼氏の秀幸とそのことも話をしていて、
まさか、”彼女が入れ替わってしまった”などと知らない秀幸は、
そのことを軽い気持ちで口にしてしまったー。
「ーーー大丈夫だったー?どういうことー?」
思わず、双葉とは思えないような、怒りの滲んだ声が出てしまうー
”えっ、あ、いやー、
ほら、お兄さんが家に来るって言ってたから
心配でー”
電話の向こうからでも、露骨に”双葉”の不機嫌そうな声を
感じ取ったのか、秀幸がそう言葉を口にすると、
「ー全然ー大丈夫だよー。お兄ちゃんが家に来るのに心配ってなに?」
と、双葉(東吾)は、必死に怒りを隠しながらそう言葉を口にしたー。
”い、いや、ホラ、いつもお兄さん、
結婚に反対してるって言ってたし、
双葉も不安がってたから、何事もなければー”
秀幸が双葉(東吾)の反応に戸惑いながらもそう言うと、
双葉(東吾)は一旦スマホを自分の耳元から離して
「チッ!」と、大きく舌打ちをしたー。
そして、怒りを滲ませないように注意しながら、
「ーおまーーー」と、”お前”と言いそうになってしまったのを
慌てて修正して、
「秀幸は、お兄ちゃんのことなんだと思ってるの?」と、
心底不満を滲ませながらそう呟くー。
”い、いやー、別にーわ、悪くは思ってないけどー”
秀幸は、なおも戸惑った様子だー。
本当であれば、この場で即、振ってやりたい気持ちも
あったものの、それでは気が収まらないー。
明日の結婚式当日に、盛大に振ってやるんだー。
そう思いつつ、双葉(東吾)は、
「ーーーーー明日の結婚式、楽しみだね」と、
怒りを押し殺しながらそう言葉を口にすると、
半笑いで、”明日、双葉に振られて驚く秀幸”の顔を
妄想するのだったー。
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「ーーーー~~~~~~」
東吾(双葉)は、なんとかパソコンを床に下ろすことに成功しー、
這いずった状態でコンセントを接続して、
パソコンを起動することに成功していたー。
しかしー
「ー~~~~あ~~~~~……急いでるのにー」
東吾(双葉)は、心底困惑したような表情を浮かべるー。
何故ならー、
普段、ほとんどパソコンを使わない双葉は、
パソコンを起動すること自体も久しぶりで、
使おうと思ったら、長い自動アップデートが始まってしまったのだー。
”は、早くしないとお兄ちゃんに何されるか分からないよー”
今、この瞬間にも、兄・東吾は双葉の身体で
秀幸に別れを告げているかもしれないー。
そう思いながら、東吾(双葉)は、
早くアップデートが終わってくれることを
ひたすら心の中で祈り続けることしかできなかったー。
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夜ー。
双葉(東吾)は、不満そうに、秀幸との思い出の品を
処分していたー。
普段の双葉が絶対にしないような行動を、
双葉にさせてしまっている東吾ー。
ふと、鏡に映った”双葉の顔”を見つめるー
その表情は、とても不機嫌そうで、
兄の東吾も見たことがない双葉の表情だったー。
「ーーこんな顔させちゃってごめんなー」
双葉と偶然入れ替わった東吾は、
別に双葉の人生を壊すことが目的じゃないし、
双葉の身体であんなことやこんなことをするのが目的なわけでもないー。
が、とにかく、彼氏である秀幸との結婚を阻止したかったー。
「いつか、笑って話せる日が来るー絶対にー」
双葉(東吾)はそう言葉を口にすると、
双葉の彼氏・秀幸との思い出の品をさらに処分していくー。
たとえ、双葉に憎まれようともー、
たとえ、双葉から絶縁されようともー、
心を鬼にして、妹と、秀幸を別れさせなくてはいけないー。
これは”俺の使命”なのだと、
自分で自分に言い聞かせる双葉(東吾)ー。
「ーーー双葉ー、全部、お前を守るためなんだー」
双葉(東吾)は改めてそう言葉を口にすると、静かに息を吐き出したー。
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翌日ー
結婚式当日を迎えて、双葉(東吾)は、秀幸と合流して
結婚式の式場に向かうー。
結婚式本番が始まるまでは”大人しく”双葉として振る舞う
双葉(東吾)ー
行動を起こすのは結婚式本番だー。
そこで、愛を誓わずに、婚約を破棄ー、
秀幸に別れを告げるつもりだー。
両親や、相手の両親が何か騒ぎ出すかもしれないけれど、
それでも、やらなければいけなかったー。
「全部、双葉のためなんだー」
そう呟きつつ、ウェディングドレス姿の双葉を見つめる
双葉(東吾)ー
思わず顔を赤らめてしまいながら
「か、可愛すぎるー」と、自分の妹の可愛さを
改めて噛みしめると同時に、
「ま、まさか、ウェディングドレスを俺が着ることになるなんてー」と、
自分の人生で一度も経験などするはずではなかった
”ウェディングドレスを着る”という経験を前に、
ドキドキしながら顔を赤らめるー。
そうこうしているうちに、やがて、
新郎新婦の入場のタイミングが近付いてきて
緊張した様子で双葉(東吾)は、時計を見つめたー。
もちろん、緊張しているのは”本来の意味で”ではないー。
ちゃんと、妹の双葉を”別れさせる”ー
それが、上手くできるかどうかー、
そんな意味での緊張を噛みしめていたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー…~~~」
困惑した表情を浮かべる東吾(双葉)ー
今頃、”本当だったら”
彼氏の秀幸との結婚式が始まっている時間だー。
いったい、今はどんな状況なのだろうー。
昨日ー、
パソコンのアップデートをなんとか終わらせた
東吾(双葉)は彼氏である秀幸に
兄・東吾と入れ替わってしまったことを
何とか伝えようとしていたー。
しかしー……
自分のSNSのパスワードが分からず、
SNSへのログインを断念ー、
さらには、メールで連絡を取ろうとしたものの、
普段、秀幸とはメールではなく、SNSやLINEで連絡を
取り合っていたために、
秀幸のメールアドレスが分からず、連絡できなかったー。
そうー
結局、東吾(双葉)は、秀幸に連絡をすることができないまま、
翌日の今日ー、結婚式当日を迎えることになってしまっていたー。
「ーー…秀幸ー…お願い、気付いてー…」
骨折してしまった東吾の足ー。
歩くことができるようになるには、まだ時間がかかるー。
こうなってしまった以上ー、
あとは、”双葉の様子がおかしい”と、いうことに
彼氏である秀幸が気付いてくれることを
祈るしかない…、というのが現実だったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結婚式本番ー
新郎新婦の入場が終わったー。
双葉(東吾)はウェディングドレス姿の自分を見下ろしながら
”双葉ーやっぱり可愛すぎだろー”と、
心の中で、改めて自分の妹の可愛さを噛みしめるー。
そしてー…
そんな妹・双葉の可愛さを噛みしめながら、
”やはり、こんな奴に双葉を渡すわけにはいかないー”
と、ウェディングドレス姿の双葉(東吾)は
横にいる秀幸を睨みつけるー。
二人で会場の前までやってきてー
互いの親族や友人らが見守る中ー、
双葉(東吾)は口を開いたー。
「ーーねぇ、秀幸ー」
双葉(東吾)に突然声を掛けられたことで、
秀幸は「ん?どうかしたー?」と、
昨日のこともあったからか、少しだけ不安そうな表情を浮かべるー。
「ーわたしたち、別れましょー」
双葉(東吾)が、そう言葉を口にすると、
突然の言葉に、秀幸は「えっ…!?」と、思わず裏返った声を出して、
明らかに動揺したような表情を浮かべるー。
「ーー!?」
「ーそれは、いったいー!?」
集まっていた出席者たちにも、動揺が広がり始めるー。
そんな様子を見て、双葉(東吾)は少しだけ笑みを浮かべると、
今度は秀幸ではなく、結婚式の出席者たちのほうを見て、
言葉を口にしたー。
「ー彼、わたしの”兄”のことを酷く言うんですー」
とー。
「ーえ、えぇ…!?」
横にいた秀幸は、動揺したような表情を浮かべながら、
声を上げるー。
しかし、今の”双葉”は、双葉であって双葉ではないー。
秀幸に対する愛情なんて微塵も存在しないー。
「ーーわたしの兄のことを、勝手に危険人物に仕立て上げてー
悪口を言う彼のことを許せなくてー」
双葉(東吾)は、そう言い放つと、
秀幸は「え…で、でも、お兄さんに結婚を反対されてるってー」と、
困惑した様子で反論の言葉を口にするー。
「それだよ!!!」
双葉(東吾)は声を上げると、
「そうやって、”わたしのお兄ちゃん”を悪者にしようとして!」
と、そんな風に言い放つー。
東吾は”妹が俺を庇ってくれている”と、
自分で言わせているのにそんな錯覚と興奮を覚えながら、
秀幸に対する言葉の攻撃を続けていくー。
戸惑う結婚式の出席者たちー。
「ーーだから、わたしはあなたとは結婚しないー
ここでお別れー。
今日までそれを言わなかったのは
ここで、あなたがどれだけ嫌な奴かをみんなに知らしめるためー」
双葉(東吾)は笑みを浮かべながらそう言い放つと
「さよなら」と、それだけ吐き捨てて、
その場から立ち去ろうとしたー。
しかしー
「ーー双葉!待ってくれ!」
秀幸が、そんな言葉と共に、双葉(東吾)の腕を掴んだー。
「ー!?」
腕を掴まれた双葉(東吾)は一瞬驚いたような表情を
浮かべるも、ウェディングドレスを着ていたこと、
そして、まだ昨日入れ替わったばかりで
”双葉の身体”のバランスだとか、
そういったことに不慣れだったー。
そのせいかーー、
少し腕を掴まれただけで、盛大にバランスを崩して、
腕を掴んだ秀幸の方に向かって勢いよく倒れ込んでしまうー。
「ーうわっ」
倒れて来た双葉(東吾)に巻き込まれる秀幸ー。
新郎新婦が倒れ込んでしまったことで、
どよめく会場ー。
やがてー、すぐに”双葉”が起き上がったものの、
双葉は戸惑いの表情を浮かべているー。
そしてー、後から起き上がった秀幸もそれは”同じ”だったー。
「ーーーーー!」
「ー!!」
双葉と秀幸が互いを見つめ合い、驚きの表情を浮かべるー
「ーな…!」
「ーーえ…ど、どうして俺が目の前にー!?」
双葉(東吾)と、秀幸は、
入れ替わってしまったー。
双葉の彼氏である秀幸が、双葉の身体にー、
双葉の結婚に反対していた兄・東吾が、結婚相手の秀幸の身体にー、
更なる入れ替わりが発生してしまったのだったー…。
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
さらに別の組み合わせの入れ替わりが発生…★!
もっと、ややこしいことになりそうですネ~!
明日が最終回デス~!!

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