”お前の姿で悪さをする”ー
単なる迷惑電話だと思っていたそれは、
イタズラではなかったー
相手が本当に”変身する力”を持っていると知った彼女は…!?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーそんなー…」
昨日、再び”電話”がかかってきたことを
彼氏の彰浩に相談する紗愛ー。
アプリで録音しておいた音声を再生して、
彼氏の彰浩に、電話相手が”わたしの声”になったことを告げると、
彰浩は呆然とした様子で、そう言葉を口にしたー。
「ーーー…彰浩と今日中に別れないと、”また”悪さをするってー」
不安そうな表情で紗愛がそう言葉を口にするー。
「一体、誰がこんなひどいことをー」
彼氏の彰浩がそう言うと、その場にいた紗愛の幼馴染・裕太が
口を開いたー
「ーじゃあさー…一度、別れるって言うのはどうかなー?」
とー。
「ーーえっ」
困惑の表情を浮かべる紗愛と彰浩ー。
がー、すぐに「あ、違う違うー本当に別れるって意味じゃなくてー」と、
裕太がそう言葉を口にすると、
「ー”別れたふり”をするんだよー」と、
紗愛と彰浩に対して、そう提案をしたー。
「ーなるほどーーーー」
彰浩は静かに頷くー。
相手は恐らく”本当に”紗愛の姿に変身することができるー。
もし、このままでいれば今度は”もっと取り返しのつかないこと”を
される可能性があるー。
”時間を稼ぐ”意味でも、
ここは一度”別れた”フリをして、謎の電話相手の要求を呑み、
その間に犯人を探るー。
「ーーーーそっかー…恋人同士なら、お別れしたあとでも
またすぐに付き合うのも自由だもんねー」
紗愛も、そんな言葉を口にするー。
結婚している二人が離婚して同じ組み合わせで
すぐに再婚ー、というのはできないけれど、
恋人同士ならば、それは自由だー。
今日、別れて
明後日から再び付き合い始めたっていいー。
「ーーーごめんねー。変なことに巻き込んで」
紗愛がそう言うと、彰浩は「いや、いいさー」と、
そう言葉を口にすると、
「よしー、じゃあ一度今日で”お別れ”しようー」と、
それだけ言葉を口にするー。
紗愛は少し寂しそうに頷くと、
「ーー”相手”がその次に何て言ってくるかー。
それを見極めよう」と、彰浩は優しくそう言葉を口にすると、
紗愛は静かに頷いたー。
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”彰浩と別れた”ー
”電話相手”が、どこからか、二人の様子を”確認”している
可能性もあると判断した二人は、
”口論する演技”をした上で、別れを告げて別れたー。
親友の真美にだけは、そのことを伝えておいて、
万が一、噂が広がり過ぎてしまった場合にも備えておいたー
「ーこれで、落ち着いてくれればいいけどー」
紗愛は、そんな風に願いながら
翌日、大学では彰浩とは話をせずに、
スマホで連絡を取り合いつつ、その日を過ごしたー。
この前と同じなら”男”から、近日中に電話がかかって来るはずだー。
その時まで、電話相手の”男”に、別れたのが演技であると
悟られないようにしなくてはならないー。
そしてーー
期日の翌日の夜ー…
その日に再び”電話”がかかって来たー。
”ーー彼氏とは、別れたかー?”
電話の向こうから聞えてきたのは”紗愛”自身の声ー
「ーーーーわ、わたしの声で喋らないでください!」
不快感を露わにする紗愛ー。
がー”別れたのか?別れてないのか?”と、相手は
淡々とそう言葉を口にするー。
「ーーー…言われた通り、別れましたー
これで満足ですかー?
早くわたしの声も姿も、勝手に使うのをやめて下さいー」
紗愛はうんざりした様子でそう返すー。
すると、男は紗愛の声のまま続けたー
”本当に、別れたんだなー?”
とー。
”嘘だった場合はーーー…
お前の人生は終わるー。
ーーー今ならまだ許してやる どうだ?
本当に彼氏と別れたのかー?”
紗愛の声のまま、脅してくる電話相手の男ー。
ゴクリと唾を飲み込みながら、
紗愛は「ーーー別れました」と、そう言い放つと
「わたしの姿で、好き勝手されたら困るので
だったら、彰浩とは別れますよー」と、
不満そうにしながらも、強い口調でそう言い放つー。
すると、相手の男は紗愛の声で”わかったー”と、
そう言葉を口にしたー。
そして、その上で”次の命令”を口にするー。
”次はーーー
別れた代わりに”付き合って”もらうー
そうだなーー
幼馴染の男がいるだろうー?
杉原 裕太ー
そいつに告白して付き合えー”
とー。
「ーーえ」
紗愛が表情を歪めるー。
「ーす、杉原くんとーー?
ど、どういう意味ですかー?」
紗愛がそう聞き返すと、
電話相手の男は紗愛の声のまま言ったー。
”ー彼氏と別れたという証明が欲しいー
だから、手近にいる人間に告白して
そいつと付き合えと言っているー
それだけのことだー”
紗愛の声でそう告げる男ー
紗愛は表情を歪めたまま、
「ーーー期日は?」と、そう聞き返すと、
”三日以内だー”と、男は紗愛の声で答えたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
彰浩と電話で相談をする紗愛ー。
”ーーえぇ?今度は付き合うように命令されたのかー?”
戸惑う彰浩ー。
「ーーうんー…で、でも、どういうことだかー」
紗愛がそう言い放つと、彰浩も考え込んでから、
ようやく口を開いたー。
”ーーーこんなことは言いたくないけど、
杉原の仕業ってことはないかー?”
彰浩がそう言葉を口にするー
「ーーえぇ…?」
紗愛は困惑した様子でそう言葉を口にするー。
幼馴染の裕太はそんなことする人間ではないー、とは思うー。
けれど、彰浩と別れて裕太と付き合わせるー、などということをして
”得をする人間”がいるとすればーー…
それは、限られてくるー。
単なる嫌がらせかもしれないけれどー、
そういう可能性も完全に”0”とは断言できないかもしれないー。
”ーーいや、俺だって疑いたくはないけどー
紗愛の大事な幼馴染だし、俺も大事な友達だと思ってるからー”
彰浩は残念そうな口調で言うー。
”ーー相手は”紗愛の人生を簡単に壊せる力”を持ってるんだー
紗愛の姿に変身して、取り返しのつかないことをされたらー…
だからー…色々な可能性を考えて、慎重に動いた方がいい”
彰浩のその言葉に、
紗愛は「う、うんー」と、そう言葉を口にすると、
「とりあえず……杉原くんにも話をして、”告白したフリ”をして、
演技に付き合って貰う感じがいいかな?」と、そう相談するー。
”ーーあぁ、そうだなー…
フリって言うのはーーあまり伝えたくないけど、
でも、俺と別れたのも、杉原は”フリ”ってこと知ってるだろうし
今更隠しても意味ないからなー
とにかく、相手の言う通りにして時間を稼ごうー。
杉原のことはー…俺が様子を探るから
紗愛は無理しなくていいー。
幼馴染を疑うなんて辛いことだからなー
紗愛は、他に怪しい人がいないか探りながら、
杉原ととりあえず”付き合ったフリ”をー”
そんな相談をしつつ、紗愛は不安そうに頷くと、
彰浩との電話を終えるー。
”いったい、誰が何のためにー”
紗愛は不安そうにそう呟きつつ、
幼馴染の裕太にも事情を説明するメッセージを送ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー。
彰浩が電話に出ると、
”紗愛”からだったー。
公衆電話から、電話を掛けてきた紗愛ー。
”ーごめんー今、バイト帰りなんだけどー”
紗愛が涙声でそう言葉を口にするー
「お、おいーどうした?何かあったのかー?」
彰浩が慌てて言うと、
紗愛は言葉を口にするー。
”ーやっぱり、別れたままなの、不安でー”
とー。
「ーー紗愛ー」
彰浩は表情を曇らせながら、
「ー大丈夫ー。俺は絶対に紗愛を裏切ったりしないし、
このことが解決したら、すぐにまた元通りさー。
今だって、”別れたこと”にしてるけど、ホントは付き合ってると思ってるし
俺が紗愛のこと好きなのは変わらないよー」と、
穏やかに言葉を口にするー
”うんー…”
紗愛の不安そうな声ー。
それを聞いた彰浩は続けるー。
「ーー相手が何してくるか分からないし、紗愛が大変なことに
なっちゃったらー、俺も悲しいからー
だから、もう少しの間だけ頑張ろうー
俺は絶対、紗愛以外と付き合ったりなんてしないし、
犯人を突き止めるまでの間、どれだけ時間がかかったとしても、
紗愛のこと嫌いになったりしないし、必ず元通りになれるー
約束するよ」
彰浩のそんな言葉に、
紗愛は少しだけ笑うと、
言葉を続けたー。
”そっかそっかー。うんーありがとうー”
それだけ言葉を口にすると、紗愛は電話を切るー。
公衆電話から彰浩に電話をかけていた
”紗愛の偽物”は、電話を終えると邪悪な笑みを浮かべたー
「そっかーやっぱりーー
別れたフリだったかーー
そっちがそのつもりなら、もういいー」
彰浩に電話をかけてきた紗愛は”偽物”だったー。
紗愛に変身している男が”本当に別れたのか”を確認するために、
男が、紗愛に変身した状態で、調べ上げた彰浩のスマホに
電話を掛けたのだー。
そうとは知らずに、彰浩は全て喋ってしまったー。
偽物の紗愛にー。
怒りの形相を浮かべながら、偽物の紗愛はそのまま
夜の街の中へと消えて行ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー。
本物の紗愛は幼馴染の裕太と電話で
話をしていたー。
”うんー。何か分かったら僕の方からも連絡するよー”
裕太はそんな言葉を口にするー。
情報交換を終えて、裕太との電話を切った紗愛は、
彼氏である彰浩からメッセージが届いていることに
気付いて、それを確認するー。
がー、紗愛はそのメッセージを見て困惑するー
”昨日の夜は、あれから落ち着いたかー?”
そう書かれているメッセージー
まるで、昨日の夜、電話で話したかのような
そんな内容を見て、
紗愛は「どういうことー?」と、困惑しながら
彰浩に電話を掛けるー。
すると、彰浩は”昨日の夜、電話で話した”と、
その内容を口にしたー。
それを聞いた紗愛は震えながら言ったー
「ーーそれ、わたしじゃないーー…!」
とー
”えっー”
彰浩が呆然とするー。
それと同時に、紗愛の親友である真美から、
”紗愛!大変!!”と、連絡が入るー
紗愛が慌てて真美の話を聞くとー
ネット上にはーー
”紗愛が自分の身体に個人情報をペンで書き込んだ状態で
服を脱ぎ捨てて、全世界に”わたしは痴女”だと、宣言する”
そんな動画が、流れていたー
”なんだこいつーヤバくねー?”
”ーってか、俺の近所の大学じゃんー”
”ー紗愛ちゃんヤバすぎ”
既に、動画はあっという間に拡散されているー。
紗愛の他の友達や、バイト先、大学ー
色々な場所から連絡が入り始めるー
紗愛は震えながらその動画を見つめて、
頭を抱えるー。
そこにー、
”男”から連絡が入ったー
”彼氏と別れたのは嘘だったんだなー
騙した罰だー。お前の人生を滅茶苦茶にしてやるー”
そんな言葉と同時に、
紗愛の姿で撮影された”別の動画”もネットで公開されたー。
それは、個人情報を身体に書いた状態で、
紗愛が一人、Hなことをして最後まで欲望の限りを尽くす動画だったー。
「ーーそんなー…」
茫然としてスマホを落とす紗愛ー。
もうーー
終わりだー。
紗愛は、しばらくその場から動くこともできなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー」
紗愛に変身していた男は、変身を解除すると
大きく息を吐き出したー。
「ーーー…今岡 紗愛ーーー
”裕太”と小さい頃は仲良くしてくれていたのに
彼氏を作るなんてー」
その犯人はーー
紗愛の幼馴染・裕太の”父親”ーー。
息子の裕太と小さい頃から”幼馴染”として親しかった紗愛ー。
が、その紗愛が裕太ではなく、彰浩という彼氏を作ったことで
この父親は勝手に逆上ー、
紗愛を息子の裕太と付き合わせようとして、
特殊な技術で紗愛の姿に変身、紗愛に彰浩と別れ、
裕太と付き合うように強要したー。
裕太本人は、そんな父親の悪事を知らず、
純粋に紗愛を助けようとしていたものの、
全ては、息子のためと、父親は止まらなかったー。
がー、それは失敗に終わったー。
だから、紗愛を滅茶苦茶にしたー。
「ー裕太を裏切った罰だー。
これでもうお前は、普通の生活を送ることはできないー」
紗愛の姿で投稿した動画が、さらに拡散されていくのを見つめながら、
裕太の父親は、静かに笑みを浮かべたー。
おわり
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コメント
最終回でした~!★
破滅の結末になってしまいましたネ~!…!
お読み下さりありがとうございました!★!

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