<憑依>卒業ゲーム③~選択~(完)

”クラスの誰かの身体を、憑依の犠牲にする”

それがー、28人中27人が生き延びるための条件ー。

あと、20分ー
”犠牲者一人を決めることができなければ”
28人全員が消滅するー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーやっぱり、上坂さんが憑依されなさいよ!」
元生徒会副会長の優香が、声を荒げるー。

パニックからか、もはや普段の優しい振る舞いは
どこにもないー。

陰険な女子・亜梨沙は「ーー絶対にイヤ!」と、
怯えた表情で震えているー。

「ーーこのままじゃ、みんな消えちゃうの!
 あんたが高藤くんをいじめてたんだから、
 全部全部あんたのせい!」

優香はそう泣き叫ぶと、
不登校の高藤 佑介のことを口にするー。

「ーー深山さんーやめなよ」
クールな女子生徒・静奈が、再び優香を止めるー。

けれど優香は「うるさい!じゃあ、あんたが憑依されればいいじゃない!」と、
そう言葉を口にするー

「ーーみ、みんなー喧嘩はやめてー」
大人しい女子生徒・恵美が涙目で言うー。

「ーーそうだよー。伊藤さんの言う通りだー」
親友に振り回されている男子生徒・節史もそう言いながら
争いを止めようとするー。

そうこうしているうちに、残り時間は15分だと
黒板に表示されているー。

”教室の外”の不気味な異空間は、赤みをまし、
不気味に波打っているー。

このまま”ゲームマスター”に憑依される人間を決めなければ、
28人全員が”消滅”するー。

「ーーでも、このままだったら俺たち、全員消えるんだぞー!?」
小太りの男子・太がそう言うと、
お調子者の男子・竜也も「何か手はねぇのかよ!?」と叫ぶー。

オカルト好きの琴美は「ーーーこのままだとわたしたち世間じゃ
”神隠し”ねー」と、こんな状況でも、少しだけニヤニヤしながら
言葉を口にするー。

「ーー何がおかしいの!
 このイカレ女!」
元生徒会副会長の優香が、さらにパニックになって、
オカルト好きの琴美にまで絡み始めるー。

「ーーもうーーもう、時間がないー」
優香は、そう言葉を口にすると、ペンダントを無理やり
陰険な女子・亜梨沙に身に着けようとし始めるー。

「ーーちょ、ちょっと!何するの!?」
亜梨沙の友達・愛唯が止めに入ると、
優香は「邪魔!!!どいて!」と、愛唯を突き飛ばすー。

優しい元生徒会副会長の”暴走”に、
周囲のパニックになっていくー。

そんな中ーーー
親友に振り回されることが多い男子・節史は
「ーーーーもう、争うのはやめよう!!!!!」と、大声で叫ぶー。

嫌味な男子・亮や、
子供っぽい振る舞いの女子・真桜らが、
そんな節史のほうを見つめると、
節史は言ったー。

「ー争ってたら、みんな死ぬー。
 だからー”ジャンケン”で決めようー。

 みんな同じ条件で、誰が憑依されるかを決めるー」

節史がそう言うと、
ゴツイ体格の女子・梨沙子が口を挟むー。

「あんたも、誰かを犠牲にすることに賛成ってことー?」
とー。

が、節史は首を横に振ると、
「違う!でも、他に方法がないー。
 28人全員が犠牲になるか、一人だけ犠牲になるか、なら
 俺は一人だけで済むほうを選びたいー。

 ーーきれいごとを言ってたら、28人全員がここで消えるんだー」
と、そう熱弁するー。

「ーーー…まぁ、そりゃ、節史の言う通りだなー」
お調子者の竜也もそれに賛同すると、
「ーーその”ひとり”にあんたたちがなったらー?
 素直に受け入れるの?」と、屈強な女子・梨沙子が言うー。

「ーーー」
節史は、ゴクリと唾を飲み込むー。

確率は28分の1ー。
自分が負けることなんてないはずだー。

それにーーー…
”そうでもしないと”
このままA組のメンバー全員が争いを続けて、”消える”だけだー。

その時だったー。
ペンダントが突然、再び移動を始めて、
勝手に”オカルト好き”の琴美に無理矢理にくっつくと、
そのまま”ゲームマスター”が琴美に憑依したー。

「ーへへへへへー
 さぁ、どうする?残りは10分を切ったよー」
琴美がヘラヘラ笑いながら言うと、
「ーーど、どうか、助けて下さいー」と、
大人しい性格の恵美は泣きながら土下座をするー

が、憑依された琴美は少しだけ笑うと、
「ーじゃあ、”君ひとりだけ助けてあげる”って言ったらどうするー?
 その場合、君以外は全員死ぬけどー」と、
恵美に対して言い放つー。

大人しい性格の恵美は、何も躊躇せずに、
泣きながら「それでも、それでもいいですー!」と、そう叫ぶと
「ーはぁ!?ふざけんなよ!」と、屈強な男子の慶介が叫ぶー。

「ーはははー冗談だよ」
琴美はそれだけ言うと、
「あと7分ぐらいかー。決めないと全員消えるからねー」と、
そう言葉を口にしてー、
そのままペンダントが琴美の身体から外れたー。

「ーー!」
すぐに正気を取り戻した琴美は
「あれ?わたし…今、憑依されてたの!?す、すごいー!」と、
オカルト好きだからか、嬉しそうに声を上げるー。

そんな様子を見て、困惑する他の生徒たちー。

がー、もう時間がない、ということで
”ジャンケンで憑依されるひとり”を決めることになったー。

「ーーーー」
28人全員でジャンケンしても決着がつかないためー、
最初に1対1でジャンケンをして、
14人に減らすことにするー

「みんな、恨みっこなしだぞー
 負けたら、憑依されるー」
節史がそう言うと、全員が頷くー

そして、最初のジャンケンが始まるー。

「うぉぉぉぉぉ!やったぜ!」

「くそっ!負けちまったー」

「ーなんでわたしが!」

「ーーあたしの勝ち!やったああああ!」

”勝った14人”は、生き残ることが確定して
一気に喜びを露わにするー。

が、負けた14人は
”もしかしたら自分が”と暗い表情を浮かべ始めるー。

「ーー仕方ないー。次も2人ずつで対決しようー」
言い出した節史も負けたのか、表情を曇らせながらそう呟くー。

「ーイヤだーわたし…わたしは、イヤだーーー
 なんで、こんな奴らのせいで、わたしがー」
生徒会副会長だった優香も負けたらしく、怯えた表情でそう言葉を口にしているー

がー、もう時間がないー。
”第2回戦”が行われて
14人から7人に絞られたー。

「ーーーー」
節史は困惑するー。

”くそっ、まさかここまで残るなんてー”

そう思いつつも、
「最後は、残りの7人全員で決めようー」と、
そう言葉を口にするー。

ジャンケンを言い出した節史ー、
元生徒会副会長の優香ー、
お調子者の竜也ー、
陰険な女子生徒・亜梨沙の友人の愛唯ー、
屈強な男子生徒の慶介ー、
そして他2名が敗北続きで、最後のジャンケンに挑むことになったー

7人全員で、ジャンケンを繰り返すー。

何度やっても決着がつかないー
そうこうしているうちに、残り3分ー。

がー、その時だったー

グー、グー、グー、グー、チョキ、チョキ、チョキーーー

7人の戦いの”決着”がついたー。

「やった!!!やった!!!!!!
 わたし…わたし…勝った!あははっ!勝ったぁ!!あははははははっ!」
生徒会元副会長の優香は、グーを出して勝ち、
狂ったように笑うー。

屈強な男子の慶介と、他2名も勝利しー、
残りは節史と愛唯、そして竜也だけになっていたー。

がーー

「ーダメだダメだダメだーあり得ないー。やっぱジャンケンじゃ不公平だー」

ジャンケンを言い出した節史が、急にそんな言葉を口にしたー。

「ーーはぁ!?な、なに言ってるんだよ!節史!」
親友でもあり、お調子者の竜也がそう叫ぶと、
「ーお、お前だって、そう思うだろ!ジャンケンは得意不得意がある!
 これじゃ不公平だ!」と、節史はそう叫ぶー。

「ーそ、そうよ!沼田の言う通り!」
亜梨沙の友人・愛唯も叫ぶー。

「ーはぁ?あんたら何言ってんの!?」
元生徒会副会長の優香は、もはや本性を隠そうとしないー。

「ーおい!今さらそんなのナシだぞ!早くジャンケンしやがれ!」
屈強な男子・慶介も怒りを露わにするー。

が、節史は「こんなの不公平だ!」と、
自分からジャンケンを言い出したのにも関わらず、
そう声を上げるー。

元々ー、節史はこんな卑怯な性格ではないー。
が、このままじゃ”自分が憑依される”という恐れから、
なりふり構わなくなっていたー

「ー節史!お前ー…いつからそんな卑怯なやつになったんだ!」
お調子者の竜也だけは、”残り三人”にも関わらず、ジャンケンをしようするー。

が、節史と愛唯は、それを拒み、決着がつかないー。

残り1分を切るー。

「ーーあぁぁぁああああああ!もう!クソばっかり!!!」
元生徒会副会長の優香が髪をぐしゃぐしゃにしながらそう叫ぶと、
陰険な女子で、不登校になった高藤 佑介の”原因”を作った亜梨沙に
向かって行き、
「ーやっぱりあんたが憑依されなさいよ!」と、
そう言葉を口にするー。

「嫌だって言ったでしょ!ジャンケンにも勝ったし!」
亜梨沙がそう反論すると、「ーうるさい!!うるさい!」と、
優香は、亜梨沙をビンタして暴力を振るい始めるー。

「ーあのペンダントをつけて、憑依されなさいよーー!」
優香がそう言葉を口にしながら、亜梨沙を黒板に押し付けて
首を絞め始めるー。

「ぁ…ぁーーー」

「ーやめて!死んじゃう!」
大人しい性格の恵美が泣きながら叫ぶと、
優香は「こいつのせいなんだからー!」と、怒りの形相で
そのまま手にさらに力を込めるーーー

「ーおい、やめなー」
クールな女子生徒・静奈がそれを止めようとするー。

けれど、優香は止まらないー。

「やめろって言ってんだろ!!」
静奈はそう叫ぶと、教室のイスを手に、優香を殴りつけるー。

「ーーー!!!」
悲鳴が上がる教室内ー。

優香は頭から血を流して倒れ込んで、
目を見開いたまま動かないー。

「ーーうわあああああああ!!」
小太りの男子・太が悲鳴を上げるー。

「ーま、マジかーー…」
お調子者の竜也も、真っ青になっているー。

クールな女子生徒・静奈は、その場に頭を抱えてしゃがみ込んで、
「ー早く、ジャンケンの続き、しなさいよー!」と、
初めてパニックになった様子で叫ぶー。

が、節史は拒否ー。

真っ赤に染まった異空間に向かって、教室の壊れたドアから飛び出すも、
やはり教室に戻って来てしまうー。

「助けてくれ!助けてくれ!助けてくれーーー!!!」
泣き叫ぶ節史ー。

教室に悲鳴が上がるー。

そしてーーー
”0秒”になったーー

教室内の”外”に広がっていた赤い異空間が教室内に浸食してくるー。

”あ~~~~あ…27人は助かるのにーー
 人間って愚かだねー。そういう選択をしちゃうー”

ゲームマスターの声が、スピーカーから響き渡るー。

”ー残念。卒業ゲームはゲームオーバーで幕引きだー。”
ゲームマスターはそう言葉を口にすると、
「ー待って!!!」と、オカルト好きの女子・琴美が叫ぶー。

「ーーおい!!お前、オカルト好きなら、お前が憑依されりゃ良かったのに!」
お調子者の竜也が、琴美に迫ると
「ーずっと憑依されたままじゃ、死んだのと同じだからいやよ!」と、
琴美は反論するー。

そうこうしているうちに、教室が飲み込まれていくー。

既に、半数の生徒は異空間に飲み込まれて消滅ー

頭を殴られて死んでしまった優香も消えていくー。

「ーイヤだ!!いやだいやだいやだ!!」
節史は異空間から逃げ惑いながら泣き叫ぶー。

「ーーーーーー」
陰険な性格の亜梨沙は悲鳴を上げながら飲み込まれていくー。

やがてー、
教室の中央に残った節史と、ゴツイ女子生徒の梨沙子以外飲み込まれてー、
梨沙子がー、そして、節史も異空間に飲み込まれたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ー開いた!!!」

教室の扉がようやく開くーーー

が、担任教師の大月 秀幸は、
目を疑ったー

「ー誰も…いないー?」

A組の生徒、28名はこの日ー、全員消えたー。

そしてーーー
その様子をB組の女子生徒の一人、
生徒会長を務めていた由美(ゆみ)という生徒が
笑みを浮かべながら見つめていたー

”ーま、僕はどうせ誰かの身体を貰うつもりだったから、
 いいんだけどねー”

そう呟く由美の胸元にはペンダントが光っているー。

”A組の君達が、誰も選ばなかったせいで、この子は僕のものになったー
 ふふー”

由美はそう呟くと、笑みを浮かべながら立ち去っていくー。

”ゲームマスター”を名乗っていた男はー
この学校で、数十年前、いじめを苦にして命を絶った男だったー。

ちょうどーーーー
”その時のいじめっ子の息子”が、今回のA組にいたことから、
彼の怨念が具現化して、”卒業ゲーム”を仕掛けたのだったー。

”誰か一人”を選べば、彼は残り27名は解放するつもりだったものの、
結局はーーA組の生徒…不登校で教室にいなかった
”今回の件とは何も無関係の”高藤 佑介を除く28名は消滅し、
この後、捜索が行われたものの、見つかることはなかったのだというー。

おわり

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コメント

”全滅エンド”になってしまいましたネ~…!

でも、この状況で一人を選んで
犠牲になってもらうのは…
難しそうですネ~…!

お読み下さりありがとうございました~~~!

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憑依<卒業ゲーム>

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