200年後の未来からやってきた3人によって
”未来は憑依薬の蔓延により壊滅状態にある”ということを
知らされた現代ー。
対策チームの責任者に選ばれた彼は、
彼女たちと共に未来の世界を訪れるー。
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2232年ー。
未来からやってきた
真桜・紗季・美冬の三人に連れられて
そのアジトにやってきた英輔は
ボロい建物の3階にやってきて、ひと息つきながら、
驚いた様子で呟いたー。
「ーー街のあの様子はー…」
英輔がそう言うと、
椅子に座った真桜はため息をつきながら言うー。
「ー憑依が蔓延した結果ですー」
とー。
「ー憑依薬が蔓延して、誰もが簡単に他人の身体を
乗っ取ることができるようになればー
こうなるんです」
真桜の言葉に、英輔は呆然としながら、
窓から見える景色を見つめるー。
”文明”は崩壊したー。
そう言うにふさわしい光景ー。
先程通って来たスラム街のようなところでは、
永遠にキスをしている二人の女やー、
座ったまま、微動だにしない女ー
そんな光景がここからでも見えるー。
「ーー”男”の姿があまりなかったけどー」
英輔がそう言うと、
真桜は「ー”憑依需要”が、女の方が高かったー。それだけのことです」
と、そう言葉を口にしたー。
三人のうちの一人、ギャル風の紗季は
「ま、女の身体の方がエロいからねー」と、自分の胸を触りながら
「憑依需要があったってわけ」と、笑いながら言ったー。
「ーちょっとー…」
美冬は”紗季も憑依されてみたいじゃん”と、苦笑いしながら、
英輔の方を見たー。
「ーもちろん、男の人に憑依する人もいましたけどー、
最終的に、”男の人”の方が減っている状態ですー」
と、英輔の子孫を語る美冬はそう呟いたー。
「ーーなるほどー」
英輔は頷くー。
「ー憑依薬を飲んで、そのまま抜け殻になった自分の身体を放置して
死なせる人も多くて
人口も激減している状態です」
真桜はそれだけ言うと、
改めて状況を説明したー。
最初は”憑依の蔓延”を抑えようとしたー。
けれど、憑依薬が開発され、それが広がりつつあった世界では
憑依の広がりをどうすることもできず、
警察も、政府の関係者もどんどん憑依されて、
秩序は崩壊したのだとー。
そして、真桜たち”抵抗する人々”が各地で抵抗を
続けているものの、正直”もうどうにもならない”のだというー。
だから、真桜たちは”過去”に遡り、
憑依薬の開発者の先祖を抹殺することで、
歴史を変えようとしていたー。
「ーーー」
だが、ふと英輔はあることを疑問に感じて、
それを口にしたー。
「そういえば、どうして君たちは憑依されないんだ?」
とー。
真桜は几帳面で王道な美人という感じだし、
ギャルの紗季も”狙われそう”な感じではあるー。
英輔の子孫だという美冬も眼鏡をかけた美人だー。
「ーーー…あははーそれはね~」
ギャルの紗季がそう言いながら二人を見ると、
真桜がため息をついてから、
「ーーこれです」と、そう言いながら奥の机の上に乗っていた
注射器を手にしたー。
「ーー”憑依”の予防接種とでも言えば分かりやすいでしょうか」
真桜が注射器を手にしながら言うー。
「ーこれを接種していると憑依を防ぐことができるんです」
子孫の美冬がそう呟くー。
「ーー…そんなものがあるなら、こうなる前に手を打てたんじゃないか?」
英輔はさらに疑問を口にするー。
がー、美冬は「ご先祖様の気持ちも分かりますけどー
これは、憑依が広がり始めてから開発されたもので、
まだ量産もできていないんですー」と、寂しそうに言い放ったー。
「ーー…そ、そっかー
あ、あと、”ご先祖様”って言うのはちょっとー」
照れ臭そうに笑う英輔ー。
「ーふふー」
美冬も、面白そうに笑うと、
リーダー格の真桜が言葉を口にしたー。
「ーと、この世界はこんな状況ですー。
ここに留まるのは、あなたにとっても危険ですから、
満足できたら、あなたの時代に戻りましょう」
真桜のその言葉に英輔は今一度、
建物の窓から外を見つめるー
”こんな世界にしてはいけない”
改めて、そう思ったー。
がーー
その時だったー。
”憑依の悪魔どもからー、
この世界を解放するー”
そんな声が響き渡ったー。
「ー!?」
真桜が表情を歪めて、
建物の反対側の方を窓から確認すると、
そこには、不気味な黒いローブのようなものを見に纏った集団が
並んでいたー。
「ーーあ、あれはー?」
英輔もそれを見つめながら表情を歪めるー。
「ーーーー最悪のタイミングにー」
真桜は舌打ちをしながらそう呟くー。
「ー真桜さんー?」
英輔がそう言葉を口にすると、
隣にいた英輔の子孫を名乗る美冬が言葉を口にしたー。
「ー彼らは、わたしたちのような
”まだ憑依されていない”人々を拉致して、
”憑依が支配する世界”のジャマをする人間を
葬っている過激な団体ですー」
美冬が困惑した表情を浮かべながら言うー。
「ーーーそんな団体もー」
英輔が、3階の窓から地上を見つめるー。
黒いローブのようなものを羽織った集団ー。
確かに、まともには見えないー。
「ーーーお前たちのような者がいる限り、
この世界はー…」
黒いローブの男の一人がそう叫ぶー。
するとー、
その集団の背後から、
黒い巫女服のようなものを着た女が姿を現したー。
「ーーーよく聞きなさいー。
わたしは、あなたたちをーー…」
その言葉と同時に、英輔は妙な頭痛を感じるー
”なんだー…?”
表情を歪めていると、
真桜が窓の戸を閉めー、表情を歪めたー。
「ーついにここが見つかってしまったようですー
早くしないと、あなたも、わたしたちも憑依されてしまうかもしれませんー」
真桜が深刻な表情で言うー。
「わ、わかったー。俺の時代に戻ろう」
英輔がそう言うと、
既に、時空転送装置の準備をしていたギャル風の紗季が
「こっちよ!」と、そう叫ぶー。
「ーーー他の職員たちはいいのか!?」
英輔が、真桜・紗季・美冬以外の職員たちの方を見ながら言うー。
「ーー彼女たちも、みんな予防接種は済ませてありますー
それに、時空転送は一度に送れる人数に限界がありますからー」
真桜のその言葉に、英輔は心配そうにしながらも頷きー、
そのまま”2024年”ー…
真桜たちのいる時代から約200年前の”自分の時代”へと戻ったー。
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2024年に戻った英輔たちは、
今後の相談をしていたー。
「ーさっきの黒い巫女みたいな子はー?」
英輔が確認すると、
真桜は言うー。
「アレは、先ほどわたしたちのアジトを襲撃した
団体のリーダーです。
名前は莉愛(りあ)ー。
ーーーただ、彼女は既に憑依されていて、
その身体は別の男に使われている状態です」
真桜がそう説明すると、
「もう時間があまり残されていません」と、そう言葉を口にするー。
英輔の子孫を名乗る美冬は
目に涙を浮かべながら、
「ーわたしたちの世界は、憑依でもう壊滅寸前なんですー。
ご先祖さまー…どうかー。どうか、長岡晋二郎の抹殺に力を貸してくださいー」と、
そう言葉を口にしたー。
「ーーーー」
英輔は表情を歪めるー。
”長岡晋二郎”は、後に憑依薬を開発する研究者の先祖なのだと言うー。
つまり、長岡晋二郎をこの時代で抹殺すれば、
憑依薬の開発も行われなくなり、彼女たちの時代は救われるー。
「ーーーーあたしたちに、力を貸して。お願いー」
ギャル風の紗季も、そんな言葉を口にするー。
英輔は渋った末に、対策チームの他のメンバーと相談すると、
再び真桜の元を訪れたー。
「ー分かったー。長岡晋二郎を確保するー。
君たちの世界を救うために」
英輔はそこまで言うと、
子孫である美冬の方を見て笑ったー。
「ーーあとーーーーー
俺の子孫のためにも、なー」
英輔がそう言うと、美冬は嬉しそうに頷いたー。
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「ーーー長岡晋二郎を確保するための手配はしたー。
今、上の確認を取っていて、確認が取れ次第、
長岡晋二郎を拘束するー」
英輔は、子孫を名乗る美冬と同じ部屋で、
飲み物を飲みながらそう言葉を口にしたー。
「ー本当にありがとうございますー」
美冬が嬉しそうに微笑むー。
「ーーはは、いいさー」
英輔は手にしているコーヒーを一口飲むと、
「君もコーヒー飲むんだなー」と、そう言葉を口にするー。
「ーあはは、ジュースってイメージでしたか?」
美冬がそう言うと、英輔は「いや、別にそういうわけじゃ」と、
苦笑いしながら美冬を見つめるー。
「ーそれにしても、俺に子孫がいるなんて思わなかったよー
ずっと生涯独身だと思ってたし、
30中盤の今でも彼女とかはいないしさ」
英輔がそう言うと、美冬は少し考えてから
「ー人生のネタバレになっちゃうかもしれませんけどー
近いうちに出会ってー、やがて結婚してー
子供も生まれます」と、そう言葉を口にする美冬ー。
「ーーははー…そっか」
英輔は、そう言い放つと、
「ーで、200年後には君に繋がっている、とー」と、そう口にするー。
「はいー。未来の技術で色々調べることができるのでー、
ご先祖様のこともある程度こうして把握した状態で
この時代に来ることができました」
美冬がそう言うと、英輔は少し照れ臭そうに笑うー。
その時だったー。
スマホが鳴るー。
英輔と同じ所属チームの人間だー。
「ーーん、わかったー。
では長岡晋二郎の確保に入ろうー」
英輔はそう返事をして、少し会話を続けると
スマホでの会話を終えてから美冬の方を見つめたー。
「ー”許可”が下りたよー」
とー。
「ーよかったー。これで、わたしたちの時代も救われると思います」
美冬がそう言いながら、歩き出すー。
「ーー…」
英輔は、少しだけ不安そうに表情を歪めながら
”不安”を口にするー。
「ー君たちが消えちゃったりはしないよな?」
とー。
「歴史を変えることによって、多分未来にも色々影響が出ると
思うんだけどー、君達が消えてしまったりってことはー…」
英輔が不安そうに言うと、
美冬は少しだけ笑ってから振り返ったー。
「大丈夫ですー。”シミュレーション”して来ましたからー。
前にも言った通り、
影響を最小限に抑えることができるのが、
”この時代で、憑依薬開発者の祖先を消すこと”なんですー。
もちろんー…間接的に色々影響は出ますけど、
憑依薬が蔓延しない以外には、大きな影響は出ませんー
わたしも、真桜も紗季も、ちゃんと存在できるはずです」
美冬がそう言い放つと、
英輔は「ーそれならー」と、安心した様子で頷くと、
「長岡晋二郎を確保しよう」と、そう言葉を口にしたー。
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後日ー
”長岡晋二郎”の確保に成功したー。
「ーーい、いったい、どういうことですか!?」
”お金持ちの息子”と言った様子の30代の男ー
それが、長岡晋二郎だー。
拘束された晋二郎は戸惑いの声を上げているー。
父親の会社で不正はしているようで、
善人ではないー。
しかし、”命を奪われる”ほどのことを
していないのも事実ー。
英輔は少しだけ表情を曇らせるー。
彼自身は、憑依薬の開発者ではないー。
正確には彼の息子の次男が、その
”憑依薬を後に開発することになる研究者”のようだー。
「ー…長岡晋二郎を抹殺するしか、道はありません」
未来からやってきた三人のリーダー格・真桜が言うー。
「ーーー…この人を、ずっと隔離施設とかで生活させる方法はー?
子供を作らなければ、その子孫とやらも生まれないはず」
英輔が、真桜にそう言うと、
真桜の横にいたギャル風の紗季が首を振ったー。
「ーーそれをやると、”未来への影響”が大きくなっちゃうからね~」
と、そう言いながらー。
”隔離している時間”が長くなればなるほど、
”わずかな揺らぎ”が未来に生じて色々なことが変わってしまうのだと言うー。
「ーここでさっくり処分するしかないってこと」
ギャル風の紗季の言葉に、
英輔は戸惑いながらも、拘束されて喚いている長岡晋二郎の方を今一度見つめるー。
「ーーーーもちろん、辛い決断だとは分かってますー。
でも、どうかー」
子孫を名乗る美冬が申し訳なさそうにしながら
そう言葉を口にすると、
英輔は、未来での光景を思い出すー。
まさに、荒れ放題の世界だったー。
約200年後にはああなってしまうなんて、信じられないー。
けれどー、あれは紛れもなく事実だったー。
「ーー未来のためにー、
決断をお願いしますー」
リーダー格の真桜も、そう言葉を口にするとぺこりと頭を下げるー。
「ーーー」
迷う英輔ー。
迷いながらも、英輔は
「分かったー。彼を抹殺するかどうか、上とも相談するー」と、
そう言葉を口にするー。
「ーーありがとうございますー」
頭を下げている真桜は、そう言葉を口にするとー
ーーーー頭を下げたまま、
不気味な笑みを浮かべたー
③へ続く
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コメント
次回が最終回デス~!☆
憑依で壊滅した未来を無事に救うことは
できるのでしょうか~?☆
結末は明日のお楽しみデス!
今日もありがとうございました~!

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