<憑依>あなたの身体 気にいった②~追跡~

下校中に女幽霊に目をつけられてしまった
女子高生ー。

なんとか一度は振り切ることに成功するもー?

・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーごちそうさま~」
帰宅後、雪乃はしばらく女幽霊のことが忘れられずに、
怖い思いをしていたものの、
時間の経過と共に少しずつ落ち着いてきて、
晩御飯を終えた頃には、だいぶ、気持ちも楽になってきていたー。

家に入る前にも、ちゃんと周囲は確認したし、
あの女幽霊はついてきてはいなかったー。

「今頃、誰か違う子の身体を奪ってるのかなー…」
雪乃はそんなことを思いながら、
自分の部屋でいつものように過ごすー。

ガタッー

「ーー!」
雪乃はビクッとして、スマホを置いて、
部屋の窓のほうを見つめるー。

だがー
窓が偶然物音を立てただけで、
あの女幽霊の姿はそこにはなかったー

「ホッー……」
雪乃は、深呼吸を繰り返すと
”大丈夫ー”と、何度も呟くー

いい加減そうな幽霊だったし、
雪乃のことを見失えば、また街中で見かけた別の子に
ターゲットを変えそうな感じだったー。

雪乃に執着する理由もないだろうし、
そんなことはしないだろうー。

だがーー
雪乃の判断は、間違っていたー。

”み~つけた…”
先程の窓の音は関係なかったがー
たった今、幽霊は雪乃を発見してしまっていたー。

「ーーーーー」
雪乃が、友達の琴菜(ことな)とメッセージのやり取りをしていると、
雪乃は少し眠たそうにしながら、
トイレにでも行こうと思ったのか、自分の部屋の扉を開けて、
そのまま外に出ようとしたー。

その時だったー

扉を開くと同時に、扉の前に立っていた女幽霊と鉢合わせしたー

「ーきゃあああああああああああああっ!?!?!?!?」
悲鳴を上げると同時に、雪乃は
”2度目の憑依”をされてしまったー。

「ーーーーーー雪乃!?どうしたの!?」
雪乃の悲鳴を聞いて、1階にいた母親が
すぐに駆け付けたー。

「ーーあ、ごめんごめんー」
雪乃が微笑むー。

母親が雪乃の部屋に駆け付けた時には、
雪乃は”いつも通り”だったー

「ーホラー映画見てたら、びっくりしちゃってー」
雪乃がスマホを手にしながら微笑むー。

「ーーは~~…びっくりしたじゃないー」
母親がそう言うと、雪乃は「ごめんね」と、悪戯っぽく笑ったー

「ーでもまぁ、無事でよかった」
母親はそれだけ言うと、そのまま雪野の部屋から
立ち去っていくー

クスッと笑う雪乃ー

「ーーあなたの身体、貰ったわー」
雪乃は嬉しそうに、鏡に向かってそう呟くと、
早速髪型をいじり始めるー。

「ーー今のままでも十分可愛いけどー
 わたしがもっと可愛くしてあげるわー」

そんな風に呟きながら、これから外出予定もないのに、
勝手にメイクも始める雪乃ー。

「ーーふふふふ…やっぱ…生身の身体っていいわね」
口紅を塗った唇を見つめながら、
嬉しそうに微笑む雪乃ー。

「ーー……え~っと、そうだー
 この子ー」

雪乃はそう呟きながら、
スマホを確認するー

「ーーーー…暗証番号ー」
スマホを見つめながら雪乃はそう呟くと、

「ーーー…そう」と、頷いて、
暗証番号を入力したー。

雪乃が笑みを浮かべるー。

スマホを確認しながらー
「彼氏はいなかったね」と、呟くと、
「ーーどんな男がいいかしらー」と、
明日の高校で”物色”しようと、雪乃は笑みを浮かべたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーーーーー!!!!!」
雪乃がバッと起き上がるー。

翌朝ー

「ーーって!!!」
雪乃は、いつも自分が起きる時間よりも20分も
遅れていることに気付いて
「遅刻しちゃう!」と、叫ぶー

「ーーーあら…」
部屋から飛び出て行った雪乃を見つめながら、
再び雪乃の身体からはじき出されてしまった
女幽霊は戸惑いの表情を浮かべたー。

「ーーーー…そう…まだ…足りないのねー」
女幽霊は”寝ていた”から、はじき出されたと理解したー

昨夜ー雪乃の身体で色々なことを調べたり、
久しぶりの生身の身体を堪能していたりして、
眠くなった女幽霊は、
雪乃の身体で眠りについたー

だが、翌朝の今日ー、
雪乃の意識が先に目を覚ましたために、
再び雪乃が自分の身体を取り戻したのだー。

「ーーー絶対に、あなたの身体、手に入れて見せるー」
女幽霊はそう呟くと、笑みを浮かべたー。

一方、雪乃は”遅刻しちゃう”ということで必死に
なっていたものの、ふと
「あれ…そういえば昨日ー…」と、考え込むー。

”寝落ちした”
寝ぼけていたこともあり、一瞬、そんな風にも思ったが
”そういえばー…”と、昨日の女幽霊のことを思い出すー。

そしてー

「ーーーえ…わたし、そういえば、トイレに行こうとした時ー…」

部屋の扉を開けたら、目の前に女幽霊がいて、
悲鳴を上げたことも同時に思い出した雪乃は
青ざめた顔色で、周囲を見渡すー

「ま…まさか、またわたし…取り憑かれてたの…?」
雪乃は困惑しながらも、
”でも、寝落ちかもしれないしー”と、慌てて
学校に向かう準備をするー。

”女幽霊と鉢合わせした直後”に憑依されたため、
2度目の憑依は”夢”かどうか、
雪乃の中でハッキリと自信を持つことができなかったー。

もしかしたら夢かもしれないし、
もしかしたら現実だったかもしれないー。

人は、都合の良い方に考える生き物である故にー、
雪乃は「きっと…夢だったんだよね」と、
昨日の夜、自分は寝落ちしただけであると
解釈してしまうー。

「ーいってきま~す!」

雪乃は学校に向かう準備を慌てて済ませると
”でも、わたし、どうして目覚ましもセットしてなかったんだろう”と
戸惑うー。

「ーー…う~ん…寝落ちしたからかな…」

雪乃はいつも”ヤバい!寝ちゃいそう!”と思った時には
先にスマホのアラーム機能で目覚ましをセットしておくように
しているー。

だが、今朝、寝坊したことからも分かるように、
昨日の夜、雪乃は”それ”をしなかったー。

自分自身でも”何でだろう…”と首を傾げながらも、
それでも、”あの女幽霊”のことは、
あまりにも非現実的すぎたからか、
考えようとしなかったー。

”ーーー…ふふふふ… 
 わたしは、気に入った相手は、逃がさないからー”

女幽霊は、浮遊しながら雪乃のあとをつけていたー。

女幽霊が”雪乃との接触”を望んでいない状態では、
雪乃からその姿が見えたり、声が聞こえたりすることはないー。

学校に到着した雪乃は、
いつも通り、授業を受けていたー。

親友の琴菜といつものように楽しくお話をしたり、
授業の合間には他の友達と話したりー、

そうこうしているうちに、いつも通り
昼休みを迎えたー。

「ーーー」
これから昼食を食べる雪乃は、トイレで手を洗っていると、
後から親友の琴菜が入ってきたー

「あ、琴菜ー。
 琴菜もこれから食べるの?」
雪乃がそんな琴菜に声を掛けると、
琴菜は静かに微笑んだー

「ーーええ」
とー。

「ーーー?」
雪乃は、琴菜の返事に違和感を感じたー。

「ーーー!!!!!」
その時だったー
鏡に”雪乃”と”琴菜”ではなくー
”雪乃”と”女幽霊”が映っていることに気付くー

「ーーあら、バレちゃった?」
琴菜が不気味に笑みを浮かべるー。

「ーーあなたにもっと”しっかり”憑依するために、
 直接乗り移ろうと思ってー」
琴菜はそう言うと、「だから、この子の身体を借りてるの」と、
笑みを浮かべたー

雪乃は「き…昨日のー…」と、震えながら
女子トイレの外に逃げ出そうとするー。

だがー
琴菜に腕を掴まれた雪乃は、
そのまま琴菜にキスをされてしまうー

「ーーーむぐっ…」
琴菜にキスをされた雪乃は、驚いた表情を浮かべながらも、
抵抗することが出来ず、そのまま琴菜とのキスを続けさせられてしまうー

やがて、琴菜がその場に倒れ込むと、
雪乃は不気味な笑みを浮かべたー

「ふ~~~~…こうやって入り込めば、少しは
 身体の支配も強まるかしら」

トイレに倒れ込んだ琴菜を見つめながら
雪乃は笑みを浮かべると
「ーどうしたの?大丈夫?」と、”何も知らない雰囲気”を
装いながら琴菜を起こしたー

琴菜は、自分がトイレで倒れていたことに気付き、
悲鳴を上げると、
憑依された雪乃は、そのまま「大丈夫だよ」と、
静かに微笑み、心配そうにしている琴菜を
ひとまず保健室へと運んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

保健室から出た雪乃は、
教室に戻ると、教室にいるクラスメイト達を見て、
笑みを浮かべるー

「ーーやっぱ、若いっていいわね…ふふ」
雪乃は、周囲を見渡しながら
すぅっ、と教室の空気を吸ってから
嬉しそうに笑みを浮かべるー。

「ーーどうしたの?」
教室に入ってくると同時にいきなり深呼吸した雪乃を見て
笑う友達ー。

「ーーふふふ…別に」
雪乃はそう呟くと、
教室の机を触り、次に制服を触りー
黒板のほうをうっとりとした表情で見つめてー
「ーわたし…生きてるー」と、嬉しそうに笑うー。

「ーーふふ…うふふ…ふふふふふふふふ♡」
一人奇妙な笑い声をあげはじめた雪乃を見て、
周囲のクラスメイトたちは、困惑の表情を浮かべることしか
できなかったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー………」

夜ー
学校を出た雪乃は、家には帰らず、
ゲームセンターでゲームに夢中になっていたー

「ーーもう!こら!負けないわよ!!」
大声で叫びながら格闘ゲームを遊んでいる雪乃ー

格闘ゲームに飽きると、クレーンゲームを遊んだり、
じゃんけんゲームで遊んだり、いろいろなゲームを遊んでいくー

「あ~~~!生きてるって感じがして最高!」
雪乃が嬉しそうに叫ぶとー、
そこに金髪の男が近づいてきて、笑みを浮かべたー。

「あれれ~?今、一人?」
そんな男の言葉に、雪乃は「そうよ」と、笑みを浮かべるー。

妙に色っぽい雰囲気の雪乃に、
男はニヤニヤと好奇心を見せるー。

「ーなぁなぁ、ちょっとカラオケでもいかない?」
男の言葉に、雪乃は「カラオケー?ふふ、面白そうね」と、
笑みを浮かべるー。

「ーーお嬢ちゃん、高校生だよなー?
 その割になんか、大人っぽくね?」

金髪の男がそう言うと、
雪乃は「ふふふ…♡」と、甘い笑みを浮かべたー。

だがー
その直後ー

雪乃が急に、ふらっと、立ち眩みのようなものを感じてー
雪乃に憑依していた女幽霊が雪乃の身体から飛び出したー。

「ーーえ!?…え?」
意識を取り戻した雪乃が、
突然夜になっていて、
しかもゲームセンターにいたことに驚くー

「ーーへへへ…どうしたんだよ?」
金髪の男の言葉に、怯えたような表情を浮かべる雪乃ー。

”あららー…ちょっと遊びすぎちゃったかしら”
女幽霊はそんな風に思うと、
”この子はわたしのものだからー…とっちゃだめよー”と、
金髪の男にやむを得ず憑依して、
そのまま雪乃を逃がしたー。

「ーーーはぁ…はぁ… なんで…急に夜になってるのー?」
震える雪乃ー。

絶対、あの幽霊のせいだー。
そう思いながら、雪乃はキョロキョロ周囲を見渡すも、
怪しい姿はないー。

雪乃は、不安な気持ちでいっぱいになって、
そのまま早足で自宅へと向かうのだったー。

「ーーー…男に憑依する趣味はないんだけど」
女幽霊が金髪男の身体から抜け出すと、
再び雪乃のことを思い浮かべるー。

「ーーあの子の身体を貰うにはー
 まだまだ時間がかかりそうねー」

そう呟いた女幽霊は、静かに意味深な笑みを浮かべたー。

③へ続く

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謎の女幽霊から逃げ切ることはできるのでしょうか~?
続きはまた明日デス~!

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