<憑依>精神年齢4歳②~混乱~

文化祭を楽しんでいる最中の
女子大生に4歳の少女が
憑依してしまった…!

彼女の親友は、戸惑いながらも、
いったん自宅に引き返すことに…。

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「--マジ?」
男子大学生の昇が、唖然としている。

「うん…」
益美が言う。

益美の親友・涼花に
たまたま文化祭に来ていた4歳の少女・香里が
憑依してしまったー

益美は、いったん涼花を益美の家に
連れていき、
なんとか対策を練ろうとしていたが
友人の昇に見つかってしまったため、
仕方なく状況を説明したー

「--……」
昇は、唖然としながら涼花のほうを見る。

「あ、お兄ちゃん!ハゲー!」
笑いながら涼花が昇の頭を指さす。

昇は坊主頭だった。
ハゲているわけではない。

「--は、、ハゲ?」
昇が口を開いているー

「ぷっ」
益美が笑う。

「--おいこら!今笑ったな?
 おばさんのくせに!」
昇が顔を赤くしながら言うと、
益美は「なによ!このハゲー!」と叫ぶ。

「ハゲー!」
涼花がきゃっきゃっ笑いながら言う。

「ハゲじゃねー!」
昇は叫んだー

・・・・・・・・・・・・・・

とりあえず、昇になんとか理解してもらって
協力してもらいながら、
益美は、益美の自宅に涼花を
連れてきたー

「そういえば、涼花がわたしの家に来るのって
 何気に初めてだよね?」

益美が言う。

「---って…こらー!」
益美は叫んだ。

涼花が、益美の家のものを
面白がってあちらこちら触っている。

「勝手に触っちゃダメー!」
益美は叫ぶー。

「--わ~!」
涼花ははしゃいで部屋の中を
走り回るー。

「--と、とにかく」
益美は”まず、着替えさせなくちゃ”と思うー。

涼花は大学でおもらしをしている。
臭いがするし、このままいさせるわけには
いかないー

「ま…まず、お風呂に入ってきなさい」
益美が言う。

だがー
涼花は、立ち止まったまま。

「---…」
益美が涼花のほうを見る。

そして、ハッとしたー

”4歳の子ー…
 そっか、お風呂には一人で入らないー”

とー。

「----……!!」
益美は顔を真っ赤にしたー

「(え…わたしが、涼花のこと洗うの…?)」

ドキドキしながら益美は
涼花から目を背けるー。

益美はー
男子のことも好きになるが、
たまに同性のことも好きになるー
恋愛の好き、、ではないと思うけれども、
涼花に対しては憧れのような感情も抱いていた。

「--わ、、たしが、、りょうかを…洗う…?」
益美の心臓が高鳴る。

「お、、おばさん?」
涼花が笑いながら益美のほうを見る。

「わ、、わた、しが、りょうかを…
 えへ・・えへへへへへ♡」
益美はニヤニヤしながら、涼花のほうを見る。

「よーし!おねーちゃんが、洗ってあげる!」
益美はそう叫んだー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

お風呂から出てきたふたりー。
益美は満足そうにご機嫌だ。
涼花は、裸のまま部屋をうろうろし始めるー

「ちょ、ちょ、ちょっと!洋服ぐらい着なさい!」
益美が叫ぶー。

涼花は「え~?」と面倒臭そうにしているー

益美は、自分の着替えを済ませると、
自分が最近使っていない服を
探して、それを涼花に着させたー

同じ年齢の子を
お風呂に入れてあげて
しかも服を着させてあげることになるなんてー

「---…こんなのしか、ないけど…」
益美が苦笑いする。

ロリっぽい服を着させるー

涼花が、本当に子供になってしまったかのようだー。

「---きゃはははははは!」
お風呂から出た涼花が
部屋の中を走り回っているー。

「がおーっ!」
怪獣のおもちゃを持って嬉しそうに叫ぶ涼花。

「こ、こら!あんまりうるさくしないで!」
益美が注意するが、
涼花は聞く耳を持たない。

「がおー! とりゃあー!」
ヒーローの人形と怪獣のおもちゃを持って
嬉しそうにしている涼花。

ふだん、クールな涼花のこんな姿を
見ることになるなんて、と益美は困り果てているー。

「--とりあえず、おもらしの対処は終わったし、
 次は元通りにする方法ね…」
益美は走り回っている涼花を
見つめながら、涼花を元通りに
する方法を考え始めたー

スマホで検索してみるー

”憑依 もとに戻す”

しかしー
表示されたのは、
憑依モノ小説ばかりー

「ちがーう!」
益美は思わず叫んだ。

「---こ、こうなったら…」
ネットで検索しても、憑依モノの小説とか
イラストしか出てこないー

「--知恵袋をつかおっと!」
益美は、オフー知恵袋のサイトを使って
質問してみたー。

”友達が小さい女の子に憑依されてしまいました
 どうすればもとに戻せるでしょうか?”

するとー
すぐに答えが返ってきたー

”面白いお話ですね。そのお話はどこで読めますか?”

”ぐぐれ!”

”現実と妄想の区別がつかなくなっちゃったのかな”

”牛乳とコーラを混ぜて一気飲みすると元に戻れるみたいですよ!”

役に立たない答えばかりー

「--あぁ、もう!」
益美がスマホを机の上に置いて
頭を抱えるー

確かに、他人の身体に憑依できてしまう、なんてこと
聞いたことがない。
ふざけていると思われても、無理はないのかもしれない。

♪~

「--!?」
益美が玄関のほうを見る。
インターホンがなったー。

”こんなときに誰?”

益美はそう思いながら
はしゃぐ涼花に「静かにして」と
声をかけながら玄関のほうに向かう。

「--ちょっと!うるさいんですけど!」
アパートの隣の住人だったー

「あ…はぁ…すみません」
益美が頭を下げる。

隣の住人の久保田さん。
口うるさいおばさんで近所でも有名だー。
確かに今は涼花が騒いでいてうるさいから
こっちが悪いけれど、
必要以上にがみがみ言われる可能性もあるー

「---子供を騒がせないで頂戴!」
久保田さんが叫ぶ。

「---…」
益美が背後を見つめる。
久保田さんも益美の背後を見つめる。

「がおーーーーーっ!!!」
はしゃぐ涼花。

「え…」
久保田さんが唖然としている。

益美の部屋で騒いでいるのは
子供だと思っていたのだ。

「---あ…これは、、、えっと」
益美が苦笑いしながら久保田さんのほうを見ると
久保田さんは顔を真っ赤にしていたー。
怒っている。

「--ちょっと!あんたたち!年いくつなの!」

騒いでいたのが子供ではなく
益美と同じ大学生だと気づいた久保田さんは
より怒りをエスカレートさせていたー。

「--こ、これは、、その…」
益美が戸惑っていると、
涼花が玄関のほうに走ってきたー

「あ、おねえちゃん!あそぼー!」
涼花が久保田さんに言う。

「---」
久保田さんが涼花を睨む。

「あそぼーよ!おねえちゃん!」
涼花が笑うー

益美は頭を抱えながら”おわった”と
首を振るー

しかしー

「あらぁ…おねえちゃんだなんて、、まぁ~!」
久保田さんが、嬉しそうに顔を赤らめている。

”ちょっと…おねえちゃんは無理があるでしょ?”
益美は内心で突っ込む。

「--ちょっとだけなら許しちゃおうかしら~!
 おほほほほほ」
久保田さんが途端にご機嫌になって
嬉しそうに立ち去っていくー

「--ちょっとちょっと、」
益美は、”どう見てもおばさんでしょ”と思いながら
久保田さんを撃退できたことに
胸をなでおろすー。

「--でさ」
玄関の扉を閉めた益美が呟く。

「-あ、おばさん!あそぼー!」
涼花が笑いながら言う。

「なんで、あのおばさんがおねえちゃんで
 わたしがおばさんなのよ!」
益美がぷるぷる震えながら叫んだー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜になってしまったー

涼花を元に戻す方法は分からない。
益美はさすがに疲れてきてしまっていたー。

ネットで調べても、
フィクションのお話しか出てこないし、
実際に憑依されてしまいました!なんてお話は
やはりというべきか、
存在していないー。

「--もう…どうしてわたしがこんな目に」
涼花のほうを見つめる益美。

涼花は穏やか寝息を立てている。

中身が香里という少女だからだろうか。
夜の早い時間には眠いと言い始めて、
すやすやと眠ってしまったー

「--……」
益美は涼花の寝顔を見ながら思うー。

「---まぁ…もとに戻してあげないとね…」

とー。

涼花は親友だし、
元はと言えば、自分が水晶玉を拾って来たから
こんなことになってしまったのかもしれない。

「---」
益美は水晶玉を拾った場所を考えるー

あんなもの、落とすわけがない。
と、いうことは誰かがあそこに置いたか、
あるいは忘れたかー

「---明日、確認してみなくちゃ」
益美は呟いた。

水晶玉の持ち主が見つかれば、
涼花を元に戻す方法もわかるかもしれないー。

「---まま~…!」
涼花が声を出したー。

「---?」
益美が涼花のほうを見るー

「まま~…おしっこでちゃった~」
涼花が子供のように泣きながら言う。

「--って、ちょっと!」
益美が叫ぶー

涼花は盛大に布団の上に
おもらししてしまっていたー

「も~~~!!!」
益美は、うんざりしながら、
涼花のほうに向かっていき、
そして、片付けを始めるのだったー

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

翌日ー

益美は、寝不足の状態で
大学にやってきたー。

「はぁぁぁ…」
益美はため息をつくー

結局、昨日はまともにぐっすりと眠ることが
できなかったー。

「--だいじょうぶか?」
友人の昇が言う。

「--だいじょうぶじゃない」
益美はそう返事をした。

「--ははは、育児疲れってやつか」
お調子者の昇の声が
キンキンと頭に響く。

とにかく今は、黙ってほしかった。

一晩寝れば、涼花はもとに戻っているのではないか、と
益美はちょっと期待していたが
そんなことはなく、朝になっても「おばさん!」と
涼花は無邪気な笑みを浮かべているだけだった。

そんな涼花を、益美は留守番させて
大学にやってきた。
涼花のことは、体調不良と連絡を受けた、ということにして
大学は休ませておいた。

精神年齢が4歳の子の状態で
大学に連れてくるのは、さすがにまずい。

「--…」
益美は、空き時間に、昨日、水晶玉を見つけた
ほぼ使われることのない講義室にやってきたー

「ここに、誰かがアレを置いたのだとすればー」
益美がそう呟いていると、人の気配がしたー。

「--誰!?」
益美が驚いて叫ぶ。

するとー
講義室の端っこのほうに
体育座りしている女子の姿があったー

同じ大学に通う、静宮 黒江(しずみや くろえ)
とても美人なのだが
オカルトの研究に夢中で、人を寄せ付けないオーラがある

「そ、そんなところで何してるの…?」
益美が驚きながら言うと、
黒江は呟いた。

「昨日…ここで…大事なもの…なくしちゃって…」

ぼそぼそと呟く黒江ー。

「---え?大事なもの?」
益美は”もしかして”と思いながら、
口にしたー

「もしかして…水晶玉のこと?」
益美が言うと、
黒江が突然立ち上がった。

「そう!それ!」
とー。

黒江はオカルト関係のことになると
別人のように興奮するタイプだー。

「---え、、、えっ~と…」
益美は、水晶玉を勝手に持ち去ったことに
引け目を感じながら
昨日から、今日までの出来事を
黒江に説明するのだったー

③へ続く

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメント

親友を元に戻すことはできるのでしょうかー。
続きは明日デス!

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