文化祭を楽しんでいる最中の
女子大生に4歳の少女が
憑依してしまった…!
彼女の親友は、戸惑いながらも、
いったん自宅に引き返すことに…。
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「--マジ?」
男子大学生の昇が、唖然としている。
「うん…」
益美が言う。
益美の親友・涼花に
たまたま文化祭に来ていた4歳の少女・香里が
憑依してしまったー
益美は、いったん涼花を益美の家に
連れていき、
なんとか対策を練ろうとしていたが
友人の昇に見つかってしまったため、
仕方なく状況を説明したー
「--……」
昇は、唖然としながら涼花のほうを見る。
「あ、お兄ちゃん!ハゲー!」
笑いながら涼花が昇の頭を指さす。
昇は坊主頭だった。
ハゲているわけではない。
「--は、、ハゲ?」
昇が口を開いているー
「ぷっ」
益美が笑う。
「--おいこら!今笑ったな?
おばさんのくせに!」
昇が顔を赤くしながら言うと、
益美は「なによ!このハゲー!」と叫ぶ。
「ハゲー!」
涼花がきゃっきゃっ笑いながら言う。
「ハゲじゃねー!」
昇は叫んだー
・・・・・・・・・・・・・・
とりあえず、昇になんとか理解してもらって
協力してもらいながら、
益美は、益美の自宅に涼花を
連れてきたー
「そういえば、涼花がわたしの家に来るのって
何気に初めてだよね?」
益美が言う。
「---って…こらー!」
益美は叫んだ。
涼花が、益美の家のものを
面白がってあちらこちら触っている。
「勝手に触っちゃダメー!」
益美は叫ぶー。
「--わ~!」
涼花ははしゃいで部屋の中を
走り回るー。
「--と、とにかく」
益美は”まず、着替えさせなくちゃ”と思うー。
涼花は大学でおもらしをしている。
臭いがするし、このままいさせるわけには
いかないー
「ま…まず、お風呂に入ってきなさい」
益美が言う。
だがー
涼花は、立ち止まったまま。
「---…」
益美が涼花のほうを見る。
そして、ハッとしたー
”4歳の子ー…
そっか、お風呂には一人で入らないー”
とー。
「----……!!」
益美は顔を真っ赤にしたー
「(え…わたしが、涼花のこと洗うの…?)」
ドキドキしながら益美は
涼花から目を背けるー。
益美はー
男子のことも好きになるが、
たまに同性のことも好きになるー
恋愛の好き、、ではないと思うけれども、
涼花に対しては憧れのような感情も抱いていた。
「--わ、、たしが、、りょうかを…洗う…?」
益美の心臓が高鳴る。
「お、、おばさん?」
涼花が笑いながら益美のほうを見る。
「わ、、わた、しが、りょうかを…
えへ・・えへへへへへ♡」
益美はニヤニヤしながら、涼花のほうを見る。
「よーし!おねーちゃんが、洗ってあげる!」
益美はそう叫んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
お風呂から出てきたふたりー。
益美は満足そうにご機嫌だ。
涼花は、裸のまま部屋をうろうろし始めるー
「ちょ、ちょ、ちょっと!洋服ぐらい着なさい!」
益美が叫ぶー。
涼花は「え~?」と面倒臭そうにしているー
益美は、自分の着替えを済ませると、
自分が最近使っていない服を
探して、それを涼花に着させたー
同じ年齢の子を
お風呂に入れてあげて
しかも服を着させてあげることになるなんてー
「---…こんなのしか、ないけど…」
益美が苦笑いする。
ロリっぽい服を着させるー
涼花が、本当に子供になってしまったかのようだー。
「---きゃはははははは!」
お風呂から出た涼花が
部屋の中を走り回っているー。
「がおーっ!」
怪獣のおもちゃを持って嬉しそうに叫ぶ涼花。
「こ、こら!あんまりうるさくしないで!」
益美が注意するが、
涼花は聞く耳を持たない。
「がおー! とりゃあー!」
ヒーローの人形と怪獣のおもちゃを持って
嬉しそうにしている涼花。
ふだん、クールな涼花のこんな姿を
見ることになるなんて、と益美は困り果てているー。
「--とりあえず、おもらしの対処は終わったし、
次は元通りにする方法ね…」
益美は走り回っている涼花を
見つめながら、涼花を元通りに
する方法を考え始めたー
スマホで検索してみるー
”憑依 もとに戻す”
しかしー
表示されたのは、
憑依モノ小説ばかりー
「ちがーう!」
益美は思わず叫んだ。
「---こ、こうなったら…」
ネットで検索しても、憑依モノの小説とか
イラストしか出てこないー
「--知恵袋をつかおっと!」
益美は、オフー知恵袋のサイトを使って
質問してみたー。
”友達が小さい女の子に憑依されてしまいました
どうすればもとに戻せるでしょうか?”
するとー
すぐに答えが返ってきたー
”面白いお話ですね。そのお話はどこで読めますか?”
”ぐぐれ!”
”現実と妄想の区別がつかなくなっちゃったのかな”
”牛乳とコーラを混ぜて一気飲みすると元に戻れるみたいですよ!”
役に立たない答えばかりー
「--あぁ、もう!」
益美がスマホを机の上に置いて
頭を抱えるー
確かに、他人の身体に憑依できてしまう、なんてこと
聞いたことがない。
ふざけていると思われても、無理はないのかもしれない。
♪~
「--!?」
益美が玄関のほうを見る。
インターホンがなったー。
”こんなときに誰?”
益美はそう思いながら
はしゃぐ涼花に「静かにして」と
声をかけながら玄関のほうに向かう。
「--ちょっと!うるさいんですけど!」
アパートの隣の住人だったー
「あ…はぁ…すみません」
益美が頭を下げる。
隣の住人の久保田さん。
口うるさいおばさんで近所でも有名だー。
確かに今は涼花が騒いでいてうるさいから
こっちが悪いけれど、
必要以上にがみがみ言われる可能性もあるー
「---子供を騒がせないで頂戴!」
久保田さんが叫ぶ。
「---…」
益美が背後を見つめる。
久保田さんも益美の背後を見つめる。
「がおーーーーーっ!!!」
はしゃぐ涼花。
「え…」
久保田さんが唖然としている。
益美の部屋で騒いでいるのは
子供だと思っていたのだ。
「---あ…これは、、、えっと」
益美が苦笑いしながら久保田さんのほうを見ると
久保田さんは顔を真っ赤にしていたー。
怒っている。
「--ちょっと!あんたたち!年いくつなの!」
騒いでいたのが子供ではなく
益美と同じ大学生だと気づいた久保田さんは
より怒りをエスカレートさせていたー。
「--こ、これは、、その…」
益美が戸惑っていると、
涼花が玄関のほうに走ってきたー
「あ、おねえちゃん!あそぼー!」
涼花が久保田さんに言う。
「---」
久保田さんが涼花を睨む。
「あそぼーよ!おねえちゃん!」
涼花が笑うー
益美は頭を抱えながら”おわった”と
首を振るー
しかしー
「あらぁ…おねえちゃんだなんて、、まぁ~!」
久保田さんが、嬉しそうに顔を赤らめている。
”ちょっと…おねえちゃんは無理があるでしょ?”
益美は内心で突っ込む。
「--ちょっとだけなら許しちゃおうかしら~!
おほほほほほ」
久保田さんが途端にご機嫌になって
嬉しそうに立ち去っていくー
「--ちょっとちょっと、」
益美は、”どう見てもおばさんでしょ”と思いながら
久保田さんを撃退できたことに
胸をなでおろすー。
「--でさ」
玄関の扉を閉めた益美が呟く。
「-あ、おばさん!あそぼー!」
涼花が笑いながら言う。
「なんで、あのおばさんがおねえちゃんで
わたしがおばさんなのよ!」
益美がぷるぷる震えながら叫んだー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜になってしまったー
涼花を元に戻す方法は分からない。
益美はさすがに疲れてきてしまっていたー。
ネットで調べても、
フィクションのお話しか出てこないし、
実際に憑依されてしまいました!なんてお話は
やはりというべきか、
存在していないー。
「--もう…どうしてわたしがこんな目に」
涼花のほうを見つめる益美。
涼花は穏やか寝息を立てている。
中身が香里という少女だからだろうか。
夜の早い時間には眠いと言い始めて、
すやすやと眠ってしまったー
「--……」
益美は涼花の寝顔を見ながら思うー。
「---まぁ…もとに戻してあげないとね…」
とー。
涼花は親友だし、
元はと言えば、自分が水晶玉を拾って来たから
こんなことになってしまったのかもしれない。
「---」
益美は水晶玉を拾った場所を考えるー
あんなもの、落とすわけがない。
と、いうことは誰かがあそこに置いたか、
あるいは忘れたかー
「---明日、確認してみなくちゃ」
益美は呟いた。
水晶玉の持ち主が見つかれば、
涼花を元に戻す方法もわかるかもしれないー。
「---まま~…!」
涼花が声を出したー。
「---?」
益美が涼花のほうを見るー
「まま~…おしっこでちゃった~」
涼花が子供のように泣きながら言う。
「--って、ちょっと!」
益美が叫ぶー
涼花は盛大に布団の上に
おもらししてしまっていたー
「も~~~!!!」
益美は、うんざりしながら、
涼花のほうに向かっていき、
そして、片付けを始めるのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
益美は、寝不足の状態で
大学にやってきたー。
「はぁぁぁ…」
益美はため息をつくー
結局、昨日はまともにぐっすりと眠ることが
できなかったー。
「--だいじょうぶか?」
友人の昇が言う。
「--だいじょうぶじゃない」
益美はそう返事をした。
「--ははは、育児疲れってやつか」
お調子者の昇の声が
キンキンと頭に響く。
とにかく今は、黙ってほしかった。
一晩寝れば、涼花はもとに戻っているのではないか、と
益美はちょっと期待していたが
そんなことはなく、朝になっても「おばさん!」と
涼花は無邪気な笑みを浮かべているだけだった。
そんな涼花を、益美は留守番させて
大学にやってきた。
涼花のことは、体調不良と連絡を受けた、ということにして
大学は休ませておいた。
精神年齢が4歳の子の状態で
大学に連れてくるのは、さすがにまずい。
「--…」
益美は、空き時間に、昨日、水晶玉を見つけた
ほぼ使われることのない講義室にやってきたー
「ここに、誰かがアレを置いたのだとすればー」
益美がそう呟いていると、人の気配がしたー。
「--誰!?」
益美が驚いて叫ぶ。
するとー
講義室の端っこのほうに
体育座りしている女子の姿があったー
同じ大学に通う、静宮 黒江(しずみや くろえ)
とても美人なのだが
オカルトの研究に夢中で、人を寄せ付けないオーラがある
「そ、そんなところで何してるの…?」
益美が驚きながら言うと、
黒江は呟いた。
「昨日…ここで…大事なもの…なくしちゃって…」
ぼそぼそと呟く黒江ー。
「---え?大事なもの?」
益美は”もしかして”と思いながら、
口にしたー
「もしかして…水晶玉のこと?」
益美が言うと、
黒江が突然立ち上がった。
「そう!それ!」
とー。
黒江はオカルト関係のことになると
別人のように興奮するタイプだー。
「---え、、、えっ~と…」
益美は、水晶玉を勝手に持ち去ったことに
引け目を感じながら
昨日から、今日までの出来事を
黒江に説明するのだったー
③へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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親友を元に戻すことはできるのでしょうかー。
続きは明日デス!
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