<憑依>精神年齢4歳①~幼稚園児大学生~

20歳の女子大生にー
4歳の幼い子が憑依してしまうー

予想外の出来事に、周囲は…?

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大学の文化祭ー

女子大生の谷原 涼花(たにはら りょうか)は、
友達の皆井 益美(みない ますみ)と何やら話をしている。

益美が、謎の水晶玉を近くで拾ったというのだ。

「これ、絶対なんか神秘的なパワーとかあるやつだよ~」
益美が水晶玉を持ちながら笑うー

文化祭巡りにも少し疲れてきて
休憩スペースで談笑しているふたり

「ただのビー玉じゃない?」
クールで、いつも冷静な涼花が言う。
ただ、どこか抜けている。

「こんな大きいビー玉、あるわけないでしょ!
 これは水晶玉よ!」
益美が言う。

「---ふ~ん」
涼花が苦笑いしながらそれを見つめる。

「--きっと何か特殊な力があるに違いないわ!」
益美は嬉しそうににこにこしながら
それを机に置く。

「--あるといいね~」
涼花は苦笑いしながら水晶玉から
目をそらして、賑わう文化祭を見つめるー

さすがにはしゃぎすぎて少し疲れた。
友達の益美とのんびりしたらー
また少し、うろうろするつもりだが
とりあえず今は一休みしたい。

「--あ~~!!」
近くに子供がやってきたー。
小さな子。
幼稚園児ぐらいだろうか。

「あ、香里~!」
遠くから母親らしき人物が声をかける。
”こっちに戻ってきなさい”と手招きをしているようだー

「きれい~!」
香里と呼ばれた小さな子が、母親を無視して
置いてあった水晶玉を手に取る。

益美が苦笑いしているー。
元気な子だなぁ…なんて思いながら
勝手に益美の拾ってきた水晶玉を手に持って
喜ぶ子供を見つめていた、その時だったー。

!?

香里が消えたー。
水晶玉に吸い込まれるようにしてー

「えっ!?」
益美も、涼花も驚くー

「…い、今の子、これに吸い込まれなかった?」
益美が言うと、
涼花も「う、、うん…そう見えたけど…」と呟く。

顔を合わせる二人ー。

”これ、やばいんじゃ…”と
益美が思うのと同時に、水晶玉が光を放ちー
その光が、涼花を直撃した。

「ひぅっ!?」
涼花がビクンと震えて、
机に伏せてしまうー

「えっ!?ちょっと!?涼花!?」
益美が慌てるー

涼花は机に伏して気を失っているー

そして、その水晶玉はー
砕け散った。

「--!?!?えっ…ちょっと?
 涼花!だいじょうぶ?」

わけがわからないー
益美は困惑していたー

文化祭の楽しんでいた
小さな子・香里が
水晶玉に吸い込まれたと思ったら
今度は水晶玉から光が放たれて
その光にさらされた涼花が気を失ったー
しかも、水晶玉はその直後に砕け散っている。

「い…意味がわかんない…」

益美が、涼花をぽんぽんと叩きながら
そう呟く。

「う……」
涼花が声をあげた。

”よかった”
益美はそう思ったー

とりあえず、無事のようだー

「--あ、、あの!」
さっき消えた子供・香里の母親が
駆け寄ってくる。

「い、いま、こっちのほうに娘が来てませんでしたか?」
母親の言葉に
益美は、どう説明していいか困惑するー

母親は別のことに気を取られていて、
娘が消えた瞬間を見てなかったようだ。

「え…え~っと…」
”ここに置いてあった水晶玉に吸い込まれてしまって
 その水晶玉も砕け散ってしまいました”なんて
説明できないー

頭がおかしいと思われる。

ここは、とりあえずー

「--マ…ママ~」
涼花が声をあげた。

「-!?」
益美と、消えた子供の母親が驚く。

涼花は、子供の母親のほうを見て言った。

「ママ~…おしっこ~」

とー。

「--!?!?!?」
益美も母親もさらに驚いた。

「--り、涼花?何言ってるの?」
益美が苦笑いしながら言う。

「---おしっこいきたいよ~」
涼花が大声で言う。

周囲の学生たちも涼花のほうを
驚いてみているー

女子大生が急に普通の大きさの声で
”おしっこしたい”なんて口にしたら
それはもちろん、驚くだろうー

「---……え、、、えっと」
益美はわけがわからず、
きょろきょろするー

「--え…」
母親も戸惑っている。

「--あ、、え、えと、、ちょっとわたしには
 分からないです ごめんなさい」
益美はとっさにそう返事をしたー

消えた少女・香里の母親は
頭を下げると、そのまま「香里~!」と声を上げて
別の方向に向かったー

「ママ!待って!ママ~!」
涼花が叫ぶ。

「--ちょ、ちょちょちょちょちょっと!」
益美が慌てて涼花を掴むと、
そのまま大学の裏側まで連れていく。

「---り、涼花!急にどうしたの?」
益美が大学裏に到着して、
周囲に人がいないことを確認すると、
涼花に向かってそう言い放ったー

「--りょうかじゃないもん!かおりだもん!」
涼花は無邪気にそう言い放った。

「---え…」
益美はますます混乱する。

涼花じゃない?香里?

益美は、状況を整理するー

最初にー
文化祭に遊びに来ていた親子の子ー
香里という子が水晶玉に近づいてきてー
そして、それに吸い込まれるようにして消えた。

次にー
その水晶玉から光が放たれて
その光に当たった涼花が意識を失ったー

まさかー
吸い込まれた香里という子が、
涼花に入ったー?

”そんなことあるわけ…”

「--ママ、ママはどこ~?」
涼花が言う。

「え、、えっと…」
益美は混乱しながらも
とりあえず、ちょうどバックに入れていた
手鏡を取り出すとそれを涼花に見せた。

「--だ…だれ?このお姉ちゃん…」
涼花が言う。

「--え、、えっとね…
 あなたは、私の友達の涼花…のはずなんだけど…」
益美が言うと、
涼花は叫んだ。
「ちがうもん!わたしはかおりだもん!」
とー。

女子大生の涼花が、まるで
子供のような仕草をしながら叫ぶー

そしてー

「--おばちゃん…おしっこしたい~」
涼花が言う。

「お、、、おば、、、、おば、、、おばちゃん!?」
益美は思わず声を荒げたー

確かに自分は少し老けて見えるかもしれないけれど
これでもまだ20歳だ。
涼花と同い年。

なのになんで涼花は”おねえちゃん”で
わたしは”おばちゃん”なのかー

「あ、、あの、、あのねぇ、
 わたしは、おばちゃんじゃなくて、
 お・ね・え・ち・ゃ・ん!」

益美が震えながらそう言うと、
涼花がーーー

その場で漏らしてしまったー

スカートの中から
水滴が零れ落ちるー

「ち・・・ちょっと!?!?!?やめてよそういうのー!」
益美が叫ぶ。

「ってか、涼花だよね?
 わたしをからかうために、漏らすことまでする??」

益美が涼花に向かって言うと、
涼花は急に泣き出した。

「おしっこもらしちゃったよ~
 うぇええええええん…」
大泣きする涼花。

まるで、本当に幼稚園児が憑依したかのようー

「--ね、、ねぇってば!」
益美が叫ぶー

まさか本当にー?

「--わ、、わかった!わかったから!」
益美は、そう叫ぶと、
周囲を気にしながら
涼花を落ち着かせたー

「---うぅぅぅ…おばちゃん…
 ママはどこ~?」
泣きじゃくる涼花。
臭いもしてきているー

さすがにこれはまずい。

”わ、わたし、どうすればいいの?”
益美は困惑するー

もしも涼花の中に、香里という子が憑依
してしまっている状態なのであれば
このまま放っておくわけにもいかないー

もし、涼花がふざけているならー
もうつきあってられないー

”こんなことになるなら
 あんな水晶玉拾わなきゃよかった”

とほほ、な益美。

けれどー
このまま涼花を歩かせるわけにはいかないー

とりあえずー。

「---」
益美も涼花も一人暮らしだ。
とりあえず、ここは涼花を自分の家に
連れ込むしかない。

益美はそう考えた。

このまま涼花を一人で帰らせるのは
さすがにまずい気がする。

涼花がおふざけで、おもらしまでするわけないし、
おそらく本当に香里という子が
涼花の中に入ってしまっているー

「---り、涼花、わたしの家に一回
 帰りましょ?」

益美がそう言うと、涼花は
頬を膨らませながら
「涼花じゃないもん!香里だもん!」と
ふてくされた態度を見せた。

「も~~~」
益美は、どうすればいいの!という
仕草を見せたあとに「じゃあ香里ちゃん!」と声を出した。

「お姉ちゃんの家に、1回行きましょう!」
そう言うと、
涼花は笑いながら
「おばさんの家~!」ときゃっきゃっはしゃいで見せた。

「おばさんじゃない!!!」
益美が叫ぶ。

だんだん嫌になってきたー

「---あれ?」
ふと、背後から声がした。

「--益美と涼花じゃん!」
ふたりの共通の友人である
男子・貞原 昇(さだはら のぼる)が
偶然通りかかって声をかけた。

「--涼花じゃないもん!香里だもん!」
涼花が頬を膨らませて言う。

「香里?」
昇が不思議そうに首をかしげる。

「あ~~~!いいのいいの!気にしないで!」
益美が昇をさっさと立ち去らせようとする。

昇は悪いやつではないものの
お調子者で口が軽い。
やっかいな奴に見つかったー

益美はそう思った。

「あれ?なんか臭くね?」
昇が笑いながら言う。

涼花が漏らしたことを言ってるのだろう。

「-いいから!早く!どっか行って!」
益美が慌てて叫ぶ。

「え?このにおいって…」
昇がニヤニヤしながら言う。

「こら!それ以上言うと許さないよ!」
益美が昇に言うー

その時だったー

「おにいちゃん!いっしょにあそぼー!」
涼花がはしゃぎながら
昇の腕をつかんだ。

「---!」
益美は、青ざめたー

だめだ、隠せない、終わったー
面倒くさいことになったー

「え?」
昇が涼花のほうを見る。

涼花はキラキラと目を輝かせながら
”おにいちゃんあそぼー!”と
繰り返している。

「--って…」
昇は涼花のほうを見た。

「お前…もしかして…」
涼花が、漏らしてしまったことに
昇も気づいたー

益美は頭を抱えたー

涼花も昇も放り出して
そのままこの場から立ち去り、
文化祭を楽しみたいー

そんな気分にもなってきた。

「---」
益美は、ふたりにばれないように
こっそりと立ち去ろうとしたー

涼花を見捨てるのは、
気が進まないけれどー
これ以上関わっていたくないー

そう思いながらー

「あ、おばちゃんー!まってよー!」
涼花が叫ぶ。

「--ん?」
昇が笑いながら益美のほうを見る。

「-ちょちょちょ、何立ち去ろうとしてるんだよ!」
昇がニヤニヤしながら益美を指さす。

「おばちゃん~!どういう状況なのか
 説明してくれよー!」
昇がふざけて涼花の真似をしている。

「----…あ~…もう!」
益美は自分が逃げられないことを悟った。

しかもー
そもそも自分が拾ってきた水晶玉のせいで
こんなことになっているのだから、
なおのこと、逃げることは
許されなかった。

「---ってか、なんで老け顔のあんたが
 おにいちゃん呼びで
 わたしがおばさんなのよ!」

益美はそう叫びながら
仕方がなく、昇に事情を説明したー

②へ続く

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コメント

4歳の子が、20歳の女子大生に
憑依してしまったお話デスー!

急にこんな風になってしまったら
皆様はどうしますか~?笑

続きはまた明日ー!

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憑依<精神年齢4歳>

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