不気味な遊園地に幽閉されてしまった少女。
彼氏に助けを求めて、出口に辿り着くも…?
明かされる衝撃の真実とは…?
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「---ふ~♡ はぁ~♡」
樹奈は興奮しきった様子で、
ベットに座って足を組むと、
甘い息を吐きながら鏡の方を見た。
「ふふふふふ…♡」
うっとりとした表情で自分の足を触る樹奈。
そんな樹奈に”ノイズ”が聞こえる。
まだ”残っている”
「もう、お前に用はないんだよ」
樹奈は不気味な笑みを浮かべた。
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誰も居ない遊園地ー
そこからの脱出を目指す樹奈と彼氏の清二は、
”出口”に辿り着いていた。
出口を前にして、樹奈は清二の方を見る。
「もう…~~~~~…」
清二が何かを呟いたが
最初の言葉以外は聞き取れなかった。
「……だいじょうぶかなぁ…」
樹奈が不安そうに呟く。
紫色の渦。
飛び込んだら、二度と帰って来れない気がする。
「---…大丈夫だよ。
俺だってこうして遊園地に入って来れたんだし、
潜り抜ければ、遊園地の外に出られるはずさ」
清二が言う。
「--う、うん」
樹奈は不安そうに、遊園地の出口へと近づく。
地面はそこで途切れ、
その先に広がるのは紫色の世界ー
そもそも、この先を歩くことはできるのかー。
地面が途切れている場所より先に
足を進めたら
そのまま、紫の渦巻いている世界に吸い込まれて
2度と戻って来れないのではないかー
そんな不安が樹奈を襲う。
「--…いったい、何が起きてるの?」
樹奈は呟いた。
遊園地には誰もいない。
遊園地の外の空間は、まるで存在しておらず
ここだけ切り取られているかのように、周囲は紫の渦しか存在しないー。
時間が進まないー。
外部に連絡が取れないー。
どう考えても、ふつうじゃない。
「--…さぁ」
清二はそう答えた。
「でも、ひとつだけ分かることがある」
清二は優しく微笑んだ
「いつまでもここにいちゃいけない」
確かにその通りだ。
この遊園地では何かが起きている。
まるで、外界から隔離されているようなー。
早く、出なくてはいけない。
樹奈は意を決して、
”世界が途切れているかのような”
遊園地の出口の方に歩きはじめる。
入場ゲートの向こうはー
何も、ない。
地面はそこで千切れていて、
紫色の異空間のような渦が、
広がっているだけー。
樹奈は一歩一歩、歩いていくー。
「-----…!」
ふと、樹奈の頭に疑問が浮かび上がってきた。
パニックになっていて
そんなことを考える余裕もなかったが、
”どうして、清二にだけ連絡がついたのか”
そしてー
ここに到着してから、清二は対して
この状況を不思議に思う素振りを見せていないー
樹奈は足を止めたー
「どうした?」
清二が口を開く。
清二は、動こうとしない。
”一緒に逃げる”目的なら
清二も一緒に来てくれるはずー。
それなのに、
清二はまるで、樹奈が、この紫の渦に
足を踏み入れるのを待っているかのようだー。
自分は、入ることを避けるかのようだー。
「-----!」
樹奈は”ある大事なこと”を思い出したー
”そういえば、さっきー”
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お昼にパフェを食べ終えた
樹奈と友人の茉鈴・佐子の三人。
「そろそろ空いてきたんじゃない?
ジェットコースター」
茉鈴が言う。
さっきは行列が出来ていたので
後回しにした
ジェットコースター。
それをもう一度見に行くことにした三人。
そのときだったー
「--樹奈!」
背後から、声がした。
「--え?」
樹奈と茉鈴、佐子が振り返ると、
そこには樹奈の彼氏・清二がいた。
2か月前に告白されて
付き合い始めた彼氏。
「あれ?清二?どうしてこんなところにいるの?」
今日はデートの約束もしていないし
偶然とは言え、遊園地で清二と会うなんて。
「--ん?いやぁ、俺も友達と一緒に遊びに来ててさ。
茂木と唐川も一緒だよ」
清二が笑った。
茂木、唐川は、樹奈たちと同じクラスの男子生徒の名前だ。
「--あ、邪魔しちゃ悪いよね!
樹奈、わたしたち、先にジェットコースターの前に
行ってるから!」
佐子が気を利かせてそう言うと、
茉鈴と共に先にジェットコースターの方に向かった。
「---ふふ」
清二が笑う。
「-?」
樹奈が不思議そうな顔をすると
清二は答える。
「--茂木と唐川はいないよ」
とー。
樹奈はその言葉の意味が分からず首をかしげる。
「--俺一人で遊園地に来たんだ。
本当は、月曜日に学校で、って思ったんだけど
”アレ”が届いたから我慢できなくてさ」
「--アレ?」
樹奈が不思議そうに言うと、
清二は微笑んだ。
そして、突然清二が抱き着いてきて
樹奈にキスをしたー
意識が突然遠のいていくー
遠のいていく意識ー
”憑依薬ー”
清二が耳元でそう囁いたー
10分後ー
ジェットコースターの前で
茉鈴と佐子は、
樹奈と合流したー。
樹奈はなんだかとても嬉しそうだった。
「--清二くんとのお話は済んだ~?」
彼氏との関係を茶化す茉鈴。
その言葉を聞いて樹奈は微笑んだ。
「--うん。もう”用”は済んだよ。」
”この身体は、俺のものだー”
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遊園地の出口に向かって
歩いていた樹奈は、足を止めて呟いた。
「-----…ここ、本当に、出口なの?」
樹奈の言葉に
清二は表情を歪める。
「--わたし…思い出したの…
清二…わたしに、何をしたの…?」
樹奈は、意識を失う直前の曖昧な記憶を
ようやく思い出して
清二の方を見た。
清二は遊園地にいたー。
清二に急に抱き着かれてキスをされて
それで意識が遠のいて、
目を覚ましたら、”不気味な世界”にいたー。
「--憑依薬…って、そう言ってたよね?」
樹奈が言うと、
清二はにっこり微笑んだ。
「なんだ…最後の最後まで面倒くせぇやつだな」
笑いながらそう呟く清二。
「…樹奈、俺がお前に告白した理由は
何だか知ってるか?」
樹奈が不思議そうな顔をしていると
清二は樹奈を指さして微笑んだ
「そのエロくて可愛い身体が欲しかったからだよ」
「え…」
樹奈は彼氏からの言葉にショックを受ける。
「俺はお前のエロい身体を手に入れるために
お前に告白したー
お前の身体を奪いたくてさ、
”憑依薬”ってのを買ったんだけどさ、
”相手が心を許している状態”じゃないと
相手の身体を乗っ取る過程で拒絶反応が起きて
俺が逆に消えてしまうー
そう、説明書に書かれていたからさ、
面倒くせぇけどお前に告白して
お前に心を許してもらえるまで我慢したんだよ」
清二はニヤニヤしながら言ったー
告白したのは、樹奈の身体を奪うためー
2か月間付き合ってきたのは、憑依の条件である
”相手に心を許してもらう”を達成するためー
「--も、もしかして…
清二…わ、、わたしに…その、、、
ひ、憑依したの…?」
樹奈が震えながら言うと、
清二は拍手しながら「正解~!」と大声で叫んだ。
「--ここ何だと思う?」
清二が両手を広げながら不気味な
遊園地を見回す。
「ここはお前の精神世界だよ!
なんで遊園地なのかは知らないけど
小さい頃からの思い出の場所なのと
乗っ取られた時にいた場所が遊園地だから…ってとこかな?
ここは現実じゃない。
俺に憑依されて、心の奥底に封じ込められた
お前が作り出した精神世界さ!」
清二はそこまで言うと、
ニヤリと笑みを浮かべて囁いた。
「樹奈ーお前の身体は俺のものだ。
今日から俺が樹奈として生きて行くー」
清二だけがここにやってこれたのはー
樹奈の身体を奪った張本人だからー
樹奈に憑依して、樹奈を乗っ取ったあと、
清二は、”まだ心の奥底に樹奈が残っている”ことに気付いた。
そして、こうして精神世界に入り込んで
樹奈のところにやってきたのだった。
「--せ、、清二…冗談やめてよ…」
樹奈は泣きそうになりながら言う。
「冗談じゃない。お前はもういらない。
俺が欲しかったのはお前の身体だけだ。
中身は、いらない」
清二は冷たく言い放った。
そしてー
清二の姿が変形していきー、
樹奈の姿になる。
「くくく…今日から、俺が樹奈だ!」
可愛らしい声で叫ぶ清二。
「--う、、嘘…わ、、わたしの身体を返して!」
泣き叫ぶ樹奈。
「--うるせぇ!中身はいらねぇってんだろ!
さっさと消えやがれ!」
樹奈の姿をした清二はそう言うと、
樹奈を乱暴に押し飛ばした。
「きゃあ…!」
樹奈は紫の渦の方に飛ばされて、
転落しそうになるー
必死に途切れた地面を掴んで、
宙にぶら下がる樹奈。
上から、清二が樹奈を覗く。
「そこは、出口だよ」
清二がニヤニヤしながら言う。
紫の空間に落っこちそうになる樹奈が
必死に叫ぶ。
「た…たすけて…」
そんな樹奈を見て
樹奈の姿になった清二は笑った。
「そこに落っこちれば、もう何も分からなくなる。
ジャマなお前は消えて
お前の身体は完全に俺のものになる」
樹奈の姿をした清二がケラケラと笑う。
「--大人しくしてればよかったのにさぁ
お前、邪魔なんだよ。
せっかくお前の身体を奪ったのに
頭の中にピーピーお前が叫ぶ声が
聞こえるからさ。」
清二はそこまで言うと、
樹奈に手を差し出した。
樹奈は目に涙を浮かべながら清二の方を見た。
清二は、樹奈の姿ではなく
元の自分の姿に戻っていた。
「ほら、樹奈、俺の手を掴んで」
優しい彼氏の姿ー。
「--せ、清二…」
樹奈は泣きながら呟いた。
普通に考えれば清二が樹奈を
助けるつもりがないことは分かるー。
だがー
樹奈はもうそれすら考えられないほどに追いつめられていた。
憑依されて身体を奪われた樹奈の心は、
”心の密室”とも言える、この遊園地の中に
閉じ込められてしまっているー
ここから出るにはー
清二にすがるしかなかった。
そうでなければ、樹奈は
出口もなく、人もいない
遊園地に永遠に閉じ込めらることになってしまう。
身体を好き放題使われながらー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
自宅ー。
樹奈はニヤニヤしながら
ネットショップでエッチな服や
大人のおもちゃを購入していたー
樹奈は、俺のものだー。
これからは、
女として、存分に快感を味あわせてもらうー
「---ふふふ」
樹奈は興奮しながらネットショップでの注文を
終えると、目をつぶった。
「さてー」
樹奈は椅子に腰かけて足を組むと、微笑んだ。
”そろそろ、消すかー”
目をつぶった樹奈は、
”心の中の世界”の光景を見たー。
そして、呟いたー
「---解放してやるよ、恐怖からー」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---解放してやるよ、恐怖からー」
遊園地ー。
樹奈の手を掴んでいた清二は
笑みを浮かべた。
「--え…」
樹奈は泣きながら清二の方を見た。
「---言っただろ。中身はいらないって。
俺がお前に告白したのは
お前が欲しかったんじゃなくて
お前の可愛くてエロい身体が欲しかっただけだよ。
そうだな…
梅干しを食べる時、タネは捨てるだろ?
それと、同じさ」
そう言うと、清二は、樹奈の手を離した。
樹奈が紫色の渦の中に落ちて行く。
「いやああああああっ!!!」
樹奈は叫ぶー
樹奈の心はー
完全に、”消えた”
清二が笑う。
樹奈の精神世界ー
遊園地が、崩れて行くー。
「ふふふふふふふ…
あははははははははは~~~♡」
自分の部屋で足を組みながら
ゲラゲラと笑う樹奈。
樹奈の心は消したー
これで、身も心も、完全に俺のものだー
「---今日から俺が、、
いいや、わたしが樹奈だ…
くくく、あははは、ひゃははははははは~♡」
完全に樹奈を乗っ取った清二。
樹奈は自分の身体を狂ったように抱きしめて
嬉しそうに笑い続けたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
彼氏の清二に乗っ取られてしまった樹奈。
樹奈の意識は完全に消えてしまい
身体は清二くんのものになってしまいました!
翌日から、樹奈ちゃんの豹変が
始まっちゃうみたいですネ…!ふふふ
お読み下さりありがとうございました~!
コメント
清二は文字通り、身体目当てで付き合ってる最低な彼氏ですね(笑)。
ところで、紫色の渦の中に落ちると、精神が消えてしまうようですが、もし、清二の方が落ちたなら、清二の精神が消えて、樹奈は憑依から開放されたんですかね? あるいは、二人一緒に落ちたなら、二人の精神が同時に消えて、樹奈の身体は抜け殻になってしまうんでしょうか?
それにしても、憑依対象の相手が心を許している状態じゃないと、相手の身体を乗っ取る過程で拒絶反応が起きて、憑依人が逆に消えてしまうという、この作品の憑依薬の設定は他の話ではない、かなり独特な感じがあって、面白くていいですね。
懐かしいお話へのコメント!
ありがとうございます~!☆
そうですネ~!
清二の方が転落していれば、助かることができたかもしれません~!
この作品での憑依は、随分と手間がかかっていますネ…笑