とある女弁護士ー
若手ながら優秀な弁護士で、
美人弁護士として注目を集めていた。
しかし…
※リクエスト作品です!
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羽守 杏子(はもり きょうこ)は、
優秀な女性弁護士だった。
異例の若さで、弁護士の世界に足を踏み入れ、
美人弁護士として、その厳しい世界を渡り歩いてきた。
あらゆる法律に精通し、
まだ28の若さながら毅然とした態度で
裁判に臨む彼女は、今、話題の弁護士だった。
しかし、彼女は、決して驕らず、謙虚に、
テレビのバラエティ番組などの出演も断り、
弁護士一筋で、通していた
「---結婚しよう」
そんな彼女に転機が訪れた。
学生時代から付き合っていた
最川 竜輝(もがわ りゅうき)に、プロポーズされたのだった。
「--ありがとう」
杏子は、涙を流しながら喜んだー
そして、
婚約が迫ったある日のことだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
裏世界で生きる組織、
呪怨組(じゅおんぐみ)。
犯罪行為に手を染めながらも、
巧みに法律の網を潜り抜け、
警察にとっても厄介な存在だった。
しかし、
ある日、繁華街で起きた人殺し事件で、
呪怨組の幹部が逮捕された
「お…俺じゃねぇ!」
呪怨組幹部・喜多川(きたがわ)は本当に無実だった。
だが、たまたま現場に居合わせたこと、
そして、被害者が呪怨会と構想を繰り広げている組織、
紫亜乃巣連盟だったため、
警察は、喜多川を逮捕したのだった。
また、紫亜乃巣連盟の構成員の殺害に使われたナイフには
喜多川の指紋がついていたのだ。
「--なんだって?」
呪怨組の組長・荻野 稔(おぎの みのる)がその報告を聞いて
表情を歪めた。
「---喜多川が、パクられました」
※パクられ 警察に逮捕されること
「---紫亜乃巣連盟の構成員を?
チッ」
荻野組長はすぐに気づいた。
どこか、別の組織が、喜多川をはめたに違いない。
現在、呪怨組と抗争している組織はいくつかある。
紫亜乃巣連盟、知多江組、七葉工業、龍飛怒王連合。
「---どうしますか?」
組長に報告した組員が言う。
荻野組長は、すぐに調べるように、
構成員たちに指示をした。
・・・・・・・・・・・・・・
数日後ー
喜多川がはめられた真相が明らかになった。
同日に、
龍飛怒王連合の幹部も似たような事件で逮捕されている。
どうやら、どこかの組と、警察内部で裏取引があったようだ。
「やってくれるじゃねぇか」
荻野組長は怒りの形相で叫んだ。
どうにか、喜多川の罪を晴らしてやらねばならない。
だが、呪怨組の顧問弁護士は、
数日前から消息不明だ。
これも、何か関係があるかもしれない。
”羽守 弁護士 無罪勝ち取る”
ニュースの特集が目に入る。
今、話題の若手美人弁護士、羽守京子のニュースを見つめる
荻野組長は微笑んだ。
「そうだ…良い手があるぞ」
そう呟いた荻野組長は、
すぐにネットであるものを手配したー
”憑依薬”
オークションで出品されているのを以前、
裏世界の知り合いが教えてくれた。
出品者の愛染 亮という男の正体は不明だが、
評価は高い。
荻野組長は、この憑依薬を利用し、
羽守弁護士の身体を奪い、
喜多川を助ける計画を練ったー
「--今、人気の女弁護士の弁護によって
喜多川が無罪となる。
俺らのパフォーマンスにもなるし、
俺たちをはめたやつらに近づけるかもしれない」
荻野はそう考えながら
憑依薬を注文したー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
杏子は、自宅で、
久々の休日を満喫していた。
「はぁ~やっぱり休みってのんびりできる~」
杏子は嬉しそうに、
ワンピース姿で、くつろいでいた。
弁護士としての彼女は凛とした雰囲気だが、
プライベートでは、普通の女性。
結婚もひかえているし、
これからはプライベートも大切にしていかなくてはならない。
「-あ、竜輝からだ」
婚約者の竜輝からの着信ー
杏子が嬉しそうにその電話に出ようとしたその時だった。
「---ひっ!?」
手につかんだスマホを落としてしまう。
「--あ…あぁ…あ…」
杏子が身体をピクピクさせながら
驚いたような表情を浮かべている。
”弁護の依頼だ”
頭にそう声が聞こえた
「え…な、、だ、、誰ですか?」
杏子が叫ぶ。
”呪怨組幹部の逮捕、
知ってるか?
あれの罪を晴らしてもらいたい”
「--そ、、そんな?わたしは…」
杏子が否定の言葉を口にしようとする。
”ふん。黙って身体をよこせ。
弁護は俺がやる”
「--んあぁ!!!!」
杏子の身体が激しく震える。
そしてー
「--あ…」
杏子が静かになり、その場にゾンビのように猫背になって
立ち尽くしたー
「…くく」
杏子が笑みを浮かべる。
「---ふふふふふ…
まさか、本当に憑依できるとはな…」
ワンピース姿の京子が、
凶悪な笑顔を浮かべた。
「---ほぅ~~~~」
この女の記憶も読み取れるー。
杏子は、荻野組長に憑依されてしまった。
「---ん?婚約者か」
鳴り響いているスマホを手にすると、
杏子は不気味な笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日から、京子は豹変した。
夜の繁華街を歩く杏子。
派手なミニスカート姿で、
夜の街を歩き、情報を収集するー
「--おい!吐けよ!誰の指示だ?あぁ?」
キラキラ光る赤いミニスカートを輝かせながら、
杏子は、チンピラの胸倉をつかんだ。
「--ひっ…じ、実は七葉(しちは)組長の指示で…!」
七葉工業の構成員から情報を聞きだす杏子。
「チッ!舐めたマネしやがって!」
杏子は吐き捨てるように言うと、そのチンピラを
投げ飛ばして、つばを吐きかけた。
イライラした様子で、大股で歩く杏子。
「--必ず、罪を晴らしてやる」
組の事務所に戻った杏子は
横暴な態度で机に座ると、
ミニスカート姿のまま、机に脚を乗せた。
「な、なんだお前は!?」
組のモノたちが集まってくる。
「---そ、そこは親分の席だぞ!」
組員が叫ぶ。
しかし、杏子は、組員たちを
睨みつけた。鋭い目つきで。
「--ひっ!?」
あまりの気迫に、おしとやかな雰囲気の京子を前にした
組員たちは尻もちをついてしまう。
「--おやおや、あなたは確か
今話題の女弁護士さんじゃないですか」
ふざけた拍手をしながら、組の重鎮の一人である
成神(なるかみ)が、姿を現した。
「--何の用ですか?」
成神が言うと、京子は答えた。
「俺だー」
と。
煙草に火を付けて、そのまま
煙を鼻から出す杏子。
「--仰ってる意味がよく分かりませんねぇ?
いいのですか?
あなたみたいな弁護士さんが、
我々呪怨組と繋がっているという噂が立ちますよ?」
成神の言葉を聞いて、
杏子は足を机から降ろして立ち上がった。
「--俺だと言ってるだろ?成神」
鋭い目つきで睨む京子。
荻野組長は、誰にも相談せずに
女弁護士への憑依を実行してしまった。
当然、女の身体で急にここに入ってくれば
こうなることは明らかだった。
「意味がわかりませんね。
これ以上ここに居座るなら」
ーーー!?
杏子が、成神の顎を掴んだ。
「--成神ぃ?
俺だよ、組長の荻野だ。
この女の身体を憑依薬を使って乗っ取ったんだよ。
喜多川のやつ、冤罪でつかまってるだろ?
それを晴らさなくちゃいけねぇからな」
そう言われて、成神が反論した。
「バ…バカな嘘はおやめなさい…
我々の組長は、生涯童貞を貫くと
仰っていた。
ひ、憑依薬?もっとましな嘘をつくことですね。
そんなものがあるのだとしても組長は使わないし、
組長は女になんて興味がな…」
成神は、言葉を言い終える前に、
地面に叩きつけられた。
「疑ってるなら、力で試してみるか?」
杏子が髪を振り乱しながら組員たちを挑発するー
かつては、歩くダイナマイト荻野と呼ばれた組長ー。
もし、京子の中身が本当に荻野組長ならー
「面白いですね…」
立ち上がった成神が血を吐きながら、部下と共に
杏子に襲い掛かったー
ーーー
杏子の力を前に、成神たちは、
憑依の話をあっけなく信じるのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてーーーー
時は流れたー。
「---無罪」
杏子は勝ち誇った表情で、
法廷で微笑んだー
夜の街で情報を集め、
表向きは、京子の記憶を使いー、
幹部の喜多川の無罪を勝ち取ったのだ。
マスコミが集まってくる。
杏子として、適当に答えたあと、
杏子は自分の家に戻り、呟いた
「さ~て…ご苦労だったな」
そう呟いて、荻野組長は、京子の身体から
抜け出そうとしたー
しかしー
「---…!!」
杏子は表情を歪める。
杏子の中にいた、荻野組長は、
異変に気付いた。
”抜け出すことが、できない”
「ど、どういうことだ?」
荻野組長は困惑する。
この女の身体は魅力的だがずっと
この女に憑依しているつもりはない。
”表の顔”を演じるのも疲れた。
喜多川の無実を晴らした今、
この身体にもう、用はないー
だがー
「ど、どういうことだ!」
杏子は、憑依薬の出品者・愛染亮に電話をかけていた。
”僕の憑依薬はね、一方通行なのですよ”
若い男…愛染亮が言う。
「ふ…ふざけるな!テメェ!今すぐ元に戻る方法を!」
がに股で、部屋を歩き回り、乱暴な言葉を口にする杏子。
”組長さん…気をつけた方がいいですよ?”
「あぁ?」
杏子が叫ぶ
「うちの若い衆を使ってお前の居場所を突き止め
海に沈めてやろうか??
言葉には気を付けた方がイイぞ!」
杏子の言葉を聞いてから、電話相手の愛染は
ため息をついた。
”…僕は、あなたに売った憑依薬を何個も持っている。
あなたに売ったものよりもはるかに優れた憑依薬も…だ。
言葉に気を付けるのは、どちらか、よく考るのはどちらか…。
僕がその気になれば、あなたの組の構成員全員に
一度に憑依して、全員その場で自害させることも
できるのですよ??”
「---…」
杏子は黙り込んでしまう。
そしてー
荻野組長は色々考えた結果、
これ以上、騒ぐのは得策ではないと判断したー
「--そうか。すまなかった」
杏子は、電話を静かに切ったー
この日から、荻野組長は、羽守京子弁護士として
生きることになったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--組長は?」
釈放された幹部の喜多川が言う
「さぁ…最近は顔を見せていませんね。
羽守弁護士の身体を解放して
戻ってくると言ってましたが?」
成神が笑う。
「ーーそうか。組長には世話になったからな。」
喜多川が呟く。
するとー
そこに、京子が入ってきた。
「---羽守弁護士?」
成神が驚く。
正気を取り戻した杏子が乗り込んできたのではないかと
内心焦ったのだ。
しかしー
杏子は不機嫌な様子で机に脚を乗せて座った。
「--く、組長…ですか?」
喜多川が言う。
杏子は言った。
「--俺は、これからこの身体で生きることにした」
とー。
「は…?」
成神も不思議そうな顔をする。
「--この身体は、俺の身体だ!」
そう叫ぶと、京子は着ていた服を脱ぎ捨てた。
杏子の綺麗な身体には、
狼の刺青が、刻まれていた。
「--うぉっ!?」
喜多川が思わず驚く。
「---く、組長のご決断…感服致しました」
成神は頭を下げた。
「-----」
杏子は、刺青を見せ終えると、笑う。
「この女の地位と、知識を利用すれば
なんだってできるからなー」
荻野組長は内心、ほっとしていた。
まさかー
憑依から抜け出せず、
挙句、出品者の愛染に脅されたなんて言えない。
そんなビビりな姿を見せることはできない
「ちょうど結婚も間近だ。
くくく…楽しい事になりそうだな」
杏子は凶悪な表情で笑ったー
その姿は
結婚を間近にした恋する女性でもなく、
凛とした女弁護士のものでもなくー
邪悪に歪んだ悪女の姿だったー
②へ続く
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コメント
リクエストを元にした作品デス!
リクエスト内容(明日のコメントのとき載せます)を読む限り
裁判シーンはメインではないように見えたので
駆け足で終わりました!汗
女弁護士として生きていくことになった
組長…
続きは明日です~
コメント
SECRET: 0
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憑依はやりたい放題できるのが魅力ですが、抜け出せなくなると困りますねぇ……
これから組長がどうするのか、面白い趣向で続きが気になります!
SECRET: 0
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> 憑依はやりたい放題できるのが魅力ですが、抜け出せなくなると困りますねぇ……
> これから組長がどうするのか、面白い趣向で続きが気になります!
コメントありがとうございますー!
抜け出せないとなると、大事にしないといけませんからネー!