<憑依>どうしても給食が食べたくて①~目的~

小さい頃から”給食”が大好きだった男ー。

そんな彼が”憑依薬”を手に入れてしまったー。

給食大好き男が憑依薬を手に入れたらー…
することは、一つだったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーなぁ!頼むよー」

社会人3年目の男、山澤 達平(やまざわ たっぺい)は、
そんな言葉を口にしながら、大学時代の親友に頭を下げていたー。

がー、その親友、一ノ瀬 春雄(いちのせ はるお)は、
戸惑いの表情を浮かべつつ、
”乗り気じゃない”というような様子を見せるー。

それもそのはずー、今、春雄は
達平から”憑依薬を取り寄せて欲しい”と、そんなお願いを
繰り返していたのだー。

「ーーいやいやいやいや…
 憑依薬って何だよー
 実際に憑依なんてできるわけないし、そんなもの飲んで、
 毒だったらどうするんだよ」

春雄が呆れた表情を浮かべながらそう言い放つと、
達平は「いやいや、本当に憑依できることは間違いないんだー。
調べに、調べ尽くしたからー」と、
そんな言葉を返して来たー。

達平は、少し前に”ある夢を叶えるため”に
ネット上で色々調べていたところ、
”その夢を叶えられるかもしれない”代物を見つけた。

それが、”憑依薬”だったー。

全ては、自分の夢を叶えるためー。

決して”憑依薬”は安い買い物ではないー。

しかし、達平自身、元々あまりお金を
浪費するタイプの人間ではなかったことから、
憑依薬を購入するための資金も、
既に準備は出来ているー。

ただー…大きな問題が一つあったー。

それが、”憑依薬を販売している海外の業者”は
一般人に商品を販売していない、ということだったー。

海外の問屋的な業者であるその業者は
普段から取引のある会社に商品を販売していて、
一般の利用客相手には、商品を販売していないタイプの
業者だったのだー。

そのため、達平がこの海外の業者に連絡を取ったところで、
憑依薬を購入することはできないのだー。

「ーーくそっ…夢を叶えるまであと一歩なのにー」
憑依薬をネット上で発見してから数週間ー。

達平の執念深い調査で、
どうやらの憑依薬とやらは”本物”であることを突き止めると、
どうしても憑依薬を手に入れたい、と、
色々な方法を模索し始めたー。

そしてー、
ついに憑依薬を買うことができるかもしれない方法を見つけたのだー。

それがー…
親友の春雄に頼み込むことー。

と、言うのも親友の春雄は色々な雑貨や駄菓子を輸入して
販売する会社に勤務しており、
その会社の”取引先”の一つが
例の”憑依薬も取り扱っている海外の業者”だったのだー。

そのため、親友の春雄にお願いすれば、
その会社から憑依薬を取り寄せることが可能だと、そう思ったのだったー。

「ーーまぁ、お前が調べ尽くして”毒じゃない”って
 結論に達したなら、そうなんだろうなー」

達平の”毒じゃなくて本物なんだ!ちゃんと調べた!”と言う言葉に対して、
春雄はそう言葉を返すー。

学生時代から達平の”物事を調べる能力”は群を抜いていて、
今の職場でもその特技はとても役に立っているー。
親友の春雄も”お前が言うなら、その憑依薬とやらは本物なんだろうな”と、
そう言うぐらいには、達平の”調査能力”は信頼されているー。

しかし、それでも、と、春雄は表情を歪めながら言葉を続けるー。

「ーー憑依ってー、あれだろ?幽霊みたいに他人の身体に入るやつー。
 もし、本物何だとしたら、尚更手配するわけにはいかねぇだろー。」
春雄はそこまで言うと、
「ーー憑依薬なんか手に入れて一体何に使うつもりなんだ?」と、
そう言葉を口にするー。

誰かの身体に憑依して悪事を行ったり、
女に憑依して私利私欲の限りを尽くしたりー、
何か復讐のために使ったりー、
春雄はそんな”悪い理由”ばかりを頭の中に思い浮かべてしまうー。

「ーーー…復讐とか、女の身体で遊ぼうとかー、
 悪さしようとか、考えてるんじゃないだろうなー?
 
 ーー親友として言わせてもらうと、そういうー…」

春雄はそこまで”忠告”を口にすると、
その言葉を聞いた達平は「えっ」と、少し驚いた様子で
春雄の方を見返すー。

そしてー、
「あぁ、いやいやいやいやー。そういうことに使うんじゃないよー
 って言うか、今、春雄にそう言われるまで
 そんなこと考えてもなかったしー」
と、達平はそこまで言葉を口にすると、
少し苦笑いしながら言ったー。

「ー給食ー」
とー。

「ーー給食?」
春雄は思わず聞き返すー。

「ーー給食ってー…
 ーーあぁ、確かにお前、いつも”給食喰いてぇな~”とは言ってたけどー…
 …え?それと憑依薬に何の関係がー?」

春雄は、大学時代、
昼食を食べるたびに、毎日のように達平が
”給食喰いてぇ~~!!”と騒いでいたのを思い出しながら、
それを懐かしむようにして笑うー。

達平は”超”がつくほどの給食好きなのだー。

そしてー、
達平は”そのため”に憑依薬を欲していたー。

「ーー憑依薬と何の関係がー?って?」
 ーー決まってるだろ」

達平は少しだけ笑うと、
”当然”と言わんばかりの表情で言葉を続けたー。

「ーー憑依薬があれば、学校の子に憑依して
 給食をまた食べられるだろ?」

とー。

「ーーーーーーー」
”当たり前”と言わんばかりに堂々と
そんな言葉を言い放った達平を前に、
春雄は少しだけ苦笑いすると、
「まさか、給食を食べるためだけに憑依をー?」と、
そう聞き返すー。

春雄のその言葉に、達平は何の迷いもなく
「あぁ」と答えると、
「っていうか、他に憑依薬を何に使うんだよー?
 俺が給食大好きなことぐらい、お前も知ってるだろ?」と、
笑いながらそう言い返すー。

そんな達平の様子を見て、
春雄は思わず苦笑いすると、
「ーそうだったなー」と、そう言葉を口にして、
静かに頷いたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー。

達平は、春雄から”憑依薬”を受け取り、
それをいよいよ使おうとしていたー。

”給食を食べるのに使うのはいいがー、
 それでも、一時的に他人の身体を奪うことには
 違いないだろ?”

春雄からそう言われたことを思い出しつつ、
達平は憑依薬を飲み込むー。

”ーー大丈夫さー。
 憑依されていた側の記憶は脳が勝手に”補正”するように
 なってるらしくてさー。

 極端に本人がしないようなことをするとカバーしきれないみたいだけど、
 例えば給食を食べようとしている子に俺が憑依して
 普通に給食を食べるぐらいなら、
 俺が抜けたあとでもその子は”普通に給食を食べていた”って、
 そう思うようになってるらしいからさー”

達平が事前に調べておいた情報を春雄に伝えると、
春雄は”ちゃんと調べてるんだなー”と感心した様子を見せていたー。

そんなやり取りを思い出しつつ、霊体になった状態で
近くの学校まで移動すると、
霊体のままチラッと時計を見つめたー。

やってきたのは、近くの中学ー。
中学を選んだ理由は、高校は弁当だったりするところも多いし、
あまり小さい子だと、胃袋が小さかったりして
十分に給食を食べることができないと判断したからだー。

彼が、憑依するのはあくまでも”給食”のため。

それ以上でも、それ以下でもないー。
そして、憑依した後の行動も全ては”給食”のためー。

とにかく彼は食べたかった。給食をー。

スーパーとかで時々売ってる”給食風弁当”とか、
そういうものじゃないー。

純粋な給食を。
リアルな給食をー。

学校の教室で、学生としての体格で
あの空気感の中で給食を”喰らう”ー。

彼は、それがしたいのだー。

「ーーーよし、あの子にするかー」
達平は、ふっくらとした体格の男子生徒を見つけると、
その子を憑依する対象に決めて、
笑みを浮かべるー。

憑依薬は3回分しか存在しないー。
憑依時間に制限時間はないものの、
流石にずっとその子の人生を奪うようなことを達平は
するつもりはなかったし、
1回の憑依につき、1食分の給食を食べるー、
それで済ませるつもりだったー。

「ーー今日の給食はわかめごはんと、サラダと汁物と果物かー
 いいねー」
給食好きの達平は、献立表を霊体のまま見つめながら
”次回の憑依はいつにしようかな”などと頭の中で考えるー

学校給食のカレーライスも食べたいし、
パン系の給食も1回は食べてみたいし、
麺類の給食も食べたいー。

”やっぱ、毎日給食食べたいよなー”
達平はそんなことを思いつつ、ようやく4時間目の授業が終わり、
給食の時間が始まろうとしているタイミングで、
先程の憑依する対象に決めた太った男子生徒を見つめると、
そのままその相手に憑依しようと霊体を動かしたー

”ごめんなー。でも給食食うだけだから勘弁してくれー”
達平は心の中でそう呟きながら、
霊体をその男子に突進させていくー。

がーーー

「ーーー!?!?!?!?!?」
偶然、その男子の目の前を反対側から歩いて来た別の生徒が
横切ってしまいー、
ちょうどそのタイミングで突進してしまった達平はーー、
その別の生徒に”憑依”してしまったー

「ーーうぁっ!?!?やべっ!?」
”狙った子とは別の子に憑依してしまった”ー。
そんな状態に咄嗟にそう声をあげてしまう達平ー。

「ーーーえっ!?」
憑依対象として狙われていたふっくらした男子生徒が
”すぐ近くにいた女子生徒”が突然”やべっ!?”などと
言い出したことに少し戸惑いの表情を浮かべると、
「だ、大丈夫かー?」と、心配そうに言葉を口にするー。

「えっ…ぁ…」
男子に憑依するつもりだった達平は、自分が女子に憑依してしまったことに気付き、
自分の手をー、そして制服を、スカートを見つめると
顔を赤らめながら「だ、だ、だ、大丈夫ー…」と、そう返事をするー。

「ーーそ、そっかー。ならよかったー」
ふっくらした男子生徒は、そう言葉を口にすると
そのまま立ち去っていくー。

女子生徒に憑依してしまった達平は、一人になると
落ち着かない様子で自分の身体を見下ろすー。

「おいおいおいおいー…女子になっちまったー…」
達平は、憑依してしまった相手の子ー、牧村 架純(まきむら かすみ)の身体で
ドキドキしたような表情を浮かべると、
なんだかとても悪いことをしているような気がして、
「ご、ごめんなー…」と、そう言葉を口にするー。

勿論、巻き込まれる形で憑依されてしまった架純本人には
そんな言葉は届かないー。
憑依されている状態では身も心も完全に支配されている状態で、
本人の意識は眠っているー。

「ーーー…」
ふと、水道の近くの鏡で自分の顔を確認すると、
想像以上に可愛らしい眼鏡をかけた華奢な子が映っていたー。

見た目から判断するのであれば、恐らく大人しいタイプの子なのだと思うー。

そんな見た目に少しドキドキしながらも、
「ーーーはぁ…女子に憑依するつもりはなかったのにー」と、
そう言葉を口にする達平ー。

達平自身、男であるために、
当然”異性”の身体に憑依すれば自分の身体とは
色々感覚も違うだろうし、そういうことに戸惑う時間が
長くなってしまうー。

しかし、達平が憑依するのはあくまでも”給食を食べたい”という思いだけー。
異性に憑依してしまってドキドキしたり、
落ち着かない状況になってしまったら、給食を食べるという
本来の目的の邪魔になるー。

それにー…

「ーーこの子、見るからに小食な感じに見えるけど、大丈夫かー…?」
架純の身体で、達平はそんな言葉も口にするー。

しかし、間違った相手に憑依してしまったとしても、
憑依薬1回分を消費してしまうことには変わりはないー。

「ー仕方ないー。今日はこの子の身体で給食を食うしかないかー」
そんな風に呟きつつ、架純の身体で教室に戻ろうとするー。

がー、自分の歩き方がいかにも男っぽくなってしまっていることに気付いたり、
椅子に座る時にスカートをどんな風にしたらいいのかも分からず、
困惑してしまうー。

”あ~…給食以外のことで神経使うの嫌だなぁ”

あくまでも、給食を食べるためだけに憑依をしている達平は、
内心でそんな愚痴を呟くのだったー…

②へ続く

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コメント

”給食を食べるため”だけに憑依薬を使った人の
お話デス~!!

①では給食は食べられませんでしたケド、
明日はきっと…!

今日もありがとうございました~!★

続けて②をみる!

「どうしても給食が食べたくて」目次

コメント

  1. TSマニア より:

    給食、懐かしいですネ!☆

    給食の為に憑依っ!!!!笑

    学校の先生になれば給食食べ続けられますネ(*´艸`)笑

    このストーリーの主人公みたく給食を求めてる人はいそうですネ!★

    無名さんは、どの給食が好きでした?

    周りは、どの給食が人気ありました?

    • 無名 より:

      感想ありがとうございます~~~!★

      給食は私もたま~に食べたくなっちゃいますネ~!!

      栗が入ったご飯が私は好きでしたネ~!
      あとはたまに出て来るヨーグルトも~!☆笑

      男子はカレーでおかわり競争してるのをよく覚えてます~!!

  2. 匿名 より:

    給食を食べたくなる気持ちは分からなくないですが、凄いこだわり様ですね。
    給食を食べれる食堂とかは現実にもあるし、憑依するにしても、教師に憑依する手もある気がしますが、生徒として食べたいとは。

    それにしても、中学校も十分、給食より弁当のイメージが強いし、中学校では大抵は注文式なので、小学校の方がイメージ通りの給食が出てくる気もしますが。

    ところで、誤憑依してしまった女の子にもしアレルギーとかがあったら思う存分食べれない可能性もありそうですよね。
    あと味覚次第では好きな物でも美味しく食べれない可能性もあるので、自分の身体で食べるみたいにはいかなさそうな気もしますね。

    あと、本人はずっと乗っ取る気はないと言っていても、給食を毎日食べたいとも言っているので、もしかしたら卒業するまで憑依してしまう可能性もあるのでは?

    続きが気になりますね☆

    • 無名 より:

      感想ありがとうございます~~!☆

      確かにセンターに注文してる感じでしたネ~~!!

      先生への憑依…!
      …ネタバレしちゃうので、今は触れないでおきます~笑☆