<憑依>どうしても給食が食べたくて②~不運~(完)

①にもどる!

”どうしても給食が食べたい”

ただ、そんな思いから憑依薬を手に入れて
憑依した男ー。

しかし、最初に憑依しようと思った相手とは
違う相手に憑依してしまって…?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

憑依した架純の身体で給食の用意を終えた
達平は、戸惑いの表情を浮かべていたー。

髪に手が触れたりー、
制服のスカートが気になったり、
声を出すたびに、”可愛い声だな”と思ってしまったりー、
思った以上に色々と大変だったー。

が、ようやく給食にありつけたー。

わかめごはんに汁物にサラダにフルーツ。

そんな今日の給食を前にして、
架純の身体でニヤニヤとしていると、
「ー何笑ってるの?気持ち悪いー」と、
近くの女子に言われてしまったー。

「~~~あ、いやー…」
架純に憑依している達平は咄嗟に笑顔を消して誤魔化すー。

この子が普段、クラスでどんな立ち位置の子なのかは
知らないけれど、あまり周囲から変な風に思われてしまうことは
達平としても当然避けてあげたいとそう思っているー。

気を取り直して、いよいよ給食の時間が始まったー。

給食の牛乳を見て、
「ー給食で飲む牛乳はうまいんだよなー」と、架純の身体で
小声で呟くと、達平はニヤニヤが止まらない様子で
その牛乳を口に運んだー。

がーー

「ーぶっ!?まずっ!?何だこれ!?」
架純の身体のまま、思わず牛乳を噴き出してしまった達平ー。

それもそのはずー、
いつもの牛乳とは違って”変な味”がしたのだー。

学校の牛乳はこんな味だっただろうかー。
いや、牛乳が腐っているのだろうかー。

そう思いつつ、周囲から”汚い”と言われているのも
意に介さず、
「こ、この牛乳、味、変だよなー?」と、
自分が架純に憑依していることも忘れて
そんな言葉を発してしまうー。

が、自分の口から可愛い声が出ていることに気付いて、
すぐに今の状況を思い出すと、
「味、変だよねー…?」と、そう言い直したー。

周囲は戸惑いつつも「普通だけどー…?」と、そう言葉を口にした上で、
「っていうか汚いー」と、
架純が牛乳を噴き出した場所を指差しながら
一人の女子生徒が不満そうに言葉を露わにするー。

そんな反応を前にした架純が「え、えっと、ごめんごめんー」と、
それだけ言葉を口にすると、
別の女子生徒が「あんた、”牛乳”嫌いだったでしょー。
それなのにいきなり一気に飲むから」と、そう指摘してきたー。

「ーえ…?牛乳嫌い?」
架純は不思議そうに反応したものの、
すぐに「あっ」と、小さく呟くと、
”そうかー。この子は牛乳が嫌いでー…
 味覚が俺とは違うのかー”と、
牛乳の味がいつもとは違って、
腐っているようにすら感じられたのは
”達平”と”架純”の味覚が違うからだったー。

「ーーー…お、俺ーいや、わ、わたしって
 嫌いな食べ物他にもあったっけー?」
牛乳を拭きながら、架純がそう言葉を口にすると、
先程”架純は牛乳嫌い”だと教えてくれた女子生徒が
”何で嫌いな食べ物を周りに聞くの?”と言いたげな
表情を浮かべつつも、
「ーーあんた、大体嫌いな食べ物ばっかりでいつも給食残してるし、
 それにー、食べるの好きじゃないでしょ」と、
呆れ顔でそう言葉を口にしたー。

「ーき、給食を食べるのが好きじゃない!?」

”そんなやついるのか!?”と、達平は思わず架純の身体のまま
ガバッと立ち上がるもー、
立ち上がった時にたまたま自分の身体の胸に手が触れてしまい、
今度は顔を真っ赤にしながら座るー。

そんな、戸惑いの状況の中、
ふと教室の端っこの方を見つめると、
先程の太った男子生徒ー…元々達平が憑依しようとしていた相手が
美味しそうに給食をがつがつと食べているのが見えたー。

”あぁ…くそっー、やっぱあっちの子に憑依できてれば
 今頃美味しく給食を食べることが
 できてたんだろうなぁ…”

少し残念そうに心の中でそう呟く架純に憑依した達平。

とは言え、泣き言ばかりを言っていても仕方がない。
達平は架純の身体で「わかめごはん」を口に運ぶー。

給食のわかめごはんは達平も好きだったものの一つだー。

しかしー…

「ーーーーー」
架純の身体で「わかめごはん」を食べても
”美味しい”とは感じなかったー。

味が妙に薄く感じるー。

次に汁物を口に運んでみたものの、
それも美味しく感じずー、
どうやら野菜は大っ嫌いのようで、
サラダを口に運んだところ、オェッ!となってしまったー。

「マジかよー…」
架純に憑依している達平は
”給食を楽しめないなんてー、この子は何を楽しみに学校に来てるんだ?”と
そんなことすら、頭の中で考えてしまう。

もちろん、達平の学生時代にも友達はいたし、
他にも楽しいことはあったけれど、
給食が好きすぎて、給食のない人生は
スープのないラーメン、いや、麺のないラーメンと断言しても良いぐらいに
味気のないものだと、そんな風に思っていたー。

「ーーーあぁ…果物だけは普通に旨いなー」
せっかく、相当久しぶりの給食を他人の身体で
楽しもうと思っていたのに、散々な目に遭ってしまった達平は、
架純の身体で死んだ目でそう呟くと、
そのままの表情でわかめごはんと汁物を何とか食べきるのだったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー。

学生時代の友人・春雄から
”給食は楽しめたかー?”と、そんな電話がかかって来た達平は
苦笑いしながら「いや、まずかったー」と、悲しそうにそう返事をするー。

”まずかった??? 何だ?大人になって食べて見たら
 思ってたのと違ったってことか?”

春雄が少し揶揄うような口調でそう言うと、
達平は「いや…そのー」と、”憑依した子が食べることが嫌いな子で”ということと、
味覚の違いに戸惑ってしまった、ということを春雄に説明したー

”あぁ…なるほどーそうかー、味覚が人によって違うのかー”
春雄も電話の向こうで納得したような表情を浮かべると、
達平は「まぁでも、あと2回分、憑依薬はあるからなー」と、
そう言葉を口にした上で
「次の休みの日にでもまた試してみるよー。
 ほら、俺の仕事ちょうど、平日休みだからさー」と、
そんな言葉を口にしたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そして、次の休日ー。
達平は予定通り、2個目の憑依薬を使ったー。

これで、残りの憑依薬はあと一つー。
そう思いつつ、”今度こそ”とこの前の学校へと向かうー。

今日の給食はパンにシチュー、そしてこの前とは異なるサラダに
ヨーグルトという献立だったー。

「ーー今日こそ、給食を堪能するぞー」
達平は意を決した様子でそう言葉を口にすると、
この前憑依しようとしていた、ふっくらとした男子生徒の姿を見つけるー。

やはり、美味しく給食を食べるなら、
こういう身体がいいー。

そう思いつつ、達平は霊体のまま周囲を事前に確認すると、
今度はこの前のように”事故”で架純に憑依してしまったような
状況にもならないことを確信、
そのまま、そのふっくらとした男子生徒に”憑依”したー。

「よしー今度こそ!」
ふっくらとした体格の男子生徒・和馬(かずま)に憑依した
達平は、給食を楽しみに頭の中に思い浮かべながら
意気揚々と教室に向かおうとするー。

しかしー、その時だったー。

「ーーお、和馬ー
 体調、大丈夫か?」

とー、別の男子生徒の声が聞こえたー。

「体調?」
思わず、和馬に憑依した達平が振り返りながら
そう言葉を口にすると、
その友人らしきクラスメイトは言葉を続けたー。

「あ、いやー、ほら、
 朝から腹痛と吐き気がって言ってただろ?」
とー。

「ーー…な、なんだって?」
和馬に憑依した達平はそう言葉を口にすると、
憑依した直後であったためか、
すぐには気づかなかったけれど、
よく考えるとお腹が痛いし、吐き気がするー。

「ーーいや、お前、朝から調子悪いって言ってたからさー」
クラスメイトのその言葉に、和馬に憑依している達平は
少し唖然としたような表情を浮かべると、
思わず「マジかよー…」と、そんな言葉を吐き出したー。

そのクラスメイトの言う通り、
ふっくらとした雰囲気の男子生徒・和馬は
今日は体調を崩しているようで、
腹痛もあるし、吐き気もしている状態だったー。

”おいおいおい、こんな状況で無理して学校に来るなよー…”
そんな風にツッコミを入れてしまう達平。

和馬に憑依する前まで空腹状態だったはずの達平も、
今、使っている身体は和馬の身体であるために
食欲も出ないし、給食を見ても美味しそうとも思えないー。

只々、苦痛で余計に吐き気が増してきてしまうような、
そんな気がするだけだー。

「ーーーで、でも、せっかく給食が目の前にあるんだー」
和馬の身体で苦しそうにそう呟きながら、
達平はそのまま給食を意地になって食べ始めるー。

がー、”胃腸系の風邪”で体調を崩していた和馬の身体で
無理に給食を食べても全く美味しいと感じることは出来ずー、
挙句の果てに吐いてしまったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ぐぬぬぬぬ…」

購入した憑依薬は3回分ー。
残りはあと1回分しかないー。

1回目は、そもそも食べることが嫌いな女子生徒に憑依してしまいー、
2回目は、たまたま体調不良の男子生徒にそうとは知らずに
憑依してしまったー。

もう、これ以上は失敗することは出来ないー。

そう思いつつ、給食をしっかりと食べることができる身体を
考えた結果ー、達平はある考えにたどり着いてしまったー。

「ーーよし、先生に憑依しよう」
そう言葉を口にする達平。

そう、達平は生徒の方ではなく、
先生に憑依することを決めたー。

ただー、達平には
”あの頃の胃袋で、給食を食べたい”という希望があったー。

”大人でも給食を食べることのできる場所”ー
そういうところに足を運ぼうとしないのはそれが理由の一つー。

学校の教室で、あの頃の自分と同じ年代の身体で、
その年代の胃袋で、味覚で、食べるからこそ、
”真の学校給食”なのだと、そう思っていたー。

が、憑依薬はこれで最後の1個ー。

多少の”妥協”をしてでも学校給食を食べたいー。

そのために
”学校の教室の給食の時間に給食を食べられれば
 大人でもいい”と、妥協したー。

「ーすみませんね、先生ー」
少し緊張した様子で達平はそう言葉を口にするとー、
これまでに憑依したクラスの担任教師ー、
若い女性教師の楓(かえで)に憑依したー。

本当は男性教師の方が良かったものの、
”知らないクラス”よりも、”これまで2度憑依して知ってるクラス”の方が
いいと判断したー。

男だろうと、女だろうと、
大人であれば給食を食べきることぐらいはたやすいことだー。

それに、この先生はとても美味しそうに給食を食べていたのを、
これまでの二人に憑依した時に達平は見ていたー。

この先生ならー

「ーーふふふふーついに給食を食べられるー」
楓に憑依した達平は、楓の身体でそう言葉を口にすると、
生徒の一部から「先生、ニヤニヤしてどうしたの?」と
不審な目を向けられてしまい、ハッとして
咄嗟に誤魔化すー。

そして、いよいよ給食を食べる時がやって来たー。

しかしー、そのタイミングで
別の先生らしきおじさんが教室にやってきたー。

「先生ー。ちょっといいですかー?」
学年主任の教師が、これから給食を食べようとしていた楓に
対して、そう言葉を口にするー。

「ーよ、よくないです」
楓に憑依している達平は思わずそう言葉を口にするも、
数秒後に”いや、俺が憑依してるこの先生に迷惑をかけちまうかー…”と
悲しそうにそう思いながら、
「ーーーすみません、何でしょう?」と、
その先生の話に耳を傾けたー。

すると、どうやらモンスターペアレントが
楓宛てに理不尽なクレームをつけに学校に乗り込んできたようで
その対応をお願いされてしまうのだったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

数日後ー。

”でー?給食はどうだった?”
友人の春雄に電話でそう確認された達平は
思わず苦笑いするー。

そして、どこか自虐的に笑いながら
「ーー給食嫌いと体調不良と、モンスターペアレント」と、
そう言葉を口にすると”は??”と、不思議そうにしている春雄に対して
「ーー運が悪すぎるなぁ…俺」と、
悲しそうにそう呟くのだったー

おわり

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コメント

結局、給食を食べることはできませんでした~!☆

3回目の憑依の時は、
「食べさせてあげてもいいかな~?」って迷ったのですケド、
結局お預けにしちゃいました笑

お読み下さり、ありがとうございました~!☆

「どうしても給食が食べたくて」目次

作品一覧

コメント

  1. 匿名 より:

    味覚、不調、トラブルで三回とも見事に失敗しましたね☆

    もしかしたら2人目と3人目でも味覚の違いの問題はあったかもしれないので美味しく食べられたかどうかは不明ですけどね。

    達平が悪意のない善良な性格なのも影響しましたね。
    相手がどうなろうと知ったことじゃないという考えで2回目か3回目の時にそのまま憑依し続けていれば、翌日以降に食べることも出来たでしょうに。

    時間制限とかはないタイプの憑依薬みたいですし。

    あと、思ったんですが、もし達平が使った憑依薬が過去作であったみたいに、実は憑依したら抜け出せなくなるとか、憑依対象の精神が死ぬタイプだったりしたら、善良な達平は罪悪感で苦しみながら生きていくことになったでしょうね。

    さらに一回目の架純の身体だったら、給食どころか食事自体楽しめない、達平にとって、地獄のような人生を送ることになりそうですし。

    そういう極端なバッドエンドでも面白そうですよね。

    • 無名 より:

      感想ありがとうございます~!★
      全部失敗してしまいました~笑
      罪悪感も何も感じない人なら、今頃給食をたっぷり
      楽しめていたかもですケド…笑

      達平のような人が、
      抜け出せないことを知らずに憑依薬を使っちゃったら…
      とっても苦しみそうですネ~…!

  2. TSマニア より:

    憑依して給食を楽しむどころか

    不運な人のストーリーですネ(*´艸`)笑

    給食のカレーやわかめご飯など人気ありましたネ☆☆☆☆☆

    無名さんのカラダになってセクシーな保健の先生コスプレしながら給食食べてみたいのデス(^_-)☆笑

    • 無名 より:

      感想ありがとうございます~~!★

      私に憑依せずに、
      保健室の先生(ほんもの)に憑依した方が早い気がします~★笑

      • TSマニア より:

        このストーリーも…いつか…続き書けそうですネ…笑

        不運の連続を考える無名さんスゴいっ!!笑 

        保健室のお姉さん先生見つけて憑依して自分好みに改造したいのデス(^_-)☆

        スカートの丈を短くして透けタイツ履いてバッチリメイクしてエロメガネも合わせて…(*´艸`)笑

        • 無名 より:

          まずはお気に入りの保健室の先生を求めて
          学校巡りをするところからスタートですネ~笑