<憑依>デジタル空間で生きる父②~生身~

①にもどる!

自らの寿命を悟った父は、
自分の意識をデジタル空間へと転送し、
身体は失っても、その魂は健在だったー。

しかし、その父は次第”生身の身体”を欲するようになり、
ついには息子の彼女の身体を奪ってしまう…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「な…何をしてるんだよ…父さん」
呆然とした表情を浮かべながら、
飲み物を取りに行った彼女・麻奈美が戻って来るのが
遅いことを心配して、様子を見に来た彼氏・恭輔が
そう言葉を口にするー。

が、麻奈美は
「えっ!?あ、あはっー!恭輔ー、
 お父さんは、今、寝てるみたいだよ?」と、
何も映っていないモニターの方を指差しながら咄嗟に誤魔化すー。

ついさっき、ケーブルを通じて自分の精神を流し込み、
ケーブルを介して麻奈美に憑依した父・竜司ー。

久しぶりに生身の身体を手に入れたことに対して
感動を覚えながら、必死に誤魔化そうと言葉を続けるー。

「ーーい…いやー…い、今ー…」
恭輔は麻奈美が耳から引っこ抜いたケーブルを指差しながら
心底困惑した様子でそう言葉を口にすると、
チラッと麻奈美はケーブルを見つめながら
「こ、これは別に気にしないで」と、そう誤魔化すー。

あくまでも、父・竜司は息子の彼女の身体を乗っ取ったことを
気付かれたくないようだ。

「ーーみ、耳から血がー」
恭輔がケーブルが差し込まれていた方の麻奈美の耳から
血が少し出ていることに気付くと、
麻奈美は「あ~!これは大丈夫!! とにかく大丈夫!」と、
説明になっていない説明を口にするー。

「ーー……」
恭輔は、そんな麻奈美の姿を前に
不安そうな表情を浮かべてからため息を吐き出すと、
「父さんー。麻奈美の身体から出てってくれー」と、
やれやれ、という様子でそう言葉を口にしたー。

「と、と、と、父さん!?
 い、いやいやいや、俺は父さんじゃないしー
 麻奈美だし!」
麻奈美は、明らかにおかしな口調でそう言葉を口にすると、
恭輔は「途中から見てたんだよー…」と、
ケーブルを繋がせて、身体を乗っ取っている場面を
途中から見た、と、そう言葉を口にしたー。

「ーーみ、み、見た!?!?
 ーーえ、エッチ!」
突然意味不明な言葉を口にする麻奈美ー。
麻奈美に憑依した父・竜司も、誤魔化そうと必死なようだー。

がー

「ー父さんー。麻奈美に身体を返して。頼むよ」
と、恭輔は目の前で起きている事態に驚きながらも、
そう言葉を口にすると、
麻奈美は「ーーーー」と、戸惑いの表情を浮かべつつ
沈黙するー。

そしてーー

「ーーーな、生身の身体、返したくないんだ!」
と、自分の身体を守るかのような仕草をしながら
麻奈美に憑依した竜司はそう言葉を口にしたー。

「いやいやいや、父さんー。
 その身体は麻奈美のものなんだし、
 やめてくれよー。頼むよー」
竜司は心底困惑した表情を浮かべながら
憑依した麻奈美を見つめると、
「ーーそんなに生身の身体が使いたいなら
 俺で良ければ時々身体を貸してあげるからさー」と、
そんな言葉を口にするー。

「ーーむぅ…」
麻奈美は普段浮かべないような表情を浮かべると
しばらく腕組みしながら考え込むー。

「ーーーー」
そして、胸の方に視線を向けると、
少しだけにやっと笑みを浮かべたものの、
「お、おいっ!麻奈美の身体でそんな顔しないでくれよ!?」と、
恭輔はそう言葉を口にするー。

「いやぁ…ほら、ちょっとー気になるだろ?」
麻奈美はニヤニヤしながら胸を揉むジェスチャーを
してみせるも、
恭輔は「こ、コンセント引っこ抜くぞ??」と、
不満そうに父・恭輔のデータが保存されている
コンピューターの大本のコンセントと、
停電時に備えた非常用の電源に接続されたコンセントを
抜こうとしてみせるー。

「ーうわああああ!待て待て待て!やめろやめろ!」
麻奈美がそう叫ぶと、
恭輔は不満そうに麻奈美の方を見つめるー。

中身が父親の麻奈美なんて見たくないー。
そう思いつつ、「じゃあ、早く麻奈美に身体を返してやってよ」と、
そう口を開くと、麻奈美は「分かった!分かった!俺が悪かったよ」と、
言いながらようやく”身体を返す”と、そう言葉を口にしたー。

その上で、ケーブルを手にして
自分の耳に接続すると、
そのままの状態でパソコンを操作し始めるー。

「ーまったく、油断ならないなぁー…
 まさか人の身体を奪っちゃうなんてー…

 それも身体がダメになる前に発明してたのか?」

恭輔が呆れ顔でそんな質問をすると、
麻奈美は少し苦笑いしながら
「いいや、これはー…元々はパソコン上のデータを
 人間に知識として植え付けるための発明として
 研究してたんだがー」と、そう言葉を口にしつつ、
「これを応用すればデータの存在となった俺が
 生身の身体をもう一度手にできるんじゃないか、と、
 そう思ったんだー」と、そこまで説明した。

「ーーーーー…」
恭輔は少しだけ複雑そうな表情を浮かべたものの、
「でも、その身体は麻奈美のものだからー…ちゃんと返してくれよ」と
悲しそうに呟くー。

「ー分かってるー。すまなかったー」
麻奈美の身体でそう言葉を口にした恭輔は
”再転送”と表示された画面を前に、キーボードのエンターキーを押すと
そのまま、再びコンピューターの中へと戻って行ったー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーー本当に、ごめんー
 父さんがそんなこと考えてるなんて
 夢にも思ってなくてー」

意識を取り戻した麻奈美に向かって、恭輔は
そう言葉を口にすると、
麻奈美は戸惑いの表情を浮かべながら
「うんーー…大丈夫ー」と、そう返事をしたー。

ただ、それでもやはり、”自分の身体を勝手に乗っ取られていた”
という状況はショックだったのだろうー。
どことなく、暗い表情を浮かべたままだー。

”本当にすまなかったー。申し訳ない”
モニターに表示された父・竜司もそう言葉を口にしたものの、
麻奈美は少し間を置いてから
「今日はもう帰りますー」と、父・竜司に対して
そう言い放つと、恭輔に対しても
「ごめんねー。今日はー耳も痛いし、もう帰るね」と
そう言い残して、足早に立ち去ってしまったー…。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

それからしばらくが経過したー。

恭輔は、麻奈美にあれからも何度も謝り続けて
何とか麻奈美との関係には亀裂が入らずに済んだー。

そして、恭輔は約束通り父・竜司に
時々自分の身体を貸しつつ、生活をしていたものの
ある日を境に”あること”に気付いたー。

それはー…
夜になると、父・竜司の姿が見えなくなるのだー。

見えなくなるー…と、言っても
父・竜司には既に身体はないため、
出かけているとかそういうことではないー。

ただー…
最近は夜中になると、父・竜司の姿が
モニターに表示されておらず、呼びかけても
反応がないことが多いのだー。

もちろん、モニターには父・竜司の姿が
常に映し出されているわけではなく、
会話をしていない時などは、メニュー画面のようなものが
表示されていたり、別のものが表示されている状態だー。

しかしー、それでも、最近は夜中になると
反応すらないことも多く、
恭輔は”不安”を感じ始めていたー。

”また何か”しているのではないかとー。

そしてーー
その恭輔の”予感”は的中していたー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「へへへー生身の身体はやっぱいいなぁ」
可愛らしい地雷系の服を着た女が
ニヤニヤしながら夜の街を歩きながら、
そう言葉を口にするー。

「ーー今日は、梨沙(りさ)ちゃんの身体で
 楽しませてもらうかな」
”梨沙”という子に憑依している父・竜司は
そこまで言葉を口にすると、
嬉しそうに夜の街を歩いていくー。

やっぱり、デジタル空間で生きるよりも
生身の身体で生きる方が心地が良いー。

デジタル空間では風も感じられないし、
ニオイも感じられないし、味も感じられないー。
生きてはいても、何も感じることができないー。

けれどー…
生身の身体があればー…

梨沙に憑依している竜司は何度か嬉しそうに
深呼吸を繰り返すと”生きている”という実感を味わいながら
嬉しそうに笑うー。

「ーーーーー?」
そんな”梨沙”の姿を周囲を通りがかった通行人は
首を傾げながら見つめるー。

周囲からすれば、地雷系の格好をした女が
夜の街で一人、大げさに深呼吸をしている状態ー。

”いったい何をしているのだろう?”と、
そう思われてしまっても仕方がない状態だー。

「~~~~~~」
梨沙に憑依している竜司も、そんな視線に気づいたのか
少し恥ずかしそうにしながら、
「さ、今日はどこに行こうかなー…」と、
周囲を見渡すー。

最近は、夜になると
”特殊なチップ”を埋め込んだ子に遠隔で”データ”となった
自分の意識を飛ばして憑依ー、その相手の身体を乗っ取って
夜の街で色々と遊んでいるー。

先日は別の子に憑依して、
ゲームセンターに遊びに行ったし、
今日もどこかに遊びに行くつもりだー。

「ーーそうだー。今日はカラオケにしようー
 この身体、声が可愛いし、
 この身体で歌ったらカラオケがもっと楽しくなりそうだからなー」

梨沙はニヤニヤしながらそう言葉を口にすると、
意気揚々と地雷系の服を着たまま、カラオケ店へと
足を踏み入れていくー。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ーーーー」
恭輔は戸惑いの表情を浮かべながら
父・竜司の意識がデータとして転送されている
コンピューターの方を見つめていたー。

最近、深夜になると父・竜司の姿が見えなくなるー。
呼びかけても応答がないしー
”ここにいない”のではないかと心配になるー。

そして、父が麻奈美に憑依した一件から、
父・竜司に不信感を抱いていた恭輔は
”また父さんが何かしているんじゃー?”と、
そんな不安も覚えていたー。

「ーーー」
そんな思いから、今日は
寝ずに父・竜司がいるコンピューターの方をずっと監視していたー。

いつもは、夜になると父・竜司の姿が見えなくなりー、
朝に目を覚ました時には戻ってきているー。

前に本人に直接確認をした時には、
本人は”最近は疲れやすくてな…夜になるとゆっくり休んでるだけだ”と、
そう言っていたー。

ただ、本当にそうなのだろうかー、という疑念が
どうしても自分の中で払拭することができない。

そんなことを考えていると、
父・竜司の意識が記録されているコンピューターに
反応があったー。

ウトウトしながら様子を観察していた恭輔が
途端に目を覚ますと、
モニターに表示された竜司の顔を見つめるー。

がーー

”ーへへー気持ち良かったなぁ…今日もー”
モニターに表示された父・竜司の顔には
ニヤニヤとしただらしのない表情が浮かんでいたー。

「ーーー父さん」
恭輔に見られているとは気づかずにニヤニヤしている竜司に
対して、恭輔はそう声を掛けるー。

するとー

”うっ!?うおっ!?きょ、恭輔ー!?”
と、父・竜司は露骨に動揺したかのような反応を見せたー。

「ーーー…父さんー
 ”気持ち良かった”って何がー?」
恭輔が心の底から、疑うような表情を浮かべつつ
そう言葉を吐き出すと、
父・竜司は”え、えっ、いや、そのーよく眠れたなってー
眠るのは気持ちいいからなー”と、
慌てた様子でそう返事をするー。

「ーー……そういう顔には見えなかったけどなー」
恭輔がそう言うと、
父・竜司は観念した様子でため息を吐き出すと、
”ーーー実はーーー”と、
”ある方法”で、チップを埋め込んだ子たちに
遠隔で自分の意識のデータを飛ばし、
”憑依”を楽しんでいることを父・竜司は自白したー。

「ーー…お、おいー…まだそんなことをー…
 麻奈美に憑依した時に、もう勝手に人の身体に
 憑依しないって約束しただろー?」
恭輔が呆れ顔でそう指摘すると、
父・竜司は”生身の身体が欲しいー…生身の身体が欲しいんだ!”と、
そう言葉を口にするー。

それと同時に、モニターにBODY SWAPという文字が
大量に表示されるー

「おいっ!父さん!
 落ち着けよ!

 父さんの気持ちは分かるけど、
 でも、みんなそれぞれ自分の人生があるんだ!
 勝手に身体を借りるなんて許されない!」

恭輔は父に対してそう言い放つー。

それでも、父・竜司は”身体が欲しいー身体が欲しいー”と
そう言葉を口にするー。

そんな父・竜司を見て
「父さんー…父さんが暴走するならー…俺が父さんを止めるよ」と、
悲しそうな表情を浮かべながら、
父・竜司の意識が保存されているコンピューターの
電源と、非常用電源に繋がっているコンセントに手を掛けるー

”ーー!!”
父・竜司が驚きの表情を浮かべるー。

恭輔はそんな父を見返しながら
「頼むから、人の身体を乗っ取るなんてこと、やめてくれよ」
と、そう言葉を口にするのだったー

③へ続く

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コメント

次回が最終回デス~!★

ちゃんと親子で和解することはできるのかどうか、
ドキドキデス…★

お読み下さり、ありがとうございました~!★!

「デジタル空間で生きる父」目次

コメント

  1. TSマニア より:

    デジタル空間の中だと生身のカラダが恋しくなりますよネ!☆!★

    最近、地雷系フェチが増えてますネ(*´艸`)笑

    憑依できるなら

    林れむちゃんのカラダに憑依するのデス(^_-)☆笑

    地雷系じゃなかった…レースクイーンのお仕事を完璧にこなしたいのデス(^o^ゞ笑

    お仕事頑張ったご褒美に気持ちいいことのほうも完璧にこなしたいのデス☆\(^o^)/☆笑

    • 無名 より:

      感想ありがとうございます~!★

      TSマニア様も地雷系の虜に~?笑

      頑張ったご褒美が貰えるかどうかは、お仕事次第デス~!!