その世界では”他人を着ている枚数”が
全てを決めるー。
着ている皮の枚数が多ければ多いほど、社会的地位が高くなる世界ー。
その世界で、暴政を繰り返す女王を前に、
騎士の一人は、何とか女王を止めようと動き出したー…。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー現在、私が着ている皮は34枚ー。
女王様は77枚ですから、到底及びませんー」
男性騎士・レイドがそう言葉を口にするー。
レイドの”中身”は、実は華奢な女性であるものの、
騎士に憧れて、小さい頃から努力に努力を重ねて
皮をかき集めて、現在は”34枚”の皮を着て、
騎士の中でも高い地位を得ている人物だー。
「ーー女王様は自分以外の人間が”50枚”を超えることを
許さないー。
あまり”枚数”が近付く人間が出て来ると
自分の社会的地位が脅かされますからなー」
宰相・サイードは現在”45枚”の皮を着ていて、
女王に最も近い枚数の皮を着ている人間だー。
仮にサイードが女王・ルルの着ている”77枚”を超えることができれば、
女王・ルルは失脚ー。
サイードが女王の皮を着て、そのままこの国を統治する存在になるー。
”着ている枚数”が全てを決めるこの世界では、
どんなに暴政を繰り広げていても、
それを止める手段はないー。
止めるためには、”皮の枚数”で上回るしかなく、
それを破れば”世界の敵”になってしまうー。
「ーーーー女王様に悟られないようにしつつ、
少しずつ皮を集めていくしか、無さそうですねー」
騎士・レイドがそう言葉を口にすると、
宰相・サイードは「ウム」と、そう言葉を口にするー。
しかし、女王ルルは”50枚以上”の皮を着ている人間が
現れると理由を付けて罪人扱いにしたり、
皮を取り上げる処分を下したりして、
自分の着ている枚数に近付かないように、
徹底的に管理しているー。
気付かれないようにこっそり集めるとしても、
なかなかそれは難しいのが現実だー。
「ーーーー何としても、今の女王の暴政は止めねばなるまいー」
宰相・サイードは険しい表情でそう言葉を口にすると、
これからも、レイドと共に”皮”を秘密裏に集めていくことで
話し合いはまとまり、その日はその場から立ち去って行ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーひひひひひひひひっ!
お前たちも、皮になれぇえええええ!」
中身は”盗賊の男”である女騎士が、
今日も、先日とは別の村で
村人たちを”皮”にして、狂気の笑みを浮かべていたー。
「ーーど、どうかお許しをー」
可愛い雰囲気の娘が命乞いをするのを見て、
女騎士はニヤリと笑うと、
「ん~~~お前、いい身体してんなぁ?」と、
ニヤニヤしながら近づいていくー。
「ーよぉし、今日から俺はお前の身体をメインに使うことにするかー」
そう言葉を口にすると、女騎士は
町娘を”皮”にしようとするー。
その様子を見ていた、騎士・レイドは
「ーおい、アシュレイ、そこまでだ」と、
その女騎士の名前を呼んだー。
「ーー…チッー、レイド様ー」
中身は盗賊の男である女騎士・アシュレイは
不満そうな表情を浮かべるー。
がー、レイドは「ー34枚」と、自分の着ている皮の枚数を告げると、
アシュレイは「ーーじ、16枚ー」と、悔しそうに答え、
そのまま引き下がっていくー。
どんなに意見が対立しても、
この世界では”着ている皮の枚数”が全てー。
アシュレイは悔しそうにしながらも、
村の娘の身体を乗っ取ることを諦めて
そのまま引き下がって行ったー
「ー大丈夫か?」
騎士・レイドがそう言葉を口にすると、
助けられた村の娘は「ありがとうございますー」と、
静かにそう言葉を口にするのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その数日後ー。
女王・ルルは自分の胸を揉みながら、
”集めた皮”を”女王の身体”の下に重ね着して、
着ている皮の数はいよいよ”80枚”を突破していたー。
「ーーククククー俺は”神”ー
この世界を意のままにできるんだー」
この世界で”一番”大量の皮を着て、
女王の座まで手に入れた元・盗賊の男ー。
彼はさらに強まっていく自分の権力を前に、
満足そうに笑みを浮かべると、
「ーー絶対にこの権力は手放さないー」
と、そう言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんな状況の中、
宰相のサイードは、騎士・レイドと共に
”女王を止めるため”の相談を再び行っていたー。
「ーー皮を”48枚”まで集めたがー、
これ以上は難しそうだー。女王様の監視が厳しくなったー」
宰相・サイードがそう言葉を口にすると、
騎士・レイドも険しい表情を浮かべながら
「ー私も30枚を超えたあたりから、女王様の監視が厳しくなったのを
感じますねー」と、そう答えるー。
騎士・レイドは現在、37枚…
宰相のサイードは現在48枚の皮を着ているー。
しかし、
女王ルルは現在81枚の皮を着ていて
その”地位”には圧倒的な差があるー。
覆ることのない”権力”の差ー。
女王・ルルを止めようとはしつつも、
どうすることもできずに、
時ばかりが流れていくー。
がー、そうこうしているうちに、
ついに女王・ルルは城下町の人間を大量に”皮”にするという
暴挙に出たー。
「ーー女王様!!城下町で暮らす人間がいなくなれば
王国は衰退の道を辿るのみですぞ!」
宰相のサイードがそう叫ぶー。
しかし、女王ルルは「うるせぇよー」と、そう言葉を口にすると、
「この王国の人間の命は全て”女王”の手の内ー
どんな風に使おうと、全てわたしの意のままー」と、
自分の権力に酔いしれた様子で、そう呟くー。
宰相・サイードはなおも反論しようとするー。
しかしーーー
「ーー83」
女王・ルルはそう言葉を口にすると、
宰相・サイードは「48…でございます」と
着ている皮の枚数を答えるー。
「下がれ」
女王・ルルはそれだけ言葉を口にすると、
宰相のサイードは、表情を歪めながらも、
「ははー…」と、そのまま引き下がろうとするー。
どのような事情があっても、
どのような意見があってもー、
何よりも、皮の枚数が優先されるこの世界ー。
しかし、そこに、騎士のレイドが現れたー。
「ーーレイド…」
女王・ルルがそう言葉を口にすると、
レイドは大きな袋を手に、
それを宰相・サイードに差し出したー。
「ーこれは?」
宰相・サイードが不思議そうに聞き返すと、
「ーーー”この皮”以外の、私が着ていた全ての皮にございます」と、
そう言葉を口にしたー。
「ーー!」
レイドは昨日までの時点で”38枚”の皮を着ていたー。
それをーーー
”今使っている身体”である騎士としてのこの男の皮以外、
全てを脱ぎー、”37枚”の皮をサイードに差し出したのだー。
「ーーな、何をしているー!?
レイド!そんなことすれば、お前の皮は”1”ー
騎士としての地位も失い、平民に戻るつもりか!?」
女王・ルルがそう叫ぶー。
”自分が着ている皮”を他人に渡すー。
この世界では、そのようなことをする人間は
ほとんどいないー。
”皮の枚数”が全てを決めるこの世界では、
それは”自分から命を捨てるに等しい”行動だからだー。
しかし、レイドは自分の皮…37枚を宰相・サイードに手渡したー。
例え自分が平民になろうとも、
現在の女王となっている人物から、
この王国を取り戻すためー、
37枚の皮を宰相・サイードに手渡したー。
サイードは慌てて上から、次々とレイドが着ていた皮ー、
皮にされた人間を身に着けていくー。
「ーー誰か!!曲者だ!!こいつらを始末しろ!」
そう叫んで部下を呼び出そうとする女王・ルル。
「80ー、81、82ーー」
サイードが、とにかく皮を重ね着して、
自分が使う身体も次々と変わっていく状況の中、
女王・ルルの”83”を超えようとするー。
「ー貴様ァ!」
女王・ルルはそう叫ぶと、
宰相・サイードを止めようとしたー。
がー…
「84ー」
宰相・サイードは、一番上に着た女の身体でそう言葉を口にすると、
サイードを阻止しようとしていた女王・ルルが動きを止めるー。
「ーぐ……」
”自身の83枚”より、着ている皮の枚数が増えてしまった
宰相・サイードを前に、
やりたい放題をしてきた女王ルル…
その中にいる男も従わざるを得ない状況になるー。
別に、魔力か何かで行動を制限されているわけではないしー、
より”枚数”が多い人間に操られたりするわけでもない。
でもー…
この世界では”着ている枚数”が多い人間に”従う”ということが
何よりも優先されるー。
それが、この世界の”常識”なのだから。
「ーー女王様!」
そうこうしているうちに、女王ルルが呼び出した騎士たちが
その場に駆け付けるー。
「ーー女王様!」
騎士たちがそう叫ぶと、
女王・ルルは「こ、こいつらを始末しろ!」と、そう叫ぶー。
がーー、
次の瞬間だったー。
「ーーいいや、その者を取り押さえよー」
宰相・サイードが、一番上に着ている皮…
可愛らしい雰囲気の女の身体でそう言葉を口にすると、
騎士たちは戸惑いの表情を浮かべるー。
そして、宰相サイードは
「84」と、自分が着ている皮の枚数を示して見せると、
騎士たちは「!」と、驚いたような表情を浮かべながら
女王・ルルの方を見つめる。
「ーーな…何をしている!貴様ら!俺は女王だぞ!」
本性を隠すのも忘れてルルがそう叫ぶも、
騎士たちは、ルルの方を見つめながら、
ルルを捕らえようとしているー。
「おい!俺は83だぞ!貴様ら、何枚だ!?」
騎士たちにそう問いかけるルル。
が、騎士たちは言う。
「ー確かに我々は女王様より”皮”の枚数は少ないです。
が、84枚の宰相様の命令です。
我々は、それに従います」
とー。
「おい!離せ!くそっ!」
女王・ルルがそう言葉を口にすると、
宰相・サイードは女の身体のまま、
「その者が着ている皮を全て取り上げるのだー」と、
騎士たちにそう命じるー。
女王・ルルの皮をー、
そして、残りの82枚の皮を取り上げられた
元盗賊の男は、呆然とした表情を浮かべながら
悔しそうに歯ぎしりをするー。
けれども、もうどうすることもできなかった…。
宰相・サイードは騎士・レイドの方を見ると、
「ーありがとうー。お主にはまた”新しい皮”を用意すると約束する」と、
そう言葉を口にしてから、
”ルル”の皮を見つめる。
騎士レイドは、そんな宰相サイードの方を見つめると、
「ーさぁ、どうぞ」と、
女王・ルルの皮を指差すと、
「ーー今日からは、あなたが女王です」と、そんな言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宰相・サイードは、女王・ルルの皮を着て
女王となったー。
元盗賊だった男が繰り返していた暴政の数々を打ち切り、
今まで女王ルルとして悪事を繰り返していた元盗賊の男は、
罪人として処断された。
同時に、元盗賊の男が女王だった際に
悪事を働いていた人間たちも、その悪事の量に応じて
裁かれることになり、
女騎士として村に出向いて、人を皮にしていたぶっていた男も、
牢獄に幽閉されることになったー。
「ーーー”皮”の調達はいかがしますか?」
約束通り、宰相だったサイードから”皮”を大量に与えられた騎士・レイドは
今や宰相レイドとして女王を補佐していたー。
そのレイドには”84枚”の皮が与えられているー。
女王ルルとなったサイードは85枚の皮を着ているー。
1枚しか差をつけなかったのは、
「ーーもしも、私が暴走したら遠慮なく皮の枚数で私を越して
私を止めて欲しい」と、そういう思いのようだー。
「ーー”皮”は、罪人や志願者、病気で先がないものの身体を用いて
確保すること方向で、考えているのだがー」
女王・ルルになったサイードは、そう言葉を口にすると、
レイドも静かに頷くー。
体制が変わっても、
”皮の枚数が全て”であるこの世界の仕組みは変わらないー。
けれども、盗賊の男が事実上の女王をやっていた頃よりもはるかに、
王国は安定の兆しを見せ始めていたのだったー。
おわり
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コメント
とにかく”皮の枚数”が大事な世界の
お話でした~!★
皮にする人間の調達とか、
色々大変そうですネ~…!
お読み下さり、ありがとうございました~!!
★作品一覧★

コメント
島の時みたいな感じかなぁと思ったら 本人皮にしないで没収着込みだったか
感想ありがとうございます~!!
島のお話に似てるかな~?と思いながら
私も書いてました~笑